強いて言うなら、最近体調不良が続いてて結構ヤバめです。
それではどうぞ
「ふむ、
我は、雑種どもの基地……確か、ASTといったか?そこの前まで来ている。
なんでも、ストレス発散を望んでいるらしい。
自白剤を取り出していたあたりで何かあるとは思っていたが…。
どうやら、とてつもなく不愉快なことがあったらしい。
しばらく表に出るのも嫌になる程とはな。
「ふん、まあ良い。我が身の一部の願いのため、我の王としての力、存分に振舞ってやろう」
もちろん、殺しなどしない。適度に暴れるだけだ。
しばらく現世を堪能できることもあり我は上機嫌で雑種どもの基地を見る。
「さぁ、喜劇の幕開けだ。存分に愉しもうではないか」
我は、
〜フラクシナス内部〜
「あーもう!やっぱり!」
案の定、神夏は暴れていた。しかも、何を血迷ったのかASTの基地を襲撃していた。
「士道、念のためもう一度聞くけど、自分から喋ろうとはしなかったのよね?」
「あ、ああ。水を飲んだ後質問されて、口が勝手に動いて…」
「自白剤のようなものを使われたって所だろうね。情報によるとあの精霊は様々な効果のある道具を持っているらしい。武器から日常品までなんでもあるらしい」
令音が冷静にいう。
「しかも、グラフを見る限り、士道に対して本当にゴミクズに等しい感情しか持ってないわ。控えめにいって最悪よ」
「……」
モニターでは、神夏ギルが精霊となりASTを相手にし猛威を振るっている。
士道はそれを見て血が出るのではと思うほど拳を固く握り締めた。
「士道、後悔しても遅いわ。それに、今回の非は私達にあるわ」
「ああ、わかってる……」
神夏が質問を終えた後に見せた表情。
言葉にはされていないがはっきりと感じ取られた拒絶。
自分たちだけじゃない。現実の全てに対する拒絶。
「あ…」
「ようやく終わったのね。見た感じ死傷者がいないのはラッキーね」
モニターの中央では下半身と右腕に黄金の鎧をまとった神夏がいた。
周りには、突如襲ってきた神夏に向かっていくも蹴散らされたASTが数十人いた。
『……誰だ。許可なく我を見ている雑種どもは』
「「「⁉︎」」」
すると、モニター越しとはいえ神夏がこちらを見た。
「嘘でしょ⁉︎
『どうやら、この世界には我が直々に掃除せねばならない雑種がまだいるようだな。この気配からすると……我と平和的解決などと世迷言を吐いていたラタトスクとかいう組織か?』
「「「……っ!!」」」
「司令っ!霊力反応多数!数は40ほど!」
「わかってるわよっ!総員、迎撃準備!」
神夏の周りには40ほどの異次元の空間が開かれており、武器の先端がこちらに向けられていた。
「神無月、頼むわよ」
「はい、お任せください」
と、今にも戦闘が始まりそうだった。
「………琴里。頼みがある」
(はぁ⁉︎本気⁉︎)
(ああ、頼む)
(〜〜〜………!わか…ったわよ!)
(ありがとう、恩にきる)
「……」
何者かに見られている気配がし、その不敬者を罰しようとすると、いつかの道化が出てきた。
「貴様か?許可なく我を見ていた者は」
「…っ!あ、ああ。そうだ」
「ふむ、どうやら貴様は学んでいないらしいな。我を前にそのような態度でいるとは。そして、誰の許可を得て我を見ている」
なんの変哲も無い、ただの剣を発射し目の前の道化の足元に着弾させる。
「……っ!」
「ん?貴様は王たる我を前にしてまだそのような態度とはな。よほど覚えの悪い道化のようだな」
「……っ、すいません。偉大なる王の前に我が身を晒すお許しを頂きたく存じます」
と、跪きながらそう言ってきた。
「ふん、まあいいだろう。知らない間柄でもあるまいしな。貴様の道化に免じて我が姿を拝謁する名誉を許そう」
士道は、クルーの中津川に聞いていた方法を試した。すると、中津川のいうとおり、許しが出た。
「………ふむ、そうか。道化よ。疾く失せよ。死にたく無いのならばな」
「え……?」
「
「……嫌だ!」
ヒュガン!
「…っ!」
雑種の足元を発射した武器により粉々に砕く。
「悪いが、貴様がどのような奴であろうが我にとってはどうでもよい。だが、貴様に対して
「それでも……嫌だ!」
「そうか。ならば、死ぬがいい」
だが、それらは当たる前に現れた別の雑種によって止められた。
「お、折紙⁉︎」
「士道、下がって」
と、オリガミ、と呼ばれた雑種は無言で我を睨んでくる。
む……?一度どこかで見たことがある雑種だな。
「はぁ、この世の雑種どもは何一つ学べぬようだな。そこの雑種よ。貴様にはもう一度だけ言っておいてやろう。2度とそのような不敬な態度を示すな。それと、そんなに我を殺したいというのなら、メイザースあたりでも連れてくるんだな」
「……っ、神夏!待ってくれ、話を……」
「士道、危ないっ!」
と、目の前の雑種どもの戯言を聞くより前に異次元の空間より武器を発射した。
目眩ましのつもりで放ったが、それで雑種どもが死んでいるのなら、まぁ、運命、と言ったところか。
さて、少しばかりのこの世を楽しむとするか。
〜五河家〜
「………」
俺は、どうするべきだった。琴里に無理を言って、神夏の前に出してもらったにもかかわらず、何一つできなかった。
「士道、そんなに落ち込まないで。そもそも、今回の落ち度は私たちにあるんだから」
「あ、ああ……」
神夏を考えてまず始めに思い出すのは、あの全てを拒絶した眼差し。
いったい、どれほどこの世界に絶望をすればあんな眼差しができるのか。
「………でも、やるって……決めたんだもんな」
でも、だからこそ、神夏を救いたいと強く思うようになった。
あの、とても楽しそうにしていた神夏に、あんな顔をして欲しくなかった。
たとえ、全てを拒絶されたとしても、神夏を、精霊を助けたい。
「ふむ、安物の割になかなか良いホテルだ」
我は市内にあるそこそこいいホテルにきていた。
今は腹を膨らませている。
「それにしても、我の力を取り込む、か。なかなか面白い戯言を言うものだな、あの道化は。………それはそうと、そろそろ心の閉ざしを止めたらどうだ?」
と、未だ我の
普通の雑種、もしくは我が国の民ならば尻を蹴り上げてでも立ち上がらせるところだが、神夏は特別ゆえにそのようなことはしない。
我は、いわば神夏の
故に、文字通り我と神夏は運命共同体だ。そのようなものを無下に扱うことなどできようか。
そして、いつもなら神夏の霊力量により我が表に出る時間には制限があるものの、今はさほど気にする必要もない。
「さて、こやつの気がすむまで我は自由にさせてもらうとするか」
と、精霊【アロガン】、又の名を最古の英雄王ギルガメッシュは窓から見える月を眺めながら言った。
〜フラクシナス 会議室〜
ここには俺----五河士道と、妹で司令官の琴里、解析担当の令音さん。副司令の神無月さん。そして、なぜか中津川さんがいた。
「……集まったわね。じゃあ、精霊【アロガン】である神夏ギルをどうやって攻略するか」
と、琴里がいう。
「ふむ、この間のやつも見たが、彼女のシンに対する感情は、拒絶以外何一つない」
「てすよね…。そんな中、デレさせることってできるのか…?」
やっぱり、神夏に対してはいくらラタトスクとはいえ八方塞がりに近い。
令音さんの持ってきたグラフによると、好感度のメーターが本当にゼロだ。見事に横軸と一体化している。
「えーと、司令。一ついいですか?」
「ん?どうしたの、中津川。というか、あなたがアイデア出してくれないとこっちも八方塞がりなんだからね?」
そういえば、あのとき言ったらいい言葉を教えてくれたのは中津川さんだっけ?
「えーとですね……。突拍子も無い話なんですが、あの精霊……勘違いでもなんでもなければ私、よく知ってるんですよ」
「「「え⁉︎」」」
「で、その経験則から言わせてもらうとですね。あの精霊を攻略するというのはほぼ不可能に近い……というか」
「まって、ちゃんと1から説明してちょうだい」
「はい。まずあの精霊の本当の名が…」
「え?神夏ギルじゃないんですか?」
「それは
「いいから、早く言いなさい」
「はい、あの精霊----もとい英雄の名は『ギルガメッシュ』。人類最古の英雄で実在しているとも言われています」
「………ギルガメッシュというと、『ギルガメシュ叙事詩』のことかい?」
「ご名答です。令音さん。メソポタミアの神話に出てくる大英雄です。……そして、アレはFa○eという作品に出てくるギルガメッシュの姿に酷似しているんです」
と、それをどこかで聞いたことがあった俺は変に納得をしてしまった。
「……じゃあ何?【アロガン】はゲームのキャラクターが出てきた姿、とでも言いたいわけ?」
「はい、とても信じ難かったのですが……、特徴を見る限りそれしか考えれないのですよ。もしくは、神夏ギルがギルガメッシュを呼び出した、の方が正しいかもしれませんね。士道君との秋葉原での様子をみる限り、彼女も相当のオタクでしょうし。あ、なんなら作品の中でのギルガメッシュの戦闘とか見て見ます?」
と、中津川さんの見せた映像に俺を含めたみんながそれに釘付けになる。
確かに、戦闘方法がほぼ、いや全く一緒だった。
「ギルガメッシュは、この世の全ての宝物を集めた、と言われています。なので、みなさんがよく知っている……例えば草薙剣の原点もあると思いますよ。なので、士道君はラッキーでしたね。もし、かすっただけで即死、なんてものを使われていたら危なかったですし。……と、ここまではただの前提です。みなさんが知りたがっている、攻略がほぼ不可能に近い、ということなんですが……」
と、中津川さんの言葉にみんなが耳を傾ける。
「神夏ギルが呼び出したとされるギルガメッシュという英雄の性格は、傲岸不遜、唯我独尊、おまけに暴虐無人、好戦的かつ残忍です。……ここまでいえば、みなさんもだいたいわかるのでは?」
「「「………」」」
中津川さんが促してきた。
確かに、ここにいる4人の答えはもう出ているようなものだった。
「はぁ…確かに、それは無理ゲーに近いわね」
「だね…。中津川くん、その英雄が心を開いた、とかいう人はいないのかい?」
「いえ、いるにはいます……が、あの英雄に心を開かせるのは色んな意味で士道くんには不可能でしょう。正直、私は士道くんが殺されていないことが最大の幸運だと思います。……いえ、でも彼女にとって『殺すには惜しい』と思われれば、心を開く、までとはいかなくとも話をする程度はいけると思いますが……」
中津川さんの出した情報に、俺は絶望を覚えるほか、なかった。
だが、琴里は違ったらしい
「……そうね。精霊化しているときの神夏ギルの攻略はほぼ不可能に近いわ。…でもね、なら
「いえ、司令官。私は、それを含めて不可能だと推測しました」
「その根拠は?」
「彼女が生粋のオタクだからです」
「「「・・・」」」
んん?ちょっと中津川さんの言っていることが理解できない。
「んん?ちょっと理解できなかったわ。もう一度言ってもらえないかしら?」
「彼女が生粋のオタクだからですよ。私は同類だからわかるんです!大好きなキャラクターの能力を手放したいと誰が思うでしょうか⁉︎
否、好きなキャラに憧れ、その能力に惹かれるのは必然っ!
ならば、その能力を得たならば手放す道理などない!
私でも同じ状況ならば絶対に断りますし」
と、どこか納得できるようなしてはいけないような感覚に陥ったのは俺だけだろうか。
「……もういいわ、下がりなさい。中津川」
「はっ」
と、中津川さんはこの部屋から出ていった。
「ふふ…」
「こ、琴里?」
「いいわよ!やったろうじゃない!無理ゲーだかなんだか知らないけど、そんなくっだらない理由でおにーちゃんが殺されかけてたなんてふざけるのも大概にしてほしいわ!こうなりゃ、意地でも攻略してやるわ!」
えー、念のため補足を。
本編でもう少し詳しく書きますが
神夏の精霊としての能力は、厳密にいえば『ギルガメッシュの能力を得る』ことではありません。
『英雄そのものをその身に宿す力』と言った方が正しいです。
しかし、一人分しかできないためギルガメッシュのみになっている。と言ったところでしょうか。
なので、精霊化している神夏のなかには『神夏ギル』という人格と『英雄王ギルガメッシュ』という人格、計二つの人格が宿っていることになります。要は多重人格のようなものです。
これ以上書くとネタバレになるのでこの辺にしておきます。
読んでくださりありがとうございます。
サブタイトルあったほうがいい?
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あったほうがいい
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無くてもいい