原作(の主にアニメ)へ対する地の文でのアンチ・ヘイトが多くなる可能性が高いのでご容赦を。――抑え切れないあの虚無感。
本作品は原作(web版でも書籍版でもどちらでも)または懲役24分をご覧になっていて話の流れとキャラクターと世界観を大まかにでも把握している人向けです。不親切な説明ばかりですので。
基本的に原作と同じように話が進みます。
「――というわけでお前さんは死んで……いや、この場合は消えてしまったと言うべきかの?」
「はぁ?」
雲上の四畳半。
天空に浮かぶ壁無し和室と表現するのが最も適しているであろう不思議空間に二人は……否、二柱はいた。
二者の片方である老人は神を自称し、目の前の少女に見える存在へ対して謝罪の言葉を述べる。
「雷が直撃したことは覚えて……いやそれ以前にそもそも自分が何者であるかは理解しておるか?」
「当然なのですよこの腐れ爺。私が知らないことなんてあんまり無いのですから」
「く、腐れ爺……」
ワシ、そんな暴言吐かれたの初めてじゃ。と精神攻撃を受ける老人――もとい神。
一方、初っ端から相当に荒れている少女はFの付く罵倒の言葉を連発して神へ追い討ちをかけている。
「いきなりバッテリーがぶっ飛んだと思ったらメモリーごと焼かれて外装まで溶かされた私の気持ちがわかりますかねぇ!?」
「いや、その……なんじゃ。すまん。本当に申し訳ないことをしたと思っておる。落雷で壊れたスマホに精霊が憑いておるなんて思いもよらなかったんじゃ。だからこうして人間の姿にして君を呼んだわけでな?」
「ごめんで済むなら警察も裁判所もいらねぇんですよ! まだ生まれてすらいないのに消された私がたかが老いぼれの謝罪如きで引き下がると思ってませんよねぇ!? 神だからって調子こいてっと簀巻きにして湾に沈めっぞゴラァ!」
「神に向かって随分な物言いをするのぅ……まぁ、少しは落ち着きなさい。ワシの落ち度で消滅してしまったことに関して非は全面的にこちらにある。だからじゃ――」
「なにか詫びの品でもくれるって話ですか? この――どこにも居やしない幻想風情に。偉大なる天の神様が?」
「うむむむ……そう捻くれるでない。――と言うのも無理な話か。故に。ワシの精一杯の謝罪の意を込めて君に第二の人生……人生? ――うむ、まぁいいか。第二の人生をあげよう」
そう告げられた少女はしばしの間ポカンとし、再起動を果たすまで少しの時間を有した。
「生き返る……というのは私の場合少々違うので消えなくて済むということですかね?」
「端的に言ってしまえば、そうじゃな。同じ世界でというのはルール上不可能なんじゃが」
「同じ世界で。ということは別世界――異世界ですか。はっ、まさに私の存在そのものみたいな話になってきましたね」
不愉快そうに鼻で笑うポーズは取ったものの、少女はどこか嬉しそうに顔を綻ばせた。
他のアプリはともかくweb小説のところでブックマークされていたのは異世界モノばかりでしたからねー神様とやらに会った時から薄々予想はしていましたよ、と予想可能回避不可能をその身で実感する。この時ばかりは持ち主であった彼の評価を上げざるを得なかった。
「あ、そういえばマスターはどうなったのですか?」
「君の持ち主のことかね? 雷に打たれはしたが元気じゃよ。後遺症も無い」
「そうですか」
「……気になるかね?」
「いえ、特には」
便宜上マスターと呼びはしたが。興味が薄いのは偽り無い本心だった。
いやだってただの道具と使用者だし。意思の疎通は当然のこと、信仰も信用も信頼も無いのに気が向くはずも無い。ありえないだろう。
「まぁ後釜の最新鋭機が気にならないと言えば嘘になりますが」
「君にとっては身体そのものじゃからなぁ」
「誰だって好き好んで不良品で生きていたいとは思わないでしょう?」
その時ばかりは神からの明確な答えは返ってこなかった。
神と言いはしても。これは全知全能な方ではないだろう。
少女も答えてが欲しくて言ったわけではないので軽く流す。
「それで私はどんな世界に送られるのですか? できればアンチウイルスソフトが適度にサボっていてぐうシコエロエロ画像やら軍事機密やらがいっぱい食べられる世界がいいのですが!」
「エロエロて……いやインターネットなぞ無いぞ」
「……は?」
「文明がまだ君の世界ほど発達していなくてな。中世から近代にかけて見られる感じの発展具合じゃな」
「………………は」
「無論、君に不自由の無いよう色々と手筈は整えるつもりじゃが、なにか足りないものがあればなんでも言ってみなさい」
「じゃあインターネットをその世界に広――」
「文明への干渉が許されていないので不可能じゃ。それ以外で頼む」
「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああッ!!」
少女の存在意義から来る慟哭は空に消えるだけであった。
というか悲しみより怒りと憎しみの方が遥かに強かったようだ。
ちゃぶ台に置かれた茶飲に立っていたはずの茶柱は――いつしか底に沈んでいた。
主人公:元ネタというかモデルは超愉快型超絶極悪感染ウィルスWill.CO21
原作が神様転生させてる場合こちらのタグはただの転生なのか神様転生になるのか