という事で、新年初投稿は雄英体育祭です。多少オリジナル展開を混ぜていきます。
しょっぱなから剣崎伝説ですwwww
№25:出禁発覚
さて……
剣崎は暇潰しに出久達のクラスへ訪れていた。
「雄英体育祭……そっか、この時期だったか」
雄英体育祭。
それは、かつてのスポーツの祭典・オリンピックに代わる日本のビッグイベントの一つ。
年に一回…計三回だけのチャンスであり、ヒーローを志すなら絶対に外せない大イベントでもある。
「先輩ならば、体育祭の内容はわかっているのでは?」
飯田の言葉に、剣崎はゆらゆら揺れる髪の毛をいじくりながら答える。
「16年も前だから一々憶えてねェっての……それに俺は体育祭でヤンチャして出禁食らった身なんだ」
剣崎の衝撃の一言に、ざわめく一同。
出禁になったということは、雄英側の許しが無い限り雄英体育祭に出場できないという意味……余程の事件を起こしたようだ。
「何をしたの……?」
「今もかはともかく……最後にトーナメントあるんだけどよ。それで対戦相手全員再起不能にさせちまったんだわ……今後の人生棒に振るうレベルのケガ負わせちまって」
「そ、そんなに惨たらしいマネしたってことっスか?」
「いや…当てた攻撃は手抜きの〝雷轟〟一撃だけだぞ? 本気出したら相手死んじゃうし」
生前の剣崎の強さを知り、顔を引きつらせる出久達。
剣崎の〝雷轟〟の威力は、
そういう訳で、体育祭の一件と命乞いをしたり恭順を示す
「充実じゃない生活だったんですね……」
「そうでもないさ、
そう言うと剣崎は突如立ち上がり、刀をステッキのように突きながら壁へと向かった。
「……外から大勢の気配を感じた。俺はいない方がいいだろう」
そう言い、剣崎は壁をすり抜けようとしたが……。
「あ、あの!」
去ろうとした剣崎に声をかけたのは、お茶子だった。
「こ、この後……時間ありますか?」
「? まァ、あるっちゃあるが…」
「少し、相談が……」
お茶子の相談。それについて、剣崎は思考に浸る。
いくら後輩と言えど、女子がわざわざ自分に恋バナをするとは到底思えない。そもそも恋バナや学生生活と無縁の自分に何故頼むのか。
それを前提に考えると、タイミング的にも恐らく〝アレ〟だろう。
「……外で待ってる、後で来い」
剣崎はそう言い残し、壁をすり抜けて行った。
「ケロ……どうしたの?」
「まさか……恋?」
「違うよっ!!」
*
放課後。
いつも愛用ならぬ〝愛座〟しているベンチで、剣崎は寝ていた。
別に眠い訳ではない。ただ、時間を潰すだけが目的だ。
剣崎は16年経った今も死神の様に恐れられている。世間体も考えると、易々と動くわけにはいかないのだ。
すると、剣崎は人の気配を察知し目を開けた。
「お茶子ちゃんに……出久君もか」
剣崎の前には、お茶子に加えて出久もいた。
「実は……強くなりたいんです!! 私に
「ぼ、僕もお願いします!!」
それは、お茶子と出久の決意でもあった。
先日の一件で、出久達は「世界の壁」を知った。ヒーローと
しかし、だ。今回の一件で剣崎は雄英に失望しているのではないかとも感じていた。あまりにも自分達が無力であったゆえに、自分達を見限っているのではないかと。しかし……。
「ああ、別にいいぞ」
「「へ?」」
あっさり了解。
剣崎は自分の戦いに他人を巻き込ませたくないという不器用な優しさがあるため、断られると思われたが……まさかのOK。
「お前らの無力さは先日思い知らされたよ。だったら俺が介入して全員めちゃんこ強くさせるしかねェさ」
今回の一件で、少なくとも
剣崎はそう考えていたのだ。
「じゃあ、早速始めるとしようか。まずは即興カリキュラムの紹介……第一段階は、人体急所を覚えることだ」
(もう始まった!?)
人体急所は、護身術で身を守る際や戦闘技術として相手を効率よく仕留める為の重点となる。
例えば、
剣崎は人体急所を全て把握しており、それに加えて剣術と母からかつて教わった護身術――とは名ばかりの必殺技クラスの戦闘法――を掛け合わせることで比類なき力を発揮していたのだ。
「人体急所を理解すれば、戦闘において常に優勢を保てる。そこを狙って攻撃すれば最小限の労力で最大限のダメージを与えられるからな」
「あ、あの……剣崎さん。これって明らかに……」
「ああ、文字通りの必殺だが?」
やっぱり、と呟いて項垂れる出久。
それもそうだろう、目の前にいるのは
「基本的には〝個性〟を持つ奴はヒトの形として存在するから通用するが……中にはヘドロのような流動系の実体を持つ者もいる。そういう奴は弱点を突く必要がある」
力業で捻り潰すのは、それなりのリスクを伴う。
ならば、戦闘中に弱点を知るか急所を執拗に攻撃した方がよっぽどいい。
「第二段階は基礎戦闘力の向上。俺との手合わせも含め、どんな戦いでも有利に動けるようにする」
基礎戦闘力には身体能力や精神力、スタミナ、スピードなど様々であ る。これらを全体的に高めることでいかなる戦況でも勝利を掴めるようにするのだ。
それに付け加えるかのように、「個性をあまり頼らず、純粋な格闘で相手を倒せるようになるのが理想」と剣崎は述べる。
「そして最終段階として……出久君とお茶子ちゃんには、俺の〝雷轟〟を伝授させる!!」
「「!?」」
〝雷轟〟は剣崎の必殺技の一つであり、あの死柄木弔を一撃で沈めた強烈な鉄槌打ちだ。一撃放てば地面にひびを入れる程の衝撃で敵を瞬殺出来る。
剣崎はそれを二人に伝授させるつもりなのだ。
「〝
二人は考えた。
剣崎の修行は、間違いなく実戦向け。もしかしたら、雄英の授業よりも過酷かもしれない。
しかし、強くなればその分可能性が広がる。目の前に立つ、歴戦の
それならば、迷うことなどない。
「「……はいっ!!」」
「よく言った、なら俺の全てをお前ら二人に叩き込んでやる。地べた這いつくばって付いて来い」
剣崎は不敵な笑みを浮かべ、二人の若き力を見据えた。