インフィニット・ストラトス~皇室の楯~(凍結) 作:のんびり日和
雪が深々と降るある夜。天城家のとある一室から一人の白髭を生やしたサンタ姿の眼帯の男と、トナカイの着ぐるみを着こんだ白髪の男性が居た。
「では颯馬様「源蔵、いやトナカイよ。私は今サンタさんだ」失礼しました、サンタさん。今宵もいい子にされておられました若様達にプレゼントを贈るのですね?」
「うむ、今宵も誰にもバレることなくプレゼントを届けるぞ」
そう言いサンタ姿の颯馬はプレゼントが入った袋を担ぐ。トナカイ姿の源蔵はその後ろを追随し袋を一緒に担ぐ。
「さて何時もの通り子供達の部屋の前に行くぞ」
そう言い颯馬は智哉達の部屋の前に誰にも気づかれることなく到着し、扉をそっと開けた。
部屋の中では4人がスヤスヤと寝ていた。
「さて、まずは恵梨香のプレゼントを」
颯馬は源蔵にそう言い、袋の中から『恵梨香』と書かれたタグの付いたプレゼントを取り出す。
「どうぞ」
「うむ、何時も3人の弟達の面倒を見ていたからな。そのご褒美だ。トナカイよ次は穂香と黒江のだ」
「はい、こちらに」
そう言い源蔵は『穂香』、『黒江』と書かれたタグの付いたプレゼントを渡す。
「家の手伝いや雪子のお手伝いを一生懸命頑張ったご褒美だ」
そう言い2人の枕元にプレゼントを置く颯馬。
「よし、それじゃあ次は智哉のだ」
「こちらを」
そう言い颯馬に智哉のプレゼントを渡す源蔵。
「次期当主として重い責任が圧し掛かっているにも関わらず、一生懸命勉強しているご褒美だ」
そう言い枕元にプレゼントを置く颯馬。すると颯馬は智哉だけ顔ごと布団に被っている事に何かが可笑しいと気付き、そっと布団を捲ると
「ムッ!? 智哉のパジャマしかないぞ!」
「こ、これは一体!?」
颯馬と源蔵はどう言う訳か分からず、兎に角部屋からそっと出る。
「サンタさん、一体若様何処に?」
「分からん。一体……ん?」
颯馬は廊下の端を小さくも白い袋を背負った人物を横切るのが見え、颯馬と源蔵はそっとその後を追いかけた。
「サンタさん、今のは……」
「うむ、まさかとは思うが」
そう言い曲がり角からコッソリと顔だけを覗かせ見ると、小さな白い袋を背負ったサンタが歩いていた。
「抜き足、差し足、忍び足」
そう言いながら歩いていたサンタ。その声から2人はあのサンタが智哉だと気付き、何故サンタの格好を?と疑問を持ちつつその後姿を見守っていた。
そして智哉はある部屋の前で止まり、中へと入る。
「此処は颯馬様と奥様のお部屋ですよね」
「うむ、一体何故?」
そう思いつつ襖に耳を当て、中の様子を伺う。
智哉は部屋へと入り、2人が寝ている布団へと近づく。
「あれ、お父さんが居ない。仕事かな? まぁ居ないのなら仕方がないや」
そう言いながら袋の中から2つの小さなプレゼントを取り出し、雪子と颯馬の枕元に置く。
「日頃の感謝を込めて、メリークリスマス」
そう言い袋を担ぎ部屋から出て行く智哉。智哉が部屋から退出して暫くして廊下の天井から颯馬と源蔵は降りて来て、その後姿を見送った。
「まさか若様自らサンタの格好をされてプレゼントを配りまわっていたとは、御見それしました」
「全くだ。これは私も驚かずにはいられん」
そう言い笑みを浮かべる颯馬。すると部屋から雪子が上着を羽織りながら出てきた。
「フフフッ。本当ですね」
「何だ、起きておったのか」
「部屋の前に智哉の気配を感じて起きたのですが、サンタの格好をしてプレゼントを置きに来たので寝たふりをしていたのです」
そう言い智哉が置いたプレゼントを開ける雪子。中に入っていたのは小さなペンダントだった。
「あら可愛いペンダントだこと」
「そうだな。恐らく手作りだろ」
そう言いニコニコと笑みを浮かべ、颯馬は源蔵に帰るぞと言い服を着替えに部屋へと戻って行った。
次の日、従者が寝ていた(ほとんどが寝たふり)枕元には小さなプレゼントが置かれており、中には可愛いペンダントや髪留めなどが入っていたそうだ。
勿論恵梨香達の枕元にも。
「お! このタブレットパーツ、ずっと欲しくて探してたやつだぁ‼」
「これ私がずっと欲しかったぬいぐるみだぁ‼」
「お姉様、私のにはずっと欲しかった服が入ってましたぁ‼」
「僕のは欲しかったゲームだぁ‼」
そう言い颯馬達のプレゼントを開け喜んでいると、もう一つプレゼントがある事に気付き中を開けると、
「おりょ、これはロケットペンダントだね」
「ロケットペンダントって、中に写真とか入れるものだよね?」
「はい、それにしても凄く可愛いです」
「そうだねぇ。サンタさんからのオマケなのかな?」
そう言いながら楽しく会話をした。その後それぞれのロケットペンダントには写真を入れることにし、智哉は家族の写真を。恵梨香達はそれぞれ智哉の写真を入れたそうだ。
因みに、従者の時雨、秋、そして美哉はと言うと
時雨の場合
智哉が部屋に入って来たのは気配で気付いていた為、寝たふりをして声を掛けなかず置いて行ったプレゼントをそっと開く。
「シュシュかしら? そう言えば何時も仕事の時は髪を広げた状態だったわね」
そう言いながら試しに髪を束ね、赤い色のシュシュを付ける。
「これはこれでいい物ね。今日から試していこうかしら。……素敵なプレゼントをありがとうございます、小さなサンタさん」
そう言いシュシュを化粧棚の大事なものを入れている棚の中へと仕舞う。
秋の場合
こちらも時雨同様、寝ているときに入って来た時に声を掛けようとしたがサンタの格好をしていた為何も言わず寝たふりをしていると、プレゼントを枕元に置いて部屋から出て行き、朝そのプレゼントを開けると中には
「シュシュか。…可愛い」
そう言い秋は黒いシュシュを付ける。
「何か何時も髪を下ろした状態よりかは新鮮味が上がるか。……今日はこれを付けて仕事するか」
そう言い顔を赤めながら智哉に褒められたりしてなと一人妄想し、直ぐに馬鹿か俺は‼と一人ツッコミを繰り返していた。
美哉の場合
此方も2人同様気配に気付き、そっと薄眼で入って来た智哉の様子を伺っていた。そして置いて行ったプレゼントに一体何が入っているのでしょうと心躍らせながらプレゼントを開ける。
「ブレスレットですか。色とりどりの色が入っていて綺麗ですね。フフフッ」
美哉は入っていた青や水色、白色などのビーズで出来たブレスレットを腕に通し、眺める。
「さて、今日も若様達に美味しい朝食をご用意しましょうか」
そう言い普段の袴を着こみ部屋を後にする美哉。
次回本編
それと皆さん、メリークリスマス!