IS×椎堂ツムグ、ネタ   作:蜜柑ブタ

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シャルロットを贔屓しているわけではないのですが…。なんかそんな感じになったかも。


第十二話  ラウラからの挑発と、シャルロット

 

「……なあ、どう思う?」

「迷惑この上ないね。」

「何をしている。さっさと私と戦え。」

 ラウラは、二人の呆れを無視してそう言い、イチカは、大きくため息を吐いた。

 

 時は、少し遡る。

 

 シャルルの見学も加えてアリーナを借り、ツムグと特訓をしていた時だった。

 ラウラが突然やってきて、自らの専用機を展開し、いきなり戦えと言って来たのだ。

 ズンズンと二人のいるところに迫るラウラに、スタッフ達は止まるよう声をかけたがゴツイISを装備した相手に敵うはずがなく、そしてラウラが聞き入れなかったためスタッフ達は道を開けざる終えなかった。

「まるで黒いウサギだね。」

 それがラウラの専用機の第一印象だ。理由は、ラウラの頭部に耳みたいな突起があるからだ。

「どこがウサギだ。あんなゴツイの。」

 ツムグの言葉にイチカがそう返した。

「来ないのか? ならば私が戦わざる終えないようにしてやる。」

「待ってー。」

 ラウラの肩の実弾が火を噴いた。

 イチカの間に入ったツムグが打鉄でイチカを庇った。

「邪魔をするな。」

「イチカは、戦えるよう調整してないんだ。だからやめて。下手するとイチカが死ぬ。」

「その程度で死ぬなどとは、軟弱だな。」

「いや、そうじゃなくて…。」

 ラウラは、聞く気がないらしい。

 ツムグの後ろで、イチカは、白式を解除し、スタッフに促されてアリーナから退避しようとした。

「逃げる気か!」

「こんな形で死んでたまるか。」

 イチカは、そう言って走った。

「ふん。これが、教官の弟だとはな…。見損なったぞ。」

「なんだと?」

 イチカは、止まった。

「貴様の所為で教官は、毎晩うなされておられるのだ。貴様さえいなければ教官は苦しまずに済む。」

「それこそ君が言う教官…、織斑先生を苦しめるのに?」

「存在していなければ、苦しむことはない。」

「わぉ。これが狂信ってやつ?」

 ツムグは、肩をすくめた。

 ラウラの千冬への妄信は、凄まじいらしい。

 おまえが言うなと、守代を始めとしたスタッフ達は思った。

「悪いけど、君の妄信のためにイチカを死なせられないんだ。諦めて?」

「どけ!」

「イチカー、乗っちゃダメだよ? 死にたいなら別にいいけど。」

「……ぐっ…。」

 イチカは、悔しそうに拳を握り締め、渋々背中を向けてアリーナから去った。

 ラウラは、舌打ちをして自分のISを解除した。

 

 このあと、ラウラは、千冬にこってり説教された。

 教室に戻っても、ラウラから臆病者呼ばわりされ散々だったが、イチカは、無視を決め込んだ。

 ツムグは。

「よく我慢できました。」

 っと、子供を褒めるように言い、イチカから睨まれた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 後日。

「……はぁ…。」

「……もしかして…、知ってた?」

 目の前には、シャルル。

 いや、シャルルという名を騙っていた少女がいた。

「迂闊だね~。」

 ツムグは、両手をすくめた。

 シャワールームからボディーソープを取りに出ようとしたシャルルは、運悪くイチカとツムグに遭遇してしまったのだ。

 ……裸体で。

 とりあえずシャルル、改め、シャルロットの着替えをさせ、誰もいない部屋に連れていった。

「じゃあ、初めから気付いていたんだね…。」

「ああ…。」

 転校初日からシャルル(シャルロット)が、女子だということが分かっていたことを伝えると、シャルロットは、項垂れた。

 それからシャルロットは、聞いてもいないのに、自らの身の上の話をしだした。

 自らの父親であるデュノア社に命じられ、男のふりをして編入し、男性装者であるイチカと白式のデータを盗んで来いと言われたのだと。

「なんで従ったんだ?」

「それは、僕が愛人の子供だからだよ。」

「愛人の子だからって、従う必要はないだろ?」

「…調べていく過程で、僕はISの適性が高いことが分かって、非公認だけどテストパイロットにされたんだ。」

「子供は親を選べないからね。」

「本当だね…。」

「ツムグ。」

「イチカ。君も人のことは言えないけど。」

「っ…!」

「えっ、どういうこと?」

「イチカの両親は、イチカと千冬先生を置いてどこかへ消えたからね。それからは、千冬先生が親代わりをして頑張ってたわけ。」

「そうなんだ…。って織斑先生ってイチカのお姉さんなの?」

「あーもう、なんでそんなこと言うんだよ…。」

 イチカは面倒くさそうに頭をかいた。

「しかし、男装なんて早々にバレると思うし、嘘ついて学園に来たとなったらフランスに抗議も行くし、デュノア社も問題追及は免れない。どう足掻いたって、デュノア社に未来はなかっただろうね。」

「あんたがそう言うなら、そうなんだろうな。」

「そっか…。じゃあ僕のやってきたことは無駄だったんだね。」

「それより、おまえ、これからどうするんだ?」

「…きっと本国に連れ戻されるだろうね。それからのことなんて分からないや。」

「かと言って、デュノア社が今取り組んでいるプロジェクトを失うには、ちょっと惜しいな。」

「えっ?」

「はっ?」

「ちょっと、待ってて。」

 ツムグは、少し離れると携帯電話を出し、どこかへ電話をしだした。

 数分後、電話を切ったツムグは、二人の方を見た。

「シャルロットちゃん、とりあえずデュノア社は、他会社の傘下に入るけど、君は今後も学園にいていいから。」

「えっ?」

「デュノア社の経済状況じゃ、そうするしかもう道はないからね。でもその代り、君の身元については、君が二十歳になり次第デュノアの戸籍から外れるから。二十歳になるまでは、ちょっと待ってて。」

「えっ? えっ、えっ?」

「ツムグ…、あんた…。」

「その代り、本当に意味でたった一人になる。それからは、君次第だ。分かった? あ、そうそう、その前に一回フランスに帰ってもらってから、学園に戻るって形にはなるけど、いい?」

「僕が…自由に…?」

「そうだよ。戸籍を抜くことは法律上できる。ある程度年齢を重ねたらね。戸籍って案外簡単に外せるんだよ。」

 ツムグがそう言うよりも早く、シャルロットは、泣きだした。

 イチカは、シャルロットの背中を摩った。

「まあ、だからって肉親には変わらないから、その辺は君自身の中で折り合いをつけてね。」

 ツムグは、最後にそう付け足した。

 

 

 更に後日。

 フランスへ一度帰ったシャルロットは、シャルルではなく、本名のシャルロットの名で学園に戻ってきた。そのためシャルロットを男だと思っていた女子達は大変残念がった。だが妄想力の強いというか…なんというか、そういう女子は、シャルロットがボクっ子だという点を見て新たな萌えを見出していたりした。

 戻ってきて早々、シャルロットは、ツムグに頭を下げてお礼を言った。

 フランス大統領の保護下の元、身元の保証をしてもらい、彼女を縛っていた原因であるデュノア夫人(シャルロットの父親の本妻)の手が及ばないようにしてもらったことを伝えられ、またその手続きをしたのがツムグだと知らされたからだった。

「あんたって、よくわかんねーよな。」

「まあね。ただの気紛れ。」

 嫌悪の目の中に、シャルロットのキラキラとした眼差しが混ざって変な状況になった中、ツムグは変わらず笑って言った。

 




ツムグになんか熱い視線を向けるようなったシャルロットです。
惚れてるかどうかは別として…。

ラウラの件は、次回かな。

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