ソードアート・オンライン ~幻剣と絶剣~   作:紅風車

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竜使いの少女

身動きが出来ないと感じてヒビキは目を開けた。

するとそこには自分に抱き着いているユウキが居た。

 

「・・・あ?・・・えっ」

 

すぐに手を退かそうとするがそれはすぐに止める事となった。

 

「姉ちゃん・・・なんで・・・先に・・・」

 

「ユウキ・・・」

 

「やだよ・・・ボクを置いてかないで・・・」

 

「ユウキ、俺が居てやるから・・・」

 

ヒビキは逆にユウキを抱きしめた。

ユウキもそれに反応したのかさっきよりつよく抱き着いてきた。

 

(今は頼れる相手が居ないんだろうな・・・俺しか。でも俺だって何時までもユウキには居てやれない。長く無いし・・・な)

 

ヒビキは自分の現実境遇を思い返したあと、ユウキがおきるまで暇だったためまた寝付いた。

 

 

 

その後、ユウキが起きると身動きが取れず原因を見てみるとユウキに抱き着いたヒビキがいた。

かく言う自分もヒビキの背中に手を回していた。

 

「へっ・・・ボ、ボクまさか・・・」

 

「・・・は・・・ぅ・・・はわわぁ・・・」

 

その後を考えたときユウキの頭は処理出来ずパンクし、気絶した。

 

 

そしてお昼辺りになったときにヒビキはまた起床した。

ユウキも離れていたため何事もなく起きた。

 

「ん~、お昼まで寝てたとはなぁ・・・」

 

そしてユウキを見るとまだ夢の中なのか寝ていた。

その間にご飯を作りながらあるソードスキルを考えていた。

 

(幻影剣・・・あん時使っちまったけどばれてないよな・・・?)

 

幻影剣とはヒビキがユウキを助けるときに使ったソードスキルだ。

通常のソードスキルには無く特別な扱いとなっていた。

そんなことをしてご飯を作っていると寝室のドアが開いた。

ユウキが起きて来たようだ。

 

「ん、ユウキ。おはよう」

 

「おふぁよぉ~・・・」

 

まだ眠気が取れないのかユウキはまだ目が据わっていた。

お昼とはいえ寝過ぎてしまうと逆にずっと眠気が出る時があってしまうのが困りものだ。

そんな状態のユウキを見て少し苦笑いする。

 

「ユウキ、一回顔洗ってきな、目が覚めるだろ」

 

「ふぁ~い・・・」

 

ユウキは覚束ない足取りで洗面所へと向かった。

一応この家はヒビキが現実での家をある程度再現しているらしく、まさしくヒビキの家とほぼ同じなのだ。

もっともユウキはそんなことを知らないが。

 

 

少しするとユウキが戻って来ていた。

しっかりと眠気は取れたようで元気いっぱいである。

 

「えへへ~おはよ!ヒビキ」

 

「おう、二回目だけどおはよう、もうご飯出来たぞ」

 

「わーい!」

 

「あんまはしゃぐなっての・・・」

 

「ごめんごめん、ヒビキの料理おいしくてさ・・・」

 

「そうか?普通だろ」

 

「そんなことないもん!・・・じゃあ食べよっか」

 

「だな、いただきます」

 

「いっただきまーす!」

 

いつも通りご飯前に合掌をしたあと、二人はご飯を食べていた。

ユウキは天国に居るような顔でご飯を食べ進めておりヒビキはそれを見て少し笑っていた。

 

 

ご飯を食べ終わり、寛いでいるとキリトからメッセージが届いている事にヒビキは気づいた。

 

「ん?キリトからか・・・なになに」

 

用件は『ロザリアという女性プレイヤーに覚えはないか』というものだった。

ヒビキもそれに関してなら話し合いたいと思いキリトには『一度それについて話したい。どこかで落ち合おう』と返した。

すぐに返信が来て『35層の宿屋で良いか?転移門で待ってるから宿屋には案内する』と来たためそれで良いと思った。

そして今日の案件を伝えるべくユウキに話した。

 

「ユウキ、ちょっと良いか?」

 

「どーしたの?」

 

「キリトがなんか用事あるみたいでさ・・・今日キリトんこ行く」

 

「ボクも一緒に行っていい?」

 

「あー・・・うん、好きにしてくれ」

 

「わーい!じゃあついてくね?」

 

ユウキも一応来ることとなり、すぐに支度し35層に向かった。

35層につくとすぐにキリトは見るかり合流した。

 

「ん、ユウキも一緒なのか」

 

「あー・・・それはあとで言おう」

 

「?わかった・・・んじゃ人待たせてるから行くぞ」

 

「あいよ」

 

「はーい!」

 

キリトは二人を連れるとある宿屋で止まった。

そこはチーズケーキが美味しいと評判の店だった。

それを知るのは美味しい物好きのユウキだけだが。

 

「シリカー!今戻ったぞー」

 

「あ、キリトさん、おかえりなさい!」

 

キリトがその人物の名を言うとキリトはそこまで移動した。

二人も付いて行き、ユウキは少女の隣、ヒビキはキリトの隣に座った。

 

「さて、紹介するよ、この子はシリカ」

 

「え、えっとシリカです!少し前にキリトさんに助けて頂きました!」

 

「へぇ~・・・キリトが助けるとはねぇ・・・俺はヒビキ。気軽にヒビキって呼び捨てで構わん」

 

「ボクはユウキだよー!ヒビキと同じく呼び捨てで良いからね!」

 

ユウキが自己紹介し終えるとヒビキはキリトに話を切り出した。

 

「キリト、今回は何の用だ?」

 

「あ、ああ・・・実はシリカの手伝いをしてほしいんだ」

 

「シリカちゃんの?なんでまた、お前だけでも十分行けるんじゃねぇか?」

 

「詳しいことはまた言うが・・・頼む」

 

「ユウキ次第だな、ユウキが手伝いたいなら俺も手伝う」

 

「えっ?ボ、ボクは良いけど・・・」

 

「あ~良かったー・・・断られたら結構危険な可能性が出るからな・・・」

 

「・・・マジでお前何しようとしてんの」

 

キリトの大袈裟な反応にヒビキは苦笑いして解散し、宿屋に泊まった。

ユウキがお風呂に入っている間、ヒビキはキリトの部屋に向かった。

 

「キリト?良いか?」

 

「ああ、良いぞ」

 

ヒビキが中に入るとシリカがおり、テーブルにはプロジェクションマッピングみたいなものが映し出されていた。

 

「なんだそりゃ」

 

「シリカに明日行く47層の説明をしてたんだ」

 

「47層・・・プネウマの花か」

 

一応ヒビキは攻略組ではあるがレアアイテムには興味がありその一つがプネウマの花だった。

綺麗な花であり欲しいと思っていたが手に入らず・・・という47層の雑魚狩りをしただけのヒビキだった。

 

「確かにビーストテイマー居ないと無理だろ?・・・てことはシリカちゃんがそうなのか」

 

「はい・・・そうなんです。でもキリトさん達が付いてるから問題ないです!」

 

「ん、そかそか・・・?」

 

ヒビキはシリカの元気な姿を見て、頑張ってなという応援をしていると、扉の向こうから気配がした。

 

「・・・!?誰だ!」

 

ヒビキが開けるとそそくさと逃げて行ったプレイヤーがいた。

 

「っち、聞かれてたか」

 

「みたいだな・・・」

 

「えっと・・・宿屋ってノックしないと聞こえ無いんじゃ・・・?」

 

「そうでもない。《聞き耳》スキルを上げてる奴なら聞こえる。まぁそんな物好きはあんま居ないが」

 

「んじゃこれで解散。俺は明日に備えてもう寝るよ」

 

「はい!キリトさんにヒビキさん、ありがとうございました!」

 

「良いってことよ、んじゃあまた明日な」

 

ヒビキは二人と別れると自室に戻った。

そこには風呂上がりのユウキがいた。

まだほんのり頬は赤く、服も薄着だった。

 

「あ、ヒビキおかえりー」

 

「おう、戻ったぞ」

 

ヒビキはユウキの隣に座り、ユウキの頭を撫でた。

嬉しそうに顔を緩ませたユウキを独占したいという欲求が出ていたヒビキだが何とか耐えて、撫でるのを止めた。

 

「・・・ぁ・・・」

 

「何だその名残惜しそうな声は・・・いつでもしてやっから」

 

「うん!」

 

「もう寝るぞ、何か今日は眠い」

 

「わかったー、ボクも一緒に寝るー」

 

ユウキがベッドに入るともうヒビキは寝ており、寝顔を晒していた。

 

(ヒビキは・・・いつになったら言ってくれるのかな・・・?でもいつか言うって言ったからボクはそれを待たなきゃ・・・)

 

そんな事を考えているとユウキにも眠気が襲ってきて寝てしまった。

 

案の定、ヒビキはユウキに抱き着かれたため困り果てていたが。

幸せそうに眠るユウキを見ると怒る気にはならなかった。

 

(いつまで一緒に居てあげれるんだろうか・・・。多分・・・SAOが終わるまで・・・だよな・・・)

 

ヒビキは眠っているユウキを余所にSAOクリア後を少しだけ考えていた。

 

 


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