IS 速星の祈り   作:レインスカイ

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岡山イオンモールで開催されていたBLEACH展に行ってきました。
いやはや、連載していた頃から立ち読みとコミックスを揃えたりとしていた頃が懐かしい。
SEEDとBLEACHは青春だ!


第61話 頼風 手を組んで

放課後の訓練と夕食を終え、学生寮へ。

この学園に編入してきてからウンザリする程に通い慣れた道程だが、夕暮れの時間も終わり、星空が姿を見せ始めている。

教室で陽射しを浴びながらのうたた寝とかも今では難しいだろうし、だが授業中にそんな事をしでかそうものならお説教がセットでついてくるだろう。

そんな事を考えながら学生寮の下駄箱を開くと…

 

「…マジか…」

 

バサバサと音をたてながらこぼれ落ちてくる紙の束。

その全てがタッグの申請書だ。

保留にし続けているのが祟ったか、嫌でも目に入る場所に黙って申請書を放り込んできたようだ。

 

「これをしてきた人はなかなかの策士だな」

 

「そんな訳ないでしょ」

 

鈴のツッコミと共に冷ややかな視線が突き刺さる。

呆れているのか、それとも哀れんでいるのかは微妙な所だ。

深く問おうものなら、体感温度が下がりそうだから辞めておく。

 

「誰と組むのか決めたの?」

 

「私とです!」

 

ここぞとばかりにメルクが叫ぶが…

 

「ギリギリまで考えておきたいんだけどな…」

 

「そんな事を言ってたら、ランダムで割り振られるわよ?」

 

そうなんだよなぁ。

実際、ラウラはシャルロットとタッグを結成し、連携訓練を進めている。

簪は、それこそクラスメートの一般生徒と結成している。

専用機所持者で残っているのは、俺達三人だ。

1組の織斑は…それこそクラスメートと組むだろうし、奴とは組みたくないので論外。

ともなれば、鈴、メルク、俺の三人はどうなっているかと言うと…この現状だ。

何故か、メルクと鈴が、俺を巡って火花を散らしている。

笑顔を見せているのに、間に挟まれると体感温度が下がるような気までしてくる始末。

俺が引こうにも、クラスメートの皆はニヤニヤと生暖かい視線を送ってくるので、気が気じゃない。

クラスメートがそれを見て

 

クラスメートその1

「兄妹で組んだら?」

 

クラスメートその2

「兄妹で組まれたらコンビネーションが恐ろしいから組むのは止めて」

 

クラスメートその3

「決まりきった連携じゃ本人も面白くないだろうから、他の人と組んでみたら?」

 

クラスメートその4

「いいぞ、もっとやれ」

 

最早言いたい放題だった。

最後の奴は顔を覚えたからな、トーナメントで対戦するようになったら覚えてろよ…!

だがまあ、いつまでも後回しにしていたら問題にもなるだろう。

それでも簡単に決めるのも難しい。

 

「それで悩んでるわけね…」

 

翌朝、早朝訓練後の機体整備を終えて廊下を歩いていて出会ったのは、アメリカ出身の一般生徒、『ティナ・ハミルトン』だった。

鈴のルームメイト兼クラスメイトらしいが、近くの整備室を使っていたらしい。

メルクは…まだシャワールームに入っていて帰ってきていない。

普段からメルクと一緒に居るから、こうやって一人で過ごす時間は自分としても珍しいとは思う。

 

「うちの鈴もね、『ウェイルと組みたい』って言って申請書を机の上にほったらかし。

それでもウェイル君は長考続けているから堂々巡りなのよ」

 

「それは…間接的にだが申し訳ない」

 

長考は…時に人に迷惑を与えてしまうらしい。

これは考え直さないとな…

 

「詫び言葉は良いから、そう思うのなら私とタッグ組んで?」

 

なんつー変化球だろうか、思わぬ形で申請が来たと思ったら目の前に申請書を突き付けられた。

実は狙ってた?策士だな。

 

「俺と組んだら鈴に文句や苦情だとか愚痴を言われないか?」

 

「日常よ。

部屋でのプライベートの会話はウェイル君の事ばっかり」

 

ここまで言われたら頭を下げるしかなかった。

日本だったら『ドゲザ』とか呼ばれるものをしてでも謝るらしいが…。

だが、鈴がプライベートでは俺の話ばかりしているというのは、嬉しいような、それでいて恥ずかしいような…。

 

「…ハミルトンさんから見れば、鈴ってどんな人なんだ?」

 

この際だ、興味を持ったからには色々と訊いてみておきたい。

少しばかり踏み込んでみようか。

 

「『努力の人』、かしらね。

時には鋭い直感や、感覚で語る場合もあるけど、そこまで掴めるようにするには並大抵じゃない努力も必要よ。

その感覚で語る所は…教えるのが下手って事になるかしら」

 

自分以外の第三者視点で人を見てみると新しい側面も見えてくるな…。

ふむ、実に興味深い話だ。

 

「それと、私を呼ぶ時には『ティナ』で良いから」

 

彼女と話すのは、これが殆ど初めてなのだが…ここまでフレンドリーなのは驚かされる。

初対面でファーストネーム呼びも了承って、良いのか?

本人が言うのなら良いのかもしれないが。

 

「で、タッグの件は了承してくれるかな?」

 

「俺の技量は素人に若干色が着いた程度だ、優勝出来ない可能性が高いと思うが、良いのか?」

 

「それは…勿論。

その分、しっかりと実績データを企業や国に出すつもりだからね♪」

 

本人としては将来的に国家代表候補を狙っているのかもしれない。

そこまで行かずとも、企業所属だろうか?

そんな考えが浮かんでくるが、そのまま突き付けられたタッグの申請書を受けとる。

ティナのサインは済んでいるらしく、搭乗する予定の機体は学園に配備されている『大旋嵐(テンペスタII)』らしい。

兵装は銃火器が多い。

アサルトライフルにサブマシンガン、近接戦闘兵装は片手持ちの直剣型ブレードを使用し、予備として同じ物を数振り持ち合わせると記されている。

今まで申請書を大量に受け取ってきたが、ここまで明確に記していたのは、メルクと鈴だけだった。

これはこれで分かりやすい。

 

(実体シールド)は使わないのか?」

 

「何を言ってるのよ、大旋嵐(テンペスタII)は機動力による回避と翻弄が主体なんだから、(実体シールド)なんて枷にしかならないでしょ?」

 

機体に対しての理解も深い。

正直これは好印象だ、後の連携訓練も捗りそうな気がする。

 

「ウェイル君は(ランス)を主に使用しているみたいだから、後方火力支援も出来るし、鈴には劣るけど近接白兵戦だって応じられるわよ?」

 

俺の事も調べているらしい。

…ここまで好印象を持てる相手はなかなか居ない。

うん、これは申請書を預かっておこう。

 

「じゃあそろそろ撤収するから、明日にでも返答を訊かせてね♪」

 

「ああ、考えとく」

 

「それは考えない人の常套句!」

 

え、そうなのか?

日本語って難しいなぁ…。

メルクがシャワールームから戻ってきた頃には、ティナも学生寮へと帰っていった。

時間を見れば朝食時だ。

 

「お兄さん、何を持ってるんですか?」

 

「申請書だよ、つい先程受け取ったばかりのな」

 

そう答えると不満げな表情を見せてくる。

もうこれが何通目になるのか数えるのとウンザリしている事だろう。

中には一人で複数回渡している人も居る筈だ。

学園の印刷機は今日も酷使されているに違いない、近い内に印刷機の修理を頼まれるかもしれないな。

 

「メルクは、俺以外で組める相手は居るのか?」

 

「お兄さん以外…ですか?

クラスの誰か、とかになるかと思いますね。

手の内を全て出したわけじゃないですけど、連携を優先すれば、ですけど。

クラス外だと……鈴さん、くらいかな…」

 

なるほどな、確かに近接白兵戦で深く理解出来ているのは鈴になるか…。

よし、決めた。

俺も交友範囲を拡げておきたいし、他クラスの人とも連携が出来るようにしておきたい。

何か起きてしまうよりも前に、技術を身につけておかないとな。

 

「なあメルク、俺が他のクラスの人と組んでみたいと言ったら、メルクはどうする?」

 

「…やっぱり寂しいです。

私も我が儘を言えば、お兄さんと組みたいですけど、お兄さんが熟考して出した答えなら…」

 

認めてくれるらしい。

クラス対抗戦の時もそうだったが、俺が近くに居ないのは辛いらしい。

それでも、俺の意思を尊重してくれるあたり、メルクはとても優しい子だ。

 

「お兄さんがタッグを組もうと考えているのは、先程申請書を渡してきた方ですか?」

 

「ああ、アメリカ出身の生徒で、鈴のルームメイトだそうだ。

名前は『ティナ・ハミルトン』、クラスは2組だよ」

 

彼女から受け取った申請書を見せてみる。

使用する機体に、搭載予定の兵装まで緻密にぎっしりと記されているのも把握したのか、感心しているようだ。

 

「お兄さんから見たら、ハミルトンさんをどう思いますか?」

 

「ここまで詳細を記してくれた人は居ないからな。

その点については好印象だな、兵装から見るに機動力と射撃による火力支援を主体としてる印象だな」

 

「そういう意味で訊いたわけじゃないんですけど……」

 

……?はて、では、どういう意味合いだったのやら?

だが、技師を志す者として言わせてもらうのなら、こんな感じに詳細を記してくれるのは素直にありがたい。

整備もやりやすくなるからな。

 

「でも、それならそれで私からもお願いがあります!」

 

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 

「……はぁっ!?ウェイルに申請書を預けてきたぁっ!?」

 

昼休みになってからティナが食堂で爆弾発言し、私は大声を出してしまった。

当のティナは顔をニヤニヤさせながらカルボナーラを優雅に食べている、その様子にカチンとくるけど無理矢理に押さえ込む。

私だってウェイルに「タッグを組んでほしい」と言った件についてはティナに伝えているのに、なんで横入りしてんのよ!?

選択権はウェイルにあるけど、今更そこに突っ込んでこなくてもいいでしょう!?

 

「預けただけよ、サインしてくれるかはウェイル君次第。

そこに関しては鈴と足並みは同じでしょ?」

 

「わ、私は…!」

 

……思えば申請書は自室に置きっぱなしだったわね。

その点で考慮すれば、一歩出遅れた。

こうなったら今からでもウェイルにサインを貰いに行くべきかしらね。

 

「アンタはウェイルをアクセサリーみたいに考えてないでしょうね?」

 

「そんな考えは無いわよ。

私はこれでもダリル先輩に次ぐ代表候補生を狙っているんだもの、多くの人と交友関係を持って、連携なんかも上達しておきたいのよ」

 

少なくとも、邪心は感じられない。

でも、メルクは承知するのかしら?

度を超えたブラコンのメルクなら……ウェイルの要望にも応えそうな気がしてきた。

 

「あ、でも籠絡してみるのも面白そうかも?」

 

腕を組んで見せ付けてくるルームメイトに殺意が沸いたのはこれが初めてじゃない。

コイツ、良い性格してるのよね。

部屋のシャワールームを使った後は、暫くの間、バスタオル一枚で過ごしてたりとか平然としてるし。

プロポーションについてはモデル顔負けのスタイルでバストも規格外だからね…!

正直、同い年だとか疑いたくなる。

 

「アンタ、そろそろサンドバッグにするわよ…?」

 

「……まあ、冗談は置いときましょうか」

 

冗談であってほしい。

そう思いながら天津飯を掻き込む。

ウェイルにそういうハニトラが通じるとか思うと少し怖いし。

 

「ウェイル君がサインしてくれると良いなぁ。

鈴は他に誰か頼れる人は居るの?」

 

「少なからず、ね」

 

こうなったら駄目元でメルクにも頼んでみよう。

しっかし、多くの女子生徒の誘いに乗らなかったのに、ティナが一度の誘いで応じるとかどうなってんだか。

 

「1組も今回のイベントには参加してるけど、誰も勝ち残れないでしょうね」

 

「知ってる、『授業以外でのISの使用禁止』が課せられて、更には『1組以外の生徒とのタッグを禁止』でしょ?」

 

全輝と篠ノ之による問題行動の乱発によって、学園教職員での裁決がこの『1組の生徒全体の連帯責任』だった。

これによって1組の生徒は『訓練時間不足』という莫大な枷を背負う事になる。

放課後の時間でも使用を認められないから、他のクラスの生徒との実力差は開く一方で、それを埋める機会も無い。

だから、抑止力として1組の生徒全員で、問題児二人を見張らせようという考えなんだろう。

多分、密告なんかも推奨していると私は考えてる。

 

「それで大人しくしてくれるとは欠片も考えられないけどね」

 

ティナの発言には私も大いに同意だった。

今までの事を考慮すれば、例の二人が黙っている筈が無い。

ウェイルとタッグを組もうとしてるなら、ティナも巻き込まれる危険性が生じるかもしれないから、私も充分警戒しておこう。

 

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 

『お客様がおかけになった番号は、現在使われておりません』

 

電話口の向こうから聞こえてきたのは、そんな無機質な合成音声だった。

柳韻さんが使用していた端末の番号は控えていたのに、私が知らぬ間に、端末を変えてしまったのだろうかと考えてしまう。

メールに関しても同様で届ける事も出来ない。

 

「……滞在先は知っているから、そこに直接かけてみるか…?」

 

箒の暴走を止める為にも、相談がしたかったのだが連絡がとれない。

どのみち、教職員と学生という関係の為、自分で何とかしなくてはならないのは理解出来ている。

だがやはり少しばかりは相談程度はしておきたかったのだが連絡を着けられず抱え込むしかなかった。

束にも相談しようと思ったが、周囲に嗅ぎ付けられるのは避けるべきか。

 

「いや、暫くは自分で何とかするしかないか…」

 

二週間後に開催される学年別タッグマッチトーナメントには、生徒が多く参加するようになり、今ではパートナー同士で実力磨きに励んでいるだろう。

恐らく、ウェイル・ハースも…。

 

クラス対抗戦で使用していた兵装は『槍』だったのを思い出す。

一夏には剣道を教え続けていたが、右腕の骨折をしたのを機に辞めてしまった。

もしも、接触・干渉禁止の命令が解かれる日が来たら、私からもう一度剣道を教えよう、そうすればまたあの日々を取り戻せる。

そうしていれば、全輝や箒ともいがみ合うことも無くなるだろう。

きっと…きっと、私の想像が現実になる日も…そう遠くはないだろう。

そう信じることで、私は今を乗り越えられると信じていた。

 

「トーナメントのタッグ申請は…やはり、私の管轄から外されているか」

 

トーナメントの対戦表は勿論だが、タッグの申請や、申請書不提出によるランダムにでの組み合わせも私では手が付けられなくなっている。

ここ半年にも満たぬ期間で失った信頼はこんなに大きかったのかと今になって自嘲してしまう。

失ったそれを取り戻そうと足搔いても、裏目になり、白い目で見られ、立場を失い、今でも減給処分が続いている。

なかでも箒がやってしまった事は国際問題となり、欧州からは糾弾され続けている。

 

「外患誘致、か…」

 

国や、国民にとって、生活や生命の危険に繋がる国外の危険な勢力を国内に誘い込む一種の大犯罪。

日本の法律では『外患罪』に並び、最大級の罪の一つで、その刑罰内容は、たとえ初犯であろうとも『死刑』があてがわれている。

箒がそれを免れることができているのは、『篠ノ之 束の妹だから』という名目一つだけだ。

箒は自分のなしたことを自覚しておらず、悪びれることもせず、『全てウェイル・ハースが悪い』と叫び続けた。

 

「いつから、箒はあんな風になってしまったんだ…」

 

自身の振る舞いを顧みずそれを当然のことと思い込み、感情任せに暴力を振るい、全て他者の責任だと叫び、問題の解決にも動こうとしない。

過去の経緯を書類で確認したが、似たような話が溢れ返っていた。

今となっては、私としても頭が痛い。

これからも似たような話は溢れかえることだろう。

たとえ仮初であろうとも、平穏な日々が続いていてほしい。

そう願っても、箒がそれを根底から砕いてしまうのかもしれない。

 

「…はぁ…頭が痛いな…何から問題を片付ければいいんだ…」

 

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 

 

「なんなの、この人…」

 

俺の横でテンペスタⅡに搭乗したティナが肩で大きく息をしていた。

両手に標準兵装のアサルトライフル(トゥルビネ)を握っているが、その殆どの…というより全弾標的の眼前にて漂っているだけだった。

 

「フッフッフ…よく頑張ったわね、ティナちゃん♡

ウェイル君と初めてタッグを組んだとは思えない程の連携だったわよ」

 

俺たちの眼前には楯無さんがライトブルーの装甲の機体『ミステリアス・レイディ』に搭乗した状態で笑顔を見せていた。

流石に学園最強を謳うだけあり、その実力は俺達二人では歯が立たなかった。

 

「二人の実力は凡そは理解したわ。

近接戦闘ではウェイル君が有利、射撃戦闘ではティナちゃんが得意としている、か。

ただし…ウェイル君、何か隠してるものがあるわね?」

 

「……何の事でしょうか?」

 

「君ね、人と会話をするときには目を合わせなさいと何度言わせるのかしら?」

 

確かに、隠してるものはある。

極力隠すことに力を入れてはいるが、夜間訓練の際には使用しているからその際の癖が出てしまっているのかもしれない。

それを見抜かれているとなると、本当にこの人の観察眼には恐れ入る。

 

「…隠しながらじゃ連携訓練なんて言ってられないわよ?」

 

「誰が見ているかわからないので」

 

何のために監視カメラを切ってもらってまで夜間訓練だと思っているんだか、人の目に晒されてしまえば、兵装の秘匿も出来なくなってしまう。

ティナには申し訳ないと思うが、これは隠させてもらって…

 

「ウェイル君、隠してるものを見せてくれないと連携にならないわよ。

私は誰にも言わないって約束するから、本気を見せて」

 

ティナにここまで言われたらな…。

通信回線を開き、観客席に居るメルクにも連絡を入れてみる。

 

「秘匿してくれるのなら…」

 

その条件で済し崩し的にも許可が出た。

 

「判ったよ、『アルボーレ』と『ウラガーノ』を使用する。

そのうえで、連携について考え直そう」

 

今まで隠し続けていた秘密にしていたものをとうとう解放することになった。

こうして連携訓練を初めて三時間にして、俺はとうとう全ての兵装を楯無さんの前にさらけだすことになった。

 

「ただし、誰にも言うなよ。

本当はトーナメント当日までは隠しておきたかったんだからな!」

 

とは言え、訓練だというのに熱くなりすぎてしまったのは俺が悪いだろう。

その訓練を考え出していたが、メルクもタッグを組んだ鈴との連携訓練があったため途中で抜けてしまった。

放課後の訓練時間の全てを費やし、情報整理とできることの把握、組むべき陣形、連携を模索することになった。

だが楯無さんも途中で「いい加減にしなさい!」となぜか軽くキレていたのは不思議でならない。

で、着替えも終わらせてアリーナの出口付近にて待ち合わせていたティナだが…

 

「どっと疲れたわ…」

 

「その…悪かったよ…。

でも、これで俺の本来のスタイルは把握してもらえただろう?

俺が使っているのはアレで全部だ。

試作兵装の稼働試験も頼まれているが、それは今、メルクに預けているからな」

 

「そりゃ助かったわ…コレ以上に何か覚えることが増えるのなら、頭がパンクするもの…」

 

気持ちは理解出来る。

しかし、だ…重要なことを忘れているぞ。

 

「これが今後一週間続くわけだが…大丈夫か?」

 

「ウェイル君って、意外と厳しい?」

 

コレが今後一週間以上関わっていくことになる俺のタッグというわけなんだが…大丈夫だろうか?




さて、突然に横入りしてきた彼女と組むことになりましたが、予想出来た人は居たでしょうか?(無茶を言うな)
う~ん、前途多難です。

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