ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~   作:S'sran

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1話 ストライクウィザード、集結

 ロマーニャ公国では、数週間前の『トラヤヌス作戦』の話題で持ちきりだった。

 ネウロイとのコミュニケーションを図ろうとした作戦だ。

 しかし、失敗に終わり、504とその他周辺の部隊に大きな被害をもたらした。

 駆け付けた501、並びの周辺部隊によって鎮圧。

 ネウロイの巣の出現により、早急の処置がなされることになった。

 その内のひとつが補助部隊、ウィザードの導入である。

 しかし、ネウロイのことで頭がいっぱいの市民に気にする余裕はなかった。

 ひっそりと、彼らはスタートすることになる。

 

 

 ◇   ◇

 

 

 時間は正午を少し過ぎたほど。

 501のウィッチは今日も訓練を積み、街の平和を守っている。

 本来ならそのはずだが、今は自由時間のようだ。

 戦士に休養は不可欠、つかの間の休息でこそ彼女たちは一人の女の子になる。

「今日もいい天気だね、リーネちゃん!」

「そうだね、散歩するにはうってつけかも」

 仲良く会話するのは501のルーキーコンビである宮藤芳佳(みやふじよしか)とリネット・ビショップだ。

 彼女たちは基地の外でロマーニャの海を眺めながら会話していた。

「なら、これから散歩する?」

「いいかも! 早速行こう、芳佳ちゃん!」

 そう言うも、基地内外で放送が鳴る。

「501のみなさん、ブリーフィングルームへ集合してください。繰り返します、ブリーフィングルームへ集合してください」

 隊長からの集合命令がかかり、二人は立ち上がる。

「お預けだね、リーネちゃん」

「そうだね。行こっか」

 二人はブリーフィングルームに向かった。

 

 

 ◇   ◇

 

 

 ブリーフィングルームは作戦の内容などに使用される部屋だ。

 しかし、ネウロイの警報もなければ作戦をするといった事前の報告などはない。

 今回はいったいどのような案件なのか。

「さて、みんな揃ったわね」

 ミーナは部屋を見渡し、全員いることを確認する。

「中佐、急な招集だけどなんかあったのか?」

「あたしも知りたーい!」

 服の上からでもわかる見事なルックスのリベリオンと元気のよいロマーニャ人がそろって聞く。

「今から話すから落ち着いて、シャーリーさん、ルッキーニさん」

 ミーナはその質問に答える。

「今回皆さんを呼んだのは紹介する人たちがいるからよ」

 皆が疑問の表情を浮かべる。

「それって、新しいウィッチが来たってことか?」

 シャーリーが筆頭になり、質問をする。

「いえ、ウィッチではなくてウィザードよ」

「「「ウィザード?」」」

 皆は一様に不思議そうな声を出す。

「ここからは私が説明しよう」

 そう言ってミーナの横に立っていた坂本が前に出る。

「ウィザードとは、魔法力を持って生まれた少年。今回、我々501に補助部隊として数人配属されることになった」

「入ってきて」

 ミーナが扉を開けると、四人の男性が室内に入り、ミーナの横に並ぶ。

「彼らが今回配属されたウィザードよ。自己紹介をお願いできるかしら?」

 ミーナがそう言うと四人は自分たちで順番を決め、自己紹介が始まった。

 

 

 ◇   ◇

 

 

「私はスオムスからやってきました、オリヴァ・エミール・カレルヴォ・トゥオミネンと言います。階級は少尉です。皆さん、気軽にオリッパとお呼びください」

 オリッパは一礼し、列の最後尾に並んだ。

 そして、次の先頭が自己紹介するという流れだ。

「僕はエカチェリーナ・ヴァシーリエヴナ・ブダノワ、カーチャって呼んでね! 階級は中尉でオラーシャから来たんだ! みんなよろしく~!」

 カーチャはさっさと最高尾に戻る。

 次の先頭が自己紹介を始める。

「俺はブリタニア空軍所属のダニー・ジョンソンだ。階級は少佐。短い間かもしれんが、よろしく頼む」

 ダニーが下がり、最後の一人に回った。

 息を整え、ゆっくりと話す。

「ふ、扶桑からやってきました、赤松貞夫です! 階級はまだ曹長と新人でございますが、よろしくお願いします!」

 深く一礼し、ぎこちない半分更新のような動きで最後尾に戻る。

 端に寄っていたミーナが元の位置に戻る。

「以上四名が配属された、ストライクウィザードのメンバーよ。これからよろしくね」

 ミーナは一人一人と握手を交わす。

「ウィッチのみんなも自己紹介しておいてね。それと宮藤さんとリーネさんは基地内の案内をしてあげて」

「「は、はい!」」

 こうして、今日の全体での活動は終わった。

 

 

 ◇   ◇

 

 

 ほぼが解散し、ウィザード四人と芳佳、リーネの二人のみになる。

「では、行きましょうか」

 芳佳を先頭に、基地内を回ることになった。

 隊員の自室、ミーティングルーム、風呂、サウナ、ハンガーなどの主な施設を回った。

 古い遺跡を利用しているからか、設備は贅沢とは言えない。

 しかし、気候、気温、湿度などはよく、住みやすい場所であることは確かだ。

「サウナまで完備されているとは、私感激しました!」

「喜んでもらえてなによりです」

 オリッパはスオムス人。

 サウナがあれば連日の出撃などヘッチャラだ。

 扶桑人には風呂、スオムス人にはサウナ、というように重要なのだ。

「しかし、誰にも会わないねぇ……ウィッチの子はみんな自室に籠ってるのかい?」

 ダニーは不思議そうな表情をする。

 それもそのはず、整備兵はハンガーで見たがウィッチを見かけていないのだ。

 芳佳、リーネを除いて十人。

 誰一人とも会わないのは不自然だ。

「そ、それはみんなお風呂に入ってるからですよ!」

 芳佳は慌てて説明する。

「でも、今は昼間だぞ? 風呂って夜に入るものじゃないのか?」

 ダニーは扶桑文化には詳しくないのでこの際に聞こうとする。

 これから利用するだろうからルールくらい知っておきたいのだろう。

「あー、えーと……」

 芳佳は少しよそを向いて黙り始める。

 疑問が強くなり始めるダニー、そこに。

「別に普通なんじゃないですか?」

 赤松のフォローに近い言葉が入る。

「そうなのか?」

「ええ、風呂は体が汚れたり汗を流したときはすぐ入ります。訓練をして汗を流してるんですよ」

「へぇ~、体を常に清潔を保つために入るのか」

 ダニーは納得し、芳佳は一安心。

「女の子なら身も心も綺麗でいたいからなぁ……ここのウィッチはみな立派な淑女だな」

 これはダニーの勝手な想像である。

「では、基地は全て回ったので私たちはこれで。皆さんは自由にしてください」

 芳佳はそう言って立ち去る。

「あ、食堂には立ち寄らないでください。現在工事中ですので。絶対ですよ」

 リーネは念を押して言い、芳佳と一緒に立ち去る。

 まだ回っていないが、寄らなかったのはそういうことなのだろう。

「さて、各自自由らしいから、好きなようにしな。俺は部屋にいる」

 ダニーはそう言って、自室のある方へ戻った。

「僕も僕も~」

 カーチャはダニーの後を追っていく。

 オリッパと赤松の二人だけが残される。

「あのぉ……」

「は、はい!」

 オリッパが赤松に声をかけられ、過剰に反応してします。

「一緒に、外を見てみませんか?」

「……是非!」

 二人は出入り口に向かった。




手元の参考資料(漫画やラノベ)を確認しながらの作業。
少し大変ですが、それ以上に楽しいです。

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