余が…敗れる?悲願達成の直前に…
数千年かけた、計画が…三か月、で?
…太陽を、我が…手…に……
そこまで考え、魔界の神と呼ばれた大魔王バーンは、意識を失った。
だが、消えたはずの大魔王バーンは、何かの声を聞く。
徐々に意識が戻っていく。触覚、聴覚…そして、視覚。
目の前の光景を見て、呆けた顔をする大魔王バーン。
「…偉大なる大魔王バーン様、今ここに邪悪の六芒星を司る最強の精鋭達が揃いました。
この鬼岩城を拠点とし再び世界を暗黒に染め、バーン様に献上する所存にございます」
これは、何だ?覚えて居る、鬼岩城完成、そして軍団長が集った日。
暴魔のメダルを授けようとした際に、氷炎軍団長フレイザードが取った日だ。
信じられないが… 時が、巻き戻った?鬼岩城完成の時、に?
「??バーン様?」
困惑した声を上げるハドラー。
『……実に。実に頼もしい顔ぶれだ、ハドラー。余は大変満足しておる……』
「ハハーーッ」
恭しく頭を下げるハドラー。
時が逆行しているのか、夢なのか分からぬ。
もしも。もしもここで暴魔のメダルを取れるかどうか、余のメラで試さなかったら、どうなる?
『お前がかつて成し遂げられなかった、地上征服の野望を果たすが良い』
「ハハーーッ」
…変わった。やはり、間違いない。自分は時を逆行した。
三か月前、に。
他の軍団長が下がった後、バーンはミストバーンを呼ぶ。
即座に駆け付けた忠臣に、バーンは告げる
「ミストよ…余は。夢を見ていた。」
夢を見ていた、太陽を取り戻す夢なのかと思っていたミストバーンだったが。
「余が、地上の人間に打倒される夢だ。」
「なっ?!」
「…余を討ったのは、デルムリン島にいる、勇者ダイと魔法使いポップ、そして…神の涙」
「か、神の涙ッ?!あれがデルムリン島に?!」
「…この後、ハドラーを送り込む予定であったが…変更だ。ミスト、ついて参れ。
奴らは三か月で余を打ち倒す程強くなる。ここで…終わらせる」
にわかに信じられない事だったが、忠臣は素直に従う。
主君の言葉こそ、最も優先されるのだから。
『…ハドラーよ、勇者アバンはデルムリン島に居る』
「ハッ」
『だが、余とミストも共に赴く。仕留めねばならぬ相手が居る』
大魔王が直々に動いて仕留めないといけない相手が居る?
それほどの強敵が、と思いつつもハドラーに反対する権限など無い。
「わかりました」
『では。行くとしよう』
こうして、デルムリン島、レベル1のダイとポップ、ゴメちゃんがいる所に、
大魔王バーン、ミストバーン、ハドラーが襲撃するのであった。