「何で俺達がこんな漫画みたいな目に...........。」
ぶつぶつ言いながら歩いているのはミノルを含め『異世界』に飛ばされたクラスメイト達だ。異世界に喚び出された直後、生徒達は混乱状態になり中には泣き出す者まで出る始末だったが喚び出した人達から事の次第を告げられると落ち着きはしないものの、何とか状況を呑み込むことが出来た。喚び出された理由としては何でも、この世界には大きく分けて三つの種族が有り人間族、魔人族、亜人族。特に『魔人族』と人間族は数百年に渡り戦争を続けてきた。所が最近異常事態が発生しているようだ。魔人族による魔物を使役である。魔物とは動物が魔力関係の影響を受けた所謂突然変異体だ。この危機に対し召喚主の『エヒト様』と呼ばれる神は異世界から勇者達を喚ぶ事にしたらしい。実はこの世界の住人より異世界の住人達の方が数十倍優れたスペックを有しているんだとか。実に迷惑極まりない話である。さて、今ミノル達が向かっているのは王都である。そこでこの世界では身分証代わりになる『ステータスボード』を受け取るのだ。と、そんな事を話している内に目的地に着いたようだ。美しい意匠の凝らされた巨大な両開きの扉の前に到着すると、その扉の両サイドで直立不動の姿勢をとっていた兵士二人がイシュタルと勇者一行が来たことを大声で告げ、中の返事も待たず扉を開け放った。
イシュタルは、それが当然というように悠々と扉を通る。一部の者を除いて生徒達は恐る恐るといった感じで扉を潜った。
扉を潜った先には、真っ直ぐ延びたレッドカーペットと、その奥の中央に豪奢な椅子――玉座があった。玉座の前で覇気と威厳を纏った初老の男が立ち上がって待っている。
その隣には王妃と思われる女性、その更に隣には十歳前後の金髪碧眼の美少年、十四、五歳の同じく金髪碧眼の美少女が控えていた。更に、レッドカーペットの両サイドには左側に甲冑や軍服らしき衣装を纏った者達が、右側には文官らしき者達がざっと三十人以上並んで佇んでいる。
玉座の手前に着くと、イシュタルはミノル達をそこに止め置き、自分は国王の隣へと進んだ。
そこで、おもむろに手を差し出すと国王は恭しくその手を取り、軽く触れない程度のキスをした。どうやら、教皇の方が立場は上のようだ。これで、国を動かすのが“神”であることが確定だな、とミノルは内心で溜息を吐く。
=============================================(ステータスボード受け取りまでカット)
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いよいよ、待望のステータスボード発表だ。王国騎士団の団長から説明を受けた後ステータスボードを受け取り、針を指に刺し滲み出た血をステータスボードに擦り付け「ステータスオープン!」と言うと、それまで唯の鉄板だったステータスボードに文字が浮かび上がり思わずミノル以外のクラスメイト達は感嘆の声を上げた。因みにミノルは指に針を刺すのを躊躇っているようだ。そんな中クラスメイト達が次々と天職に目覚めていく。
「おっ、俺の天職“戦士”だって。」
「私は......“闇の魔術師”?」
「何それカッコイイな。俺は......“重闘士”か。」
聞く所によると天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるらしいが戦闘系は千人に一人、ものによれば万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるらしい。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いとか何とか。団長の話をざっくり纏めるとこんな感じだ。そんな中で天之河光輝という少年は何と勇者という天職に目覚めたらしい。そんな彼のチートステータスがこち
ら。
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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団長の話によるとこの世界のLv1の平均は10位らしいから明らかに異常だ。技能も最初は二つか三つらしいがそれを遥かに超える数の技能を持っている。これでも充分チートなのだがもっとぶっ壊れた性能を持っている者もいたすなわち.........。
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意を決して針を指に刺し半分涙目になりながらもステータスボードに血を擦り付けた。ミノルのステータスボードは......。
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壠瀧ミノル 17歳 男 レベル:1
天職:半神
筋力:5000
体力:5000
耐性:5000
敏捷:5000
魔力:5000+5000
魔耐:5000
技能:極全属性適性・超全耐性[+全異常状態耐性][+全属性耐性][+極物理耐性][+極魔法耐性]・神位複合魔法・全武器超適性・未来予知[+危険予知][+自動発動]・超高速魔力回復・神歩[+飛翔][+浮遊][+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]・神眼[+魔力感知][+気配察知][+アイテム探知]・神化[+限界突破]・全種族言語理解・極魔力増加・半不老不死・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・魔力変換[+体力変換][+治癒力変換][+衝撃変換]・魔法吸収[+吸収力強化][+吸収治癒]・五感強化[+視覚強化][+夜目][+聴覚強化][+味覚強化][+食材判別][+触覚強化][+物質判別][+嗅覚強化]
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思わずステータスボードを落としそうになるミノル。聞いていた話と全く違うでは無いか。“極魔力増大”の影響なのか既に魔力が1万を超えている。それにLv1で勇者である光輝の五十倍のステータスが確定している。それより天職が半神とは一体なんなのか。色々な事がミノルの頭の中で渦を巻き、それに耐え切れなくなったミノルは半狂乱で訓練所から飛び出ていく。当然気づいたクラスメイトや団長達が慌てて追い掛けるがあまりのスピードで団長達が城の入り口付近に来る頃には既にミノルの姿は消えていた...。
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漸く落ち着いたミノルが今いる場所それは、全百階層からなると言われている大迷宮である【オルクス大迷宮】だ。七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現する。にもかかわらず、この迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。それは、階層により魔物の強さを測りやすいからということと、出現する魔物が地上の魔物に比べ遥かに良質の魔石を体内に抱えているからだ。
魔石とは、魔物を魔物たらしめる力の核をいう。強力な魔物ほど良質で大きな核を備えており、この魔石は魔法陣を作成する際の原料となる。魔法陣はただ描くだけでも発動するが、魔石を粉末にし、刻み込むなり染料として使うなりした場合と比較すると、その効果は三分の一程度にまで減退する。
要するに魔石を使う方が魔力の通りがよく効率的ということだ。その他にも、日常生活用の魔法具などには魔石が原動力として使われる。魔石は軍関係だけでなく、日常生活にも必要な大変需要の高い品なのである。
ちなみに、良質な魔石を持つ魔物ほど強力な固有魔法を使う。固有魔法とは、詠唱や魔法陣を使えないため魔力はあっても多彩な魔法を使えない魔物が使う唯一の魔法である。一種類しか使えない代わりに詠唱も魔法陣もなしに放つことができる。魔物が油断ならない最大の理由だ。
と、まぁ実際にミノルがいる場所はオルクス大迷宮の地下。真の大迷宮と呼ばれる場所なのだがそんな事は知るよしもない。あの後ずっと走り続けていたら知らず知らずの内にこの場所に迷い込んでいたようだ。かなりの高さから落ちたようだがミノルの物理耐性はぶっ壊れているのでさほどダメージは受けなかった模様だ。岩陰に隠れながら取り敢えず深呼吸して気持ちを鎮める。
「落ち着け...落ち着くんだ俺...。冷静に考えよう。そうだ、これは夢だ。夢の中の話だ。どうせ教官の話の最中に寝ているんだろう。」
自分に言い聞かせる様に呟くと自分の頬を自分で思い切り抓った。信じられないくらいの痛みが頬を走る。二度とやらないと心に決めるミノルは此処が現実の世界だと悟ったようだ。
「ん......待てよ?俺達をこの世界に喚び出した召喚主は確か神様だった気がする。なら、この世界から戻る方法も神しか知らない筈。なら、別に神だっていいじゃないか。いや寧ろそちらの方が都合が良い。」
一人で勝手に納得したミノル。大分落ち着いたので一先ず出口を探そうと考え立ち上がった直後それまで淡い光に照らされていた筈のミノルの頭上に巨大な影が現れた。その影の正体は赤い目をした兎だった。普通の兎では無い。兎にしては大き過ぎる。ミノルは悟った。
「(詰んだか......。)」
果たしてミノルの運命や如何に.....
ステータスボード受け取りまでカットしたのは理由があります。二次創作として、原作キャラも出したいけどオリキャラの方を優先したいという事で説明等は省きました。テンポ大事にしていきたいですね。無理矢理大迷宮に突っ込ませたのもその為です。原作キャラはあくまで引き立て役として活躍してもらう所存です。(本音としてはここまで強くする予定はありませんでした。)本当は戦闘シーンまで書きたかったのですが、時間の都合上次話以降にさせて頂きました。なので次回はこの2倍は書こうかなと思っております。最後まで読んで頂き有難う御座いました。こんな稚拙な文章ですが次回も最後まで御付き合い下さると幸いです。
次回更新は未定です。
ミノルのステータスを大きく訂正しました。補正系を無くし技能を増やしました。