IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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A 今日は何日だ、今日の日付は!
B 9月7日、土曜日
A 何年の!
B 昭和94年ごg・・・
A 嘘をつくとぶっ殺すぞぉ!
B 悪かったよぉ、紀元前マイナス2019年だ



第60話 何をするぅ!何故撃った!

 「どこ行ってた、フランスまでか?」

 一夏と本音が旅館に戻ると、開口一番にラウラがそう問うてきた。

 「それが何だってんだ!俺が何しようがお前には関係ない!デカい声を出すな!耳があるんだ!テンプレどおりにただ喚き散らしやがって、それしかできんのかこの大根野郎!俺を何だと思ってる!ヒーローだ主役だ!俺に怒鳴るな!」

 映画モードの抜けない一夏は、先ほどの台詞を少し変えて再放送する。もっとも、本音以外に知る者はいないのだが。

 「もうお夕食も終わってしまいましたわよ。」

 と、セシリアが告げる。

 「お前がブッ壊したアスファルトの件で、市議会に噛み付かれっぱなしだぞ!お前が駅前でやらかしたスタンドプレーのお陰で先生には意地悪されるし、一体何を企んで何をやってるのか隠さずに報告しろ! わかったか!わかったら言ってみろォ!」

 「適当にあしらっときゃいいさ、役人なんぞクソッくらえだ。」

 セシリアを遮って千冬が話すと、一夏は先にそちらを答える。

 「お前もドジだなぁ、飯を食い損ねるなんてよ。お気の毒?」

 相手にされなかったので、セシリアはもう一度、一夏を煽る。

 「子羊の煮込みが死ぬほど食いたかったんだよ!もう半日もまともな飯食ってなかった!やってられっか!」

 「食ってきたのか。」

 「いやぁその通り、それが何か悪いのか?」

 「じゃ結構、好きな時に帰るがいいさ。男ってこれだもんな・・・。」

 だが、一夏はそこまで甘くはなかった。時間は完全に計算されており、セシリアの煽りは不発に終わったのだった。

 

 京都に到着した、その夜。千冬は京都の細い路地を一人歩いていた。

 「おーい、どうしたんだ?」

 ふと曲がり角から声を掛けられ、千冬は歩みを止める。

 「いや・・・真耶のIS輸送、ご苦労だった。」

 「もぉちろんです。プロですからぁ?」

 暗くて普通の人なら互いの顔は見えない。だが、彼女らは逸般人である。クッキリと互いの顔を認識していた。

 「良かったのか?極秘部隊とは言えその隊長が勝手に抜け出して。」

 千冬が尋ねる。

 「アンタの為なら文句も言わずに我慢するけどさぁ、いくらキツくても身になるからなぁ。」

 すると、彼女はにこりと笑ってそう答えた。

 「冗談はよしてくれ・・・」

 「いや、冗談ではない。」

 キッと表情を戻し、姿勢も正す。

 「だったら、バラの匂いに酔ってろ。ロマンが分かる。」

 「分かりました。・・・ありがとう千冬。」

 「それはこちらのセリフだがな・・・。にしても随分冷てぇじゃねえか。夜は冷えるなぁえぇ?」

 そう世間話を振ってみたが、現在の任務を抜けて来ていた彼女はもう立ち去っていた。千冬は再び歩き始め、宿泊先の旅館へと帰って行った。

 

 「ワル同士が手を組む分には大歓迎だ。ね、“元”イタリア代表アリーシャジョセスターフ。」

 「あ、どーも。」

 借りている高級ホテルをことごとく襲撃・破壊されても、それでもまた懲りずにスコールは高級ホテルを借りていた。

 「言っとくが私は、人とは組まないのサ。対織斑千冬以外はパスさせてもらうのサ。」

 「何だとこのクソアマ!」

 早速の身勝手なルール制定に、オータムがキレる。

 「クソアマって誰?私の事サ?」

 出された料理を食べながら、アリーシャはオータムの話し相手をする。

 「ほかにいるか?」

 オータムが拳銃をアリーシャの頭に突きつけた。

 「ぶっ殺してやるゥ?!」

 が、逆にそれを奪われて突きつけ返される。

 「おぉい、落ち着けぇ。オータム、私はそれを織り込み済みで誘ったのよ。2~3人ひっかけて掛け持ちさww」

 「!?」

 突然の不倫宣言。オータムは衝撃を受けて膝から崩れ落ちる。

 「んんっ・・・兎に角、次の作戦は、オペレーション・エクスカリバー。覚えとくんだな!」

 流石に冗談が過ぎた。スコールは予定を伝えた後、オータムのメンタルケアに追われる羽目になった。

 

 

 

 「RingGong・・・RingGong・・・I will tessyuu♪」

 どこぞの筋肉モリモリマッチョマンが主役の映画のエンディングを、何もない空間で少女が口ずさんでいた。

 「デイジー、ねえデイジー・・・教えてほしいの。」

 彼女は気の向くままに、頭の中に浮かぶ曲を真っ黒な巨大な空間に向けて歌う、歌う、歌う。

 「うるさいなぁ!いちいち質問ばかりしやがってトークショーの司会のつもりか?黙ってろ。・・・モード、エクスカリバー起動・・・。」

 少女が気持ちよく歌っていたところに、突如の命令。悪態をついた少女は、すぐに命令の実行に移行する。

 「いたぞ!見つけたぁ!」

 「フォルテっす、いたぞぉ、いたぞおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 そのとき、少女のもとに侵入者が現れた。

 少女はすぐにシステムの電源を落とす。

 「これは・・・」

 「バッテリー切れですぅ・・・」

 暗くなった施設に、侵入者はガックリと肩を落とした。

 

 

 

 「「いぇーい!!!」」

 PON!POPON!!とクラッカーの乱れ打ち。

 「何だこれは!?」

 一夏が生徒会室に入ると同時の出来事であったため、彼は何事だと驚く。

 「もう十二月だよ?クリスマスが来るから、席を空けないと。」

 「イブになってからでいいだろ!」

 あと何日あると思っているんだ。クリスマスまで毎日されては、流石に一夏とて叶わない。

 「アンタさ、他に言うことないわけ?」

 シレッと紛れ込む鈴。もはや誰も気にしない。

 「クリスマスの準備も、生徒会の仕事だよ~。」

 「何でクリスマスの準備が生徒会なんだ?各生徒でやればすっきりするのに。」

 それは生徒会による職権の乱用ではないのか。一夏は彼女たちの考えを糾弾する。

 「も~おりむーたら古いんだぁ。兎に角、一緒に買い出しに行くのだ~」

 しかし、呑気を擬人化したと行っても差し支えない本音の前には無意味であった。

 「ねえ本音、一緒に連れてって。」

 「OK!」

 「ぃよっしゃぁ!それじゃ、日曜日に。」

 「了解。」

 一夏の意見は完全に無視され、たった十数秒の会話でクリスマスの前祝いの買い出しが決定した。

 

 翌日は日曜日。一夏達は、朝から買い出しに街へ出ていた。

 「生徒会で出かけるのも久しぶりだな。」

 一夏は歩きながらメンバー(本音)を一瞥して、そう言う。

 「久しぶりぃ?初めてじゃねぇか?」

 「き、気のせいダヨ。」

 そう言えば、生徒会のメンバーのなかで一緒に買い物に行ったのは楯無ぐらいだったと、一夏は目を逸らした。

 「ふっふ~ん?だと良いが?ところでおりむ~、服は洗濯中か?それで着るものがないの~?」

 学園にいるときと同じ、つまりIS学園の制服を着ている一夏を見て本音は茶々を入れる。

 「着るものがない、そうだ。」

 すると一夏は、恥ずかしがるとか悪びれるとかそんな様子もなく、ただ淡々と返した。

 「制服?フッ、裸よりひでぇぜ。目立ってしょうがねえや。」

 仕舞いには簪にまで馬鹿にされる始末である。

 「ああ、もうサインを数枚に、写真を数十枚盗られた。」

 「おりむ~、お前さん目立ちすぎだ、服屋に行こう、な?」

 一夏は、超が付くほど周りを気にしないと本音は思っていたが、彼女が知らぬうちにそこまでやっていたと知るや、態度を一変させた。

 「オッケイ!二人に連絡してくれ。」

 「よし来た任せてくれ。」

 まだ来ていない楯無と簪に、本音はメールを送った。

 

 「お~二人とも~、今おりむ~着替え中~。」

 十数分で、更識姉妹が売り場に到着する。その姿を見つけて、本音は大きく手を振って二人を呼び寄せる。

 「間に合った・・・。」

 「(遅れてたら)間違いなく死ぬな・・・。」

 二人の不安は、しかし現実のものとなる。

 本音が指し示す試着室から、どう考えてもこの売り場で揃えた服などでは出るはずのない、ガチャッ、キュッ、ガシャンという、金属や紐を縛る音が聞こえてくる。

 しばらく待っていると、デェェェェン!と言う効果音とともに試着室のカーテンが自動で開いて、完全武装の一夏が現れた。

 「待たせたな。」

 「織斑君、それ野戦服・・・」

 「一夏・・・余計目立つ?」

 繁みや山の中なら、その服装で確実に姿は消せるだろう。だが、ここはショッピングモール。その格好では浮くのが確実だった。

 「え~?そうかなぁ?」

 「そんなことないだろ?本音も言ってる。服のお礼だ。」

 都合のいいところだけは本音を褒める。何て適当な男だと、更識姉妹は呆れてものが言えない。

 「やった~」

 そんな二人をよそに、お礼のクリスマスプレゼントを貰った本音は大喜び。

 「あー、本音!ずるい!」

 「私も・・・欲しい・・・『インディゴ・フリート』のBDBOXで、良い・・・。」

 たまらず、二人もクリスマスプレゼントをねだる。簪に至っては、品物まで指定するしたたかさを発揮する。

 「会長にはこれをやる。」

 しかし、そこは一夏。本音だけにプレゼントを買うというケチ臭いことはしない。買うならみんな纏めて、の精神だ。

 「わ、ありがt・・・重ッ!?ナニコレ?!」

 一夏が投げ渡してきた固まりを、楯無はよろめきながら受け取る。

 「西欧テクノロジーの結晶、200kgのダンベル、2000ドルもする。YARUYO☆」

 「あ・・・ありがとう・・・」

 「お姉ちゃん・・・ドンマイ。」

 あまり嬉しそうではない楯無。それでも、一夏とただ一緒にいる、それだけで筋肉は付く。楯無は落とすことなく持ち続けていた。

 「簪はコレだ。」

 そう言って、一夏がディスクを手渡す

 「この中に、エロ動画入れて持ってるんじゃないの?」

 ニヤニヤしながら、楯無がそういう。どこからその自信は湧いてくるのか、連敗を重ねているにもかかわらず一夏を冷やかす。からそう言う結果になる。

 「救いようのない女だな・・・。」

 「お姉ちゃん、最低。」

 「酷い!私は変態じゃない!簪ちゃんを守ろうとしただけなんだ!」

 まさかの妹からもスカンを食って、楯無は狼狽える。それでもまた懲りずに、一夏を冷やかしてやろうと企んでいる。

 「・・・からかうのはこのくらいにしとこう。」

 「で、これ・・・何?」

 楯無を黙らせたところで、簪はディスクの中身を一夏に尋ねる。

 「コマンドー、吹き替えの帝王、完☆全☆版!!!よく見て勉強しとくんだなダンナぁ」

 「・・・・・ありがとう///」

 一夏の仲間に加わって日の浅い簪のために、一夏は最大元気を聞かせる。その思いやりを、簪はしかと受け止めた。

 「それでも嬉しいのね・・・簪ちゃん・・・」

 その様子を、楯無は寂しそうに見つめていた。頑張れ、生徒会長。

 

 「見ろぉ!バーガー屋だ!牛肉の塊が死ぬほど食いたかったんだよ!」

 買い物を続けている内に、お昼が近付いてきた。パッと目に入ったハンバーガー屋に本音がピコンッと反応して釘付けになる。

 「大好きな具はアザラシの子供、クジラのケツ、夏が旬だ。だが今食いたいのは・・・チャイニーズだ。」

 だが一夏は、中華料理にするべきと反対した。

 「・・・飢え死にするしかない・・・。」

 しかし簪も本音の意見に賛同し、戦況は一夏にとって不利であった。

 「そういえば、たっちゃんはさ~、昔オーダーは取りに来るとおもって聞く耳持たなかったじゃねぇか!」

 突然、本音が楯無イジメを始める。たまらず楯無は「やだ!またその話!?」と声を上げた。

 「さすがはお嬢さんだな、全くお笑いだ。」

 間髪入れずに一夏が追撃を仕掛けた。

 「うるせぇ黙れぃ!」

 そこを触れられる筋合いはない。楯無は一夏を一喝した。

 「それによぉ、コイツ、ハンバーガーを硬いナイフとフォークで食おうとしやがった。」

 「それはいけねぇ、バーガーてのは、一口で!飲み込むもんだ!」

 更に過去を暴露されて、楯無は完全に顔を赤くしてうずくまった。

 「スペシャルバーガーお待たせしましたぁ!」

 とか何とかやっている内に一行は注文を済ませており、出来上がったそれを受け取って席を探し始める。休日の昼時とあって、店内は様々な客層で賑わっていた。

 「口開けろぉ!開けやがれこのぉ!バーガーねじ込んでやるんでぇ!食い方が分かるようになぁ!」

 座れないのなら、このまま食べればいいと、一夏はハンバーガーを一つ持って楯無を揺する。

 「・・・ぁ」

 と、何故か簪がそれに反応して口を開けていた。楯無ほどのタフネス設計ではない簪相手にそれはできないと、一夏は躊躇いを見せる。

 「かんちゃん、無理に一口で食べなくていいんだよ~。冗談が好きなんです。」

 「・・・そう。」

 残念そうにする簪。

 「二人とも助けてよ!」

 いつまで経っても見守るだけの従者と妹に、楯無は涙目で訴える。

 「え~?いや~イチャイチャしてるから~。」

 ニヤニヤ笑いながら、本音が言う。

 「お前さん病気だ、医者に行こう、な?」

 「コロすぞ。」

 「冗ぉ談だよぉ!?」

 まさか本音からそんな物騒な言葉が出てくるなんて思っていなかった楯無は、驚いて後退った。

 「飯食ってる時ぐらい静かにできんのか!?」

 と、突然一夏がキレた。

 「「「アンタが言うか!?」」」

 そして、全員からそう言い返されるのであった。




B 上手いねぇ。作BにMAD版を書かせる方が楽だもんな。違うか?
A いやぁその通り、それが悪いのか?俺は小説に直してる。
B 話が脱線してる・・・

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