プリンセス・プリンシパル original mission 作:伊織@うp主
チームのどこかフワフワとした雰囲気に違和感を覚えつつも、彼女はスパイとしての任務開始のため、彼女達と共に行動する。
そして、チーム白鳩に、コントロールからの新たな指令が届く…
ー革命が起きてから『ロンドンの壁』によって私たちの国、アルビオンは『王国』と『共和国』に分断された。壁に接している街、『ロンドン』はスパイが暗躍する情報戦の最前線と化した。
王国と共和国の姫を入れ替える作戦。『チェンジリング作戦』の情報がコントロールから私にもたらされたのは、作戦開始から一月あとだった。確かに私は合流に時間がかかったが…
「だからと言って、私が高校生やるのは無理があるだろ…」
「そう?かなり似合っているわよ」
「辞めてくれアンジェ…まさかまた高校生やるとは思ってなかったんだ…」
「エイティナ…それ私の前で言うなよ…」
「ドロシーの方が私より若いでしょ!?」
「ほほう、ドロシーの方が若いのか…では、お主は幾つなのだ?」
「22よ…私ってそんなに若く見られるのかな…」
「あら、若く見られるということは良いことではなくて?」
「それは嫌味ですか?プリンセス」
「姫様が嫌味を言うわけありません!」
「ベアト、いいのよ」
「はぁ…これでチームが成り立ってるのだから、怖いものね…」
チーム白鳩…私はコントロールの指示を受け、合流するよう言われたのだが…ドロシーと私は高校生としてはかなり無理がある年齢。
だが、私より若いドロシーはまだ馴染めているような感じを受ける。
アンジェも、校内では浮いていない程度に馴染んでいるようだ。
プリンセスはプリンセスだから、常に衛兵がいるし、ベアトリスも付いている。この2人は元から学生だったのだから逆に違和感がある方がおかしいのかもしれない。
ちせは日本からの留学生ということあって、物珍しさ扱いされているのかと思ったが、意外と周りも慣れたようだ。
…だが、問題は私だ。学生なんて、とうの昔に終わっているし、学校も既に始まっている状態で編入だ。それは浮くに決まっている。
だが、こいつらがいてくれたから学校にはどうにか馴染めそうだと思った。
しかし、これは任務。仲良くしていても、仕事はきっちりと果たさなければならない。
「どうかしましたか?エイティナさん」
「ふぇ!?…あ、いや。何でもないんだ…気にしないでくれ…」
「もう、そんなに驚かなくても…」
「悪いやつじゃないんだ。だけど、考え事をすると周りが見えなくなるというか、なんというか…」
「なににも反応しなくなるのよ。そこがあなたの悪いくせね」
「大きなお世話だ、2人とも…」
「(全員で笑い出す)」
なにはともあれ、任務はサクサクと進みそうだと、この時に思った。
ー任務開始してから2日後、コントロールから指令が来た。今回の我々の任務はビビアン侯の亡命支援、そして王国が開発された新造艦の開発設計図の奪取だ。
ビビアン侯はノルマンディー公に亡命を依頼しようとし、ノルマンディー公も部下を接触させていた。だが、ビビアン侯の海外諸方へのパイプが目的のノルマンディー公は、壁越えをさせたらすぐに殺す気だろう。そこで、壁越えをさせる事を条件に共和国はこちらへ協力することを要請した。
ビビアン侯の亡命は近々に壁越えを行う。日程はコントロールから指示が来る。そこは問題ない。問題は王国軍の技術研究所に潜入し、その設計図を奪取する。これが難関だ。なにせ軍の特殊施設に潜入して機密文書を奪うのだからこれ程難関なものは無い。何処に閉まってあるのか、そして金庫に入っているのなら、金庫を破るまでに時間がかかる。その時間を考慮すれば潜入には時間がどう足掻いてもかかってしまう。
この6人で挑むのに、そこまで時間はかけられない。
まずは設計図を研究者より奪取、その後、設計図と共にビビアン侯を共和国へ送り届けるという段取りを付けた。
「それじゃ、潜入する時はプリンセスとベアト、ドロシーは私達が潜入する時のための隙を作って。私とちせ、ティナで潜入して機密文書と設計図を奪取する」
「わかった、じゃあ、車も必要だな?」
「私とベアトを送り届けてもらわなければですね」
アンジェの話にドロシーとプリンセスが相槌を入れているなか、ちせは少し離れたところで刀の手入れをしていた。
「久々の実戦が…腕がなるな」
「あくまで見つからないためにコソコソ行くんだろ?なら、その刀は必要なのか?」
すると、呆れたような顔を浮かべながらこちらを向いて、ちせは…
「エイティナ…お主は慎重なのか?それとも臆病なのか?」
「臆病ならこの仕事やってないって。ただ余計なリスクを減らしたいだけさ」
と、このような会話を交わしていると後ろからちせを擁護するような声が聞こえてきた
「まぁ、備えていて悪いことはありませんもんね。あ、紅茶が入りましたよ。」
と言って、彼女は机の上に紅茶の入ったティーカップを置く。
「ありがとう、ベアトリス」
「ベアト、で構わないですよ。そんなことよりも、一旦お茶にしませんか?皆さん。」
彼女の声がかかると、みんな一旦手を止め、紅茶へ手を伸ばす。1度手を止めて紅茶で口を潤し、軽いもので腹を満たすと、やはり高校生だからなのか、おしゃべりが始まる。こんなにたわいない話をしている暇はあるのかと思ったが、案外アンジェとドロシーも楽しんでいるようだ。それならば、安心なのかもしれないー
to be continued
あとがき
どうも、伊織です。
今回のお話、楽しんで頂けましたでしょうか?
普段二次創作なんてそんなに書かない私ですが、この作品だけは書きたくなってしまい、流れに身を任せて勢いで書いてしまいました…
この「プリンセス・プリンシパル」という作品を見て、心打たれてしまいましたね。はい。
おかげでこんなに長い文をスラスラといとも簡単に書いてしまいました…おういえあ…
さてさて、話は少し変わりまして。
この作品、原作は1910年辺りをモチーフとして描かれているそうなのですよ。はい。
もうね、女の子!スチールパンク!スパイアクション!最っ高ッッッダ!!
これでしたね。初めて見た時の感想。
まぁ、私の感想は置いておいて。
本当は一話完結にしたかったんですが、これだとあまりに長文になりすぎるので、やむを得ず、区切ってしまいました…ですが、短編シリーズにしようとしているので、お楽しみに。
それでは、次回まで気長にまいります!