IS 速星の祈り   作:レインスカイ

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すみません、リアルが多忙なものでコメント返しも出来ませんでした。


第42話 鏡風 家族と

ローマの空港にたどり着いてから、バスを乗り継ぎ、ようやくヴェネツィアに帰ってきた。

懐かしい…とは言えないが、潮騒の音が聞こえてくる。

それとウミネコの声も聞こえてくる。

 

「やっと帰ってきたな…!」

 

見慣れた街並み、そこから出てくる両親と姉さん、そして一匹の姿。

 

「ニャアァァッ!」

 

その小さな影が飛び出し、疾走してくる。

ひたすら走り、その先にてジャンプ。

その小さな影を両手で受け止める。

 

「ただいま、シャイニィ」

 

飛びついてきたのは我が家の小さなアイドル、シャイニィだ。

うれしそうにしているのはわかるけど、そんなに顔を擦り付けるなっての。

メルクが喉元を撫でれば、心地よさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてくる。

 

「一か月振りサ、二人とも」

 

「お帰り、ウェイル」

 

「メルクも、お疲れ様」

 

よくよく見ると、後ろにはいつもの釣り好きのおっちゃん達が居た。

今日も釣り三昧らしい、羨ましい。

俺も釣りにいきたいのだが、そんなことを言っていられないのが今回の休みだ。

今日はすでに夕方になってしまっている。

家でゆっくりと休んだ翌日にFIAT本社に出向することになっているからだ。

 

「積もる話は夕食の時に、仕事の話はまた明日からサ」

 

その姉さんの言葉に同意し、俺もメルクも自宅への帰路に足を向けた。

夕飯は、ご近所さんが届けてくれたというサーモンをムニエルにしたものだった

その際、姉さんが本気で頭を抱えていたのは…うん、スルーしておこう。

 

メニューはムニエル。

バターの香りと、レモンのアクセントが効いてて、食欲を刺激してくれる。

 

「うん、美味しい…」

 

学園だと色々とあったけど、こうやってゆっくりと家族と一緒に過ごせる時間はとても貴重だと思える。

本当に…学園では色々とあったなぁ…。

 

それからは家族で他愛の無い話が続いた。

母さんが地元の料理大会で優勝を掻っ攫っていったとか、その際に緋の釣り人(シェーロ)の鼻っ柱を遠慮も自覚も無しにへし折っていたとか。

父さんも、漁業組合の多くの人に慕われるようになっているとか。

姉さんは、ヘキサ先生による後輩教育も上手くなってきているとか。

そんな、俺達が居ない間に起きた話がとても楽しかった。

 

「あ~…この部屋も懐かしいなぁ…」

 

学園の学生寮は高級ホテルと遜色のないデザインだったけど、やっぱり俺はこういうシンプルな部屋のほうがとても落ち着く。

カーテンを開けば月光と星の光が入ってくるし、見下ろせば海が広がっている。

 

「たった一か月と少しだけだったのになぁ…」

 

本当に…懐かしいことこの上ない、そんな風に感じた。

夜空を見上げながら思うのは、彼女の事だった。

夢の中に出てくる少女と生き写しのような外見をした…いや、もしかしたら張本人なのかもしれない…

 

「……鈴………今頃何をしているんだろうなぁ…」

 

日本語を流暢に話していたし、あの様子なら友人も多いだろうなと思う。

もしかしたら学園外にも。

なら、今頃は何処かで楽しく過ごしているだろう。

きっと、俺の居ない場所でも笑顔でいるんだろう。

…それはなんだか複雑だった。

 

「もうちょっと…話をしたかったな…」

 

訓練だという理由でアリーナでは向かい合った。

世界の広さを知りたくて、槍を握った。

自分の技量を知りたくて、立ち向かった。

 

だけど、本当は訊きたかった

 

「君は…夢の中に現れ続けていた人なのか…?」

 

涙を流し、髪を振り乱しながらも駆け寄ろうとする彼女の姿は今も瞼に焼き付いている。

黄昏に染まる医務室らしき場所で見下ろしてくる姿は、脳裏に残っている。

 

「次に逢える日は…話せればいいな…」

 

彼女は…俺の知らない俺を知っているのかもしれないから…。

 

 

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 

「で、鈴…IS学園に通ってるってのは驚いたんだが、情報的にはどうなんだよ?」

 

「それが…正直に言うと、収穫は殆ど無い、と言っていいレベルよ…」

 

夕方になると、楯無さんも帰った。

私はというと、弾の家で夕食を食べ、そのまま五反田家に宿泊という形で、寝床に着く頃合いになってから、互いの近況報告をすることになった。

私は情報を求めるために中国に帰り、国家代表候補生選抜試験を受験し、有言実行した。

中国国家代表候補生のライセンスを得てから情報部に通いつめ、一夏に関しての情報を搔き集めようとした。

それで手に入った情報はそんなに多くはない。

それも触り程度で、弾達も把握している。

 

六年前、一夏は陰謀に巻き込まれて姿を消した。

その目的は、フランス政府の沽券と、闇で蠢いていた金。

第一回大会、開催前から織斑千冬は優勝候補筆頭だった。

その優勝を食い止めるために、自分たちが狙う選手の優勝のために人質にされたのだと。

フランス政府は、その誘拐犯の存在を知っていたにもかかわらず、大会開催地に選ばれたという沽券を維持するために、その事件を把握しながらも無視した。

予定通り、第一回大会はつつがなく進行し、織斑千冬の優勝で幕が閉じられた。

あの女が事件を把握したのはそれから後だったんだろう。

 

そこからフランス政府の陰謀がどこかから漏洩し、世界中から非難を受けた。

『軽命国家』と誹りを受け、全世界からの信用を失い、零落しきっている。

にも拘わらず、IS関連の開発ができるのは、第一世代機『ラファール』の開発があってこそだったとか。

それで、そのフランスの国営企業である…なんて言ったっけ…?

 

「デュノア社、ですよね」

 

そうそう、蘭が言っていたその企業も何とか首が皮一枚で繋がっているらしい。

 

「けど、そのデュノアってのも最近の業績が良くないんだろ?」

 

「まあね、欧州に関しては私もそんなに調べてなかったし、興味も無かったけど、イタリアが開発力をメキメキと上げてるらしいのよね。

その副次効果でデュノアはますます追い詰められているのよ」

 

「それが原因なんですよね、フランスが他国の技術を奪うために産業スパイ育成に力を入れているだなんて噂が立っているのって」

 

正直、眉唾だけど。

話の方向を元に戻そう。

 

「で、イタリアで見つかったっていう男性搭乗者、だよな。

名前が、『ウェイル・ハース』…。

国家代表候補生の『メルク・ハース』の兄なのか…妹を持つ兄ってだけで親近感が沸くな…で、どうなんだ鈴的には?」

 

「決定打が無いわ。

それに、妹のメルクによるガードが堅いのよ」

 

そして本人は口が軽いんだか、硬いんだかよくわからない。

それに、私がウェイルと話をしようとしたら、必ずそこにメルクが割り込んでくる。

 

「まあ、鈴が収集した情報と、生徒会長さんが持ってきた情報も加味しておくと、だ」

 

ウェイル・ハース

年齢 15歳

・誕生日 12月1日

出身国 イタリア

ヴェネツィア市にて家族と一緒に在住。

家族構成

母 父 妹の三人に、猫が一匹。

不確定情報として、姉…らしき人物が存在する可能性あり。

ただし、名前も含めて素性は一切不明。

予想としては、その姉らしき人物に口止めをさせられている。

 

イタリア国営企業でもあるFIATに所属している技術者の端くれ、と本人は自供。

それでも元々はアルバイトとして入っていたらしい。

織斑 全輝のIS適性発覚の際に、全世界で捜索された二人目の男性適性者として発掘された。

趣味は釣りと機械いじり。

生粋のシスコン。

 

「って所かしらね…」

 

「…最後の情報、必要ですか…?」

 

まあ、確かにね。

 

「けど、写真で見た感じとしてはな…やっぱり似てる感じもするが…」

 

私たちは誰一人として一夏の写真を持っていない。

一夏自身、写真に写るのを嫌っていたらしい。

だから記憶に頼るしかない。

そうは言っても、似ている気がする、と言うのは私も同感。

 

「でも、メガネは…?」

 

「伊達眼鏡よ、『研究者っぽくみえるから』ってことで本人が気に入って着用していると自供してたわ」

 

「研究者っぽく見えるって…裏方専門って事か…」

 

「そうでもないわ。

搭乗技術に関しては、全輝よりも上。

技術は拙いところはあるけど、それでも突出している部分もあるわ」

 

そこは言い切っておく。

そうでもなければ、代表候補にまでたどり着いた私相手に30分以上も試合を続けられるわけもない。

 

「あの観察眼が何より怖いのよね…」

 

こちらの一挙手一投足を緻密に観察し、それに対して無意識に対抗策を編み出す。

それを積み重ね、強者相手にでも咬みついていく。

そのうえで、絶対に諦めない。

勝てないと判っても…負けるまでの時間をひたすらに延ばそうとする。

集中力を極限にまで維持し続ける、ウェイルの戦法の大半は、長期戦闘だ。

しかも搭乗技術の大半をマニュアル操作でやっているというのだから…。

 

「私もなおのこと詳しい情報が知りたくて、生徒会長に頼んでみたんだけど断られたのよね…」

 

どうにもイタリアに関しての情報収集は絶対にやらないとの事。

何か弱みでも握られているのかしら?

その点については諦めておこう。

 

「そういえば、フランスに続けてイギリスも零落したみたいだけど、お兄は知ってる?」

 

「んあ?そういえば、何かで見たことがあるような気がするな」

 

「それについては私も知ってるわ。

中国本土からも情報をもらってるし」

 

ここ数日で、イギリスは一気に零落した。

IS関連の国営企業、『BBC』の活動縮小の後々に信頼の失墜からの多額の負債により経営破綻し企業は軒並み倒産し、そこをアイルランドにタダ同然に買い叩かれた。

国家レベルで信用を失い、アラスカ条約違反により、IS関連の技術は剥奪、コアも失ったらしい。

総合運営はアイルランドのFIATに移り、代表候補は国籍取得によって『イギリス代表候補生』から『アイルランド企業所属』の肩書に移り、専用機所持者ですらなくなっていたとか。

その企業所属者は2年生のサラ・ウェルキン先輩だった筈。

尚、イギリスが国際IS委員会による連盟から除名され、他のイギリス出身の生徒はこのGWを境に、全員が退学処分になったのは後に聞かされる事になった。

 

「グラビアに載ってたこともあるんだっけ、名前は確かセシリア・オルコットだったっけか?

いや、俺は見た事は無いんだけどさ、チョロッと話に聞いたことがあるくらいで」

 

「その人なら既に候補生から除名済みよ、並びに学園から退学させられてるわ。

イギリス本国に帰国した後の足取りまでは知らないけど、ね」

 

そう、これは学園でも有名な話。

『校則違反』だけでなく『代表候補生規約違反』に続き『アラスカ条約違反』という型破りと言うか何と言うか…。

人の口に戸が立てられないように、話は学園全体に詳しく流れてしまっている。

同情はしないし、出来る余地も無い。

もとより高飛車だったらしいし、プライドも必要以上に高かったとの話も裏付けが出来ている。

 

「退学かよ・・・それで、その本人はどうしたんだ?」

 

「だから知らないわよ、退学したって知ったのは、その決定が下されて本人が退去した後だったんだから。

言っておくけど、私は面識も無いから。

ウェイルもその人の起こした騒動に巻き込まれたらしくてね、周囲の人に聞いたら幾らでも話が出てきたわよ」

 

話としては実に型破り。

セシリア・オルコットは代表候補生に至り、すでに人の頂点に立っている気分でいたらしい。

クラス代表というまとめ役を決めるにあたり自薦、他薦を問わぬ中で全輝が面白半分で推薦された。

決定直前でオルコットが異議申し立て、日本、日本人に対して侮辱的な言葉を吐き続けたのだという。

それを全輝に指摘され逆切れ、イギリスに対しての侮辱だと吐いたらしい。

そこからISを用いた決闘によりクラス代表を決める、との話になった。

 

「ちょっと待て、いやかなり待て」

 

「お兄、語彙力が喪失してる」

 

「うっせぇよ!

いや、俺の事はともかくとしてだな、それって結構やばいんじゃないのか?」

 

「まあ、そうよね。

代用候補生というのは国の顔、いわば国家元首と同等とも言われているわ。

それがそんな言葉を吐けば、日本に対して戦争の為に宣戦布告をしているのと変わらない、代表候補生規約違反なのよ。

結果はオルコットの惨敗、試合映像を見たけど、敗因は本人の技量の未熟さと稼働率の低さに慢心ね。

癖を見抜かれてからは完全にワンサイドゲームになっていたわ」

 

まあ、全輝が単一仕様能力(ワン オフ アビリティ)を使用したのは驚かされた。

しかも織斑千冬と同じ能力だなんてね。

 

それから続きを話す。

結果は全輝の圧勝で終わった。

オルコットはそのまま処分もなしに在学し続けたらしいけど、これはたぶん放置されていただけなんだろう。

それからもオルコットは全輝に憎悪を込めた視線を向けていたからか、クラスでは完全に孤立し、ハブられていたそうだった。

 

その数日後、5組のクラス代表が季節外れの風邪で寝込み、クラス対抗戦に出場することになるクラス代表の代理のお鉢が3組のウェイルに回ってきてからが顛末への急行だった。

オルコットが暴行を働き、男性に対しての差別的発言を繰り返した。

その同日の昼休み後の授業が終わってからも騒動を巻き起こしたらしい。

極めつけは翌日の放課後の事件だった。

ウェイルとメルクがアリーナで3組、5組の生徒と一緒に訓練をしている際に、オルコットが背後から無言のまま発砲。

その後もウェイルを狙い、ISをまとっていない生徒を巻き込みかねない状態で銃を乱射したのだと。

そこに先生が間に合い、静止させた。

その際に、ウェイルに対して憎悪を込めた視線を向け続けていたのも話に聞き、裏付けが出来ている。

 

「ウェイルって奴だけど、オルコットに恨まれるような事でもしていたのか?」

 

「それが完全に無いのよ、暴行を受けた段階でウェイルはオルコットの存在自体、話にチョロッと聞いただけで名前も顔も知らなかったらしいわ」

 

「なんですか、それ…完全に言いがかりじゃないですか…」

 

そう、その言いがかりも次第に暴走して挙句の果てに事件を起こし退学処分。

正直、同情はしない。

 

「でも、なんでそんな暴走にまで行ったんだ?

クラス代表って言っても面倒な役回りなんだろう?

代表候補生だから多少は目立つ必要もあるだろうけど、面倒な役回りを受けながらも仕事してって、無理があると思うしな。

それでほかのクラスの顔も名前も碌に知らないやつに暴行を働くとか…どんな暴走だよ…?」

 

そう、私もそこが多少気になった。

 

「女尊男卑だなんてくだらない風潮に浸っている人物だっていうのも把握してるけどね。

それで顔も名前も知らないウェイルに対しての扱いっていうのも無茶があるかも。

まあ、これ以上は考えても仕方ないし、多分、噂話とかその類じゃないかと思うわ」

 

そこで、弾が神妙な顔つきになった。

 

「噂話か…全輝がよく使ってやがった方法だな…。

それで一夏への扱いがどんどん酷くなってたのを思い出しちまった…」

 

「オルコットの暴走が全輝の仕業だって言いたいの?」

 

「可能性としてはあるんじゃないか?」

 

他人の精神を利用し、他者を卑下する話を流し、人の増長を促し、自分は決して手を出さずに、目的を達成する。

洗脳による行いではなく『扇動による迫害(・・・・・・・)

確かにアイツが一夏に対してやってた事ではあるけど、今回それが成されたのかは判らない。

 

「まあいいや。

で、ウェイルってのは学園じゃどんな感じなんだ?」

 

「劣等生らしいわ、お昼休みは食事しながら勉強を教えてもらってるんだってさ。

けどまあ学園の中では評判は良いわよ、生徒からも、教師からも、ね」

 

私のルームメイトのティナも、入学早々目覚まし時計を壊したとか何とかで世話になった事があったらしい。

 

「学業方面はともかくとして、技師としては先生たちから信頼が大きいわね、来年からは整備課にでも入るんじゃないかしら」

 

「期待されてる劣等生かぁ…」

 

弾、言い方。

 

まあ、そんな形で本人は特に意識もせずに多くの人から頼られるほどの人脈を作り上げてしまっている。

もしかしたらイタリア(プライベート)でもとんでもない人脈を作ってたりして…?

まさかね、無いない。

こんなことを考えてるだなんて私も何やってんだかね…。

 

また、今日も夢を見るのかな…あの…真っ暗な夢を…?

 

あの日以降、あの真っ暗な夢を見る。

それはもう、何年も繰り返している。

今でも思い出せる、あの粘つく闇の感触を…!

 

「いっそこっちからウェイルって奴に直接会ってみるのも手、かもな。

どうだ鈴?このGW中にでも…」

 

「無理、ウェイルは今はイタリアに帰省中よ」

 

そう、すでに先手は打たれてるようなもの。

そのうえでイタリアに関しての調査はストップが施されている。

完全に打つ手無し。

 

「…自分達から会いに行くってのは出来るのか?」

 

「無理、部外者はお断りだから」

 

「打つ手、途絶えましたね…」

 

一から十まで軒並み潰された程度で万策尽きたってことになるのかしらね…。

いや、そんなに策があったわけじゃないけれども…。

 

「はぁ…また明日、あの生徒会長さんと相談かしらね…」

 

どうにもあの人もあの人で油断できないわけだけど…

 

「学園のことは俺達には何一つ手出しが出来ないからな…ここは結局鈴に任せる事になりそうだ…」

 

「まあ、やれるだけやってみるわよ」




セシリアについての情報捕捉
セシリア・オルコットの暴走はアラスカ条約に違反し、当の本人は国家代表候補生のライセンスを剥奪。
学園退学後、イギリスに強制送還。
多大なる損害賠償の為に、全てが剥奪され、オルコット家は事実上の取り潰し。
仕えていた使用人は突如として解雇扱いになり、退職金すら支払われず、転職のサポートも無かった。
企業、株、財源、領地の全てを国家が押収する。
尚且つ、国際司法にも照らされ、賠償責任を負わされたが、一切の財を失ってもまだ足りず、国外追放処分も案じられたが、国家代表候補生になった経歴も踏まえ、危険因子となる可能性が危惧される。
なお、賠償能力が無いと断じられており、また、世界各国からもブラックリストに載せられ、国外渡航自体も不可能になり、最終的には無期懲役処分になり、極秘裏に監獄へ収監されている。

イギリス国家についての捕捉。
国際IS委員会の連盟、及び、欧州統合防衛計画から完全に除名され、全世界レベルで信頼を失い、一気に零落した。
だがフランスとは違い、条約違反の規模が段違いだった為、IS関連の企業、媒体、技術開発、国防の全ての権限を喪失。
技術、機体、コアは全てイギリスから剥奪されている。
同時に国家代表候補生制度も廃止され、軍内部でも大混乱が広がり、選抜者達は全員免職。
無論、研究者達もデータ全てを差し押さえられ、解雇。
繰り上がりで代表候補生に就任したサラ・ウェルキンもライセンスを剥奪されている。
中心企業だったBBCが莫大な負債を抱えて倒産した事により、企業所属にもなれなかった。
その代わりとばかりに、FIATが彼女を採用。
搭乗者としてではなく、技術者として雇用した。
また、学園のイギリス出身生徒は、『危険思想』の疑いで、強制的に退学処分になっている。
BBCや、軍が所持していた技術を、FIATアイルランド支部がタダ同然で買い叩き、技術を取り入れていく方針に。
イギリス国家は、周辺諸国の傀儡になる事で、辛うじて国家という形を保っているが、外貨獲得手段の殆どを失っているのが現状。
頼みの綱は、旅行客が落とすチップだが、その旅行客も一気に減少を始めている。
旅行企業も次々と契約を打ち切っている。

なお、これらは織斑全輝の教唆によってセシリアが暴走した末路と結果であるが、彼はその点に関して一切認知していない。
また、気にも留めていない。

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