デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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最近、女体化ギルガメッシュを改めて調べました。
そして気づいたことが一つ。


…自分の描いてるのって姫ギルじゃなくて女帝のほうじゃね?


タグに念のため女帝のほうも追加しておきました。

さて、今回で色々と、起こるかもしれません


それではどうぞ


30話

精霊の力を封じられている神夏

霊力の尽きかけている十香。

 

この両者が剣のみで戦った場合どうなるか。

 

 

 

「はぁ…はぁ…。クソ…」

 

「もう終わろう。神夏ギル。きっとシドーも……」

 

神夏の持っていた『原罪(メロダック)』を弾き、神夏はその場に打ちしがれた。

二人の周りを覆っていた暴風は気付くと止まっていた。

 

十香は神夏の身を案じ、神夏の身を案じている士道のことも案じ、もう戦いを止めようと言おうとした。

しかし、それは今の神夏にとって火に油を注ぐ行為だった。

 

 

「う…る…さい」

 

「もうこれ以上、お前を攻撃したくない。だから…」

 

「…私は、マイラ(あいつ)を、殺す。君達のおかげで、それを、決心したんだ。それを…なんで、邪魔をする。君達にとって…私が何をしようが、関係ないはずでしょ…。私に、復讐を……させてよ」

 

力なく神夏は言う。

 

 

 

十香はかつての自分を

 

初めて士道とあって、士道を殺されかけた時の自分を見ているようで心苦しくなっていた。

 

 

だから、十香はそんな自分を救ってくれた人の言葉を、投げかけた。

 

 

「それは嫌だ。シドーにも言われた。令音にも。お前を助けてやってくれ、と。

シドーは言っていた。『憎しみで相手を傷つける為に自分だけの特別な力を使うなんて、そんなのは悲しすぎる。どうせなら…大切なものを守るために使って欲しい。俺も、この力を精霊のみんなを守るために使いたい』って。

令音は『復讐は相手だけでなく自分の身をも滅ぼす。だから…()えないといけない。相手を許せとは言わない。だが…復讐を完遂することは…やめたほうがいい』って。

言われた時は、よくわからなかった。でも…今のお前を見て、なんとなくだが理解できた。だから…」

 

 

そんな時だった。

 

 

急に上空から()()()()()()

後部から煙を噴いていたが、それは正に戦艦と呼ぶに相応しいものたった。

フラクシナスというのも巨大な艦だったが、こちらはさらに攻撃特化しているかのようなものだ。

 

その艦の目的は、すぐにわかった。

降りている地点に二人の精霊がいた。

 

五河士道が止めていた風の双子の精霊だった。

それと同時に現れたのはいくつもの人型の機械。

 

艦は双子の精霊を目標に、人型の機械は神夏たちを目標に動いてきた。

 

「っ、またか…!」

「…バンダー…スナッチ。…そう、か。アイツや、メイザースが来てた時点で、なんとなく気づいてはいたけど…やっぱり、きてたのか…。でも、もう…どうでもいい」

 

もう、力を使えない。殺すことすらできない。なら…もう、どうでもいいと、神夏は感じ、その場からは動こうとはしなかった。

 

バンダースナッチと言う名の機械人形が四方八方から神夏たちを捕縛せんと襲ってきている。

そんな神夏を十香は必死に庇い続けた。

だが、元より霊力の尽きかけていた十香。精霊の力を使うことが叶わない神夏。

 

次第に押されていき、段々と十香は傷を負い始めた。

 

 

 

 

 

〜???〜

 

【…交代するしかないかな。我が宿主と】

 

『ふん、貴様が出る幕などないわ。何より、貴様が表へ出ると神夏のやつが壊れてしまうわ。我の体でもあるこの身に、そのような狼藉を働く気か?』

 

【流石にそんな事はしないよ。曲がりなりにも私の宿主でもあるんだから。私が健在でいられるのも宿主が健全と言う前提がある。だから…私が表に出てやるのは、あのガラクタ人形の殲滅。それに、だ。君に力の大半を押さえつけられている。使える力は1割にも満たない。そんな私が表に出たとしても、宿主は壊れる事はない。

まぁ、今以上に破壊衝動の大きい方に精神が染まる可能性はあるけれど、それに関しては君がいるからね。『()()()()()()()』をその身に浴びたと言うのに、全くこたえないどころかその三倍を持ってこいとかいう君がいるからこそ、私と言う存在と君たちと言う存在の両立が成立している】

 

更に言うならば、霊力の大半を使って私と言う存在を押さえつけているおかげでもある、と黒いナニカは付け加えて言う。

 

【約束しよう。今回表へ出るのは我が宿主を助けるためだ。それ以上は何もしない。必要最小限の事をやり宿主への影響も最小限にする。これでもダメかい?何せ、今君は自分のせいとはいえ力を思うように使えない。ならば、1割弱とはいえ力をしっかり制御できる私が出た方が効率的だろう?】

 

『…よかろう。だが、3分のみだ。それ以上は許さん』

 

【十分だよ。それじゃあ…早く私の体を縛っている鎖を解いてくれないかな?こんながんじがらめだと思うように動けない】

 

『よかろう。だが、自由にして良いのは右腕のみだ。それ以外は天の鎖で縛られた状態だ』

 

【うん。構わないよ。右腕さえ使えればあとは動かなくてもどうにでもなる】

 

『ならば疾く行け。失敗は許さんぞ』

 

【はいはい】

 

こうして神夏の???の中で話していた二人のうち、黒い方は表へ出て行った。

 

 

 

 

 

「なっ……」

 

「ふぅ。久々の外界だ。あー、ずっと鎖で縛られてたから体がバキバキだよ。といっても、今も縛られてるけど」

 

突然、エレンとか言うカメラを持っていた女が使っていたメカメカした人形が大量に現れ私たちを襲ってきた。それを必死に神夏ギルをかばいながら殲滅していくも、徐々に圧倒的な戦力差に押されていき、鏖殺公も砕けかけてきていた。

死なせるわけにはいかないと思い、神夏ギルを背負って逃げようと思った時だった。

突然神夏ギルが光った。

 

いや、違う

 

 

黒く光った。

 

その直後に現れたのはいつもの金ピカの神夏ギルじゃなかった。

周りにたむろしていた十体ほどのメカメカしい人形を一瞬で破壊し、立ち上がった。

 

黒い、…なんといえばいいのだろうか。紫と黒の霊装で、今までの神夏ギルと対をなしているような…。

 

私の霊装のドレスを更に濃くしたかのような、それと同時にどす黒いというイメージが出てきた。あの金の煌びやかな髪も、濃い紫色へと変化していた。

 

そしてなぜか左腕は背中に回され、豊満な胸が強調されるかのように、脚はそれに対して全く動かさせないかのように鎖でがんじがらめに縛られていた。

その鎖はいつもの神夏ギルが使っていたものだとすぐにわかった。が、なぜ自分の体を?と言う疑問が出たが今は頑張って無視をした。けれど、よくこの状態で立ち上がれたな、と思ってしまった。

顔はいつもの神夏ギルだったが瞳の色も変わって紅色から黒い瞳になっていた。

 

 

もう一つ。私は神夏ギルを『神夏ギルの姿をしたナニカ』と表現したけど、今の神夏は()()()()()()()

私や四糸乃、狂三や琴里とは()()()()()()()()()()()、そんな力を感じた。

 

 

「さて、夜十神十香とやら。このガラクタどもを殲滅するのでしょう?私が手を貸してあげるから、疾くやるよ」

 

「っ、あ、ああ…。だが、その前に一つだけ聞かせてくれ…。お前はなんだ?」

 

「そのような事を聞いている暇があるのかい?けどまぁ、呼ぶ時の私の名前くらいは教えないと不便だね。私の名は…正確には力の名前だけれど。

 

 

私の名は 『??王(ルシフェル)

 

 

まあ気軽にルシとでも呼んでくれ」

 

ルシフェルと名乗った神夏ギルの姿をしたナニカは背後から近づいていた人形を裏拳で吹っ飛ばした。

 

「ふむ…右腕のみに力を集中させれば、といったところかな。だけど、一歩も動けないのは流石に不便だなぁ」

 

不便という割には右腕のみで軽快に近づいてくる人形達をちょっとした小突きのような事でぶっ飛ばしていった。

頼もしい事には頼もしいが…どうしても信用ができなかった。

 

「酷いなぁ。そんなに警戒しないでくれよ。貴女と私の利害は一致しているんだ。

 

神夏ギル(我が宿主)を守る』というね。

 

精神的に汚染してしまう可能性はあるけれど、私も彼女を大事に思っているんだ」

 

それに約束を違えてしまうとあの金ピカ王様に怒られるしね、と小さくルシフェルと名乗ったナニカは最後に付け加えた。

 

「さて、もう良いかな?それじゃあ、殲滅を始めよう。夜十神十香。3分でケリをつけよう」

「あ、ああ!」

 

そう言われて返事をしたはいいものの、どうしてもこのナニカを、信じることができなかった。

 

 

 

心の底で恐怖していたのかもしれない。

声音は優しいがその奥底に残虐なものを感じ取ったからなのか、それとも別の何かを感じたからか。それは十香自身にもわからなかった。

 

 

 

 

 

「はあっ!」

「ほうほう。霊力が尽きかけているとはいえ流石だな。我が同胞(はらから)よ。にしても…流石に数が多すぎるな。…ふむ、夜十神十香よ、しゃがめ」

「え?」

「全員、壊れてしまえ」

「わっ⁉︎」

 

神夏-----ルシフェルはただ純粋に近づいてきた機械人形--バンダースナッチを退屈そうに殴り飛ばすのを繰り返していた。

そしてラチがあかないと思ったのかルシフェルは右腕を上に挙げた。

 

そこから周囲に向かって黒い電撃をまき散らした。ソレは電撃の一つ一つが意思を持っているかのようにウネウネと動き周りにいた数十体のバンダースナッチ全て貫き、そのままバンダースナッチを出し続けている艦へ向かっていった。

 

「危ないな!」

「しょうがないでしょう?こうでもしないとラチがあかない」

 

バンダースナッチが全て音を立てて倒れた後に十香は勢いよく立ち上がりルシフェルに抗議した。が、ルシフェルはどこ吹く風といった顔だった。

 

その時だった。

 

「っ⁉︎」

 

「おお、あの双子の精霊の天使か。これはこれは、中々派手なことだ。弱いとはいえ私の電撃ごと吹き飛ばしたか。やりおるやりおる」

 

突如離れたところで、また突風が吹き荒れたかと思うと一つの弓矢のようなものが展開され、空に浮遊していた戦艦へ向かって矢が放たれた。

矢が放たれた衝撃でとんでもない風圧が起きているのか周りの木々は薙ぎ倒されていき、矢は戦艦を見事に貫き爆発を起こした。

 

「……なに、もう時間か。だが、このまま神夏の体を使い続けるのも……痛い痛い嘘ですごめんなさい。冗談ですからやめて」

 

突如ルシフェルが何かを言ったと思うと体を縛っていた天の鎖が更に音を立ててルシフェルの体を縛り上げた。ミシミシと言って今にも骨が折れるのでは、と思うような音が聞こえる。

 

「ふぅ。全く愉悦愉悦言いながら冗談の一つも通じないんだから…。…どうやら先ほどの騒ぎに紛れて我が宿主の復讐先も姿を消したようだ。全く、どうせ金ピカ王様に殺されるというのに」

 

辺りを見渡しながらルシフェルは呆れた声を出し、器用にその場に座った。

 

「さて、夜十神十香」

 

「…なんだ」

 

「そう警戒しないでくれよ。私は残りのわずかな時間でお話がしたいだけだよ。だから、右側(ここ)に座ってよ」

 

「話なら、ここからでもできるだろう」

 

十香が警戒一色の声音で言うとルシフェルはため息をついて十香を睨んだ。

 

睨まれた十香は、一瞬恐怖に支配された。

冷や汗が出て、その場から動けなくなった。

 

「あのねぇ、お話をするのにそんなに離れた状態で、敵意満々で出来るとでも?十香、私は『座って』って言ったんだ。『早く、座れ』。時間がなくなっちゃう」

 

十香はゆっくりとルシフェルの横へ行き、座った。

 

「いやー、ようやくゆっくり出来るよ。いやいや、ごめんねぇ。お話なんて特になくてね、ただ私の事と我が宿主のことに関してお礼をしたかっただけなんだよ」

 

「お礼…?何をだ?私はお前とは初対面だぞ?」

 

「まあ実際にはね。まずは私のことについて。私は君のおかげで眠りから覚めることができた。君のおかげで僅かとはいえ表へ出ることができた。ありがとう。我が同胞よ」

 

「私の…おかげ?」

 

「そ、君のおかげ。んで、我が宿主のことについては、守ってくれてありがと。君がいたから、我が宿主はアレ以上暴走をしなくて済んだ。()()()()()()()()()()()()。後はね…いつも、我が宿主と遊んでくれて、ありがとね。彼女はいつも素直じゃないから、鬱陶しく言ってはいるけれど、いつも嬉しく感じているんだ。みんなといる時間を、あの五河士道という男は別だけれど、みんなと楽しく遊んだりしている時間を楽しく感じていた。彼女の心が安定するのは、()()()()()()()()()()()()()()。だから、ありがとう」

 

ルシフェルは優しい笑みを浮かべるも、十香は警戒した顔を作っていた。

 

「…一つ、聞いてもいいか?」

 

「うぇ?うーん…時間的にすぐ答えれることなら、いいよ。……ああもう、金ピカ王様ちょっと黙って。すぐ戻るから。…んで、どうしたの?」

 

十香の問いかけも、ルシフェルは穏やかな笑みで答える。

 

「お前は一体……なんなのだ。四糸乃や琴里とは…まるで、真逆のような…」

 

「おお、そうきたか。ふむふむ、他の精霊と真逆ね。言い得て妙…だっけか?諺はよくわからないけれど。あながち間違いじゃない、ってところかな。時間がもうないかな。

 

それじゃあね。夜十神十香。我が同胞よ。次会うことはもうあまりないだろうけれど、また会える日を楽しみにしているよ」

 

そうして、ルシフェルの体が光った。

かと思うと神夏の体へと変化していった。

 

「…」

「わわっ⁉︎」

 

闇を象徴するかのような先ほどまでの風貌が無くなり、いつもの神夏ギルへと戻った。体をがんじがらめに縛っていた鎖は両手首、両足首に巻かれていた。

同時に十香の方へ倒れた。

突然のことに十香は驚いたものの、しっかりと神夏を受け止めていた。

 

「か、神夏ギル…だな?お、おい…大丈夫か?」

 

十香が神夏へ恐る恐る話しかけるも神夏は返事をしなかった。

気絶をしているだけだったが十香を困らせるには十分だったようだ。

 

「ど、どうすれば良いのだ…?し、シドー!」

 

十香は困り果てた結果、士道を大声で呼んだがそれは虚しく響き渡っただけだった。




番外編を書いてみたくて、アンケを取ってみましたが、みなさん百合をご所望なようで。
ええ、たしかに四糸乃はいいですもんね!
90人近い人がロリコォンなのはわかりました(ブーメラン


後意外だったのは神夏が士道にデレるところを見てみたい人の方が僅かとはいえ多数派だったことですね。
そちらも書いてみたくはありますが番外編になりそうですね

頑張ります


読んでくださりありがとうございます

サブタイトルあったほうがいい?

  • あったほうがいい
  • 無くてもいい

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