○月×日 天気:晴れているけど将来が曇ってきた
今日もこっそり忍法のオンオフを繰り返しながらの移動を鍛錬の一環として、日々の精進を怠らないようにしている……怠ったら夢の中で12人の知らない人たち(ご先祖様らしい)に悪夢を延々とみせられる。普通の悪夢ならまだいい、少しでも怠ると夢の中でご先祖様たちの現役時代の追体験+修行を課せられるから堪ったものではない。
まぁ、おかげさまで生活に便利になったことは嬉しく思う。
それを夢の中でいったら…
蝙蝠さんからは爆笑されながら肩を叩かれ、
白鷺さんにはよくわからないがあきれたような態度をされ、
喰鮫さんからにはすごく気に入られたようでいろいろ話し込み、
蟷螂さんからは苦虫を噛み潰したような表情で忍法とは何かを諭され、
蝶々さんからはくだらないことに忍法を使ってんじゃねえとボコボコに肉体言語で話され、
蜜蜂さんからは憐みの視線を向けられ、
狂犬さま(えらく古株らしいので様付けしている)には滾々と至極まっとうな説教をされ、
鴛鴦さんには何もしてないのにも関わらず蝶々さんと一緒に襲い掛かってこられてしまい、
海亀さんに救援を求めるも自業自得と見た目よりも年寄りじみた言動で放置され、
川獺さんは蝙蝠さんと一緒に笑いながら偶に優しくしてくれたり、
人鳥くんとはキャッチボールをして遊んだり小動物的な言動に癒されたり、
鳳凰さま(何か実質的に一番偉いらしい)には忍びとは何ぞやの話を賜った。
そんな感じで鍛錬を怠ってこなかった自分ではあるが、やらかしてしまった。
車にひかれそうになっていた女の子を反射的に忍法足軽によって助けたはいいが、その女の子が『自分が助かったのは貴方が忍術を使ったと私のカンがいっています!』といわれ、『師匠と呼ばせてください!』と言われた。
もちろんすっとぼけた。
でも『証拠をつかむことが弟子入り条件なのですね』と致命的な誤解をされ、付きまとわれそうになったが速攻で逃げた。何が悲しくて付きまとわれなきゃいかんのか。いくらかわいい女の子でも嫌なものはいやである。
しかし流石にこの大都会である。会う事もないだろう。
明日は346プロダクションの臨時募集されていたアルバイトの面接があるから、さっさと今日のことは忘れて気合を入れよう。
時給がいいから、明日の面接で下手をしないように気を付けないとな…
あの子と会う可能性もあるが、まぁありえないだろう。アルバイト内容は裏方業務だし、アイドルは来ない場所だろうし。
明日も頑張れたらいいなぁ(ノープラン)