ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~ 作:S'sran
赤松とオリッパの二人は基地の外を歩いて回っている。
しかし、二人は先ほど初めて会ったばかり、特別会話が弾むわけもなく。
(うーん、なにか話しかけた方がいいんだろうけどなにを言えばいいんだ?)
話しかけようにも内容に悩む赤松。
(上官だし失礼なこと言っちゃったら、と思うと話しかけられないなぁ……)
どういう言葉を並べればよいのかわからないのだ。
オリッパはそんな赤松を知らず、海岸の方を向きながら歩く。
「ねぇ、君はなんでウィーザードになったの?」
「り、理由でございますか!? え、えーと……」
突然の質問に驚き、少し躊躇うが答える。
「エースに、なりたいからです!」
「エース? ここの?」
「はい!」
「そっか……」
オリッパは少し気難しい顔を見せるが、すぐに微笑む。
そして、頭にポンッと手を置かれる。
「いい理由だね。きっとなれるさ」
「ありがとうございます!」
(元気だけなら、エース級かな)
これをきっかけに話に花が咲いたのだった。
◇ ◇
四人の案内を終えた芳佳とリーネは食堂の扉の前にいた。
手作り感満載の工事中という看板が扉の前に置かれている。
それを無視して扉をノックする。
「芳香とリーネちゃんです」
そう言うと扉が開き、二人は中に入る。
「ようやく来たな宮藤、リーネ。案内ご苦労だった」
扉を開けたのは坂本だ。
芳佳とリーネは会釈をする。
「いえ、お安い御用ですよ坂本さん」
芳佳とリーネが食堂に来たのには理由がある。
時は赤松たちが自己紹介を終えた時まで遡る。
◇ ◇
「宮藤、リーネ、少し頼みがあるんだがいいか?」
坂本が近づき、耳元で小さく呟く。
「実はお前たちが集まる前に、他の隊員には伝えたのだが彼らの歓迎会をすることになったんだ」
「いいですね。やりましょう」
大いに賛同する宮藤。
「私たち頼みたいことってなんですか?」
リーネが尋ね、坂本が答える。
「そのことだが、準備中に彼らを食堂に寄らないようにしてくれ。理由は工事中と言って おいてくれればそれでいい。案内し終えたら来てくれ」
「「了解です」」
こうしてサプライズで歓迎会を始めることになった。
◇ ◇
「どのくらい進みましたか?」
リーネは坂本に進行状況を尋ねる。
「飾りつけは意外と早く終わってな。あとは料理の材料と献立を考えるだけだ。調理にはまだ早いからな」
時刻はまだ十四時ほど、作るには早すぎる。
「わかりました。いいお菓子とか知らない、リーネちゃん?」
「うーん、お菓子ならなにがいいかなぁ……」
「お菓子ならバームクーヘンがいい! ね! ね!」
突然現れたのはエーリカ・ハルトマンだ。
お菓子の単語に食いついたのだろう。
「おい、ハルトマン! これはお前の誕生日会ではないんだぞ!」
そう言ってハルトマンを釣った魚のように持ち上げるのはゲルトルート・バルクホルンだ。
固有魔法が怪力なので人間ならそこまで重く感じない。
「いいじゃんか、トゥルーデのケチ!」
「だれがケチなものか! 大体お前というやつはだな、もう少し自重さを……」
バルクホルンはいつものように説教を始める。
こうなるとなかなか止まらないので芳佳とリーネが止めに入る。
「まあまあ、落ち着いてくださいバルクホルンさん。それに作り方さえ教えていただければ作りますから」
「ホント!?」
宮藤の言葉にハルトマンは目を輝かせる。
「いやしかし、コイツの意見を聞かなくとも」
バルクホルンは芳佳を説得しようとするが、芳佳はいやな顔一つしていない。
「問題ないですよ。作り方さえ教えていただければ」
「教える教える! 宮藤大好き!」
ハルトマンは宮藤に抱きつく。
芳佳は少し困った表情をしているが、嬉しそうだ。
「リーンちゃん、主食の献立お願いできるかな? 私はこっちをするから」
「うん! 頑張ってね、芳佳ちゃん!」
「よぉし! 早速始めるよ! まず材料は……あるね!」
ハルトマンは厨房にある材料を手に取ろうととするが、それをバルクホルンが防ぐ。
「お前に料理をやらせられん! 宮藤には私が教えるからお前は座って待ってろ!」
「えー……せっかくやる気になってたのに」
ハルトマンは渋々近くにあった椅子に座った。
「さて、私も百は知らないが教えよう」
「よろしくお願いします、バルクホルンさん」
こうして芳佳とバルクホルンによるバームクーヘン作りが行われた。
今回は少し短め、すみません。
初評価は星ひとつでしたが、とても嬉しかったです。
原作との矛盾が起きたりしないように頑張りたいです。
癖なのか同じ表現が多い気がしますね、申し訳ない。
あと見づらかったら言ってください。