IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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B コメントがたまってるぞ
A 読者がコメントをくれているのは分かっている・・・(今の)俺には返信ができないが



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第50話 子守は得意じゃない

 その日、倉持技研の正面玄関前に、髪は濃紺、身長170cm、白基調の服を着た筋肉モリモリ、マッチョマンの、そらもう大物の変態が立っていた。

 〈ここがそうか。走ってくるにはちと遠いが、いい運動になった。だが・・・面倒だ。〉

 

 それは、遡ること3日前の夜。

 「織斑君、倉持技研からオーバーホールの――」

 「そうか、日時を・・・あぁーめんどくせえ!任せた!」

 一夏が食堂でくつろいでいると山田先生が現れ、またIS関係の持ち込んできたので大気状態の白式を山田先生に投げつけた。

 「グエッ!?」

 「・・・分かったよ。」

 だが、山田先生では白式を持ち上げることが叶わず、一夏が自分でその用を済ませる必要ができてしまった。

 

 そして今に至るというわけだ。

 「ドアノブがないな。・・・OK!」

 正面玄関のガラスでできた大きなドアが自動式であることは一目瞭然だったが、正面に立っても反応を示さなかったため一夏はロケットランチャーでドアの周辺ごと吹っ飛ばす。

 「ん~少年、イイ威力だ。」

 直後、声を掛けられる。近くに人がいたことは承知の上での行動だ。

 「そう思うか?」

 一夏が振り向いてみると、そこには首と腹の部位にバリィボールを二つ詰め込んで、それでいて服装は水着という奇抜この上ない女性が立っていた

 「もう少し派手な方が好みかな。」

 「俺もだ。」

 (クレイモア)をちらつかせ、手加減していたことを一夏はアピールする。

 ほどなくして、建物の中から爆発音を聞きつけた研究員らしき男性が駆け足で出てきた。

 「あぁ!?所長!何やってるんですか!!」

 彼は瓦礫の山と化した玄関を見るなり、奇抜な女性を叱りつける。

 「いやいや、私じゃなくてこの少年が――」

 「いい大人が責任転嫁しないでください!で、君が織斑一夏君だね?大丈夫だっ・・・大丈夫そうだね。」

 一夏を知らないからこういう反応なのか、知っていた上でこの女性がやらかしまくっているのか。が、話しを紛らわしくすることもないだろうと一夏は傍観に徹する。

 「あぁ、早く案内してくれ。不審者の子守は得意じゃない。」

 しかし、いつまでもそのやり取りを見ているのも暇だったので、話題を切り換えて話しを断ち切る。

 「すまないね、所長は見ての通り変態で。」

 「私は変態じゃない!」

 男がそうディスると、間髪を入れず女性がモリを投てきした。

 幸か不幸か、男はしゃがむことでそれを回避。お陰で、一夏目掛けて一直線に飛んでくる。

 「今度投げてみろ。・・・殺すぞ。」

 もっとも、ご自慢の反応の良さで難なくキャッチした。まあ、当たってもかすり傷にもならないだろうが。

 「悪い悪い。しかし、少年、イイ反応だったぞ。それより、私の部屋でイイコトしないかい?」

 「断る。」

 内容は速攻で察しがついたので、キッパリと断る一夏。

 「ババ抜きとかさあ?」

 「二人でか?抜いてる暇もねえよ。」

 「じゃあ――」

 「所長黙ってください。申し訳ないね。少し待ってて貰うようになるけど、冷えたジュースでも飲みながら待ってて。」

 そこへ男が割り込み、一方的な会話を強制的に中断させた。

 「あぁ、できるだけ早くしてくれ。」

 そういうと、瓦礫を乗り越えて建物の中へ進む一夏。それを追いかけて来る、ずぶ濡れの女性。

 「所長!体拭けッてんだこのを!」

 そう言って女性にタオルを投げつける。

 「ヌハハハ!気にしたら負けだ!!」

 「後で掃除しなくちゃいけないでしょうが!」

 「そうかそうか。では乾くまでここにいよう!」

 「どれだけ時間を――」

 「すぐ乾かしてやるよ!」

 埒が明かないと判断し、一夏は火炎放射器を女性に向けて発射した。

 「これで乾いた。」

 「おぉ、いい感じだ。採用するよ、織斑君。」

 丸焦げになったそれを見ながら、二人は腕を組んで頷く。

 「少年。女性はもう少し優しく扱うものだ。」

 軽く咳き込みながら、炭がそう話す。

 「そうか、心に誓おう。」

 「心はあるのかい?」

 「実を言うと持ってない。」

 気が付けば、火炎放射器は一夏の手から消えていた。

 「ふははは、そう言うと思ったよ。」

 「分かったなら、早く来てくれ。」

 「ういー!すぐ行くから待っててナー。」

 炭とは一度分かれて、一夏は単独で移動を開始した。

 

 それから待つこと30分。

 「お待たせ、待った?」

 着替えを済ませ、白衣を纏って女性が戻ってきた。もう炭ではない。

 「遅刻だ。」

 時計を見ながら、彼は投げやりに答えた。

 「少年、一つ教えておこう。女性に待ったって聞かれたら、今来たところだって言うものだよ!」

 そんな一夏に、女性は紳士の心得を説いた。それが、馬の耳に念仏であると疑うこともなく、だ。

 「本当にそうか?」

 「?」

 故に、一夏の反論の真意を全く想像できない。

 「少なくとも俺の知り合いには、そんなヤツはいない。」

 「それは君が思っているだけさ。乙女の美学を分からないやつはモテないぞ?」

 「それで結構。初めてくれ。」

 別に一般常識は求めていないと切り捨てると、一夏は待機状態の白式を機械の上にセットした。

 「ふーん、張り合いがないナァ。」

 「そいつは、お互い様だ。」

 そう言うと、一夏はドカッとソファーに腰掛け首を回す。

 「そう言えば、挨拶がまだだったね。私の名前は――」

 「篝火ヒカルノ。倉持技研、第二研究所で所長を務める。違うか?」

 「んー、惜しい。少し足りない。」

 「千冬姉と天災の同級生ってことか?高校の。」

 目を瞑ったまま、面倒くさそうに追加の情報を話す。

 「良く知ってるね。どこで仕入れた情報?」

 篝火は、それでも特に驚くと言うこともなく作業を開始する。

 「手先をチョチョッと動かせば、この程度の情報は手に入る。・・・知り合いが言っていた。誰だったかな。忘れちまった。」

 「まあ、いいかぁ。それよりもISだね。どれどれ・・・セカンドシフトしたって聞いてたけど、まさかここまで変化するかなぁ?」

 しかし、ISの解析を始めると彼女の興味は一夏からISへと一瞬でシフトした。

 「あぁ、重くて使い物にならない。全部取っ払っちまってくれ。」

 火力馬鹿ではあるが、固定砲台に用はない。厳密に言うのであれば、持ち運べないほど重い固定砲台に用はないである。

 「んーダメージの蓄積は・・・ないね。使った?」

 「2~3時間ぐらいは。」

 「」

 そこまで使われていないのは予想外だったようで、篝火は返す言葉が思い付かなかった。

 「取り外せるか?」

 「できるさ。こっちの技術者を総動員してやるよ。」

 我々にできないことはない、と彼女は断言した。

 「どのくらい掛かりそうだ?」

 「明日までには余裕っしょ。完徹するからね。」

 「あぁ、余裕だな。帰って良いか?」

 ここはやることがなくて暇すぎるからと、一夏は出口を指差す。

 「ン~?ISがなくてもいいなら。」

 「永遠に持っててもいいぞ。・・・暇なら明日取りに来る。」

 思わず本音を漏らした一夏だったが、流石に取り外して貰うのにそれは失礼と思ってすぐに訂正したのだった。

 

 「かったるいわ。」

 一夏が倉持技研で面倒な研究者の子守をさせられているのを知ってか知らでか、IS学園の食堂で鈴が何の脈絡もなしに呟いた。

 「鈴、どうしたの?」

 その呟きに、一緒に食堂へ来ていたシャルロットが首を傾げて尋ねてみる。

 「シャルロットは分からない?」

 「?」

 鈴がいつになく怠そうなのを見てもなお、彼女には何が何やら検討がつかず、首の傾けた角度がさらに大きくなる。

 そして、その答えは鈴が言うまでもなく彼女の知るところとなった。

 「非常シャッターが!?どういうこと!?」

 突如としてシャッターが閉まり、外からの光が遮断されたのだ。辺りでは、生徒達が動揺して軽いパニックが起きかけていた。勿論、一組の生徒に限っては、堂々とお喋りに励んでいるが。

 「避難訓練の話は聞いてないし・・・。何かしら?」

 シャルロットも大分この手の非常事態には慣れたお陰でわめき散らすといたことだけは回避していた。そして鈴は、相変わらず呑気にジュースを飲みながら感想を述べる。

 「よ、余裕だね。」

 「少し黙ろ、このオカマやろう。べらべら喋りやがって。千冬さんから指示が出るわよ。」

 直後、計ったように無線から千冬の声が聞こえてくる。

 『聞こえるか?専用機持ち。地下のオペレーションルームに集合しろ。マップを送る。各自で確認しろ。極力()()は壊すな。OK?』

 「どうしよう・・・。」

 それだけ言って通信が切れてしまい、転送されてきたマップにはルートも何も表示されない。これでは何の手の打ちようもないと、シャルロットはオドオドする。

 「遅れるわよ、急ぎなさいって。」

 しかし、鈴はいつも通りであった。

 「行くって、どうやって!?ドアは全部閉まってるよ!?」

 どうせまた出たとこ勝負だろうと思ったシャルロットは、少しパニックに陥りかけていた。おい、専用機持ちだろしっかりしろ。

 「こうやるのよ!」

 オーバーアクションを取るシャルロットを他所に、鈴は甲龍を展開して床を撃ち抜いた。

 「こ、壊すなって織斑先生が!!」

 まさか鈴は話を聞いていなかったのではと、シャルロットはこの後のことを考えて自身の血の気が引いていくのが分かった。

 「『ドアは』でしょ?床と壁は言ってなかったわよ。」

 「」

 嘘でしょと、シャルロットは目を見開いた。

 「時間がないわ。行くよ!」

 「あ!?ま、待って!!」

 そうして硬直していると鈴に抱えられ、急に重力が消えたと思ったときには自由落下を開始していた。

 「ギャアァァァァァァ!?!?!?」

 「楽しい?」

 「もうごめんだよぉぉぉぉぉ!!」

 しかし、シャルロットの叫びは虚しく消えていった。これも筋肉式に慣れたせいなのか、彼女の頭の中にISを使うということは全く浮かんでこなかった。

 

 「更識姉妹。折角の友情を壊したくないが、20秒の遅刻だ。」

 時計を指差しながら、千冬はそもそも設定していない制限時間の話を始めた。

 「これでも早いほうです。と言うか!みんな学校を壊しちゃ駄目でしょ!織斑先生が言ったじゃない!」

 しかし、楯無のその叫びに同意を示したのは簪だけであった。まあ、シャルロットは放心状態になっているのだが。

 「私はドアを壊すなと言った。違うか?」

 「違いが分かりません!」

 「そうか。では教えてやる。ドアは可動する。修理が面倒だ。だが、壁や床はどうだ?所詮鉄筋とコンクリでできている。直すのは容易い。」

 「ケーブルとか切ったらどうするつもりなのですか?」

 「何だ?お前たちは壁の向こうに何があるかも分からないのか?」

 「「」」

 最早次元が違いすぎると、まだ一夏達の所業に慣れていない更識姉妹は愕然とする。

 「時間が惜しい。状況を説明する。クラッキングされた。」

 IS学園は世界一のセキュリティーシステムと謳っているが、一夏とその仲間達は誰一人としてそれを信じていないので誰も驚かない。更識姉妹は、先ほどから驚き続けで麻痺していて、これでは驚かなかった。

 「そりゃ大変ね。」

 「あぁ。どうせあのアホの仕業だ。どうせ中身自体はクソほどもねえ。」

 「それより、侵入者の方が問題だな。」

 「「「!?」」」

 今到着した山田先生を含め、三人が目をパチクリさせる。

 「何を驚いている?」

 「お、織斑先生。今侵入者って・・・。」

 恐怖に手を震わせ、山田先生が尋ねる。

 「あぁ?前から潜水艦で潜んでたろ。知らないのか。」

 「初耳です!何で言わないんですか!」

 「ぼ、僕も初耳です!」

 簪も首を縦に振ってシレッと加わる。楯無は、潜水艦の方は捕捉していたので驚かなかった。

 「新聞読め。」

 「書いてないですよ!」

 「そうか。では更識簪、デュノアはクラッキングの対処に当たれ。鈴はここに残ってこいつらの子守だ。」

 現地に送ると足手纏いになると判断して、千冬はその二人プラス護衛に鈴を残す采配を下す。

 「「・・・え?」」

 「得意じゃないけど、しょうがないわね。」

 まさかハッキング要員に充てられると思っていなかったのか、シャルロットと簪は呆然とする。まあ、この二人以外は対処の方法が物理になってしまうので最善である。

 「残りは私と侵入者狩りだ。行こう。」

 右手を振って千冬が通路へのドアをくぐろうとすると。

 「教官!」

 ラウラに呼ばれた。

 「先生と呼べ!」

 「ハッ!織斑先生!奴らの場所が分かりません!」

 それには他の全員が頷いており、ラウラの情報が遅れているというわけではない。と言うか、侵入者の場所が分かっているならそもそもこんな大勢は必要ないわけで、招集を掛けた本当の理由は。

 「学園が無駄に広いせいで私にも分からない。手分けして探す。篠ノ之、お前は区画(仮称)1、オルコットは2、ラウラは楯無と組んで広い3に行け。私は4に行く。」

 と言うわけだ。つまり、珍しく人海戦術を展開するというのだ。

 「歓迎してやれ。七面鳥を撃ちに行くぞ。」

 その声とともに、シャルロットと簪、それから山田先生を残してその部屋から誰も居なくなった。




B ここから撃って(コメントに)当たるかなぁ・・・・・?
A こんな作品を(朝の四時半に)読みに来るヤツはいない!
B 組合員は来る!

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