烏なき島の蝙蝠─長宗我部元親(ただし妹)のやっぱりわたしが最強★れじぇんど! 作:ぴんぽんだっしゅ
今回は、小昼の大切な友達であり兄弟関係で血も繋がっている三兄弟をフィーチャーしていきますです!
「ふにゃあ。……もう食べれんぜよ……」
現在、二ノ丸奥の庭。そこにある廊下の縁側ですよ。こんにちわー、リポートしますは皆様ご存知?長宗我部小昼です。
なぜか後ろに勢太と菊さんも着いてきてますが……気にしないでおきましょう。
「寝てますね……爺に提出する絵日記のネタにしようと思ったのに。もー!──次いきましょう、次」
縁側で発見しましたよ。親貞こと弥五良。やご以外に適当な呼び方あるかな?
寝てる。むにゃむにゃ言いながら。
帷子をはだけた、大の字で大きく手足を伸ばしたやごが縁側を占領しています。
因みに、今日の小昼の格好はと言いますと、襦袢を膝上ですぱっとカットした専用襦袢の上から蒼糸地の陣羽織を羽織ってます。
襦袢はカジュアルな着物ですが、皆様も知ってるかと思いますよ。長いのです、走るのに邪魔です。一思いにぱつんと。切っちゃいました。
なぬ?走ると中が見えるのでは?
ええ、ですから見せびらかしますよ。そうです、中をです。
破廉恥な?いえいえ、ちゃあんとそこは長めの褌と言うかサラシを巻いてますから──安心してください、巻いてますよ!中は見たくても見えてません。
腰回りの自由度が制限されますから、型紙に起こして下着くらいは自作しないとダメになるかも知れませんよね。
なったらそれこそ頑張って麻の下着を自作するとします。
いやぁ、それにしても秦氏の洗練された血と言うのは強いですね。
どういう訳か知らないですけど、三兄弟も父上も髪の毛が日本離れしてるんです。あ、小昼も自分を棚上げにしてましたね、そうです、皆純粋な黒髪じゃないのです、ブルネットじゃなくて亜麻色つまり茶髪してるのですよ。
一方、母上は綺麗なブルネットで斎藤の血って解ります。
個人差はあって一番暗いのが父上で小昼は断トツ明るく茶髪している風な気がします。
四男くんは小昼のものより明るく出てますね。小さな天使かな?ってカンジで我が弟ながら猫可愛がりしたくなる容姿していたりします。
岡豊城に居ないので会いに行くしか無いんですけど、生徒としては岡豊まで足を伸ばしてくれるようになったので教師としては触れ合えるのです。羨ましいだろです!
天然パでくりっくりの瞳をしたちっこい天使が居る訳で、目の前に座ってる訳で。眼福眼福とひたってますね。癒されます。
で、次男君なやごも顔だけは美男子の片鱗を持っていてですね、寝顔も美しい。
にーさまは暗くてじめっとしたとこに暮らしてるから隈が年輪の様に刻まれててそうでもないんですけど、次男くん、三男くん、四男くんはド田舎が似合わないくらい彫りも深くてハ虫類的な容姿してましてね、正に王子ってカンジに仕上がってるのですよ。
後、アフリカのサバンナかよって気もするんですけど、米が無ければ肉を食えばいいじゃない精神が染み着いててですね。
猪に、狸に、狼を獲れたら捌いて食べる様ながっつり肉食だったのは良い方に働いているんでしょうか。
遺伝も相重なって、とても恵まれた体躯をしてるんです、背が高い。やごなんて、150くらいあるんじゃないでしょうか。でもまだまだ伸びるでしょう。
何せ、戦国の世。平均、150くらいの身長らしいんですけど、父上は170くらいの大きさあるような気がします。
あ、瞳の色も小昼は完全な茶。やごも暗い焦げ茶色だった記憶があります。父上も遺伝だと言ってましたっけ。でも国康叔父上の方が父上より茶色してる。
家族みんな遺伝に更に先祖帰りが出てます。
和服も似合いませんね、これじゃあ。
「ひめせんせー、何やってるの?」
後ろに居た菊さんが訊ねてきました。
何してるかって、それは、絵日記ですよ?
「やごの寝顔を書いています」
「なぁーんだ、今日は面白そうな事はなさそうだな。俺はこれにて」
返事をすると、ざっざっと砂利混じりの土を踏み鳴らして去っていく音がして気配が一つ減りました。
毎度毎度面白い事が岡豊に転がっていてくれる道理はありませんよ?
足で探して見つけるのです、勢太。もう元服も初陣も済ませたんですからもっと落ち着きを持ってください。
「今日は合戦はなさそうですか?」
「にーさまに御機嫌よう済ませたらやりましょう。やごもその頃には起きると思うよ」
合戦も良いのですが、最近は煮つまって半刻ほどやっても決着つかないんですよね、長引くと膠着して面白くならないのです。
「合戦も悪くない。ですが、二人なら二人で出来る白黒はどうよ」
「白黒はまだ高いですね。五貫だと手が出ません」
小昼は紙と筆と画板でやごを書くのに忙しい。
菊さんも紙を持ってきて絵を書けば良いと思うんですけどね?
白黒は量産が進んでいても、製作速度はピッチあげて巻きで!とは行かない。そうなんだ、値段は据え置きなのは変わらず、かぁ。
「ねーさま。……なにやってるのにゃあ?」
キター。振り返って姿を見た訳では無いんですけど、声の主は三男くん。親泰こと弥九郎。
「絵、書いてます。九郎もどうです?」
振り返って、画板から外した絵を三男くんに広げて見せます。劇画ちっくにやごを書き上げましたから、ドあっぷで。迫力は満点だったはずです。
嫌悪感バリバリに紙と小昼とを凝視していたいたいけ王子は目線が小昼で止まる。そして口を震わせながら求められた返答に移った。
「やご兄(にぃ)の顔だけ書かれてもにゃ。生首みたいにゃあ……」
なるほど。デフォルメもドあっぷも耐性ないとそう映りやがりますか。納得ですよ。
「じゃあ、九郎書いたげる。そこでポーズとってみてよ」
「……ぽおずとは、何ですかにゃ?」
「──いいから、刀振る格好とって!あ──はい!いいね、そこで停止」
「……ていしとは何ですかにゃあ」
「さっきの動きで止まって!止まるの!」
「……にゃ、こうでよいかにゃあ」
いろいろバタバタしたけど根から真面目な親泰は小昼のいい玩具……げふんげふん。言うことをちゃんと聞いてくれて、刀を構えたポーズで止まってくれた。
そして、出来上がり。
「……全く違うと思うにゃ。ねーさま?」
「ひめせんせー、顔だけですよこれ」
「いいのよ。凛々しい顔つきしてるとこ良く書けてるでしょ」
「……こんな顔してないぜよ。なんて、無駄な時間かにゃあ」
劇画ちっくに親泰もドあっぷで仕上げてみました。
──それから。にーさまは暗くてじめっとしたとこから出てきませんでした。残念。
姫若子と呼ばれる、男とは思えないにーさまは絵栄えすると思ったのですよ。
あれですかね、寝てる間に忍び込んで白塗りにしちゃってから機嫌がすこぶる悪いみたいなんです。解せぬ……。可愛く仕上げてみました!
父上も母上も大笑いして喜んでくれたのに。
やごからは、
「にーさまはこれでますます部屋篭り子になるぜよ」
なんて突っ込みを貰いましたが。
何が、悪かったんでしょうかね?可愛いんだから、可愛く仕上げてみたくなるでしょ?母上は納得してくれました。女の性なのかも知れません。父上も女装癖があります。知っているのです。
ナイスミドルがナイスマダムにへんしーん!
史実にも残っている真実ですよ。
美しく生まれたものは、更に美を求めるのが自然なので何も間違り腐っていません。むしろ、それでいい。それがいいのです。
小昼のリポートどうでしたか?
何故か、次男くん三男くんに不評を買ったのですが、又の機会があった時に、その時には小昼が家族の大暴露大会をまたするかも知れません!では、しーゆー!