デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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ルシフェルとのデートは、かなり成功している、らしい。
琴里によると、好感度は常に高くキープできている。

後一つ、きっかけさえあれば封印ないし、元の神夏に戻せる可能性は高い、とのこと。

失敗したら……と何度思ったことか。でも、やるしかない。

これは、俺がやるべき、俺にしかできないことだ。

神夏も、ルシフェルも、皆を救うと決めたのだから。


50話 求めるモノ 愛か憎悪か

「ああ、すまないね。これから少し、用事があるんだ」

 

「用事?」

 

「心配しなくても、争い事はする気はないさ。()()()()()

 

「……本当か?」

 

「本当さ。人間たちにも手を出してきたら君以外の人類皆殺しにするって脅してるしね」

 

「そんな……いや、お前ならできそうだな」

 

「この身さえ顧みなければ余裕さ。もっとも、マガイモノ達と同胞には苦労しそうだけどね。……ちょっと、()()()()()()。じゃあまた。明日会おう」

 

「おう。できれば血まみれでは来ないでくれよ?」

 

「それは来いというフリってことかな?まあ善処するよ」

 

 

 

 

 

 

五河士道は、ずっと私へ良くしてくれた。

まるで義務のように。

 

右耳へつけていた透明なナニカはこの際は問うまい。

彼なりの、私へできる努力の一環なのだから。

 

それに、人間の組織の思惑が背後にあるとは言え彼自身は、心の底から私へ尽くす気持ちが充分に伝わる。

今はそれだけでいいだろう。

 

 

アイツの言う『愛』はまだ良く分からないが、これならばいずれ分かりそうだ。

 

 

「……」

 

五河士道と別れた後、廃ビルの屋上で、堕天王(ルシフェル)に力を込め、顕現させる。

一対の黒い翼のついた、首のない天使。

本来、こんなもの実体化などさせずとも、人類の敵の力は引きだせる。

 

しかし、今一度確認しておきたくなってしまった。

 

「……()()()の半分、いや、それ以下か。全く、我が宿主にも、人間の王にも困ったものだ。大人しくしておいてくれたらいいものを」

 

全力の半分。明らかに地球の外の神とやらを、不完全とはいえ呼び出した事が原因だろう。今でこそ無意味にナニカを喚び出すのは控えているが、それがいつまで持つか。限定的な力のみにして喚び出すようにしているが、いつ体を乗っ取ろうとしてくるのかわかったものじゃない。

 

喚び出せたとして、ロンドンの殺人鬼か宗教団体の暗殺者、くらいか。

 

それに五河士道にかまけている間、私の中のコイツらは、着々と力を取り戻しつつある。

 

全く、我が宿主から奪った際、多少無理矢理にでも人間の王は消しておくべきだったか。

 

だがコイツがいたことで事態が好転したのも事実。

コイツのお陰で、天使と魔王が共存すると言う、あり得ないことが起きた。

 

そのせいで、蝕まれることにはなったが。

 

「はぁ……人類の敵は我欲が強すぎる。侵食さえなければ遠慮なく使い潰してやると言うのに」

 

少し気を抜くだけで、体の支配権を奪おうとしてくる。

それさえなければ使い勝手のいい力なのに。

 

 

ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーー

 

 

ふと、何かがけたたましく鳴り響いていることに気づいた。

何度か聞いた記憶がある。

 

確か、これが鳴った後には、決まって……

 

 

ガキン!

 

 

人間の気配を感じた方向に霊力の壁を張ると、何か硬いもので斬りつけられた感触がした。

 

「やれやれ。人質の心配がなくなった途端これか」

 

「……」

 

斬りつけてきた人間を見ると、やはりというか、白髪の人間だった。

……メイザースは、いないか。

 

あたり一帯にはASTとやらの部隊が10人ほど浮遊していた。

 

「そう言えば、君たちのリーダー、隊長はどうしたんだい?」

 

「お前には関係ない」

 

「そうかそうか。有事の際に現れないのに心配ではなかったと。哀しい人間関係なことで」

 

「お前が、私たちを、語るな」

 

ギリ…と音が聞こえそうなほど歯を噛み締めている。相変わらず、私たちのことが死ぬほど嫌いなようで。

 

「はいはい。そうするよ。でだ、君たちに質問しよう。なんで私がわざわざ、霊力を大っぴらに出したと思う?警報が鳴ることは単に忘れていただけだが、それでも、なんで、わざわざ居場所をばらすようなことを、したと思う?」

 

まだ霊力の不可視の壁を作って隠してはいるが、いつバレるかヒヤヒヤするね、コレ。

 

「もう察しのいい君たち人間ならわかるだろ?私はお前たちに用があったんだよ。特にお前にね」

 

白髪に指を指すと、訝しんで私を睨んでくる。まあ当たり前の反応だ。

 

「さて……邪魔が入るのも面倒だ。……このくらい、かな?」

 

霊力の壁を、辺り一体に張る。

 

誰も入れないように、檻を作る。

 

「なんのつもり?」

 

「いや何、少し君らと戯れてやろうと思ってね」

 

「……」

 

「そう睨むなよ。隊長さんが嘆くぜ?あとそれ以上近づいたら()()()()()()()()()

 

「……お前!まさか!」

 

突っ込んでくる前に、事前にとっていた人質の後頭部を掴み、目の前に引き寄せ盾にする。

こうするだけで人間は止まるのはもう学んだ。

 

「心配せずとも、殺す気はないさ。今コレが怪我してるのは、大人しくしてもらうためさ。話し合いに一切応じなかったからね。全く、大人しく聞いてくれたらこんな事せずに済んだものを」

 

「お……り、がみ!私に構わず、やりなさい!貴女の……」

 

「五月蝿いよ」

 

喚き散らかすので、黙らせるために地面に顔から叩きつける。

周囲から感じ取れる『怒り』『憎悪』がさらに膨れ上がったのを感じた。

 

 

 

うん、()()()()()

 

 

 

「次喋るたびに、顔に一本ずつ傷入れていくからね。できることなら()()はそんな無駄な事はしたくないんだ」

 

顔からの出血を、焼いて無理やり止血する。死なれても困るから。

 

「周りからの侵入も、余程のことがない限りはできないようにした。わたしたちは、今はこの人質にも、君たちにも手を出さない。だから……

 

すこし、話をしようじゃないか。人間達」

 

「お前と話す事はない」

 

「またそうやって君たち人間は、理解の及ばない力を持っているモノとは話をしようとしない。一度でも我が同胞やマガイモノ達と話をした事はあるのかい?……まぁ、ガブリエルやらザフキエルは、話す余地すらないらしいが。それでもザドギエル……君たちの言うところのハーミットとかは、話す事は出来たはずだ。

 

それを君らは、精霊の力を持っていると言うだけで、何も聞かず、話さず、銃火器を向けている。そりゃ話に応じる事もなく、返り討ちにされるさ」

 

「私の両親や、罪もない人々を殺すお前達と会話?巫山戯るな……!お前達は!罪もない人々を!殺しておいてよくも!」

 

「ああ、成程。ただ憎くて仕方ないのか君たちは。ふむふむ。確かに身近なモノを壊されると憎いだろうね。と言う事は、君たちは親を、殺された人間を、皆を愛していた、と言うことかな?」

 

「……何を言ってる。自分の親を愛するのは、当然」

 

「へぇ、そう言う認識なのか人間は」

 

親を愛するのは当然……ねぇ。

 

「まあそれはどうでもいい。私が今知りたいのは、そんな事じゃないからね。

 

なぁ、トビイチオリガミ。そしてその他大勢の人間よ。君たちは私が手を下す事で隊長を喪えば、悲しいかい?手を下した私が憎いかい?」

 

「当たり前」

 

「じゃあ君達はこの隊長を『愛してる』ということだ。厳密に言う、男女間の愛とは違う気がするが、この際はいいだろう」

 

「?」

 

「いやなに、少し実験をするだけさ。本当はこの女が呟いていた愛してるだとかを聞き出すつもりだったが、なにやら男に逃げられてるようだったから、本当の愛では無さそうだったからね。少し方向転換することにした。

 

君らは、私達のような人外を相手にしてるんだから、()()()()()も覚悟してるんだろ?」

 

縛り、動けなくさせている人質に取っておいた女を見る。

あらかじめ堕天王(ルシフェル)で憑依させておいたロンドンの殺人鬼は、女の体にはかなり詳しいようで、目的のものが大体どの辺に何があるのか、よくわかる。

 

ナイフを逆手持ちし、狙いを一つの臓器に絞る。

 

 

「まず一つ」

 

 

お腹に向かって、振りかざし、勢いよく突き刺す。

 

「……っ!」

 

「へぇ、叫び声をあげないか。流石は特殊部隊。痛みには耐性があるのかな?」

 

何度も、同じ臓器を目掛け、ナイフを振り下ろす。何度も、切り刻むように、刺す位置を何度も変えて、一つの臓器を壊す。

 

「さ、コレで君の女としての尊厳を壊させてもらった。もう子は成せないと思っておいた方がいい。ああ、止血はしてるから死ぬ心配はない。

 

ああ、取り返したかったらいつでもご自由に」

 

周りの人間は、傷つけられたからか憎悪をさらに膨らませた。

 

やはり、愛と憎悪は表裏一体なのだろう。つまり、憎悪を知れば自然と愛も知れる、と言うことになるのだろうか。

 

この人間を『愛してる』のならば、助けに来るはずだ。

 

五河士道のように。

 

 

助けに来ないのならば、コイツらから『愛』は奪えない、と言うことだ。

 

 

「……っ」

 

しかし、誰も助けに来る気配はない。

何度蹴り付け、煽ろうとも助けに来る気配はない。

 

 

「はぁ……結局か」

 

ああそうか。やはりこの人間達からは『愛』は貰えないらしい。

 

「やっぱり、直接、貰いに行くしかなさそうだ。私自身が、五河士道から」

 

わざわざ、傷だらけの臓器を取り出し、周りの人間の憎悪を更に煽ったのに、助けに来る気配は一向に無い。

 

「もう無駄か。……もう用済みだ。お前達は。せめてもの情けに殺さずにしておいてやる。私の前から疾く失せろ。今すぐ君らの医療機関で治せば、まだ子を成せる体に戻れるかも、ね」

 

ゆっくりじっくり、目的に気づかれないように、弱く、しかし確実に憎悪を煽る。

 

特に白髪の、トビイチオリガミとやらは使えると思ったから、わざわざ生かしておいたと言うのに。

 

現に今だって、トビイチオリガミは五河士道の名が出ただけで先程の比にならない憎悪の心を膨れ上がらせた。

 

 

「鳶一折紙!私のことは構うな!やれ!隊長命令だ!」

 

 

また足元の人間が叫ぶので、顔に何回か、深く深く、ナイフを走らせる。

ぎりぎり、脳などを傷つけないように。

 

「黙ってろ。イライラしてるから殺さないようにする加減が難しいんだよ。次叫んだら、修復不可能なくらいに解体するよ?」

 

「はっ!それがどうした!私がこの仕事に就く上で、そして就いた上でこれまで命を懸けなかったとでも?私をナメるなよバケモノが!」

 

「口だけは達者なことで。そもそも表面のことしか考えず、何も自分で考えず、掌の上で踊らされてるだけとも知らない道化が。

マガイモノと対話を一度でもしたことあるのかい?君は上から『精霊は話す事もできない空間震を引き起こす特殊災害生命体……だっけか。そう伝えられて、それを疑う事もせず、無抵抗なモノすら攻撃し続けたのだろう?特に君らの言うハーミットがいい例さ。あとは……そうそう。プリンセスもか。その結果何を引き起こしたのか君らはもう忘れたのか。哀れな事だ」

 

「はっ。お上の言う事もお前と接すれば嫌でもわかるわよ。お上の言うことは間違っていない。お前達は!この世界に存在してはならない!」

 

「まあ、私や暴虐公に関してはその考えで合ってるさ。だが……マガイモノ達はそうじゃ無い。アレは、タダの幼児なんだから。他人に無理矢理強大な力を嵌め込まれた、哀れな人形。制御する術を知らない、哀れな壊れた人形。……話しすぎたな」

 

足元の人間との会話を、地面にめり込むように踏みつけることで無理矢理終わらせる。次の話し相手は、あの白髪。

 

「はぁ、にしてもトビイチオリガミ。コレだけ時間をくれてやったのに、結局お前はその程度か。親を精霊に殺されたお前の憎悪はその程度か」

 

「何?」

 

「私は君の力を、君の力の源の憎悪を見誤っていたらしい。結局君も他の人間と変わりない。単なる有象無象の一種でしかなかったわけだ」

 

「……貴様が、私を、語るな」

 

「じゃあ私も言わせてもらう。お前達が私を、我が同胞を語らないでほしい。たかだか、いつ死ぬかもわからない人間の命を失っただけで、お前達人間と持つ力が多少違った程度で『殲滅する』だの『殺す』だの。異物を排除しなければ満足しない生物界のゴミが」

 

言いたいことは山ほどあるが、その中からこの人間を煽るものを選び、口にしていく。

 

「そもそも、だ。前も言っただろ?子を守った結果死ぬ親なんぞ、ゴミも同然だ。

自然界を見てみろ。救えないとわかった我が子は早々に捨てている。生殖機能もロクに育っていない幼児を命をかけて守ったところで、種族の繁栄が止まるだけだと知っているからだ。

 

それに、わざわざ命をかけて守ったと言うのに、その親はお前に何を与えた?深い絶望と復讐心のみだろ?それを立派な親だと言えるのか?私にはとてもとても、口が裂けても言えないね。

 

親がその時何を思ってお前を助けたのか、私でもわかるさ。

大方『幸せに生きてくれ』とかだろう。だが今のお前はどうだ?親の気持ちを踏み躙り、己の命を常に危険に晒し、幸せとは到底呼べない生活を送っている。

 

今のお前を見たら、きっとお前の親も浮かばれないだろうな。わざわざ、己の無駄な命をかけて救ったと言うのに」

 

お、やはりトビイチオリガミの親を話の引き合いに出すのは正解らしい。

あと一つ、きっかけさえあれば……。

 

「そうだな、どうせなら君達全員を、同じ気持ちにしてみようか。なあ、隊長さん。まずはお前の親しい人間から言ってみようか。これでも人間を殺すことだけならいくらでもやりようがあるからね。ああそうだ。元々私に手を出したら五河士道以外の全てを殺すと公言したからね。まずは手始めに、君たちの親しい人間を全て殺し尽くしてあげよう。うん、そうしよう」

 

人を殺すことに特化……切り裂きジャックは女を殺すのに特化しているし……確か、我が宿主の記憶に……

 

「あったあった。人斬り以蔵、か。君らも聞いたことあるんじゃないかな?幕末の4大人斬り。その1人。……試し斬り、行ってみようか」

 

てっきり日本刀でないと扱えないと思ったが、コイツは刃物を扱う天才だったらしく、ナイフも直感的に使える。

 

たじろいでいる人間達のそのうち1人に、標的を定める。脚に力を込め、そいつに向かって跳ぶ。心臓にナイフを突き立て、引き抜き、さらにトドメを確実に刺す為に喉に突き立てる。

 

鮮血が心臓だった場所から溢れ、数滴が私の口の中へ入る。

私の本能なのか、それとも人斬りの(サガ)なのか、とてつもない高揚感、快感が溢れ出る。

 

そして思わず未だ溢れ出る鮮血を手で掬う。

 

「なっ……」

「血を、飲んでる……?」

「狂ったのか、バケモノが……」

 

ああ、美味しいな。しばらくぶりだ。

神夏ギルとしての体に入るモノと、私という生命体の中に入るものには、違いがあるのか?

心臓を喰らった時は、ただマズかっただけだが、あれは神夏ギルの中に入ったからか?

 

「仲間を……離せ!バケモノが!」

 

瞬間、胸のあたりに鈍く、深い痛みが走る。

少し逸らしはしたが、光の刃が私の心臓付近を、綺麗に貫いていた。

 

背後から、1人の人間、トビイチオリガミが近づいて来ていた事には、勿論気づいていた。

 

防ぐ気はなかった。だって、()()()()()()()()()()()()

 

だから。あえて何もしなかった。

 

我が宿主の体を傷つけるのは不本意だが、これも必要な事だ。

神夏ギル、責めるなら英雄王を責めろよ。

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……力は7割は戻してやったんだ。文句を言うなよ。ギルガメッシュ」

 

『その程度で我に赦しを乞うだと?自惚れるな。悪いが、全て返してもらうぞ』

 

「そうは言ってもね、全て返すと私は存在を維持できなくなる。これ以上返して欲しかったら自力でどうにかしてみろ」

 

これ以上力を奪われるのは全力で邪魔させてもらうが、君は、絶対に、そんな余裕はない。

 

今から君は、己の体についてしか力を割けなくなる。

 

外界に意識を戻すと、まず最初に感じたのは行き場の失った血が、唯一の穴である口まで逆流してきた感覚。

 

なるほど、こう言った感覚なのか。覚えておこう。

 

強引に、刺さっている光の刃を、前に動くことで引き抜き、振り返る。

 

「ああそうだ。それでいいトビイチオリガミ。これでようやく、あの煩わしい人間の王から解放される」

 

体に力を入れることができず、仰向けに倒れてしまう。

最後の最後に、追い討ちをかけられないよう、霊力の壁を作っておく。

物を設置するような感覚なので、放っておいても強引に破壊されない限り瓦解することはない。

 

にしても、なかなか痛いモノだ。

 

だが、後はしくじらなければいいだけだ。

霊力の壁のさらに周りに、半径30メートルくらいに、紫の電撃を落とし、さらに距離を取らせる。

 

 

次第に、ゆっくりと、意識が遠のく感覚と、力が外へ抜け出る感覚が同時に襲ってくる。

 

薄れていく意識を、強引に強く保つ。

 

要は気合いだ。

大丈夫、暴虐公ができたのだから。私だってできるはずだ。

 

元々最初に実体を持ったのも、アイツの真似をしたのだから。

 

 

「……短い間だったが、世話になった。神夏ギル」

 

 

最後の一欠片が外へ出たと同時、この体に入れられる前の、あの女の側にいた時のような奇妙な、浮遊感のような物を感じた。

 

どうやら、霊結晶(セフィラ)……精霊の力の源になったらしい。

 

ああ、でもあの時より意識は遥かにはっきりしている。

自我もある。

 

暴虐公の真似をした時は確か、ここから……

 

 

ああ、そうだ。できるはずだ。いや、必ず成功させてやる。

 

 

自分という粘土細工を、ヒトの形に作るような、そんなイメージで霊結晶(セフィラ)を、創り変える。

 

 

そうだな、また暴虐公の姿を参考にさせてもらおう。

 

だが服装は、私らしく、堕天王らしく、己の存在意義を持たせよう。

 

 

 

 

さあ、五河士道。もうすぐ逢いに行く。

 

 

私に愛をくれるのだろう?

 

私の運命人よ。

 

 




目を閉じると、怨嗟の声が、よく聞こえる。
昔のことなど本当なら思い出したくもない。

けど、忘れてはならない。

私の罪。

家族を全て串刺しにし、更には周囲の無関係な人間すら殺し尽くした。



そんな罪人は、死ぬことでしか許されない。

けど、死ぬことは王様が絶対に許さないし、王様に嫌われたくない。

だけどそれ以上に、こんな罪深い容れ物に王様を呼んでしまったことが1番贖罪すべきことだ。

もし仮に、王様が私の体から分離できたなら、潔く、自決をしよう。


誰でもない、私自身のケジメのために

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