遅くなりましてすみません。
構想がイマイチ固まらなかったので書けていなかったのが現状です。
それでは、どうぞ。
響夜が目を覚ますと時間は10時。
休みは明日のはずなので響夜は遅刻している。
「・・・終わった」
「ん、にぃに」
「神楽か・・・どうした?」
「学校は・・・?」
「あーうん、遅刻。寝坊した」
響夜が素直に神楽に言うと神楽は口元を抑えて体を震わしていた。
笑われたことに響夜は恥ずかしくなるが話を変えようとする。
「なぁ神楽」
「?」
「もしさ・・・俺達が過ごすこの現実が変わったらどうする?」
「どういう、こと?」
「現実に新たな機能・・・?ってのかな。拡張された現実をどう思う?」
「新鮮?」
「・・・そうか。分かった」
響夜は神楽に聞いたあと電話をかけた。
数回ほどコールがなった後相手は出る。
『何のようかな、響夜君』
「お求めの物が出来ましたよ、教授」
『教授はやめてくれたまえ。私と君は同じ開発者ではないか』
「はいはい・・・それで、受け渡し場所はどこで?」
『今日ならば大学で落ち合おう。私も授業があるからね』
「分かりました」
響夜は電話を切ると響夜にくっついている神楽の頭を撫でる。
「今から用事が出来たんだが・・・神楽も行くか?」
「う、ん」
「んじゃ用意してきな。早く行くぞ」
神楽はすぐさま響夜の部屋を出ると神楽の部屋から音がする。
神楽は引きこもりではあるが綺麗好きなので部屋がゴミ屋敷ではない。
というよりゴミ屋敷にしたが最後、響夜によってゲーム禁止令などを出されてしまうため神楽は掃除はしっかりとしている。
「出来た」
「ん、じゃあ行くぞ」
響夜は神楽の用意が終わったのを確認すると家を出て鍵をかけるとバイクに乗る。
目的地は東都工業大学。
数時間ほどかけて東都工業大学に到着すると、VR部門の授業部屋へと入る。
「神楽、静かにな」
「う、ん」
まだ授業をしているようで授業が終わる時間を考えるとまだ30分ほどかかりそうだった。
「眠くなったら寝て良いからな」
「はぁぃ」
神楽は最初聞いていたが段々と眠くなったのか寝てしまった。
響夜も元々授業を聞く目的ではなかったので寝てしまった神楽を膝にのっけると授業が終わるまで一応聞いておくことにする。
「ん・・・ぁぅ・・・」
「よーねるな」
気持ち良さそうに寝ている神楽を羨ましく思いつつ頭を撫でて授業が終わらないかと響夜は思う。
数十分待っていると授業が終わったため、響夜は寝ている神楽を背負うと授業をしていた教授に話し掛けた。
「重村さん」
「ん・・・?あぁ響夜君じゃないか」
「貴方が大学で会うと言ったんでしょう・・・」
「はは、それでその子は?」
重村は神楽を見る。
響夜と重村は面識があるが神楽とはまったくないのだ。
「妹の神楽です。寝てたんで背負ってます」
「なるほど・・・では一度私の部屋にきたまえ。そこで話そうじゃないか」
重村は響夜に「ついてきたまえ」と言うと足早に進んでいく。
少し歩いた先は重村の教授部屋だった。
「さて、今回はどのような用件なのかな?」
「一ついいますよ?俺はプログラマーじゃなくてただの学生なんですよ。依頼でカーディナルと同等のプログラムを組めと言われて出来る人います?」
「いるじゃないか、現に私と話している」
「はぁ・・・それでは聞きますよ。オーディナルシステムとカーディナルシステム。この違いを大まかでいいです、考えて見てください」
「ふむ・・・私は君のようにプログラムには強くない。私はVRの研究者というだけなのだ」
「仕方ないですね・・・カーディナルとオーディナル。この違いはコアプログラムの思考です。カーディナルシステムは『基数』によって動く。それにより様々な選択肢が出来るのがカーディナルシステムです。オーディナルシステムは『序数』によって動きます。しかし様々な選択の基数とは違い、序数はあらかじめ決められた処理によって行動される。そのためオーディナルはイレギュラー要素が組み込めないと言っていいでしょう」
「なるほど・・・つまり君が作り上げたプログラム・・・オーディナルは決められた枠組みによって動く・・・そういいたいのだな?」
「そうです。カーディナル程のプログラムなんて作ってしまえば人の手に余る。だからこそ人の手が介入しにくいプログラムを今回は作りました」
「依頼した内容に限りなく近い物、ありがとう。君のおかげで新たな可能性が生まれるだろう」
重村はそういうとクリアファイルを響夜に渡す。
渡されたファイルには数枚の書類が入っておりそれを取り出して見てみる。
「・・・
「そういうことだ。我々が過ごすこの世界を変えればいい。そのために私はVR技術を利用する」
「まぁ俺は舞い込んだ依頼を受けて貴方に渡した。それだけで良いです。あとこのことは口外しないでください、変な奴がうちに来られると困るんで」
「分かった。プログラムに関しては私の開発チームが組み上げたということにしよう」
「ありがとうございます。それでは俺はこれで」
「ああ、今回はどうもありがとう。報酬は翌日以降に銀行に振り込んでおく」
響夜は神楽を背負い、重村と別れた。
報酬は銀行口座に振込みの形だが金額は少なくともサラリーマンが数十年働いて稼げる程だったため、響夜としても嬉しい金額だった。
「いい感じに稼げたし、テスト終わったらなんかするかぁ」
「んむ・・・」
「ん、起きたのか」
「う・・・ん・・・」
「眠いなら寝とけ?今から帰るから」
「やだ・・・」
まだ眠気が取れていない神楽に寝てていいというが拒否されたので響夜はバイクに乗る。
家までは時間がかかるため荒くなるが仕方ないと思い運転する。
「あぅ」
「悪い、バイクだと揺れる」
「だい、じょぶ」
「帰りに寄りたいとこあるか?」
「ん、じゃぁ・・・」
「・・・♪」
「ったく・・・」
響夜は神楽の抱える袋を見て溜め息をついた。
神楽が寄りたいと言ったのはケーキ屋。
そのケーキ屋でホールケーキ2つを購入したのだ。
「買ってやるのは良いが・・・捨てたりすんなよ」
「ん、分かってる」
神楽も買いたいものを買えて満足したのかバイクにすぐさま乗った。
響夜も神楽が乗ったのを確認するとバイクを走らせる。
すると何となく気になった郵便局があり、そこでバイクを止めた。
「にぃに?」
「ちと・・・まぁ気にすんな」
気になったがすぐにバイクをまた走らせる。
その後すぐに家に帰ると近くから声がした。
「ん・・・?」
「・・・誰か、いる」
「らしい。気になるから行ってくる」
「私も、行く」
「・・・好きにしてくれ」
バイクを止めて、二人は声がした場所へと向かう。
そこには知っている人物がいた。
しかしその人物は近くに嘔吐物と囲うように女子生徒4人がいた。
「・・・またてめぇらか」
「あ・・・誰だ?」
「弱虫虐めは変わんねぇなぁ」
「あぐ・・・」
女子生徒が囲んでいる人物は響夜の幼馴染である浅田詩乃。
しかしお腹を殴られたのか抑えており、苦しそうにしていた。
「神楽。詩乃んとこ行ってこい」
「わかった」
「さて・・・てめぇら、時崎直人って男子生徒知ってるか?」
「あぁ?時崎が何だよ」
「ま、昔の俺の事などどうでもいいんだが、その女子返してくれね?」
「あぁ!?なめてんのか!」
落ち着いた声で詩乃を返してもらおうと女子生徒に言うが舐められてると思い、声を荒げる。
「女子に手ェ出すのは嫌いなんだがなぁ」
「にぃに。駄目」
「はいはい・・・んじゃ手刀で良いだろ」
神楽に忠告され、響夜は女子生徒に近付くと首元に手を当てる。
「は?」
「気失ってろ」
「なっ・・・あぐっ・・・」
手刀をいれると女子生徒を気絶させる。
受け止めると他の女子生徒に預けた。
「全員気絶させたら運べんでしょ?だからこれ以上危害は加える気は今はない」
「っ・・・」
「俺の気が変わる前にさっさと去れ。てめぇらの学校この辺りじゃねぇのは知ってんだ」
「くそっ!行くよ!」
気絶した女子生徒を背負うとそのまま他の女子も逃げ帰っていく。
完全に去ったことを確認した後、響夜は詩乃に近寄る。
「詩乃?大丈夫か?」
「・・・」
「気失ってる。家入れる?」
「ん、だな。このまま放っておいて犯されでもされたら後味悪い」
「じゃぁ、ソファに寝かせるね」
「頼む」
詩乃を背負うと響夜は自分達の家へと帰った。
神楽が毛布を持ってきていたのでそのままソファに横たわらせる。
「こりゃしばらく起きなさそうだな」
「うん・・・起きたら、どうする?」
「んー、神楽やっててくれるか?俺は寝てる気がする」
「ん、分かった」
「んじゃ俺寝て来る。眠い」
「おやすみ、にぃに」
「ああ、お前も早く寝ろよ」
響夜は神楽に早く寝るように言うと自室へと入った。
携帯を見ると時間帯は7時だった。
ご飯を食べていないが眠気があったのでそのまま夢の中へと響夜は入っていった。