ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~ 作:S'sran
「いやぁ……飲みすぎたなぁ」
「しっかりしてくださいよ……僕なんて寝不足ですよ」
時は経ち、翌日。
ダニーは赤松に支えられてながらブリーフィングルームに向かってたいた。
赤松は半開きの目を擦りながら歩く。
早朝からウィザードのみの呼び出しに不満を抱えながらゆっくりと進む。
「しかし、こんな早朝からとは」
「一体何なんでしょうか?」
「さあ? 着けばわかるさ」
◇ ◇
数分歩き、なんとか到着。
扉を開けると中には既にオリッパ、カーチャ、ミーナが待機していた。
「おはようございます、少佐と赤松さん。顔色凄いわよ?」
「自分は寝不足なのでなんとか、少佐は……言わずもがな、です」
「そのようね。近くの席に着いて」
ダニーを座らせ、赤松も席に着く。
ミーナは手に持っている書類を軽く確認してから話し始める。
「あなたたちの最初のお仕事が決まりました」
来て二日目にしてもう任務、あまりの早さに皆が驚く。
「あぁ……速すぎやしないかい? まだ紙面に載ったばっかですよ?」
ダニーは頭痛に頭を押さえながら聞く。
「あなたたちが来る前から決めていたことなのよ」
「どんなお仕事なんでしょうか? 私、ドキドキしてきました!」
オリッパはニヤニヤを抑えようとしたが抑えきれていない表情になる。
嬉しそうなのは誰が見ても明らかだ。
「お仕事ってことはネウロイ退治じゃないのかぁ」
対してカーチャはムッと頬を膨らませる。
お仕事と聞いて地味な仕事を想像して不満なのだろう。
「その気持ちは本番まで取っておいてくださいね、ブダノワ少尉」
「はーい」
「さて、内容についてお話します」
ウィザード全員が固唾を飲んだ。
「やってもらうことは、模擬戦です」
「「「「模擬戦?」」」」
全員が言葉を繰り返す。
「504にもウィザード隊があるので、一般的なお披露目も兼ねてすることになりました」
「へぇー……504にも俺らと同じのがいたとは初耳だ」
ダニーは意外そうに言う。
「いや、有名ですよ」
「私も知ってます」
「僕も」
「へ?」
皆が当たり前のように言い、ダニーは思わず変な声を出す。
「さては……新聞読まないんですか!?」
赤松はオーバーに驚く。
「あら、わかっちゃった?」
「このご時世、読まないほうが少数派ですよ。少佐はもっと周りのことに耳を傾けるべきです!」
「別にいいだろ、文字ばっかで面倒くさいんだよ」
「子供みたいなこと言わないで読んでください!」
「あー、わかったわかった。前向きに検討しとく。それよか、模擬戦はいつなんです?」
ダニーは頭を掻き、話を逸らす。
赤松は「後で少しお時間を」と耳打ちしてからミーナの方を見る。
ダニーはこの時、赤松になにか言い難い寒気を感じた。
「三日後の14時です。皆さん、今のうちにストライカーユニットの点検を済ませておくように」
「「「「了解!」」」」
「それでは、解散」
解散と同時にダニーは走って自分の部屋に向かったのは言うまでもない。
◇ ◇
同時刻、504基地。
廊下に三人分の靴の音が鳴り響く。
「この忙しい時期に模擬戦とかしていいのかなぁ?」
軍帽を深く被る少年が横を歩く同僚に尋ねる。
顔から不安さが滲み出ている。
「俺たちを品定めするのかもしれないな」
棒付きキャンディーを咥えながら答える少年。
片目が隠ているのが特徴だ。
「私もオリマー殿と同じ考えである」
右目に眼帯をした少年が便乗する。
「僕は不安だなぁ……」
「大丈夫だって! あんま気鬱になんなよ! 飴食うか?」
そう言うとオリマーと呼ばれた少年は軍服のポケットから大量のキャンディーを鷲掴みにして取り出す。
「プリッツル……そこまで飴好きだと少し引くよ」
「そう言うなって、ほれ」
プリッツルはキャンディーを一つ軍帽を深く被る少年の口に入れる。
味に満足したのか、少年の顔に明るさが戻る。
「味は……聞くまでもないか」
「うん!」
「フーゴ殿の調子も戻ったことだ、早速作戦会議といくぞ!」
「「おお!」」
少年たちは走って廊下を駆けていった。
遅くなりましたね、すみません。
私のさぼり癖がボロにでちゃいました。
もっと早くできればねぇ……私次第、か。
次回は模擬戦なるか、しばしお待ちを。