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「はぁぁぁ!!」
3人を置いて先に進むヒビキ。
途中モンスターもいたが通り魔の如く切り裂いて突き進む。
すると誰かに見られている感覚がした。
「・・・ち、気味わりぃな」
ヒビキは回りに何かいないか探すと天井に赤い蝙蝠がいた。
「・・・一応斬っとこう、嫌な感じがする」
情けの一つもかけずに赤い蝙蝠を切り裂いたヒビキ。
すると3人が追いついたのか声が聞こえる。
「ヒビキー!」
「ん・・・ユウキか」
声の主はユウキだった。
全速力のヒビキの早さはユウキが1番分かっておりそれはSAOからの付き合い。
キリトやリーファなんかよりもいち早くヒビキの元に向かっていた。
「置いてっちゃうなんて酷いよ!」
「あはは、悪い悪い」
「むぅー!」
あらかさまに怒ってますという感じを出すユウキだがヒビキはそれを気にかけず、ユウキの頭を撫でる。
「よしよし」
「ふへへ・・・」
だらしのない声をあげたユウキだが、ヒビキが何かに気づくと止めて先の通路を警戒する。
「・・・やっぱ何かあるな」
「・・・?」
ヒビキが警戒しているとユウキの後ろから声がする。
足音的にも二人でキリトとリーファだろうとヒビキは思った。
「ヒビキ君ー!」
「ヒビキー!」
「ん、やっと来たんだね二人とも」
「ユウキが早すぎるだけだ・・・」
「そ、そうだよ・・・二人とも早すぎ・・・」
ユウキとヒビキを追い掛けた二人だが息を荒くしていた。
それだけ走っていたのだろう。
「リーファ、さっき妙なものを斬った」
「え?・・・一応聞くけどどんなの?」
「赤色の蝙蝠」
「それってサーチャーだよ!赤色ってことはサラマンダーの追跡魔法ってことになる!」
「なるほどな・・・てことはここじゃ場所が悪い、先に進んでみるか」
リーファが教えてくれるとヒビキはまたもや先に進もうとする。
だがユウキが肩をがっしり掴んでいた。
「ヒビキ・・・?先に進まないでみんなで行こう?」
「・・・だって戦えねぇじゃん」
ヒビキが先に進んだ理由は主にモンスターと戦いたいというだけで全速力で進んでいた。
その返答に3人とも苦笑いする。
「てことで、先進むわ」
「って待ってよヒビキー!」
全速力でまたもや走って行ったヒビキをユウキがまた追い掛けて行った。
キリトとリーファはまた走って疲れるのだろうと思ったらしい。
ヒビキが突き進んでいると広い空間に出た。
「んあ・・・ここがルグルー回廊ってとこか?」
「ヒビキ・・・早いってばぁ・・・」
「別にキリト達と一緒に行けば良いだろうに・・・」
「それだとヒビキ絶対無茶するじゃんか!」
「・・・はいはい、分かりましたよー・・・」
ユウキの言い分に思い当たることしかないヒビキは渋々ユウキの事を聞いた。
「ん・・・?」
「どうかしたの?」
「・・・ユウキ、俺の後ろ下がれ」
「へ・・・?う、うん」
ヒビキに言われ後ろに下がるとヒビキが武器を持っている反対の左手を挙げた。
すると武器が少し淡く光る。
「ヒ、ヒビキ・・・?」
するとヒビキの近くに半透明の剣が出てくる。
SAO時代に使っていたユニークスキルの《幻想剣》だった。
「こそこそと・・・うっぜぇんだ、さっさと出てこいよ!」
ヒビキが少し切れ気味に言うと空から赤い服を着たプレイヤー・・・サラマンダーの部隊が下りて来る。
「ふん、俺らの《隠蔽》を見破るとは良い索敵だな」
「うっせ・・・で?何の用だよ」
「アイテムと装備全部置いていけ。それなら危害は加えないで居てやろう」
偉そうに踏ん反り返っているサラマンダーのリーダー格がヒビキ達に言う。
それが少し怖かったのかユウキはヒビキの服を摘む。
「ヒビキ・・・」
「大丈夫、おとなしく見てな」
「う、うん」
ユウキを安心させるべく、落ち着いた声で言うとサラマンダー達を警戒する。
するとキリト達も追いついたようだった。
「ヒビキ、ユウキー!」
「って、キリト君それ以上は!」
サラマンダーの事を気づいていなかったキリトは全速力でサラマンダーの部隊に突っ込む。
「・・・小僧、死にたいらしいな」
それがカンに障ったのかリーダー格がキリトとリーファにも敵意を向ける。
「キリト!裏取りしっかりやれよ?失敗したらあらぬ事を嫁さんに言い付けてやるからな!」
「はぁぁ!?駄目に決まってんだろう!」
それが合図となったのか二人が一気に部隊へと突っ込む。
だが、キリト側にタンクが固まって居たのか盾に阻まれていた。
攻撃が盾に阻まれ隙が出来たキリトに火属性の魔法を当てていく。
「キリト君!今、回復するね!」
リーファはキリトに回復呪文を唱えるとキリトのHPが回復する。
するとキリトはリーファのあることを言う。
「リーファ、君の腕を疑っているわけじゃないんだけど、ここは俺だけに任せてくれないか?出来れば回復とかに回ってくれると俺も全力で戦える」
「・・・わ、わかった。私はキリト君のサポートの回るね」
サポートに回ってもらったキリトはまた相手にへと立ち向かって行った。
その頃ヒビキは予めだしていた幻影剣を上に向かわせて相手に気づかれないようにしていた。
「さて、と・・・ちゃっちゃとやりますか」
《隠蔽》を最大限にし、近づける所まで近づくと隠蔽を解除する。
相手からするといきなり現れた様に見えたらしく、驚いて尻餅をついた。
「・・・根性ねー奴」
そういうと無慈悲に体制を崩したプレイヤーを斬ると一気に突っ込む。
だが、タンクが居たのかそれに阻まれ、止まってしまう。
「・・・意外にも固いな、お前さん」
「そういうあんたも中々だな!」
「しゃーねぇなぁ・・・あんま使いたくはないが・・・」
ヒビキは腰に装置していた短剣を取り出すと片手剣を納めた。
そして全速力で相手の目の前に移動すると短剣を思いっきり振る。
「ひっ・・・!」
それに怖じけづいたプレイヤーは盾で短剣を防いでしまう。
それの隙を見逃さなかったヒビキは後ろに回ると片手剣を刀の様に使い、抜刀して切り倒す。
ヒビキ側が粗方片付くとキリト達が終わるのを見ていた。
キリトもキリトで戦いは好きな方なのを知っていたヒビキは邪魔をせずに見ていた。
「盾5人も回ってんのか・・・そりゃあキリトでも苦戦してるわけだな」
ヒビキ側にはタンク3人、メイジ2人と随分舐められていたためか、あっさりと終わってしまっていた。
キリトは苦戦を強いられ、HPが削れるとリーファに回復してもらう・・・これの繰り返しだった。
「くっそ・・・何か、何か手があれば・・・!」
「もういいよ、キリト君!一回死んでまた来たら良いから!」
「駄目だ!」
「っ!」
キリトが強く言うとリーファは黙った。
キリトはSAOから変わっていなかった。
SAOのデスゲームは死ねば現実でも死ぬというゲームではあるがゲームではないという所がキリトを変えた。
キリトの信念はパーティーメンバーを誰一人として殺させない。
それはあることが起きてからずっと変えずに押し通していた物だった。
だが、劣勢であることに変わりはなく、キリトはこの状況をどうにか打破出来ないか考えていた。
そして何を思ったのかヒビキの方を見るとあるものを示していた。
(魔法・・・?)
SAOと違いALOは魔法が使える。
スプリガンの得意魔法は幻惑と言った物を得意とする。
するとキリトはリーファに言われ一つだけ辛うじて覚えていた魔法を一か八か使って見ることにした。
「リーファ!少しだけ時間を稼いでくれ!」
「わ、わかった!」
キリトと入れ代わったリーファは何か思いついたのだろうと思い、キリトを信じた。
するとユイがポケットからキリトに合図をしていた。
「パパ!今です!」
キリトがそれに合わせて魔法を唱え終わると巨大なモンスターへと姿を変えた。
見た目は巻き角を持ったバフォメットもどきだった。
「へぇ・・・自分の姿を偽る魔法か。まぁ俺には何故か効いてねぇけど」
ヒビキからみるとただキリトが何かしているとしか思えてなかったが、サラマンダー達には効果的だったようで、化けたキリトを見ると否や逃げ出して行った。
だがそれを許すキリトではなかったため、逃げようとする者から倒して行った。
「キリトー!一人は残せ!」
ヒビキの言葉が理解できたのか、最後の一人だけを残すと残りは全て倒して行った。
魔法が解けるといつものキリトに戻った。
「キリト君・・・今の何?」
「・・・なんか適当に考えてたら出来た」
「へ、へぇー・・・」
すごい姿に変わったキリトに何とも言えなかったリーファ。
そして一人だけ残されたサラマンダーはヒビキに捕縛されていた。
「さて・・・お前様よ」
「な、なんだ!」
「・・・取引をしないか?」
ヒビキの行動に2人は首を傾げる。
一体なんの取引をしようとしているのかと。
「さっきの戦闘で手に入ったのを全部流してやるからなんでこんなことしたか言え」
「ほ、ほんとにくれるんだな?」
「あぁ・・・取引に嘘は言わん」
そういうヒビキは悪いことを考えていると丸分かりだった。
それを見ていたユウキ達は思う。
男は身も蓋も無いと。
そしてこの事を分かるかぎり教えてくれたため、入手したアイテム等を全て渡すとどこかへ去って行った。
「よし、ある程度搾ったし続き行くか」
ヒビキとキリトはやり遂げたような爽やかな顔で言う。
それを見ていた二人はやっぱ身も蓋も無いと思っていると、リーファがメッセージを受け取る。
「ん、メッセージ・・・?誰からだろう」
メッセージを確認していたリーファは読んでいると段々と険しい表情となる。
「・・・何かあったらしいな」
「ふぇっ!?な、なんで分かったの?」
「険しい表情になっていたのと、ダチが興味深い物を伝達してくれたからな」
ヒビキの言うことにリーファは合っていた。
送られてきたメッセージには、シルフ領主とケットシー領主が同盟を組む物だが、そこにサラマンダーの大軍が迫っているとのこと。
「・・・私少し用事が出来ちゃったから・・・世界樹には着いて行けない・・・」
「ヒビキ、ユウキ良いか?」
「ああ、手間が一つ増えただけだしな」
「ヒビキが行くならボクも行くよ」
「なら決まりだ、リーファ」
「・・・え?」
「俺らも着いてくってことだ、どちらにせよリーファには恩があんだ、返させろってことにしろ」
「分かった、一応言うね・・・さっき、メッセージでシルフ領主とケットシー領主が秘密裏に世界樹攻略の同盟を組むみたいなんだけど、それを妨害しようとサラマンダーの大軍が来ているみたいなの。だから、私は世界樹には行けない」
一緒に行けない事に申し訳なくしているリーファ。
だが、3人は既に手伝うことを決めていた。
「だったら俺らも行くよ、リーファ的には妨害されたくねぇんだろ?」
「う、うん。領主が討たれるとね、領主下に蓄積されている資金の3割を入手できて十日間街を占領して自由に税金をかけられるの。だから領主を討つメリットは大いにあるの」
「だったら早く行かないと間に合わないかもだよ!」
ユウキの言葉は合っており、早く行かなければ領主が討たれる可能性が出てしまう。
それを思ったのかヒビキはキリトに目で合図する。
「リーファ、手を」
「へ?う、うん」
「ユウキも」
「わ、わかった」
キリトはリーファ、ヒビキはユウキの手を取るとキリトが先に突っ込んだ。
キリトはリーファの手を取るとこいのぼりのようになびかれながら進み、ヒビキもユウキをお姫様抱っこするとキリトに続く。
「ヒ、ヒビキ!?」
「大人しくしてろ、落ちても知らんぞ」
「あ、うぅ・・・」
ヒビキに言われ大人しくしたユウキだが、女の子としては憧れのお姫様抱っこをされ、顔を隠し恥ずかしがっていた。
洞窟を数分で駆け抜けるとそのまま飛行して場所へと急ぐ。
「き、キリト君、ここからは自分でも飛べるから・・・!」
「ん、そうか。んじゃ下ろすぞ」
リーファが羽を出したのを見るとリーファを下ろす。
ユウキも降ろしてほしいと言っていたが、ヒビキからすれば遅いと思っており、すぐさま却下された。
少しするとサラマンダーの大軍が見えてきた4人。
それを見たリーファはシルフの領主へと飛んでいく。
それに続くように3人も追った。
「サクヤ!」
「リーファ!何故ここに?それにその3人は・・・?」
「今は説明してる暇がないから簡単に言うとこの調印式はこの人達にかかってる」
シルフの領主であるサクヤはリーファとともにきた3人を見る。
そしてユウキを降ろすとヒビキが大声でサラマンダーに言う。
「双方、剣を引け!」
ヒビキの声で全員は剣を一度静める。
するとキリトがサラマンダーに向かって言う。
「この大軍の指揮者と話がしたい!」
「・・・後は頑張りな」
「ああ、任せろ」
ヒビキはキリトに小声で言うと後ろに下がり見ていた。
そして大軍の中から一人のプレイヤーが前に出てくる。
「あれは・・・ユージーン将軍・・・!」
「ユージーンってあのALO最強の!?」
「小僧、俺と話があると?」
「ああ!俺はスプリガン・ウンディーネ同盟の大使だ!今ここで俺達と戦うとウンディーネをも敵に回すことになるぞ!」
キリトはそういうが、これはまったくの嘘であり、相手の交渉として使うため嘘をついたのだ。
「貴様が大使だと・・・?その割にはウンディーネは居ないようだな」
「なんならインプとも一戦交えるか?」
ヒビキはユウキがインプ族なのを利用した。
さすがにインプがいることが決定打となったのか二人を鋭い眼光で見つめる。
「・・・黒のスプリガンよ、貴様が大使だと言うのなら30秒間俺の攻撃を耐えてみろ」
「ああ、分かった!」
キリトが言うとユージーンは武器を抜く。
その武器を見てサクヤが驚愕する。
「あ、あれは魔剣グラム・・・!」
「魔剣!?」
そんなことお構いなしにユージーンはキリトを切ろうとする。
キリトも武器で防ごうとするが武器がすり抜ける。
魔剣グラムの《エクストラスキル》『エセリアルシフト』と呼ばれる効果だった。
武器や盾で攻撃を防ごうとするとグラムが透過するという凶悪じみた性能だった。
「ぐっ・・・!」
それを見ていたヒビキ。
そして自分の武器を抜く。
「ヒビキ・・・?どうしたの?」
「なぁに・・・キリト!」
ヒビキに呼ばれキリトは煙幕魔法を焚く。
そしてヒビキから武器を受け取ったキリト。
ユージーンは武器を振るうと煙は晴れるが、キリトの武器を見る。
「ほう・・・」
ユージーンはまたもやキリトを切ろうとする。
キリトはそれを武器で防ぐが、1本目が通り抜けるが、ヒビキから借りた武器は問題なく受け止めた。
「なっ・・・!」
「さぁ、ここからだ!」
そこからはユージーンが劣勢となっていき、キリトはあの技を繰り出した。
「・・・二刀流か、模写でも凄い再現度だな」
「あれが二刀流・・・?でもソードスキルはないんじゃ?」
「あれはただ二刀流を真似ているだけだな、体に染み付いてるんだろ、二刀流の動きを」
キリトはSAOで使っていた《二刀流》スキルの上位スキル『スターバーストストリーム』をただあの時のように自分の技術で再現した。
その勢いでユージーンをどんどん攻撃していくと、最後の一撃でユージーンを倒し斬る。
「はぁぁぁぁぁ!!」
「ぐおぉぉぉぉ・・・!?」
サラマンダーの大軍もユージーンがやられたことに驚きと困惑を隠せていなかった。
そしてキリトは終わるとヒビキに武器を返した。
「ヒビキ、ありがとう」
「なーに、二刀流じゃないとやりづらそうだったからな」
「ああ、じゃなければ負けていた」
それを見ていた領主二人。
「見事、見事!」
「すごいね、ナイスファイトだよ!」
そしてユージーンを復活させると、今度はヒビキに向き直る。
「小僧、お前にも相手をしてもらいたい」
「・・・へぇ?俺に相手をしろってか?」
「ああ、そうだ」
「条件として空中戦は禁止だ、あとこっちは持てる手段全て使うぞ?」
「良いだろう」
ヒビキの条件を飲んだユージーンは少し距離を取る。
そしてヒビキも離れるように言うと、武器を抜かずにいた。
「じゃあ、このコインが落ちたら始まりな」
ユージーンが頷くと、ヒビキはコインを上に弾く。
そしてそれを見ていた回りのプレイヤーは息を飲む。
これからいったいどんな決闘が始まるのだろうと。
「ヒビキ、勝ってね!」
「とーぜん」
ユウキの応援にヒビキは更にやる気が出たようで、コインが落ちるのを見ていた。
そしてコインが地面に落ちた瞬間、ヒビキはユージーンの目の前から消える。
「むっ・・・どこだ・・・」
「さあな、どこだと思う」
「・・・!?」
ユージーンが気がつくと自分の後ろに回っていたヒビキに驚き、武器を振るう。
「良い反応だな、面白そうだ」
ヒビキは内心ユージーンとの戦いを楽しんでおり、武器を抜かないのは相手の手の内を探る事だった。
どういう攻撃を繰り出すかを如何に観察して見切ることがSAOでのヒビキを対人最強の繋がりでもあった。
「さて、俺も武器を出すか・・・」
大体の動きを覚えたヒビキは自分の愛剣『ファンタジア』を取り出すとユージーンの攻撃を受け止めた。
「なっ・・・!?」
「エセリアルシフトだっけか?俺の武器にはそういう効果消し飛ばすから意味ねぇな」
「なるほど・・・それは面白い武器だな」
「だろ?これ以上にすげぇのあるけどなぁ!」
ヒビキはあの戦法を出し惜しみをせず使う。
腰の短剣を片手剣と入れ替えると、ユージーンから距離と取る。
それを警戒するユージーンに向かって目の前に現れる。
「またその方法か!」
「だといいな」
そして短剣を思いっきりユージーンの顔に向けると1本は通り抜ける。
しかしグラムが止まった。
「2本目入れてあんだよ、その武器って武器を1本しか持たない相手には有効だが効果が分かってんだ、対処するだろ?」
「ふん!・・・」
ユージーンが短剣を弾くと短剣から手を離し、ヒビキはがら空きのユージーンの腹を上に向かって蹴り飛ばす。
「ぐはぁ・・・!」
「てめぇがこの世界で初めて使う相手だ、しっかり沈めよ!」
ヒビキが言うと、ファンタジアを引き抜いて《幻想剣》スキルを発動させる。
そして100連撃『ディレベル・メテオ』をユージーンに向かって武器を振りつづける。
それだけで不可視の攻撃でユージーンのHPを削る。
そして70連撃辺りでHPが0になり、ユージーンが炎の様な状態となる。
それを確認したヒビキは、武器を改めて振ると鞘に納めた。
「見事、見事だ!」
最初に声を挙げたのはシルフ領主のサクヤだった。
それに続くようにサラマンダーからも拍手や喝采などが来る。
「・・・知れてるだろあんな決闘」
「ううん、そんなことないよ!ヒビキすっごくかっこよかった!」
「・・・ならいいけど」
ユウキにかっこいいと言われ照れるヒビキ。
そしてケットシーの領主がやってくる。
「凄いよ!ユージーン将軍をあんなにあっさりと倒しちゃうなんて!」
「まぁ、弱くはなかったしな・・・良い相手だった」
ヒビキが言うとユージーンがまた形を現わす。
復活がされたようで、武器を納めていた。
するとサラマンダーの一人がユージーンに言う。
「・・・ほう、そういうことにしておこう」
そのサラマンダーはリーファを見た後、ユージーン達はどこかへと飛び去って行った。
そしてキリト達。
「いやはや・・・凄いな君達は」
「ねぇキミ、スプリガンとウンディーネの大使ってホントなの?」
「もちろん大嘘だ!ブラフ、ハッタリ、ネゴシエーション。手札がしょぼい時はとりあえず掛け金をレイズする主義なんだ」
とキリトは先ほどの大使だということを嘘だと伝えるとヒビキも同じく言った。
そしてサクヤがケットシーの領主にあることを頼んだ。
「アリシャ、月光鏡をお願いできるか?」
「今は夜じゃないから長くは出来ないよー?」
アリシャと呼ばれたケットシー領主は魔法を唱えると鏡のようなものが現れた。
そしてそこに写し出されたのは昨日の夜リーファ達を忌ま忌ましく見ていたシグルドだった。
「やあ、シグルド」
「なっ、サクヤ・・・!生きて居たのか」
「ああ、元気に生きているよ。それと君にユージーン将軍がよろしく・・・と言っていたよ」
「ぐ・・・」
「そんなにシルフ族でいるのが耐えられないなら、その望みをかなえてやることにしたよ」
サクヤはウィンドウを操作する。
それをシグルドが抗議していたが無視し、シグルドのシルフ権限を消し去る。
「そのままレネゲイドとしてさまようといい。そこに新たな楽しみが見つかると事を祈るよ」
そう言い残すとアリシャに「もう大丈夫だ」と言い月光鏡を閉じた。
そしてサクヤはキリトの腕に抱き着く。
「キリト君・・・と言ったかな、どうだい?うちのところで働くのは」
そしてヒビキにはアリシャが抱き着く。
「君の腕を見込んでうちの傭兵をしてくれないかな?給料は3食おやつ付きだよ!」
「あ、あぁ・・・でもせっかくのお誘いは有り難いけど俺には相手がいるから無理だ、悪い」
「そっかぁ・・・いつでも募集してるからね!」
そんなアリシャとヒビキの会話を聞いていたユウキは顔を伏せていた。
それに気付いたヒビキはユウキの頭を撫でながら耳打ちする。
「後でリアルでな?」
「・・・っ??」
その意味を理解できなかったユウキは困惑するがヒビキは移動しており聞けなかった。
そしてリーファがサクヤにあることを聞く。
「ねぇサクヤ、世界樹攻略に私達も参加させてほしいの」
「それは・・・願ってもない事だが・・・良いのか?せっかくの自由なのに」
「今はこの人達を手伝うことにしてるから、それには世界樹攻略が不可欠なの」
「ん~でも、まだまだお金が足りなくて準備には時間が・・・」
アリシャが言うと目の前に大きな袋が出現する。
「そんだけ金ありゃ足りるだろ」
それはヒビキが必要最低限の金額を残し全て出したお金だった。
金額は25万ユルドで充分過ぎる量だった。
「い、良いのか?」
「今は必要ねぇし、要るときは集めりゃ良いだけだろ」
「うん、これだけあれば充分準備が出来るよ!」
アリシャが見繕い、金額に足りると言ったため、早速準備を行うらしい。
「さて、3人とも!今日中にアルンに向かうよ!」
「うーい」
「分かったー!」
リーファに言われ3人は羽を出す。
そしてリーファも出すとサクヤにお礼を言うと世界樹の下に広がる街、アルンへと向かって行った。