デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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注意
今までで一番グロテスクな表現をしたかもしれません

自分の想像を膨らませて書いた結果筆がのりました

何故でしょうね


ソレではどうぞ。



57話 ルシフェルの産み出したモノ

「……え?ちょっともう一回言ってくれ」

 

「だから、再来週の週末が4連休になっただろ?だから神夏と一緒にイギリスに行くって話になったんだけど殿町も来ないか?」

「別にデートとかというわけでもないし、ただ故郷帰りをするだけなんだけどね。ついでに観光でもどうかな、と思ったんだけど無理なら…」

 

「もちろん行かせていただきます!」

 

「な?」

「そ、そんなに嬉しいもの…?」

「あったりまえです!神夏さんの生まれ故郷に行けるなんて、しかも一緒に!なあ五河、これ夢じゃないよな⁉︎」

「はいはい。夢じゃないぞー殿町」

 

神夏とのイギリス旅行の件を殿町に伝えると一瞬固まっていたがすぐさま喜びに満ちた顔になっていた。……けど、俺英語を喋れないけど大丈夫なのか?

 

「あ、神夏さん。一つだけいいっすか?」

 

「うん?どうかした?」

 

「俺、あんまり英語を喋れないんですけど大丈夫ですかね?」

「あ、それだと俺もだな。神夏、大丈夫そうかな?」

 

「あーうん。多分大丈夫じゃないかな。ホテルとかの人はゆっくり喋ってくれるだろうし。基本的な会話さえ覚えていればなんとかなるよ。多分」

 

どこか行く際の会話は私が受け答えすればいいし、ホテルはラタトスクが用意してくれるらしいからなんとかなるでしょ。

 

「他には特に大丈夫?」

 

「そうですね。……お金ってどうするんすか?」

 

「ああ、お金なら事前に両替しておけばいいよ。銀行だとか、空港でも両替してくれるし。最悪イギリス(むこう)の空港でも両替してくれるから。あ、ホテル代と飛行機代は考えなくていいからね。その辺は向こうの知り合いが出してくれるって話だから」

 

こうしてると今まであまり交友を持ちたがってなかった神夏が他の人と普通に喋っているのを見ると、変わったなとふと思う。

 

「……何、士道。何か変なものでも見た?」

「いや、何でもないよ。それよりも他に必要なものや注意すべきことってあるか?」

「あーそうだね。確か…何ていったっけな。海外旅行の保険に入っておくと安心だとか聞いたことあるかな。携帯のネット環境は私が用意できるから気にしなくていいのと、気をつけることとなると絶対に1人行動しない、余程のことがない限り夜に出歩かない、外に出る用のカバンの中に貴重品は絶対に入れない、帰る時以外は財布の中にお金は必要最低限だけ、外で知らない人に話しかけられても1人で対応しようとしない、くらいかな」

「け、結構あるんだな…」

 

思ったよりも多く出てきて困惑してるとさらに神夏が追加で教えてくれる。

 

「基本的に全部スリだとか詐欺対策だね。1人で出歩かないは言わずもがな。仮に1人の時に知らない人が話しかけてきて、例え困ってそうな感じで話しかけてきてもカバンを手に持った状態でハッキリ『sorry I can't it』って言う事。可能ならガン無視がいいとは思うんだけど無視したらしたで変な罪悪感に見舞われると思うから、私にはできないってはっきり、強く言っておいた方がいいかな。下手するとパスポートごと取られて日本に帰国できないとかなると嫌でしょ?」

「確かに……」

「あ、パスポートで思い出したけど、パスポートは流石に自前で用意しておいてね、ってことくらいかな。確か最短でも1週間は必要だから、それにだけは注意しておいてね。んで、他の人も…2〜3人くらいなら好きに誘いなよ。観光は1人でも多い方が楽しいだろうからね。だけど数多くなりすぎるのも纏めるのめんどくさいから多くて6人くらいになるよう士道達で話し合って誘ってよ」

「わっかりました!お誘い頂きありがとうございます!マイベストフレンド五河士道もありがとうな!この話をいの一番に持ってきてくれて!」

 

と、ハイテンションな殿町はそのまま自分の席へ戻っていった。

 

「よほど嬉しいようで…」

「ま、まあな。殿町曰く、ルナのことずっと気になってたみたいだぞ?」

「へぇ、物好きだね。……それよりもルシフェルの奴いないけど、何か知ってる?」

「いや、それが俺もよく知らないんだ。ただ今日は休むってことだけ言われて、朝からいないんだ」

「ふーん…ふぁ…それじゃ、私はしばらく寝る…おやすみ…」

「お、おう。おやすみ」

 

授業がもう始まるんだけど…とは思ったけどいつも通りと思い次の授業の準備を始める。

 

 

 

その瞬間

 

途方もない寒気が襲った。

 

 

 

その発生源がどこかはハッキリとは分からなかった。でも何となくだけど、窓の外を見てしまった。

 

 

「うわ?」「あれ?」

 

「おい。うわ。めとさつ」「うん。あれ。みつけた」

 

「めとさつ。めとさつ。くかをお」「みつけた。みつけた。かえろう」

 

そこから聞こえてきたのはよく分からない言葉。日本語には聞こえたけど意味がわからなかった。そして次の瞬間にほんの少しだけ見えたのは、黒っぽいナニカ。鳥とか、そういったものじゃなくもっと別のもの。

 

「な、なあルナ。今何か聞こえなかったか?」

「んー?いや?特に何も?気のせいじゃない?」

「そ、そうか…?」

 

気のせい…なのか?いやでも、確かに……。

 

「心配なら、ラタトスクにでも調査頼んでみたら?私も少しお願いしたいことがあるし」

「あ、ああ。そうするよ」

 

拭おうにも拭いきれない不安を何とか飲み込むも、今日1日はそれが気になり授業どころではなかった。

 

 

 

 

 

 

〜2週間後〜

 

「それじゃあ皆、忘れ物無い?特にパスポート」

 

空港に集まった面子に聞いてみると全員から大丈夫と返ってくる。

最終的に集まったのメンバーは士道に殿町、風の双子精霊、それと殿町の友達という男子の前原という人が1人の計5人、私含めたら6人だね。

 

「ん、ならひとまずは大丈夫かな。それじゃあ、はい。これ飛行機のチケットね。どうせだからくじ引き方式で席決めよっか。恨みっこ無しで」

 

「さんせーい」

「ふふ、颶風の巫女の力を以ってすれば狙いの席を引き寄せるなど容易いことよ」

「同意。2人で士道の横を引き当てて見せます」

「神夏さんの横神夏さんの横…」

「俺は最後でいいから他のみんな先に引いててくれていいよ」

「と、士道が言っているので私と士道以外の4人で先に引こうか。私も別にどこでもいいから」

 

と、適当にチケットをシャッフルしてみんなに引いてもらう。

3席×2だから、まあ、何人かは希望に添えない席になるだろうけどご愛嬌ということで。

 

「はい士道。先に引いて」

「お、おう」

 

空いている席は前後共に真ん中の席。前列には八舞耶倶矢と殿町。後ろの列には八舞夕弦と前原君が。ごめんね、前原君には悪いけど本当に君のこと今回初めて知ったから何も言えない。

 

「じゃあ俺はこれで」

「それじゃ私はこれか。あーE列だから前列かな」

「だな。俺はF列だから後ろだな」

 

何人かは喜び何人かは悲しみに明け暮れているが、まあ運だからしょうがないね。

 

「それじゃ長い長い空の旅へみなさん、ごあんない〜」

 

約14時間。6時半発のだから明日の朝9時ごろに着く感じかな。

……ヘブンズフィール全部見るとして、あとは何をして時間潰そうかな。

ヘブンズフィールは知り合いと見るとすごく気まずくなるとは思うんです。まあそんなもの関係なしに見るんだけど。

 

「なあ…神夏」

「ん?」

「その…辛く、ないのか?」

「何が?」

 

搭乗口へ向かう途中、神妙な面持ちで士道がそう言ってくる。はて?何があったっけ。

 

「あーその、神夏の故郷ってことは、その…」

 

「そうだね。私が嘗て許されざる罪を犯した場所だね」

 

何を心配されているか分かってしまった。さも何でもないかのように流せれば楽だったんだかど、今の私にはそれすら無理らしい。

 

「大丈夫だから。心配しないで。……覚悟は、決めてるから。自暴自棄にもならないし反転する気もないから。ただ…お墓参りは行きたいから、その時は付き合ってくれる?」

 

「っ、ああ。もちろんだ」

 

「ふふっありがと。さ、はやくいこう。乗り遅れたら面倒だから」

 

小さく笑ってみせながら士道の手を掴み飛行機へ向かう。

こんな話題は早く切り上げるに限るね。

 

 

 

だが、士道だけはこの時の彼女の笑顔が偽りだと、無理をしていると、見抜いていた。それを指摘しようにも彼女の笑みに言うことができなかった。

 

 

それを心底後悔する羽目になるとは知らずに。

 

 

 

 

 

〜同時刻 DEM社〜

 

 

「これは……」

「いやはや、これほどとはね」

 

「間違っても手を出すなよ。どうなっても知らないからね」

 

DEM本社のとある階層を丸ごと使いルシフェルは実験を繰り返していた。

次から次へと持ち込まれている大小様々な(モノ)を使って。

 

それを確認するためウェスコットとエレンはルシフェルと共に実験場へ足を踏み入れた。

 

そこにいたのはクローンなのではと疑うほどに見た目がほとんど同じ生物。いや、生物と呼ぶのも何処かおかしいと2人は感じていた。

全体的に黒っぽい体をしており手足と呼べるものはなく、代わりに4本の蜘蛛のような脚が四つ。顔のような位置には目や鼻は無くあるのは顔の縦いっぱいに広がるようについている口のみ。

 

生理的嫌悪感を見た目からひしひしと感じさせるソレら全員が一斉に、入ってきた生物三体のほうを向く。

 

「きくうすい?ちひねいざいふぬね?」「おかあさん?そのにんげんはなに?」

 

「気にしなくていい。無視してて」

 

「ほーえ」「はーい」

 

「あと私のことをお母さんと呼ぶな」

 

数多くいるうちの一体がルシフェルの横まで近づき、ウェスコットとエレンの方を向きながら意味のわからない言葉を放つがルシフェルはそれを理解しているのか普通に会話をする。

 

「エレン、()()()に勝てるかい?」

「無論です。が…私以外となると、そもそも立つことすら難しいでしょう」

「そうだね。とてつもない不快感だ。だけどなぜか人間と同じ感じがするんだよ」

「人間に…?これがですか?」

 

突拍子もないことを言うウェスコットにエレンが怪訝そうな顔をするがそれに答えを出したのはルシフェルだった。

 

「そりゃそうだろうね。こいつらはあくまでも『人間の代替品』で、一応名目上は『完成された生物』であり、『新人類』なんだから。そこまでの権能を再現するには私のキャパが足りなかったせいでコイツの種子を顕現させるのに少し苦労したが、一個体でも再現できればあとは勝手に増えていく。これも我が宿主とマガイモノのお陰だ。今だけは感謝しているよ」

 

何十、何百にも思える群れがまるでモーセの水割りの如く左右に分かれできた道を進み奥へ向かう。最奥には、一つの塊が。

 

「ああああ。あああいざくくささま。えれれれんささまま。変変変なななんでです。ななんどもも、からだだ、ちぎぎられれていいいのに、くくかくかき、しぬぬほどくるるしいののに、ちちっともも、しねねねないんです。おねねがいいいしますすす。たすすふけて」

 

もはや人と呼ぶことすら躊躇われる程、ナニカと融合しかけている生命体がいた。必死に手だったモノを伸ばし、救いを求めるもすぐに床へ落ちる。

 

「ルシフェル。どうやってここまで増やしたのか、見せてもらえないかい?」

 

「また物好きな。ま、いいけど。…うん、やっぱり栄養状態さえ整えれば再生は早いみたいだね。おーい」

 

「ふーえ」「はーい」

 

「新しい子、今作ってみて」

 

「いくっつ。そごねよろは」「わかった。すぐにやるね」

 

ルシフェルがそういうとまたもや謎の言語を話し、1匹は別の部屋へ、1匹は目の前にある生命体の前へ。生命体の前にたった1個体は、蜘蛛のような四肢を勢いよく、何のためらいもなしに振り下ろし、拳大の肉片をソレから切り離す。

 

「いいだだだあい。もううううやめててててて。もうううころろろろして。おねねねねがいしますすすす」

 

不協和音のような悲鳴を出し、みなが思わず眉を顰める。拳大の肉片を切り取られたソレは出血するどころか血は全く出ず、数秒かからないうちにすぐに再生し元通りになる。

 

「ゆっなけつり」「もってきたよ」

 

「やめろ!離せ!触るんじゃねえ!」

 

別室に行った1個体は1人の男の人間を連れてくる。服らしい服は着ておらず、精々一枚布が秘部を隠しているのみ。

蜘蛛のような脚をしているソレがここまで持ってくるのにどうしたか。答えは簡単で刺して移動させてきていた。

 

「言っとくけど、グロテスクだからね?」

 

ルシフェルの前置きに対する反応を聞かないまま、肉片を持った個体が人間の心臓部分に埋め込まれる。

人間の皮膚に触れた瞬間、肉片が動き出す。最も近い臓器へ。麻酔も何もされていないのにどのような痛みが伴っているのか。うるさいからと口を塞がれ、叫ぶことも気絶することも許されない男は己の大事な部分が何かに食べられていく感覚を意識がなくなるまで味わい続けた。

 

男が指先一つ動かさなくなると次の瞬間、男の体が急速に変化する。

手足が段々と小さくなりダルマ状態に。そこから一本の突起が生えたかと思うとそれが四つに分裂し伸びていく。顔は口以外の全てが消え、代わりに口が縦に大きく裂ける。

 

虫が裏返ったかのような格好をした元人間は意識らしきモノを取り戻すとひっくり返り顔をルシフェルへ向ける。

 

「……きくうすい?」「……おかあさん?」

 

「お母さんって呼ぶな。それよりも、おはよう。気分はどうだい?」

 

「……きわ、ぬね、そわぶ、うう?しをたぶうう?」「……おれ、なに、すれば、いい?ころせばいい?」

 

「殺さなくて結構。この2人の顔は覚えてろ。手出し厳禁。他詳しいことは別のオマエから聞いてな」

 

「んくっつ」

 

元人間だったソレは、他の群にまるで蟻のように混じる。もう既にルシフェルもどれがさっき作られた個体かはわかっていなかった。

 

「ね?グロテスクでしょ?私も出来れば見たくない」

「確かに。だけどルシフェル、これは人間の自我というのはどうなるんだい?」

「基本的には消える。人類という種族から新人類という種族へ根っこから変わっているから。()()()()食べるという行為も必要ないし生殖行動をする必要もない。自分たちで無性生殖をして勝手に増えていくしアレラの個体同士で情報を共有できる。だから『自我』というものは持っておらず、全員が同じ目的へ向かって同じように動ける存在だ。

 

……私からしてみれば、どこが完成した生物だか」

 

ルシフェルはこれ以上この場にいたくないのか部屋から出て行こうとしウェスコットとエレンも追従する。

 

「ルシフェル、本来、ということはあそこにいる個体群は違うということかい?」

 

「チッ、聞き逃さなかったか。ああそうだよ。あいつらは敢えて本来の存在から引き離した状態で作ってある。生への執着心もあるしあいつら同士の中で親友だとか友達だとかって概念もあるだろうし人間社会みたいな構図をしているところもある。個体ごとの自我もあるだろうね」

 

「そう、そこだ。1つ不思議に思ったんだ。個体ごとの自我、完成された生物としてはそんなものは不要な筈だ。その自我は一体何のために作ったいうんだい?」

 

まるで無邪気な子供のような笑みを浮かべながらアイザック・ウェスコットは尋ねる。新しいおもちゃを見つけたかのように。

 

「はっ、顔がそう言ってないぞ愚者。答えなんて分かりきってるだろう」

 

「もちろんだ。だけど何事も答え合わせというものが大事だろう?」

 

「ははっ、いい性格してんねぇ。私よりもオマエの方がよっぽど人類の敵に相応しいんじゃないか?」

 

「褒めてもらえて光栄だ」

 

「褒めてねえよ。んじゃ答え合わせといこうか。理由なんて単純明快だ。

 

 

 

己の大切な人間が化け物に変貌、そして自我を持っている。ソレほど楽しいことは無いと、そうおもわないかい?」

 

 

 




FGO7章アニメ履修者へ
これは出したということは、わかるな?

未履修の方へ
意味不明な言葉の横を暗転させてみましょう
さすれば意味が理解できよう

本当はゲームの方の言語にしようと思ったけど流石に面倒だったのでアニメを採用しました。

さーて楽しくなってきた


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サブタイトルあったほうがいい?

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