ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~   作:S'sran

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6ー3話 温かな歓迎 下

 オリッパは一人座り込み、ボーっと全体を見渡していた。

 シチューによってクリーミーになった口にサルミアッキを放り込む。

 彼はいつも食後に欠かさずサルミアッキを食べている。

(食後のサルミアッキは一段と美味いな)

 普通の人なら悶絶しかねない物でも食べてしまうオリッパ。

 彼の舌は人のそれではないので問題ないのだ。

「何食べてんの?」

 後ろから声を掛けられ、振り返る。

 そこには右手に食べかけのバウムクーヘンを持ち、ほうばっている少女いた。

 どこかで見たような姿で、オリッパはすぐに誰だかわかる。

(エーリカ・ハルトマン……ウルトラエースだっけ)

 オリッパのハルトマンに対する第一印象はウルトラエースには見えない、というものだ。

 見た目からはとてもじゃないがそうには見えない。

 もう少し大きくて顔に傷とかあるのを想像していた。

「……食べますか、サルミアッキ?」

「あ、遠慮しとく」

 サルミアッキだと聞くとすぐさま断るハルトマン。

 オリッパには不思議に感じたが、普通の反応である。

「おいしいのに」

 そう呟いてもう一つ口に放り込む。

「えーと、オリヴァ中尉だっけ?」

「オリッパで構いません。何か用ですか?」

「いや、少し気になってさ」

 そう言ってハルトマンはオリッパの横に座る。

「スオムスから来たんでしょ? エイラがあんなんだからスオムス人に興味出ちゃってさ」

「はぁ……僕ってそんなに面白くないと思いますよ?」

「いいのいいの、聞かせて!」

「物好きですね」

「人のこと言えないでしょ」

「そうですか?」

「そうだよ」

 何故だか、笑いがこみあげてきて二人とも吹きだした。

 

 

 ◇    ◇

 

 

「へぇ~、元々は整備士だったんだ」

「はい、でもこっちが良かったんです」

「それはウィッチたちと仲良くしたから? だとしたらミーナはウィッチの色恋沙汰に厳しいから覚悟した方がいいよ」

 ハルトマンは茶化すように言う。

「そ、そんな理由ではありません!」

 オリッパは全力で否定するが、顔が赤くなる。

 ハルトマンはプププッと笑う。

 オリッパの反応をあの楽しんでいるようだ。

「私はただ……この力を閉まっておくのはもったいないと思ったから、それだけです」

「魔法力のこと?」

「ええ。スオムスを他国に助けてもらっていながら、私が出ないのはどうかと思いますし。恩返しですよ」

「そういうもんなんだ」

「そういうものです」

 ハルトマンはそのような信念を持っていないので少しわからない。

 ミーナやバルクホルン、仲間のために戦うのがハルトマンだ。

 ウィッチにしろ、ウィザードにしろ、理由は人それぞれ。

 そこに良し悪しはない。

 ただ、一つ共通するなら。

「立派だね」

「そう、なのかもしれません」

 その信念は立派なものであるということだ。

 

 

 ◇   ◇

 

 

「ばぁむくぅへん、というのは美味しいですね!」

 目を輝かせ、バームクーヘンを食す赤松。

「お、まだ余ってるじゃん! 俺もいただくか」

 そう言って一部を切って取るのはダニー。

 室内に戻ってきたのだ。

はにぃほうさ、ほおどりにらってたんれすね(ダニー少佐、お戻りになってたんですね)!」

「食いながら話すなよ……」

 赤松は急いで飲みこむ。

「失礼しました。先ほどまでなにをしてらしたんですか?」

「少し、授業をな」

「授業? 少佐は教師までやっておられるのですか?」

「まあ、一応な」

 ダニーは照れくさそうに言う。

「教えるのはできる方だからな、ロスマン曹長には敵わんが」

「ロスマン曹長ってたしか……」

「ああ、あのエーリカ・ハルトマンを育てた超優秀な教官ウィッチだ」

 二人そろってオリッパと話しているハルトマンを見る。

 今日あったばかりでもう仲が良くなったようだ。

「ここって凄いんだろうけどさ、まだ入った実感がないなぁ」

「僕もまだ夢を見てるような気分です。このパーティーは狸が化かしてるのかもしれないと思えてきました」

「扶桑は怖いねぇ」

 ダニーはグラスにワインを注ぎながら言う。

「でも、夢じゃないんですよね」

「エース部隊の仲間入り、気分は最高だな!」

「今夜は眠れそうにないです!」

「同感だ!」

「「今日という日に、乾杯!」」

 二人は持っていたグラスを交わした。

 この後もダニーはワインを飲み続け二日酔いに。

 赤松は一睡もできなかった。




少し遅くなりました。
いろいろ考えてたらいつの間にか九月も終わりかけ。
もうすぐ秋アニメかぁ、と時の早さにしんみり。
現在、新たな作品を両立して書こうか悩んでおります。
(たぶん一区切りか終わらせてからだろうけど)
スト魔女かは不明です。

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