超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER- 作:ブリガンディ
1話 蒼の男とゲイムギョウ界
「それで『お前さん』はこれからどうするんだい?」
「みんなの『
男は目の前にいるこの世界の新しい傍観者となった女形にどうするかと聞かれ答える。
男はこの女形と話す直前に、自分を含めるこの世界の『悪夢』全てを消しさっており、その影響で『悪夢』が宿っていた右眼辺りが黒く染まっていた。
この女形が男に『お前さん』というのは、名前を呼ぶのが面倒だからではなく、『悪夢』を消したときに、この男の情報も消えたため、『誰も名前を知らない』状態になったのだ。
「そこから生まれる世界は誰の・・・アマテラスにもタカマガハラにも干渉を受けない・・・あいつらの世界だ」
この世界は常に干渉を受けていた。今まではこの男が死ぬ度に必ず世界がやり直しになっていた。だが、この男は多くの人の手助けもあり、足搔き続け、遂にこの世界の繰り返されてきた歴史に終わらせ、『悪夢』が存在しない新しい世界を皆に与えることができた。
「過去、現在、未来に、あまねく広がる『可能性』と言う名の希望・・・これ程大規模な世界の構築は見たことが無いよ・・・。
これが真なる蒼『
女形もこの男がやろうとしている恐らく最後となるこの世界の再構築の規模の大きさに感嘆し、彼の右腕に宿ってる魔導書の力に改めて感心する。
「違うよ。俺の力でも蒼の力でもない・・・。」
だが男は自分と蒼炎の書の力ではないと否定する。その代わりに・・・
「あいつらの『
男は穏やかな顔でこう答える。
そして二人の横にあった門が開き、二人は門の光に包まれる。
「(そういやもうこれは使わないな。じゃあな、相棒・・・)」
男は自分の腰にあった可変型の片刃型の大剣を地面に突き立て、そのまま門の中へと消えて行った。
門が閉まった後、そこにあるのは男が残して行った剣だけだった。
* * *
「・・・・・・・・・」
俺は・・・どうなった?確か、あの剣を置いて門の中に入って・・・『悪夢』の俺はそのまま消えたはずじゃ・・・。疑問に感じた俺は目を覚ます。だが、左目しか開かなかった。見えてる景色は青空に満ちていた。
「この世界・・・魔素がないのか・・・?窯も・・・」
俺は真っ先に自身にある違和感に気づく。
魔素というのは俺のいた世界では人工的に作られた量子型プログラムで、俺のいた世界の全てを構築している物質だった。
俺たちはその魔素を使って『術式』と呼ばれる魔術と化学が合わさった力を使っていた。その魔素が必要なのは俺の『蒼炎の書』も例外じゃない。
また、魔素は『境界』に繋がる門としても機能している窯から溢れている。
俺の蒼炎の書は『境界の力を行使する』ため疑似的な窯としても機能するが、魔素がないんじゃどうにもならない。
俺がなんで消えてないかは解らないがこの右上半身が言うこと聞かないのは納得できる。俺は体をどうにかして起こして、周りと自分の状態を確認する。
「ど・・・どこだ・・・?ここ?」
辺りは森に囲まれていて周囲が上手く確認できない。
「それと・・・なんでこれが俺の腰に下がってんだ?」
俺の腰には何故か置いてきたはずの大剣が下がっていた。柄は右側にしていたが、この状況では振りにくいし取りにくいので一度柄を左側にして下げ直す。
暫く辺りを見渡すと、高層ビルがいくつもの並んでいる場所が見えた。
「ひとまずあそこに行ってみるか・・・」
そう決めて、俺は街であろう方に歩を進めた。
* * *
「ゲイムギョウ界に遍く生を受けし皆さん」
ここは女神と呼ばれる人と似た姿をした超人とも言える存在によって統治されている世界、ゲイムギョウ界。
そこに存在する四つの国の内の一つ、女神パープルハートが納める国プラネテューヌ。
そのプラネテューヌの中枢であるプラネタワーの前庭にて、ゲイムギョウ界至上最大
とも言える式が行われていた。
晴れ渡る青空と、優しく吹いている風・・・。それはこの世界の新しい歩みを歓迎するかのようだった。
「新しき時代に、その第一歩を記すこの日を、皆さんとともに迎えられることを喜びたいと思います」
紫色の長い髪を二つの三つ編みにしておろし、黒いドレスに身に纏った美女がこの言葉をつげる。
この女性こそが、プラネテューヌの女神、パープルハートである。
「ご承知の通り、近年、世界から争いの絶えることはありませんでした」
パープルハートは更に言葉を繋げながら歩き出す。
ゲイムギョウ界の女神たちはシェアと呼ばれる人々からの信仰心を力にしており、その力を奪い合うために女神同士が争うことが絶えなかった。
そして今日、その歴史に終止符が打たれることになる。
「女神ブラックハートの治める、ラステイション」
黒いドレスを身に纏い、銀色の髪をおろした勝気な雰囲気を感じさせる女性。
女神ブラックハートが歩き出し、後ろのラステイションから参加している人たちが一斉に起立する。
「女神ホワイトハートの治める、ルウィー」
白いドレスを身に纏い、水色の髪をしたどこかあどけなさを残している少女。
女神ホワイトハートが歩き出し、その後ろにいたルウィーから参加している人たちが一斉に起立する。
「女神グリーンハートの治める、リーンボックス」
白いドレスを身に纏い、緑色の髪を一つに結んだ穏やか雰囲気をした美女。
女神グリーンハートが歩き出し、後ろにいたリーンボックスから参加している人たちが一斉に起立する。
「そして私、女神パープルハートの治める、プラネテューヌ」
そして、パープルハートが光る足場まで辿り着くと歩みを止める。
それとほぼ同時に、パープルハートの後ろにいたプラネテューヌから参加している人たちが一斉に起立する。
四人の女神たちは皆、人並外れた美貌をしてると言っていい。
「四つの国が、国力の源であるシェアエナジーを競い、
時には女神同士が戦って奪い合うことさえしてきた歴史は、過去のものとなります」
そして、女神たちが光る足場に着くと、それぞれの女神たちを持ち上げていく。
足場の上昇が止まると、女神たちは中央に集まるように歩き出す。
「本日結ばれる友好条約で、武力によるシェアの奪い合いは禁じられます。
これからは、国をより良くすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げていくのです」
そして、女神たちが中央に集まると、それぞれの手を合わせて円を作る。
『私たちは、過去を乗り越え、希望溢れる世界を創ることをここに誓います』
女神たちの誓いの言葉が告げられる。この日遂にゲイムギョウ界は女神同士の争いの歴史を終え、新しい時代の始まりを迎えた。
彼女たちは互いに微笑みあい、空はいくつもの花火が埋め尽くし、周囲からは無数の拍手と歓声が聞こえた。
* * *
「・・・なんとかここまでこれたな・・・」
やはりと言うか、右上半身が動かない状態ではまともに動くことすらやっとだ。
こんな状態で歩くのはセリカにあって暫くの間と、俺が何のためにこの蒼炎の書・・・当時は蒼の魔導書の力を使うか決めるために行った先で当時のセリカと一緒にいた時以来か・・・。
そんな状態でどうにかこの・・・国っていうのか?にどうにか入ることができた。
ひとまずここに詳しい人を探そうと歩き出した瞬間、拍手の音と、歓声が聞こえてくる。
何かの式でも行われていたのだろうか?行って邪魔するのは得策じゃないかもしれないが、他に行く当てもない。俺はそのまま音のする方に歩を進めた。
「(ヤべエ・・・もう体が持たねえ・・・)」
ようやく音のする方に辿り着き、多くの人が見えたのはいいが、俺は蒼炎の書の力が使えないのが原因か、もう疲労が限界を迎えていた。
「ん?誰だろうあの人・・・」
「なんか・・・倒れそうじゃないか?」
俺に気づいた人たちが反応し、ざわつき出す。邪魔をするつもりじゃなかったが、結果的に邪魔をしちまったようだ。
「どうかしたの?」
「あ、パープルハート様。あそこに人が・・・」
この集まりの主催者だろうか?パープルハートと呼ばれる紫色の髪をした女性が俺のところに歩み寄ってくる。
「あなた大丈夫?どこかケガは?」
「いや、ケガは特に無いんだが・・・こっち来るまでの疲労を溜めすぎたみたいだ・・・」
俺は人に気づいてもらったことに安堵してしまったのか、その場で気を失いそうになる。
気を失いそうになったせいか、そのまま倒れかけたところを、パープルハートに支えられる。
「・・・!大丈夫?あなた、名前は?」
「俺は・・・」
その場の勢いで言おうとして、一度止める。「ブラッドエッジ」は通り名も同然だったからな。でも名乗らないで倒れんのはマズイからな・・・だから俺は・・・。
「俺は・・・ラグナだ・・・」
と、それだけ名乗った。その直後、体の限界を超えてパープルハートに抱えられたまま気を失った。
ネプテューヌVⅡRを買ったらネプテューヌと何かを合わせた小説が書きたくて勢いで書いてみました(笑)。
ブレイブルー選んだのはそういえばブレイブルー使ってみたいなという気持ちからです。
ブレイブルー関係の説明が下手くそだと感じた方はごめんなさい・・・。
初投稿で自信が無いのもあって、感想や応援を貰えたら泣いて喜ぶかもです・・・(笑)。
拙い文章ですが、お付き合いできたら幸いです。
追記:アニメ版の方を選んだのはアニメ版を見返しててこっちにしたいと思ったからです。