ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~ 作:S'sran
オリッパは一人座り込み、ボーっと全体を見渡していた。
シチューによってクリーミーになった口にサルミアッキを放り込む。
彼はいつも食後に欠かさずサルミアッキを食べている。
(食後のサルミアッキは一段と美味いな)
普通の人なら悶絶しかねない物でも食べてしまうオリッパ。
彼の舌は人のそれではないので問題ないのだ。
「何食べてんの?」
後ろから声を掛けられ、振り返る。
そこには右手に食べかけのバウムクーヘンを持ち、ほうばっている少女いた。
どこかで見たような姿で、オリッパはすぐに誰だかわかる。
(エーリカ・ハルトマン……ウルトラエースだっけ)
オリッパのハルトマンに対する第一印象はウルトラエースには見えない、というものだ。
見た目からはとてもじゃないがそうには見えない。
もう少し大きくて顔に傷とかあるのを想像していた。
「……食べますか、サルミアッキ?」
「あ、遠慮しとく」
サルミアッキだと聞くとすぐさま断るハルトマン。
オリッパには不思議に感じたが、普通の反応である。
「おいしいのに」
そう呟いてもう一つ口に放り込む。
「えーと、オリヴァ中尉だっけ?」
「オリッパで構いません。何か用ですか?」
「いや、少し気になってさ」
そう言ってハルトマンはオリッパの横に座る。
「スオムスから来たんでしょ? エイラがあんなんだからスオムス人に興味出ちゃってさ」
「はぁ……僕ってそんなに面白くないと思いますよ?」
「いいのいいの、聞かせて!」
「物好きですね」
「人のこと言えないでしょ」
「そうですか?」
「そうだよ」
何故だか、笑いがこみあげてきて二人とも吹きだした。
◇ ◇
「へぇ~、元々は整備士だったんだ」
「はい、でもこっちが良かったんです」
「それはウィッチたちと仲良くしたから? だとしたらミーナはウィッチの色恋沙汰に厳しいから覚悟した方がいいよ」
ハルトマンは茶化すように言う。
「そ、そんな理由ではありません!」
オリッパは全力で否定するが、顔が赤くなる。
ハルトマンはプププッと笑う。
オリッパの反応をあの楽しんでいるようだ。
「私はただ……この力を閉まっておくのはもったいないと思ったから、それだけです」
「魔法力のこと?」
「ええ。スオムスを他国に助けてもらっていながら、私が出ないのはどうかと思いますし。恩返しですよ」
「そういうもんなんだ」
「そういうものです」
ハルトマンはそのような信念を持っていないので少しわからない。
ミーナやバルクホルン、仲間のために戦うのがハルトマンだ。
ウィッチにしろ、ウィザードにしろ、理由は人それぞれ。
そこに良し悪しはない。
ただ、一つ共通するなら。
「立派だね」
「そう、なのかもしれません」
その信念は立派なものであるということだ。
◇ ◇
「ばぁむくぅへん、というのは美味しいですね!」
目を輝かせ、バームクーヘンを食す赤松。
「お、まだ余ってるじゃん! 俺もいただくか」
そう言って一部を切って取るのはダニー。
室内に戻ってきたのだ。
「
「食いながら話すなよ……」
赤松は急いで飲みこむ。
「失礼しました。先ほどまでなにをしてらしたんですか?」
「少し、授業をな」
「授業? 少佐は教師までやっておられるのですか?」
「まあ、一応な」
ダニーは照れくさそうに言う。
「教えるのはできる方だからな、ロスマン曹長には敵わんが」
「ロスマン曹長ってたしか……」
「ああ、あのエーリカ・ハルトマンを育てた超優秀な教官ウィッチだ」
二人そろってオリッパと話しているハルトマンを見る。
今日あったばかりでもう仲が良くなったようだ。
「ここって凄いんだろうけどさ、まだ入った実感がないなぁ」
「僕もまだ夢を見てるような気分です。このパーティーは狸が化かしてるのかもしれないと思えてきました」
「扶桑は怖いねぇ」
ダニーはグラスにワインを注ぎながら言う。
「でも、夢じゃないんですよね」
「エース部隊の仲間入り、気分は最高だな!」
「今夜は眠れそうにないです!」
「同感だ!」
「「今日という日に、乾杯!」」
二人は持っていたグラスを交わした。
この後もダニーはワインを飲み続け二日酔いに。
赤松は一睡もできなかった。
少し遅くなりました。
いろいろ考えてたらいつの間にか九月も終わりかけ。
もうすぐ秋アニメかぁ、と時の早さにしんみり。
現在、新たな作品を両立して書こうか悩んでおります。
(たぶん一区切りか終わらせてからだろうけど)
スト魔女かは不明です。