デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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やばいっす。別に意図したわけでもないのに感想欄の皆様の反応がアンチラタトスクに……。

おかしいな、こういう予定じゃなかったんだが。

それはそうと、感想でもあったので神夏の精霊の力についてもう少し補足を。

神夏が成れる英雄は、ギルガメッシュのみです。理由としては、複数の英雄をその身に宿すと神夏自身が耐えきれませんし、なにより神夏にとって当時は英雄=ギルガメッシュの方程式しかなかったものですから。

そして、もう一つほど重要な(?)事が

神夏ギルとギルガメッシュの自分たちの二重人格に対する見方は違います。

神夏は。あくまでも人間が視界に入ると
ギルガメッシュの心が混ざってくる、と考え
ギルガメッシュは
一つの体の中に二つの人格を宿している

と考えています。
ちなみに、どちらかによって仮に神夏を攻略する際の難易度が大幅に違います。


さて、長話はこれほどにして、それではどうぞ。


注)今更ながら念の為。この世界のギルガメッシュは姫ギル(ギルガメッシュの女版)であり、『我』と書いてそのまま『われ》と呼びます。


7話

〜数日後〜

 

「…ま、そりゃ学校とか来ないよな」

 

神夏に拒絶されてから三日ほどだったが、神夏は現れる気配すらなかった。

それも当然といえば当然なのだが。

 

「……ドー」

 

でも、神夏とはもう一度話をすべきだ、

琴里には悪いが、ラタトスク抜きで、一度、真剣に。

 

「シドー」

 

でも、中津川さんに聞いた限りだと精霊化している状態で取り繕ってくれるとは思えない。

 

「無視をするなっ!」

 

「え?あ、ああ。すまない、十香」

 

「ふん、それでいいのだ。ところでシドーよ。何か考え事をしていたが、どうしたのだ?」

 

と、横にいた十香に聞かれる。が、答えていいものかどうか。

 

「…いや、なんでもないよ。ごめんな」

 

「む、それならいいのだが…。それはそうと一緒に帰るぞ!」

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜五河家〜

 

「シドー、今日の晩御飯はなんだ⁉︎」

「あー、それなんだがな、生憎食材があまりなくてな。だから、偶には外食もどうかなって思ったんだが、どうだ?」

「おお…!」

 

俺の提案に十香は目を輝かせる。

 

「あれはあるのか⁉︎」

「あれ?」

「きな粉パンだ!」

「あ、あー、うん。多分いまから行くところはないから、それは帰りに買ってあげるよ。琴里も、今日は外食で我慢してくれ」

「いいよー!」

 

と、琴里の許しも得て、3人で外に出かける。

 

 

 

 

 

 

〜飲食店〜

 

「ふむ、偶には外で食うのも良い、か。ホテルの飯は飽きたしな。安物のようだが、まあこの際はしかたあるまい」

 

と、神夏ギル……いや、ギルガメッシュはある飲食店に来ていた。

 

「どうだ?自分で食べるというのは?………ふむ、そうか」

 

どうやら、まだ神夏は閉じこもっているらしい。

 

「はぁ、先に言っておくが、我が顕現出来るのはあと僅かだぞ」

 

と、言いつつも何気にこの世界のものを楽しんでいる英雄王がいた。

ちなみに、装いはヘビ柄のスカートに黒のシスター服という、蛇嫌いかつ神嫌いの人がする装いか、というような格好をしていた。

 

「「「あ………」」」

 

「……」

 

ギルガメッシュは、中に入ると視線を感じた。が、特に気にはしていなかった。

 

なぜかと聞かれると、『我が肉体に見とれるのは森羅万象の摂理だ』と思っているからだ。

自己中心でもなんでもなく、それが当然と思っているから。

 

「ふむ…そうだな、この『ぐらたん』とか言う奴を食べてみるか」

 

どうやら、英雄王の食べるものは決まったご様子。意外と庶民的?

自分で水を注ぎに行くのも王である自分が行くのは道理ではない(面倒な)ため、店員に注がせてそれを飲んで待っている間に、英雄王に近づいてくる人間が1人----

 

 

 

 

 

 

「……なんだ、道化よ。今度は何の用だ。そして、我は言ったはずだ。貴様には、()()()が拒絶をしておるのだ。疾く失せねば、殺すぞ?」

 

と、横に立っている道化に我は殺気を放ち言う。

 

「…王よ、どうか、今一度神夏と話をさせて頂きたく存じます」

 

「ならん」

 

と、道化は跪きながら言って来た。それを即答で断った。

 

「そこをなんとかなりませんか?」

 

「ならん、と言っておるのだ。2度同じことを言わすな。そして、王たる我に話しかけていると言うのに、他人から指示を受けて話すのか?不敬も大概にせよ、雑種」

 

「…!」

 

こ奴らは学ばぬのか。神夏にインカムのことを勘付かれ、そのせいで拒絶をされたと言うのに。

神夏が引きこもった経緯は事細かく聞いている。

 

「…っ、申し訳ございません」

 

「ああ、もう良い。話すことなどもうない。さっさと失せよ」

 

「……それは出来ません」

 

「ほう?理由を述べてみよ。先に言っておくが、心して述べるんだな。場合によっては、極刑に処するぞ」

 

「……私は、神夏を怒らせてしまいました。それも、神夏にとって一番嫌な方法で。そのことに対する罪滅ぼし…とでも言ったらいいのでしょうか。それをしたいのです。そして、私は神夏のことをほとんど知りません。なので、一対一で、話し、神夏のことをしりたい所存にございます」

 

「……」

 

「そして、神夏に、もうあんな……世界に絶望をしたような顔をして欲しくないのです。私は、神夏を救いたいのです」

 

「……なるほど。では一つ聞くぞ。神夏を救う、とは具体的にはどうするつもりだ?」

 

「…っ、それは……」

 

「ああ、言っておくが、貴様を含めた『組織』のやり方だ」

 

と、知っていながら、あえてその内容を聞いた。

 

「……神夏の霊力を、キ……キスにより、私の中へ封印することです。それにより、神夏は……精霊は、『形を持った災厄』として、ASTなどに襲われなくなります」

 

「ふむ、ではさらに聞こう。誰が、いつ貴様にそのようなことを頼んだ」

 

「……っ」

 

「貴様達のその行いは、単なる自己満足だ。なぜ自己を守る『力』を持った生物からその『力』を奪う?仮に、その力を悪用していた者、その力の放棄を望んでいる者、また、その力によって自己を殺してしまうような者がいると言うのなら、まだそれは良かろう。だが、そうでない……例えるなら、我は自分の身は自分で守る。そのような輩まで救う理由が貴様らにはないだろう?」

 

「………」

 

「そして、貴様の背後にいる組織……たしか『ラタトスク』と言ったか?その組織が貴様が救った者を保護しているとして、その組織にとって、なんの利益がある?仮にも、我らはこの『世界』にとっては異物だ。そのような者を救うなどと言い、力を奪い、そこまでしておいて目的としているのが『救い』だけか?ハッ、笑わせるな」

 

「………」

 

「……なに、もう時間か。さて、雑種よ。最後に二つだけ忠告をしておいてやろう。残念だがこの世には我らのような精霊が力を失っていようが失っていまいが、容赦無く狩る奴がいる。そやつらがいる限り、貴様の言う『救い』は贋物以上の何でもない。そして、その贋物とはいえ『救い』のために自己を犠牲にするなど、それこそ『偽り』にすぎない。それを分からぬようであるならば……貴様は筋金の入った偽善者だ。

 

だが、そこまでの意思を示した褒美として、話すチャンスくらいはやろう。せいぜい励めよ、雑種ども」

 

そういい、『ぐらたん』を食べ終わった我は神夏の()へ戻った。

 

 

 

 

「………なんで、こんな中途半端な場面で精霊化解けるのかなぁ……」

 

気まずい、超気まずい。

 

いや、まぁ五河君達自体に恨みはないけどさ、正直嫌いなのよ。

他人のことを勝手に決めつけて救おうだなんてさ。

 

……え?今横にいる五河くん達?今も絶賛ガン無視してますよ。

なんか話しかけられてるけど話す気にもならん。

 

「な、なぁ、神夏。話を……」

「あ、店員さーん、追加お願いしまーす」

 

 

 

 

 

「神夏、頼む…」

「あ、コンビニ寄っていこ」

 

 

 

 

「神夏」

「(イライライライラ)」

「頼む、話だけでもさせてくれ。俺は、お前と話がしたいんだ!」

 

「あーーのーーですねぇ、()()()()()()()()()()()けど!話がしたいんだかなんだか知らないけど、つけまわさないでくれません⁉︎」

 

「…っ!」

 

「あ……」

 

しまった、イライラしすぎてつい素で怒ってしまった。

拒絶?んなもん、イライラに掻き消されましたよ。

ちなみに、妹らしき人と十香は先に家に帰りましたとさ。

 

「か、神夏、俺のことわからないのか?」

「ん?私はひたすらつきまとってきて、未だにインカムをつけたまんまで汗だくの同級生なんかこれっぽっちも知りません」

 

「………」

 

「……うん、なんかゴメン。嘘、ちゃんとわかるよ。だからそんな傷ついたような顔しないで。ラタトスクの()の五河士道君。で、さっきからずっと対話対話言ってるけど、君はそれしか能がないの?」

 

「駒って…」

 

「事実でしょ?君たちの()()が何を企んでいて霊力を集めようとしているかとかは正直どうでもいいけどさ。それに私を巻き込まないで欲しいんだ」

 

「…ラタトスクは、精霊を助けるために結成された組織だと聞いている」

 

「へぇ、それは誰から?最高責任者?創設者?それとも副司令官?もしくは末端の構成員?しかも、()()()()()だけ、ってことは五河君自身も、その組織の中心の人物からは事細かく聞いていないと。よくそんな組織を命を懸けてでも手伝おうとするね、君は」

 

「…実際に、十香は助かっているだろっ!」

 

「五河君、精霊化した私の忠告をもう忘れたの?この世にはね、例え精霊たちが無力化されていたとしても、容赦無く殺してくるような連中がいるんだよ?五河君やラタトスクのいう『救い』は一時的なものに過ぎない。だったら、それはニセモノよりタチが悪い

 

 

さて、ここまでの踏まえた前提で、もう一度聞くよ?正直に答えてね?あ、もちろんそのインカムは外してね?なんなら、前に使った薬、まだ余ってるから今むりやり飲ませてもいいんだけど。

五河士道、お前は、なんのために精霊を『霊力を奪う』という形で救おうとする」

 

 

 

「………俺は、精霊に、幸せに暮らして欲しい」

 

 

 

「……幸せに暮らす、とはどう言った形で?」

 

 

「普通に歳をとって、学校に行って、いつか好きな人ができて、結ばれて、そんな普通の『人生』を送って、楽しく生きて欲しい」

 

 

 

「……なんでそんなことを思うようになったの?」

 

「初めて十香に会った日、目を奪われた。それと同時に、あんな少女が理不尽な世界に放り込まれているのを知って、全てに絶望したような顔を、俺の大っ嫌いな顔をしていたんだ。

その後に、ラタトスクの存在を知って、精霊がどれだけ危険かを教えられた。けど、俺はあの時の十香やお前を見て、ただ特別な力を持っている()()の普通の女の子にしか見えなかった。

だから、例え自分が犠牲になっても、精霊に、心の底から笑って欲しかった。幸せになって欲しかった。

十香の霊力を封印した後、普通の、どこにでもいる女の子として過ごす十香をみて、嬉しくなった。こんな俺でも、誰かの役に立てるんだって。

しかも、精霊を救うっていうのが、俺にしかできないらしい。

 

だからこそ、俺は、精霊を救うために、精霊とはなしをする」

 

 

 

「…………五河君、立派な志だけど、()()()()がいる限り、それは夢物語だよ

 

「え?」

 

「なんでもない、んじゃーね、風邪引かないよーに」

 

「あ、神夏!」

 

「ハイハイ、私と話したいんでしょ?霊力の取り込み云々は全部お断りだけど、少しくらいなら、私のことを話してあげるよ。一週間後、夕方6時半、公園にいて」

 

それだけ言い、私はハデスの隠れ兜(気配遮断の布)を、形をほどき一本の布にし、首に巻き付けギル様がとっていたホテルへ向かう。兜って言っても三角帽子みたいなもんだけどね。もちろん、一本にしたところで効果は変わりなし。

 

幸いにもケータイは持ってくれていたから、移動した道筋を辿ればホテルへは着くでしょう。

 

 

………んん?ちょっとまって、ハデスの隠れ兜使えばさ、余裕で五河士道たちを振りきれたんじゃね?

 

うっわー、ばっかだー。このちっぱい。

あ、私のことだ。

やだ、今更ながらギル様の口調になった時のことを思い起こして羞恥心にまみれ始めた。

 

今更ながらだけどさ、三日、四日くらいずーっとギル様の性格&口調でしょ。ある意味、三日、四日をギル様と共に過ごしたってことでしょ?やっぱい、AUOファンに殺される。

 

 

 

 

 

 

こんな考えに至る神夏ギルは、やっぱりオタクだろう。

しかも、どちらかというとバカの部類の。

そして、未だに中二病は健在である。

 




はい、どうでしょう。

みなさん、琴里あんちになっちゃダメですよ!(自分は引き起こした張本人)

さて、次あたりで神夏編は終わりですかね。

神夏攻略ルートは………ほぼありえないと思います



読んでくださりありがとうございます

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