ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車

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《ソードアート・オンライン》
デスゲームの始まり


SAO《ソードアート・オンライン》。

天才物理科学者『茅場晶彦』が作り出したVRMMO型オンラインゲーム。

俺、雪宮響夜はそのSAOのβテストに当選して今日の正式サービスを待っていた。

サービス開始日は2022年の11月6日。

 

「さて、やっかなぁ」

 

SAOをするには必要なものがあった。

それはナーヴギアと呼ばれる物。

これをヘルメットの要領で被る。

そして感覚を頭に集中していよいよSAOを始めた。

 

「そういえばあいつらも・・・やるんだっけか」

 

響夜はリアルでの友人を思い出した。

その友人もSAOをやると言ってたためもしかしたら会うかもしれない。

 

「まぁいいか・・・リンクスタート!」

 

それはまたその時考えれば良いと思いヒビキは言葉を言った。

これがSAOを開始するための言葉。

そしてしばらくすると、閉じた目から光が少し漏れる。

目を開けるとそこはβテストの時からあった最初の町《はじまりの街》だった。

ここでの自分の名前は『hibiki』。

全然ぱっと思いつかず適当に決めた結果である。

 

「久々だな、ここは」

 

最後に来たのはβテスト終了間近であるため期間が長かった。

そして確認のためメニュー画面を出し、自分のアイテムや武器などをβテストと変わらないか確認をした。

 

「あん時と変わんねぇか」

 

確認も終わって一度フィールドに出ようとしたところ。

 

「ねぇ、そこのきみー!」

 

少女に話し掛けられた。

見た目は10代ぐらいで紺色というか紫っぽい女の子だった。

 

「ん、何か用?」

 

「嫌じゃなければ何だけど、ボクに戦い方教えて欲しいんだ!」

 

「あー、俺も同じで手探り状態なんだ、だから教えれないかな・・・他の人に当たってみると良いよ」

 

「そっかぁ・・・ごめんね!それじゃあ!」

 

簡単に考えた嘘を信じ込んだのかすぐにどっか立ち去ったのを見て「元気だなぁ」と思いつつ、フィールドに出た。

実際はβテストで予習はしているためソードスキルも立ち回りも大体は分かっている。

しかし何故教えてないかと言えば、誰かとするのが嫌で嘘をついた。

あの少女には申し訳ない事をしたと思いつつ、敵モンスターを探しにフィールドを歩き回る。

 

 

 

ヒビキはフィールドで敵モンスターを見つけるとモーションを取った。

 

「さて、と・・・とぉぉりゃあああ!!」

 

SAOの攻撃は主にこのソードスキルと言われる技を使う。

基本攻撃も大事だがSAOでの魅力がソードスキルである。

ヒビキがさき放った物もソードスキルで《レイジスパイク》と呼ばれる片手剣の基本形スキルだ。

 

「しばらくここで斬っとくか」

 

そういうとヒビキは19時近くまで狩りを続けていた。

さすがに疲れたのかログアウトをしようと考えメニュー画面からログアウトをしようとしたが。

 

「・・・?ねぇな」

 

本来であればログアウトボタンがあったであろう位置は空白で消えている。

リリース当日にこんなバグをすると思えないが一応GMコールをヒビキはした。

すると遠くからゴーン、ゴーンと鐘の音がした。

その直後、テレポートが発動しはじまりの街に帰ってきた。

他のプレイヤーも同じなのかどんどんとテレポートされて来る。

中にはあの紫髪の女の子も居た。

そして空には赤い点滅物があった。

そこからどんどんと増え、液体のようなものが垂れて、赤いフードを被った何かが現れた。

 

「ようこそ、ソードアート・オンラインの世界へ。私はこの世界の創造者、茅場晶彦だ」

 

周りはGMの登場に驚くも言葉を待った。

 

「諸君らは恐らくもうメニュー画面からログアウトボタンが消失している事に気づいているだろう。しかしこれはバグではない」

 

「なっ・・・!」

 

「もう一度言おう、これはバグではなくソードアート・オンライン本来の仕様である」

 

茅場晶彦はそういったのだ。

バグではない。

これがこのゲーム本来の仕様でこれからもそうであると。

 

「そしてまた、この世界では諸君らのHPは現実世界での命と言って等しいだろう。もし諸君らのHPが【0】になった瞬間、諸君らのアバターは永久消去され・・・ナーヴギアによる信号素子によって強電磁パルスによって諸君らの脳は破壊される」

 

そんな発言をする茅場にプレイヤーは批判、暴言など様々だった。

それはそうだ。

ログアウト出来ず、死ねば現実でも死ぬのに何も言わないわけがない。

 

「また、外部からの取り外しもありえない。すでに報道機関によってナーヴギアの取り外しを試みた者を含め。数百人がソードアート・オンライン及び現実世界からも永久退場している。故に今後ナーヴギアに対するネットワーク切断及び電源切断はありえないだろう」

 

例え外部・・・家族が気づきそれを試みた瞬間、自分達の脳は無関係で破壊される。

報道機関はそれを早く報道してるってことは・・・嘘ではないと茅場が提示している現実世界の映像が物語っている。

 

「さて・・・諸君らのプレゼントストレージに些細だがあるものを送らせてもらった。活用してくれたまえ」

 

茅場がそういうとヒビキはすぐに確認した。

そしてプレゼントストレージには『手鏡』が入っていた。

 

「手鏡・・・?」

 

それを取り出すとそこには自分のアバターが写っていた。

すると周りから悲鳴が聞こえた。

手鏡から発する光に包まれ、それはヒビキも例外ではなかった。

 

「なっ・・・!?」

 

 

しばらくし、光が収まると周りには太った者や痩せた者が居た。

ヒビキはすぐに自分の手鏡を覗き込んだ。

そこには現実世界での自分の姿が写っていた。

そして周りをもう一回見渡すとそこには自分の友人である桐ケ谷和人が居た。

 

「やっぱしてるんだな、あいつも」

 

後で会いに行こうと思い、茅場に向き合った。

 

「今後、あらゆる蘇生アイテムは機能しない。諸君らのHPが0になった瞬間、アバターが永久削除され、ナーヴギアによって脳は破壊される。生還する方法はただ一つ、アインクラッドの100層に居るボスモンスターを倒せば諸君らは現実世界に帰還出来る・・・以上でソードアート・オンラインの正式チュートリアルを終了する」

 

そういうと茅場は消えて何も無かったかのように消え去った。

その瞬間、周りは悲鳴を上げるものや暴言などを言った。

それのほとんどが現実世界に帰せなどと言うものだった。

ヒビキはそれを放置し、和人の所に行った。

 

「おーい!」

 

和人はそれに気づき、こちらに来いと手を動かす。

 

「何やってんだ?」

 

「・・・一応聞くぞ、名前は?」

 

「あー、こっちじゃヒビキって名前だ」

 

「俺はキリト、こいつはクラインだ」

 

「おう、俺はクラインって言うんだ・・・でこれはどういうことだ?」

 

赤いバンダナを付けた男性・・・クラインは俺達に質問をしてきた。

 

「どういうことって・・・そのまんまの意味じゃないか?」

 

「ほ、ほんとにこの世界で死んだら・・・マジで死ぬってか!?」

 

「だろうな、実際に現実世界での映像も見させられただろ?嘘は無い」

 

「・・・良く聞いてくれ、クライン、ヒビキ。俺はすぐに次の街に向かう。だからお前達も一緒に来るんだ」

 

「俺は・・・このゲームをダチと徹夜で並んで買ったんだ。まだあいつら広場に居る。放っておけねぇよ・・・」

 

「俺も少し大事な用事がある」

 

「そうか・・・なら頑張ってくれ」

 

「キリト、クライン、フレンドになっておこう」

 

俺はそういうと、キリトとクラインにフレンド申請を送った。

 

「ああ、よろしくな」

 

「おう、よろしく!ヒビキ」

 

俺のフレンドにキリトとクラインが追加され、俺らは別れた。

 

 

そしてキリトに言った通り大事な・・・用事でも無いが気になるのであるところに向かった。

そこは路地で少し暗め。

そこにはあの紫髪の少女が居た。

 

「何してんだ」

 

「だ、だって・・・あんなの・・・聞いたら・・・」

 

そういう少女は泣いていた。

普通の精神を持つ子はこうなのだろう。

あんな宣言をされて何も無いわけがない。

 

「はぁ・・・ったく泣き止むまで居てやるから存分に泣け」

 

「う、うわぁぁぁん!!!・・・」

 

少女がヒビキに飛びつき、泣く。

ヒビキもそれを見て頭を撫でて、背中を摩る。

 

 

しばらくすると落ち着いたのか、少女はヒビキから離れた。

 

「あ、ありがとう・・・」

 

「別に、泣いてる奴ほっとくほど腐ってねぇし」

 

「名前・・・聞いても良い?」

 

「自分から名乗れよ・・・まぁ良いけど、俺はヒビキ」

 

「ボクはユウキだよ・・・その、一緒に狩りしたいんだけど・・・」

 

そういわれてヒビキは少し悩んだ。

元々ヒビキはソロが好きでどこのゲームでも大体ソロをしている。

パーティークエストのようなパーティー必須でもないかぎりはソロだ、それにパーティーが好きでない。

しかしこのユウキという子とは嫌気がしなかった。

少し考えた後答えを出した。

 

「良いよ、パーティー申請送るから待ってな」

 

ヒビキはメニュー画面からパーティー申請をユウキに送った。

 

「ありがとう、ヒビキ!」

 

そういうヒビキの満面の笑みを見て、自分も少し笑えた気がした。

 

 


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