デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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アイムカムバーック

どうも長らく放置という形になってしまって申し訳ないです

大学が忙しすぎるの何の


ちょい長く放置しすぎた為、書き方が多少変化している可能性もありますがご了承を。

1〜3話くらい前の話を読んでからの方がいいかも?

それではどうぞ


神夏ギルと堕天王(ルシフェル)の物語
47話 ルシフェルから見た『悪』


我ながら情けない。

図星だからと、周りに当たり、逃げてしまった。

笑われるのも当たり前だ。

 

『でも、笑いすぎじゃないか?英雄王』

 

『こ、これが笑わずにいられるか!ははは!貴様、我を笑い殺す気か!』

 

我が宿主、神夏ギルの精神世界で英雄王が爆笑中だ。まさに爆笑王。

笑われるのは分かりきっていたからコイツとは会話したくなかったんだが。

 

『貴様が人間らしくあるにはどうすればいいかだと?そんなもの我が知るか。貴様の好きにしたらよかろう』

 

『耳が耄碌したのかい?私は、この感情について君に聞いただけだ。この、なんとも表し難い、黒いドロドロした感情を』

 

『それこそ我の知ったことではない。それを踏まえて、貴様の問いに対する答えだ。要は貴様は……いや、無粋だな。ここからは道化と貴様がやるべきことだ。だが……面白いものを我に見せた褒美に一つ、助言をしてやろう』

 

『?』

 

 

 

 

 

 

 

(所詮はあやつも有象無象の雑種ということか。親の元を未だ離れることのできない雛鳥。いや、それ以下だ)

 

己の感情を理解できず、周りに当たり散らす、雛鳥よりも醜い。

 

「なあ、そう思わんか?神夏よ。貴様も、疾く目を覚さぬか?我を待たせすぎだ。無礼であるぞ?」

 

「……でも、私は……」

 

神夏が返答したことに、思わず目を見開いてしまった。

我が強引に身体を動かした時に、多少は目を覚しているのは分かってはいたが。

 

神夏は、よく見たことある顔になっていた。

 

己のみが絶望の中にいると、己のみがこんなにも不遇だと嘆いている。

 

()()()()()()

 

そんなもの、見飽きている。

 

「……左様か。ならば一生そこで這いつくばっておれ。我は好きに動かさせてもらう」

 

神夏の体である以上、本当に我の好きなように、とはいかぬが。

だが、本来の奴ならばまだしも、今の弱りきっているルシフェルならばどうにかできよう。

 

 

(まあ、そんな心配も無用だろうがな。牙の抜けた獣はつまらん)

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……」

 

「どうしたんだい?何か不都合でも、あるのかな?」

 

翌朝、玄関を開けるとそこにルシフェルがいた。

学校の制服を着た状態で。

 

「いや、その……」

 

「この体の支配権は私にあるけれど、この体は神夏ギルのものだ。

ならば、私は神夏ギル(わたし)らしく振る舞い、学校に通うべきだと、そう思わないかい?」

 

まぁ英雄王に共に学校に通えと言われただけなんだけどね、と小さな声で言っていたが、それよりも……

 

「ああ、そうだな。それに俺としても好都合だよルシフェル。わざわざお前を探さなくても良くなったからな。話しやすくて助かるよ」

 

「君ならそう言うと思ってたよ。じゃあ、行こうか。同胞は……あとからくるのかい?」

 

「ああ、ちょっと寝起きが悪くてな。すぐに追いついてくるさ」

 

「そう、ならよかった」

 

「よかった?」

 

「ああ、彼女とは今一度、話し合わなければ、と思っていたからね。……ほかのマガイモノもね。メールとやらでずっと『会いたい』『謝りたい』『話したい』と言われ続けて私も鬱陶しく感じていたからね

 

それよりも……はい」

 

「?」

 

道すがら、ルシフェルに手を差しだされる。

それが意味する事に、少し時間がかかってしまった。

 

「私達は、学校では恋人なんだろう?ならば、手を繋ぐことくらい何の不思議もない。それとも……私と手を繋ぐのは嫌なのかな?」

 

わざとらしく悲しそうな顔をするルシフェルに。慌てて言葉を絞り出す。

 

 

一手間違えれば、ルシフェルの機嫌を損ねたら、それで終わりなのだから。

 

 

 

「嫌……なわけないさ。ただ、お前があまりにも綺麗なもんで、ちょっと躊躇っちゃっただけだよ。壊してしまいそうなくらいに、ガラス細工みたいに綺麗だからな」

 

「ふふ、褒め言葉として受け取るよ。じゃあ、はい」

 

ルシフェルが再度手を差し出してくるので、今度はちゃんとしっかり、優しく握る。

温かく、とても優しく握り返してくれた。

 

「人と触れ合う温もりは、こんなものなのか……なるほど、皆が繋ぎたがるわけだ。……さ、行こうか」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

「そうだルシフェル、今日の放課後空いてるか?」

 

「放課後……学校の時間が終わった後のことだっけ?ああ、もちろん空いてるよ。でも、どうしたんだい?」

 

「俺たちは恋人だろ?それなら放課後デートは普通じゃないか?」

 

「ああなるほど。わかった、空けておくよ。……そういえば、今日この後呼ばれてるんじゃなかった?」

 

「え?あー、うん、美九にな、控え室に来てくれって」

 

「ガブリエルに……?」

 

俺がこれからの予定を言うと、美九の名前が出た瞬間にルシフェルは少し……いや、かなり苦い顔をした。

あまり会いたくないような、そんな顔だった。

 

「先に言っとくけど違うよ。君がガブリエルと会うことが嫌なんだよ。あのマガイモノの言葉は信用できない」

 

「そうか?俺はもう美九のことは信用してるぞ」

 

「あれだけ酷い目に遭わされているのに?」

 

「それはもう過ぎたことだしな」

 

「……」

 

それでもルシフェルの顔は晴れない。

でも、美九からもルシフェルも連れてきて欲しいって言ってたし……。

 

「美九はもう、精霊の力は使わないって言ってたぞ」

「それを、はいそうですか、って信用できるほど私の頭は良くできてないからね」

 

ルシフェルの言い分も最もすぎる。現に一度やられているわけだし……。

 

でも……

 

「それでも俺は美九を信用してるから」

 

「その理由……いや、そんなものを君に聞くのは無粋だね。わかった、私も君に習い信用をしてみよう。だけど、少しでも変な気を起こした時は殺す」

 

「そんなことさせないさ」

 

それよりも一番の心配は……

 

「よう士道!神夏さんとイチャイチャして……ってそれ誰だ?」

 

校門に入るなり殿町にそう言われる。

 

「どーも、ルシ……じゃなくて神夏ギルだ。殿町、だっけ。いつもお世話には……なってないな」

 

「ひどくない⁉︎名前覚えてもらえてるだけ進歩したけどさ⁉︎」

 

「だって、私からしたら君は居てもいなくてもどうでもいいからね」

 

「ちくしょおおおお!!」

 

ルシフェルのの最後の一言が効いたのか、殿町は何処かに泣きながら走って行った。

 

「面白いね人間って」

 

「いや、まあ……うん、そうだな。でもルシフェル、もうちょっと優しくしてやってくれ。頼むから。殿町が可哀想すぎる」

 

「?」

 

あと、殿町のおかげもあって皆からの視線が痛い。

ルシフェルはなにも感じてはいなさそうだけど。

 

「それじゃあ、まずは美九のところに……」

 

「士道!朝から見せつけてくれるではないか!それと元黄金の。昨日とは大違いだな。いつもそれくらいの淑やかさでいたらよかろうに」

「挨拶。おはようございます士道。神夏ギル。昨日はお疲れ様でした」

 

今度は自分たちのクラスの開いたメイドカフェの前を通った所で耶倶矢と夕弦に話しかけられた。

 

「くく。もう傷は良いのか?ふ……流石は我が見込んだ男ということか」

「質問。十香さんはまだ来られませんか?」

 

「いや、来るだけ来るらしいぞ。まだ検査がギリギリ終わってないから遅刻するかも、って」

 

「ふむ……なるほどな。して、士道。何故(なにゆえ)今日は男装なのだ?」

「同調。夕弦も気になります。士織さんはどうしたのですか?」

「ブフっ!」

「俺は元々男だよ!」

 

そう叫ぶと2人はカラカラと笑いながらまた後でと言いどこかへ行った。

 

「ふふ……くふ、そういえば、そうだったね、士織」

「頼むからそれで呼ばないでくれ…」

 

ルシフェルにまでもそう呼ばれるともう、俺の威厳がなくなってしまう。

頼むから俺を女にしようとしないでくれ。実際なってたけどさ!

 

「で、どこだっけ。ガブリエルのいる場所は」

「確かセントラルステージの楽屋かな」

「ああ、私が完全に力を取り戻せた縁のある場所か。それと士織がより女の子をしていた」

「前半だけで絶対よかったよな⁉︎なんで後半まで言った⁉︎」

 

ルシフェル……お前はそんな奴じゃないと信じていたのに……。

けど、心なしかリラックスできているルシフェルを見れて少しばかり安堵できていた。

これならもしかしたら……と。

 

 

けどそれは、とてと甘い考えだったと後程知ることとなった。

 

 

 

 

 

「ここ……だな」

 

楽屋の前まですんなりと足を運ぶことができた。スタッフも直ぐに対応してくれたことからもしかしたら美九が話を通しておいてくれたのかもしれない。

 

ノックをすると扉の向こうから「はーい。どうぞー!」とやけに明るい声が聞こえてきた。

 

その声が聞こえたのを確認して扉を開けると、ライブ終わりで汗をかいていた美九が現れた。

 

「ああっ!お待ちしてました()()()()!」

 

「……え?」

 

ドアに入るとそこには美九がいた。いたんだけど……態度が数日前と180度違うから困惑してしまう。

 

「おいガブリエル。今すぐその口を閉じろ汚らわしい。お前、私の五河士道に手を出す気か?」

 

「わっ、ちょっ、ち、ちが、そう言うつもりじゃ」

「ストップストップ!ルシフェル大丈夫だから!抑えて!」

 

「……チッ、いいかガブリエル。私の五河士道に手を出してみろ。その時は君を絶望よりも深い所に落として殺してやる」

 

「ふ、ふふ。ご心配なく。今日は、貴女にもケジメをつけるために呼んだのです。だーりんだけでなく、貴女も。……ただ、それをする為には、そのー……ちょっと、恥ずかしいのでルシフェルさんは部屋の外に居て欲しいなーって……」

 

「……」

 

美九が恐る恐る言うとルシフェルは

 

「…………………………」

 

まるで苦虫を噛み潰したような、嫌そうな顔を作っていた。

 

「ルシフェル、俺は大丈夫だ。信じてくれ」

「五河士道は信じてるよ。私が信じていないのはガブリエルだ。

 

我が宿主を裏切らせた張本人をね」

 

裏切らせた、その一言に美九の顔が重く暗くなった。

 

「……その説は、本当に、申し訳ありませんでした。謝って済むことではないのはわかっています」

 

「ふん、人は皆そう言う。……だが、五河士道が信用していると言うのにいつまでも私がぐちぐち言うのも何か違うな……。

ああ、そうだな、そうするか。いいよ、私は部屋の外にいる。もし仮に騙したのならばその時は殺せばいいだけの話だからね」

 

「大丈夫だって。信用してくれルシフェル」

 

「ああ、今は、信用するさ」

 

そう言ってルシフェルは部屋の外へ行った。

 

 

 

 

 

「まただ、このモヤモヤする感じが。心底不愉快だ。なんだこの感情は」

 

五河士道に色目を使う輩が気に入らない。

それにイラつく自分にも気に入らない。

 

本当に、なんなんだこの感情は。

自分で自分を抑えることができなくなる。

 

「神夏ギル」

 

「あ゛?」

 

こんな不愉快な時に話しかけられた。

思わず殺気立った声をあげてしまう。

 

そこには白髪の、よく神夏ギルと最古の王に絡んでいた人間の1人がいた。

AST、とか言ったか。

 

よく我が宿主や他のマガイモノを狩ろうと、躍起になっている悲しい組織だったか。

 

「何?今すこぶる機嫌が悪い。私の前から消えろ」

 

「2人きりで話したい事がある。来て。来ないのなら、私が一言言えば貴女をASTが襲うようになっている」

 

「へぇ……人間如きが、大きく出たね」

 

今すぐ殺してやってもいい。けど、五河士道の顔も立てなければ。

 

ああ、イライラする。激情をこのままぶつけて仕舞えば楽だろうに。

こんなものを抱え込むなんて、私らしくもない。

とにかく、今の最善はこいつに大人しく従う……ことか。

 

「来て」

 

「……ああ、従うのは癪だが、言う通りにしてやる。で?どこに行くので?」

 

「……」

 

私の言葉は無視し何処かへさっさと歩き出した。一々腹立つな。

けどここは堪えないと。

 

 

 

しばらく歩き、たどり着いた場所は屋上へのドア前の階段。

そこで突然振り返ってきた。

 

「それでわざわざ2人きりで話したいことって?くだらないことだったら……」

 

「お前の目的は何。神夏ギル」

 

目の前の白髪の、我が宿主によく絡んできていた人間は、開口一番でそう言ってきた。

 

くだらない。無駄な時間だというのが直感で理解ができた。

が、ここは道化らしく答えるとしよう。

 

答えたところで、この人間に何ができるわけでもないしね。

 

「この世の全てを、五河士道以外の全てを殺す」

 

「っ!」

 

「とかでも答えた方がやりやすいかい?」

 

分かりやすく明確な殺意を向けられるが、同胞に比べたらこんなもの赤子同然だ。

 

「私の目的なんてあの女に比べたら下らない。ただ一つの事さえ満たされれば、それでいい。

 

五河士道を手に入れると言う、ただ一つさえ満たされれば。

 

ザフキエル……お前たちの間だとナイトメアだったか?あいつの邪魔さえされなければ今頃五河士道は私のモノだったと言うのに」

 

人間は、まるで親の仇を見るかのように私を見る。

そのまま襲いかかってくれたらこっちとしてもやりやすいのに。

 

「五河士道は私のモノだ人間。貴様にも、我が同胞にも、マガイモノ達にも、誰にも渡さない。アレは、私のモノだ」

 

五河士道の顔を思い出すだけで、顔が綻ぶ。

胸の奥が熱くなる。

 

甘い息が漏れてしまう。

 

嗚呼、ダメだ。ずっと我慢をしていたと言うのに。

 

欲望が止めどなく溢れ出てしまう。

 

 

鎮めなきゃ。

 

 

「お前のような存在に、士道を渡すわけにはいかない」

 

「へぇ?なんで?」

 

精霊()だから。悪に、渡すわけにはいかない」

 

悪、という言葉を聞いて、思わず笑みが出てくる。

あまりに滑稽だったから。

 

 

「ふふ、人間は誰も彼もが同じだ。己の種族に害を及ぼすものを悪とし、益を齎すものを善とする。しかしそれなら一つ、私自身にも関与してくることで不確定なことがあるわけだ」

 

 

わざとらしく、演説するように言う。

 

 

「なあ人間、悪の定義って何だ?」

 

「悪はお前たち精霊」

 

「それは君たちの価値観だ。私からすれば私の安全を脅かす君たちこそ悪だ。

 

悪は人それぞれかと言われるとそうでもない。

 

 

じゃあ悪とはなんだろうね。

 

 

この世には分かりやすく、単純明快な線引きがあると私は考えてるんだ人間」

 

「……?」

 

あまりに急な話でついて来れていないのかな?まあ関係ない。

 

「勝者が善、敗者が悪。ならば敗者とは何か。

何に対しての敗者だ?

 

それは世間に敗北しているからだ。

己の意思を貫き通せず、正しいと証明できなかった敗者だ。

 

 

この世の悪は、世間に悪と決められたから悪だと私は考える。

 

 

だから悪だ。

 

その本質が善だろうがそんなものは関係がない。

 

今この瞬間、世間によって悪と見做されたのならば、ソレは悪だ。

 

 

人は自然災害は、あくまでも災害であって悪とは見做さない。

では精霊は?

 

マガイモノも含め、精霊という存在を知らない人間からすれば精霊は列記とした『災害』な訳だ。

 

だが君たちのような特殊な立場の人間からすれば、精霊は意志を持った災害だ。

 

そんな私たちを君たちは悪と断定して、他の誰もがそれを疑っていない。

 

 

だから私たちは悪だ。君たちの言う通りね。

 

そう、本人が何と言おうと、世間からすれば私たちは悪だ。

 

ならば……それはどう言うことか、

 

 

私の力は、人類にとっての悪を、その身に宿す。

たとえば……顕現しろ、灼爛殲鬼(カマエル)

 

右手に炎を纏った戦斧を出すと人間は距離を取ろうとした。が、ここは元より逃げ道が殆どない。そんな奴の背後を取るのは簡単だった。

 

首筋にカマエルを当て、ゆっくりと、耳に染み渡るような声で、

 

今度はガブリエルの能力を使って話す。

 

 

 

「これは私からの最大限の忠告だ。

 

これ以上私や我が宿主に手を出してみろ。その時はお前だけじゃない。本当に五河士道以外の全てを、何もかもを殺してやるよ」





改めて久しぶりです

私自身、忙しい身ではありますが、実はと言うと執筆が全くできねえ、と言われるとぶっちゃけ違う、とはなります

が、夕方過ぎる頃まで忙しいのは事実なのです

暇になるのが大体、日付が変わる1時間前後くらいからなので
ですが、描き切ると(どこかで)宣言した記憶もあるので、絶対に知らん間に削除、なんてことはしません

後は、ちょいと他のハメ作家の人と人付き合い関係でトラブルも発生しましたしね。
そこはまた活動報告にでも投げます

えーそれでは、長らく待たせてしまって大変申し訳ありませんでした
読んでくださりありがとうございます!

サブタイトルあったほうがいい?

  • あったほうがいい
  • 無くてもいい

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