田舎者なので好き勝手書いたら、後から指摘が入って苦笑いしてましたw
俺が食堂に入ってきた時点で何かを話していたみたいだったが、それについては教えてもらえなかった。
ティエル先生からは『仲が良いようで何よりね』などと言われたが、何故か言葉に棘を感じたような気がする。
何故かは判らないが、気のせいであってほしい、切実に。
「早朝訓練をしたいところだけど、臨海学校じゃ出来ないよな…。
それにプロイエットも使えない、ともなれば出来る事はといえば…」
そう!釣りだ!
拡張領域から釣竿を取り出したタイミングでティエル先生に肩を掴まれ
「待ちなさいウェイル君、何処に行くつもりかしら?」
笑顔だ、ティエル先生が見せてくれるのは、旅館の周囲に咲き誇る向日葵のような笑顔だ。
だが、その向日葵からは太陽顔負けの熱というか…怒りの炎を感じ取れたような気がする。
ここで俺が出した言い訳は…
「…周囲海域の魚類の生態調査に…」
部屋へ押し戻された、…釈然としない…。
「あのねぇ、昨日釣り上げた魚だけでも旅館の冷凍庫がいっぱいになっててもう何も入れられない状態になっているのよ?
解体ショーをしてお刺身を大量に振舞っても、焼け石に水の状態なのに、これ以上釣り上げてどうする気?
客室の冷蔵庫に入れるわけにもいかないのに!」
そしてお説教という早朝からの地獄のフルコースだった。
釈然としねぇ…!
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
早朝から起きている連続とした状況に頭が追い付かず、軽い頭痛に襲われた…ような気がした。
メルクがウェイルに当たり前のように添い寝をしている、ウェイルはそれに特に何も感じてない、
そして早朝から釣りに出かけようとしたウェイルはティエル先生に引き留められ、お説教。
朝っぱらから、もう何かのコメディーでも見せられているかのような気がする。
ウェイルが浅はかというか、メルクがしたたかというか…どう言えばいいのかもよく判らなくなってる。
「つまり、鈴はメルクに嫉妬してるわけだぁ~♪」
「ちっがうわよティナァッ!な、何言ってるのよ!?
わ、私の考え事は別に在って…」
「毎日ウェイル君の事で愚痴とか言ってるのに、今更ソレはないでしょぉ~?」
「それは…!あ~も~この話は終わりよ!
それよりもうすぐ朝食でしょ!そろそろ食堂に向かうわよ!
そろそろお説教も終わってるだろうから、ウェイルもつれて、ね」
いったん部屋に戻ったものの、それこそとんぼ返りのような形でウェイルの居る教職員用の部屋へ向かっていった。
「失礼しまぁ~す♪」
気に抜けるようなティナの言葉と一緒に私も部屋へと入っていった。
中では
「あら、また来たの?ちょうど良かったわ」
中には、ティエル先生とメルクの二人だけで、ウェイルの姿が見当たらなかった。
「ティエル先生?ウェイルは?」
「釣りに行けなかったのが悔しかったみたいでね、露天風呂に行ったわよ。
それは兎も角として、コレを見てもらえるかしら?」
朝から露天風呂…釣りだけでなく露天風呂にも興味津々か…イタリアの人ってそんな感じなのかしら?
もしかしたらメルクも…?
「それで、見てほしいって何がですか?」
「携帯端末よ、今朝から学園に通信が繋がらなくてね…」
うわぁ…私は完全に門外漢だわ…。
「他の教職員もみんな同じなのよ、学園に連絡が出来なくてね…」
なんだろ、電波障害かな?
学園周辺で何かあったのかしら?
ティナに視線を向けてみるけど、フルフルと首を横に振るだけ。
「失礼します、ウェイルは居る?」
その言葉ともに部屋に入ってきたのは…簪だった。
それにラウラとシャルロットも。
「どうしたのよ、皆?」
「その…お姉ちゃんに連絡が出来なくて…」
「僕とラウラのところにも相談に来てくれたんだけど、サッパリで…」
「こういう件に関してはウェイルが最も頼りになるだろうと判断したんだ」
学園に連絡が出来ない。
それどころか、個人にも通信が繋がらない。
先の新宿の爆撃テロ以降、何かが起きてるのかもしれなかった。
でも何かが起きているのが判っても、何が起きているのかがさっぱり判らなかった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
朝からの露天風呂というのもなかなかに気分が良い。
ヴェネツィアにもこういう場所があれば毎週通いたいとは思うんだが、さすがに水上都市に温泉は望めないだろうな。
「温泉は、地下に通る火山脈の影響で地下水が暖められ、地上に湧き出るもの。
旅館の従業員さんが教えてくれてたな…」
地下の源泉を利用しているものが『源泉かけ流し』、機械で温めた水を循環させているものが『循環式』とか言われているらしい。
日本には温泉に使用できる火山脈や地下水のような資源に恵まれているようで、全国あちこちで温泉が存在しているらしい。
羨ましい限りだ、全国温泉大国。
治安はどうだか知らないが、技術は持ち帰れるものなら持ち帰りたいな。
「次は…ローマにでも行ってみようかな…」
あそこの露天風呂も良かったからな…。
朝から温泉を満喫し、気づけば朝食の時間が迫っていた。
さっさと着替え、乾かすのも面倒な髪はタオルで束ね、浴衣を着用しておく。
日本式のバスローブらしいが、これも結構着心地が良いとは思う。
「ウェイル、遅いわよ」
「ああ、悪かったよ、ついつい露天風呂を満喫してて、さ」
「私も露天風呂に入れば良かったです…」
「アンタは自重しなさい、混浴するには流石に適齢期を超えてるでしょうが。
外見だけなら問題ないかもしれないけど」
「それって私が子供みたいな体格だって言ってますよね!?」
今日もメルクと鈴は仲が良い。
流石にトーナメントでの経験も活かせているようだ。
「朝食は…昨晩のような刺身とかは無いんだな…焼き魚はあるようだが」
「日本の朝食っていうのはこういうものよ、あんまり贅沢を求めるものじゃないわよ」
成程、これも勉強になる。
それにしても魚料理だけでもいろいろとレパートリーが要求されているみたいだな、日本人は料理には何かといろいろな方面に研究を続けるらしい。
「それとティエル先生が呼んでいたわよ、機械を見てほしいってさ」
ここでも俺は機械品修復作業に追われることになるらしい。
今度はなんだ?テレビか?冷蔵庫か?ラジオか?それともキッチンで使っている機械か?
俺は技術者であって、便利屋じゃないんだがなぁ?
「任せろ、できるだけ早く終わらせて、今日の実践授業に間に合わせてみる!」
「お兄さん声が弾んでますね、実は楽しんでます?」
やっぱりメルクにはバレてしまうか。
さて、仕事を頼まれると分かったのなら、朝食をとっとと食べてしまおうか。
うん、美味い…!
朝食を食べ終えてから俺はティエル先生に連れられて、小部屋に来た。
まるで当然と言わんばかりにメルクも鈴もティナも同行しているが、それは構わない。
果てはシャルロット、ラウラ、簪まで来ていることだ。
何の因果か、国家代表候補生が勢揃い、それだけでなく、今回同行しているという教職員も半分がこの部屋に集っている。
そんな中、男は俺一人だけであり、少々居心地が悪い…今更かもしれないが。
「う~ん…簪の端末にも、何も異常は無いな」
時間の都合もあり、教職員含め全員分の端末を調査してみたが、異常らしきものは見当たらない。
念のために俺も生徒手帳を開き、楯無さんのコードを入力してコールしてみるが、一向に繋がらない。
虚さんの場合も含めてだ、職員室にコールしてみてもやはり反応が無い。
「お邪魔しま~す」
またも襖が開かれ、客人が入ってきた。
やって来たのは、自称『生徒会のマスコット』、
1組は、授業が始まるまでは自室待機だったらしいのだが、
「生徒会の相談で来ました~」
そう言って、俺に携帯端末を見せてくる。
「………俺にか?」
「うん、お姉ちゃんに相談したい事が在るんだけど、繋がらなくて~。
そこでウェルルンに看て欲しいの~」
仕方なく預かり、確認してみるが、簪や皆と同様に異常は見受けられなかった。
「ダメか~。
ウェルルンに相談してみれば、何か判るかと思ったけどぉ…」
今はどうしようもない。
仮説を出すと、だ。
「皆もそうだが、こちらの端末に原因が在るのではなく、学園側の端末に何かるのかもしれませんね」
そこまで判明しても、今度は別の方向に疑問が湧いてくる。
学園側の端末、それも固定式もそうだが、個人の端末にも繋がらないともなると益々もって、不可思議でしかない。
学園側に何か起きているのかもしれないが…。
「学園で待機している筈の教職員にも繋がらないのよ」
「…妙ですね、それ…」
政府に連絡すれば良いかもしれないが、果てしない程に胡散臭い相手を頼るのも危険かもしれない。
政府側と言えど、クラス対抗戦の折りに捕縛したテロリストの半数の脱走を許し、残り半数も行方知れずにさせてしまっていたわけだし、ここまでくるとそれこそ何かやらかしているのではないのかと言いたくなってくる。
「鈴、どう思う?」
「私もメルクと同意見、どう考えても胡散臭い、それときな臭いわ」
メルクも同じような反応だった。
だけど、こうして話し合いをしていても埒が明かず、また、実践授業を開催する時間が近づいていたので、今はこれで話を切り上げることとなった。
本音女史も授業の準備が在るらしく、部屋から退出するが
「ちょっと待ってくれ」
一応呼び止める、確認しておきたい疑問が今になって浮かぶ。
「はりゃぁ?どうしたの?」
「まさかとは思うが………もしかして俺は生徒会メンバーに数えられてるのか?」
その疑問を口にすれば、本音女史の細い目が僅かに開かれ………呆れたかのような視線を向けられた。
「え?あれだけ生徒会室を繰り返し使い続けてるのに自覚無かったの?」
役職とか与えられていた訳でも無かったのだが……………………困った、言い返せない。
どうやら俺は既に生徒会に入会していたらしい。
時間の都合もあり、一旦部屋へ戻り、ISスーツに着替えてから砂浜への集合となった。
先程の件もあり、砂浜にはすでに4機のテンペスタⅡが鎮座していた。
実践授業で使われる機体に関しては、
日本製第二世代型量産機『
イタリア製第二世代型量産機『
フランス製第二世代型量産機『
の内、どれがいいのかのアンケートが執り行われており、
その為、今回の訓練にて使用する為に
我が国の技術は生徒達に浸透しているようで中々に優越感がある。
実際、学園でも貸出の要望が急激に上昇している。
「今日も1組は一室に閉じこもって座学の授業をしてるってさ♪」
黒い笑みを浮かべながら鈴がクスクスと笑っているのがどうにも印象に残りつつある朝の風景だった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
皆と一緒にお兄さんへ端末を見せるようになったのは少々気が引けましたけど、結局のところは修理をしてもらうような場所は何も見受けられなかった。
変なアプリが入っているとかではなく、学園側に何かが起きているのかもしれないとのこと。
それからも思いつくのは胡散臭い話ばかりで一向に答えが出てこない。
どうにも胡散臭いですし、鈴さんが言う通り、何かきな臭い感じがしていました。
時間も迫り、実践訓練に移ることになり、話は切り上げに。
ISスーツに着替え、浜辺に向かったころには、私たちは一番最後の到着に。
「じゃあ、訓練に移るか」
お兄さんは早くも訓練に集中し始めていた。
1組の人は座学授業に取り組んでいるとのことで、訓練には不参加。
2組から5組の人だけで訓練に移ることに。
邪魔な人が居ないだけ、訓練に勤しむ事ができる様で安心していられます。
「何かあったのかメルク?」
「いえ、何でもないです」
おっと、いけないいけない、私も訓練に集中しておかないと…!
そこからも私は実践訓練授業に集中する。
今回の訓練のコンセプトは、普段とは違う場所に於ける動作の習得というもの。
戦闘をする場所が、いつもと同じアリーナグラウンドの上ばかりになるとは限らず、こういった足場の不安定な場合も想定しておかなくてはならない。
今は歩行、そのうちに脚部スラスターを使用した走行訓練にも移る予定ですけど…
「砂浜だけに砂埃が凄いです…」
「オマケに海岸だからな…潮風に晒される事になるから、後でしっかりと整備しとかないと錆びるかもしれないな…」
「技術者側からしたら胸の内が痛む話ですよね」
こういったことに関しては上層部は無頓着なのかもしれない、そんな考えが浮かぶのは仕方のない話です。
そして、お昼を過ぎ、昼食後に
「お、来たな」
沖合側から数隻の揚陸艇が浜辺へと乗り上げてきた。
「ここからは専用機所持者同士での特殊訓練を行います。
ですが、それに合わせ、各専用機所持者には企業、国家からの兵装の受け渡しを行うわ。
今度は、一般生徒が専用機所持者側のサポートに入るように!」
揚陸艇から技術者らしき人が数名降りてくる。
その中には
「クロエさん?」
「はい、お久しぶりです、ウェイルさん、メルクさん」
特徴的な銀髪の女性もそこに姿を現していた。
先のトーナメントでミネルヴァの実証実験の後に何が待っているんでしょうか…?
ちょっと不安が…。
「では、届けられました兵装をご用意いたしますね」
「ああ、今から楽しみだ!」
「お兄さん…」
この技術者姿勢のあからさまな反応に周囲のみんなも苦笑をしていました。
クロエさんから提供されたのは、細長い形状のコンテナ、そして、私の身長ほどの大きさのコンテナでした。
「ウェイルさんには、先に試験兵装をより改良し、使いやすくなったランス型兵装『マルス』を」
開かれたコンテナには、お兄さんに合わせて形状を調整した槍が入っていました。
「へぇ…!」
無造作に掴み、コンテナから引き出す。
その取扱いをクロエさんが読み上げていく。
「この兵装は『ウラガーノ』『フィオナローズ』の発展型です。
籠鍔に内蔵されたトリガーで
変形機構はウラガーノ以上のスピードでの変換が可能であり、先のトーナメントでくみ上げられたプログラムでもある『
『フィオナローズ』の機能も搭載されており、相手機体内部への浸食も可能としています」
「凄いな…というよりも、全部盛り込んだようなものじゃないか。
それに銃に関しても
「これもウェイルさんが今まで培ってきた経験を活かしてこそのものです。
ですが、
「いや、そこは大丈夫なんだが…」
「FIAT代表取締役社長からのメッセージです、『これからの活動にも期待している』との事です」
逢った事も無い人からも期待されてました…。
そして、今度は私用に宛がわれたコンテナが開かれる。
そこには…V字型の何かが大量に収納されている。
「メルクさんの機体、
コンテナの中身が一斉に消失、私の眼前に『インストール完了』を告げるパネルが現れた。
え、あの…まだ何も確認できていないんですが…?
「えっと…兵装展開…?」
背面スラスターに、それは出現していた。
「ミネルヴァの更なる発展型シザービット『
ビット、その言葉には覚えがあった。
「あのこれってBT兵装…イギリス主体開発ということになるのでは…?」
BT兵装を開発していたイギリスは首府ロンドン以外の全ての領土、領海すら失って数か月。
イギリスIS研究開発機構BBCも解体され、その技術のほとんどが欧州各国に渡っている。
それでもBTシステムに近い兵装は開発されておらず、下位互換式のミネルヴァ程度だった筈…。
なのに、まさかもう…!?
「はい、FIATでも独自開発を進められており、正式なBT兵装とは違います。
脳波による操作ではなく、量子演算によって自動操作され、
また、射撃ではなく、すれ違いざまにエッジで両断するといったコンセプトになっています」
「そりゃぁ、凄いな…。
IS自体、使用者を限定させ、BT兵装は更にそこから使用者を絞る、言わば極端なまでに使用者を限定させるから、それを簡易化させた、そんなところか」
「そう思っていただいて問題ありません」
簡易化だけでなく使用者を選ばない、下位互換式なんてものではなく、その逆…。
これはすでにイギリスのBT兵装の上位互換…。
「使用方法は自動化されておりますが、起動自体はマニュアル化させていますので、起動と収納はそれぞれの操作が必要になります。
また、シザービットのコンセプトは、『相手の兵装破壊』となっています」
「戦う術を奪う兵装…あの…強すぎませんか…?」
「ビーバット博士からのメッセージです、『期待している』、だそうです」
企業と謎の開発者からのメッセージ付き、もうこれは断れないじゃないですか…。
一先ずスペックデータを確認しておこう。
ガラスィアの速度はテンペスタ・ミーティオのそれに追従できるほど。
すなわち、これを出してしまえば、逃げられる機体は、現状この世に存在しないことになる。
先のトーナメントでお兄さんが使ったミネルヴァと、イギリスのBT兵装の複合兵装。
これは…今後は頑張らないと…!
「え…!?本当に…!?イィィィッヤッッッッタァァァァァッッッ!!」
物凄い叫び声が砂浜をつんざいてきて、私とお兄さんはそちらに視線を向けた。
そこに居たのはティナさんだった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
ティナの歓喜の叫び声に驚かされ、途端に砂浜を駆け抜け、俺に飛びつく…寸前でラウラが
あのまま受け止めていたら砂まみれになっていたかもしれないから正直助かる。
「何を考えているのか知らんが、はしゃぎ過ぎだろうティナ」
AICから解放されたティナが俺に書状を突き出してくる。
「だってだってだってぇっ!
ほらぁっ!これ見てよ!承認してもらえたんだよ!『国家代表候補生』に!」
ティナが見せる書状に記されていたのは星条旗と…国主のサインらしきものと…
「すまん、英語はまだ苦手でな…」
「『国家代表候補生として承認する』って記されてるのよ!
ほらっ!これが私に与えられた専用機、アメリカ製第三世代機『
ティナの背後に鎮座しているコンテナが音を立てながら開かれ、そこにはルージュに染められた武骨な機体が…
「
「それを忘れさせるような機動性だって有してるんだからね!
あ、でも
新しいライバルの登場に鈴もシャルロットも簪も呆然としていた。
ここで新しい第三世代機を見ることになるだろうとは思ってはいなかっただろうからな。
正直、俺も驚いている。
「判ったよ、条約上
仕方ない、頼まれたとあっては請け負うしかないだろう。
それに国外の機体にも正直、興味がある。
それから俺はティナに付き添って
この作業も地味だが重要だ、搭乗者の体幹に合わせ、装甲の隙間の調整を行ったり、操縦を格段にしやすくさせるためのものだ。
これを省略させれば、機体は搭乗者を縛る枷になりかねないからだ。
作業の合間にほかのメンバーを見れば、簪は槍…ではなく、ナギナタとか言ったか、その兵装の予備が届けられていたようだった。
それと一緒に大量のミサイルを補充している。
ラウラは…新たな砲撃型兵装を展開させている。
かなり
これも威力がかなり高そうだ。
「これはこれは……部外者の方が何の用かしら?」
ティエル先生の眼つきが鋭くなり、俺の背後に向けられる。
視線が向けられる先が気にかかり、俺はティエル先生に倣って視線をそちらへ向ける。
そこには黒いレディーススーツを着込んだ人物が居た。
「
ティナ・ハミルトン
ウェイルと共に研鑽を積み、ドイツ国家代表候補生だけでなく、シャルロット・アイリス、織斑全輝といった専用機所持者を相手に渡り合った功績を積み上げた。
また、多くの人に教えを与えることを惜しむことなく繰り返し、それらを総合評価された結果、国家代表候補生としての資質は充分に見受けられると判断され、その称号を認可された。
それに伴い、アメリカ製第三世代機『ファング・クェイク』を受領した。