IS 速星の祈り   作:レインスカイ

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テイルズシリーズの最新作が発表されましたね。
無論、私は購入を既に決めてます。


何故だ、iPadにインストールした虹が…先週から『ゲームサーバーとの接続に失敗しました』とばかり出て、インストールした翌々日から繋がらない…。
そもそもゲーム内でもロードに時間がかかり過ぎだろう!?

あれ?MFから発売予定だった『二度目の勇者(以下略)』の最新刊が六月の発売一覧から消えてる!?
何故だ!?
しかも未だに情報が何一つ発表されてないとか!!

Q.今までのヒントから察するに、一夏君の件がなにもかも手遅れになった真相はピーーーーー(文字数も含めて自主規制)ーーーーーだからですね!?
P.N.『キノコが!キノコが!』さんより

A.あれだけヒントをばら蒔いていたら真相を先読みしてしまう方も居ますよね。
なので、前書きでは一切のヒントは出しません。

今回の章は中途半端なので、近日中に追加投稿します。


第26話 逆風 その場所で

勉強をみっちりと頭に入れて軽い頭痛を抱えながら早朝訓練を終えてから、俺達二人は初めてその場所に入った。

それは、俺達がこれから一年間使うことになる教室だった。

 

「……あ~…来る場所間違えたかな…?」

 

教室に入った途端に教室に居るクラスメイトと思われる人物達全員からの容赦のない視線に、容赦なく串刺しにされている俺だった。

だって女子限定だぞ?クラスの中は右から左まで全員女子。

生まれも育ちも何から何まで違う女子高生が並んでいるんだ、俺のような男子生徒が異質なんだろう。

なんで俺こんな所に居るんだろうか…。

ごめん姉さん、俺はすでにホームシックだ。

 

「えっと…クラスは間違えて…ないか…」

 

せめてもの現実逃避にクラス前のプレートに視線を向けてみるが、どうやら本当に1-3だ。

俺が在籍することになるクラスのようだ。

 

「お兄さん…?」

 

「ああ、本格的に二度目の高校一年生なんだな…」

 

ちょっとだけ胃が痛かった。

適当に座ったのは窓際最後部の席だった。

なんとなくだけど、そこの席なら落ち着ける気がした。

あ、フードを被っておこう、猶のこと落ち着く。

だけど、空はあいにくと曇天だった。

 

「えっと…ハース君、だよね?」

 

「ん?ああ、そうだよ」

 

「どうも♪イタリア出身の一般生徒のミリーナって言うんだ、同じクラスの者同士仲良くしようよ」

 

あ、同じ場所出身の人もいるのか、助かったな…。

 

「あ、ああ、宜しく…」

 

なぜか隣にいるメルクはホッとしている様子。

その後もすぐに談笑へと移った。

ミリーナをはじめとして他のクラスメイトも話に食いついてきた。

俺も極力話には加わっていた。

FIATでバイトしていたのに、先々月にISを起動してしまってすぐに『バイト』から『企業所属』へと肩書が書き換えられたことも。

ヴェネツィアでの暮らし、メルクや学校の級友達の事も。

勿論、家族やシャイニィの事も。

姉さんの話は…伏せた。

それは姉さんからの指示だった。

俺やメルクからしたら自慢の姉なのだが、その名前を伏せるように姉さんから指示が出ていた。

二代目ブリュンヒルデだから有名なのは判るけどさぁ…。

けど、これで無用なクラス内トラブルは避けるべきなのだろう。

それと自分の生い立ちに関しても姉さんから口止めをされていたから適当にごまかす。

それから

 

「ねえメルクちゃん、お兄さんには彼女さんとか婚約者って居るのかなぁ?」

 

そんなぶっ飛んだ質問まですっ飛んできてしまっていた。

 

「い、居ないですよ…」

 

そしてメルクもなぜ正直に答えているのやら。

実際に居ないけどさ。

だけどメルクにだって恋人は…居たら自転車で轢き飛ばす!

そのままクルーザーに鎖でつないで海面を引きずり回してやる!

 

「じゃあウェイル君、好みの女の子ってどんな人?」

 

またとんでもない質問が飛んできましたよ、と。

女の子ってこういう話が好きなんだろうか…。

しかし…好みの女の子、か…考えた事が無いよな…中学や高校にも女の子のクラスメイトは居たには居た。

だけどそれはあくまでクラスメイトとしての付き合いであって、それ以上は何一つなかった。

進展どころか進退ともに無かった。

だけど…

 

「探している人が居るんだ…」

 

俺に答えられる答えなんてそれこそそれだけしか無かった。

夢の中、いつも涙している女の子が居たのを思い出す。

いや、思い出すなんてレベルじゃない。

彼女はたとえ夢の中であろうとも、俺の精神に確かに刻み込まれている。

 

夢の中に現れる彼女は、笑顔になった事は今までに一度たりとも無い。

笑顔にしてあげたくて、彼女が伸ばしてくる手を取りたくて、でも彼女が何処の誰なのかも全く分からなくて、今に至るまで気づけば街の中を探していた。

 

「ほへ~…複雑だねハース君って」

 

「まあそんなに気負わなくていいって、出来るのなら『ただのクラスメイト』って扱いで良いから。

俺なんて(メルク)のオマケでこの学園に来たような形なんだから。

勉強だってそこまで出来る方じゃないんだ、どのみち俺は裏方専門だよ」

 

んで、裏方専門のメカニック兼エンジニア志望であることも暴露しておいた。

物のついでに釣りが趣味なことも。

そんな話をしていると早速先生が来てSHRも始まった。

みんな急いで席に座り始める、こういう風景見ていると同年代の学生なんだなぁ、としみじみする。

無論、これが俺以外全員女子生徒だという点を除けばの話だけど。

再度自覚してしまうと極端に居心地が悪いなぁ。

 

「今日から一年間、皆さんの担任になる『レナ・ティエル』よ。

出身はポーランド、これから全員宜しく。

なお、一年生である皆も知っての通り、今年から早速実習授業もあるのでそのつもりでいるように。

というのが今後の方針よ。

じゃあ皆、一年間一緒に頑張っていきましょう!」

 

ふぅん、担任はポーランド出身なのか…。

そういえばその国の料理は母さんも作ってくれていた事が有ったな…。

せいぜい三日なのに懐かしく感じてしまった。

先生も親しみやすい人で助かるよ。

おっと、俺の自己紹介の順番が巡ってきた。

 

「えっと…イタリア企業FIAT所属、『ウェイル・ハース』だ。

どういう訳か、ISを稼働させてしまいこの学園に通うことになった。

志望としては、メカニック兼エンジニアで、妹の専用機の担当になれたらと思っている。

趣味は機械いじりと釣りだな。

そこまで気が張ったのは苦手なんで、気軽に話しかけてもらえると助かる、一年間よろしく。

それと、猫が好きだって人が居たらそちらの方面でも宜しく」

 

入れるべき所は入れたし大丈夫だろう。

さて、次はメルクの順番だな。

 

「『メルク・ハース』です。

出身はイタリアで、代表候補生を務めています。

目標は実力を付けて国家代表選手になることです。

えっと…趣味は料理と、水泳です。

お兄さんともども宜しくお願いします」

 

人の事を言えた口ではないけれど、無難な自己紹介だよな。

けど、言うべきことはきっちりと言ってるから大丈夫だろ。

それから俺達は体育館に連れていかれ、入学式を受ける事になった。

ってーか物凄い簡素な入学式だったよな、簡単な挨拶とかその程度しか無かったし。

その点について先生に訊いてみるとIS委員会からの毎度のお達しで「ISに関しての授業をより多く詰め込め」との事だそうだ。

『君臨すれども統治せず』というのこういう事を指しているのかもしれないな。

 

「…きっつい…」

 

初日のお昼には早くもグロッキーになってしまっていた。

お昼に選んだ洋食プレートを眼前にしながらも胃袋が受け付けてくれない。

コンソメスープで無理やりに流し込んでから窓ガラスの向こう側に広がる海洋を見渡してみる。

ストレス解消に釣りに出向きたいのだが、それも出来ない。

学園外に外出するのなら、前日から外出申請を提出し、許可をもらわなければならない。

オマケに日本出身の学生に多少話をきいてみたのだが、この学園には釣りスポットは存在していないらしい。

どうにも、この場所に学園を建設するにあたり、海洋漁業組合からも苦情が山のごとく殺到していたらしいのだが、IS委員会がそれを全て一蹴したらしい。

無理やり建設した結果、魚も行き場を無くし、この付近は漁業も出来ず、魚もごっそりと姿を消してしまったらしいのだそうだ。

 

「明らかなまでに環境破壊してるだろこの学園…」

 

その上での時代遅れの治外法権主張だもんな。

しかも建設費用から運営費用、果ては学費や修繕費用、資材費なども全額日本政府負担なのだそうだ。

そこまで日本政府に押し付けている世界って何なのだろうか、世界の汚い一面を見てしまったな。

 

「にしても…釣りスポットが無いのが悔やまれるだろ…」

 

そう、俺からすればこれが一番残念だ、許すまじ国際IS委員会!

そしてその委員会の要求をホイホイ呑んだ日本政府め…!

シャイニィは連れてこれなかったし、釣りはできないし、どうやって俺はストレス解消をすればいいのだろうか。

あ~…イタリアが恋しい…!

シャイニィも居ないのだから癒しが無い!

ストレスが溜まる一方になる予感が…。

 

「お兄さん、我慢してください」

 

「ああ、努力するよ。

えっと…放課後にも機体を使った搭乗訓練をやる予定だったしな」

 

食事をコンソメスープで流し込むという不健康不摂生なことをしでかしてから午後の授業に向かった。

さてと、授業を頑張らないとな、何せ午後からは俺の好きなシステムや開発面をメインとした授業なのだから。

この学園ではそういった方面での授業はどんな感じでやっているのだろうか。

 

結果

 

「FIATでやってたことと全く同じだったんだが…?」

 

初日の午後の授業を終えた時点で肩透かしを食らってました。

んで、放課後直前のSHRの少し前。

 

「ねえねえ知ってる!?

ウェイル君、メルちゃん!」

 

すっ飛んできたのはミリーナだった。

何故か手には手帳が…あ、なんか嫌な感じが。

 

「何をですか?」

 

「1組に男子生徒が編入してきてるけど、そのお姉さん、織斑先生がそのクラス担任してるんだよ。

で、その織斑先生なんだけど、学園の教師陣全員から監視対象みたいになってるんだよ!」

 

みたい(・・・)って、確定情報を口にしているわけじゃなさそうだ。

それにしても教師にも生徒にも()()の名前が。

しかも姉弟だったのか…クラスも違うし関わる事も無いだろう。

授業で一緒になる事が在るかもしれないけれど、その程度で済めばいいかな。

 

「で、監視対象扱いみたいって何なんだ?」

 

「詳しい理由は知らないよ?

私、お昼休みにレナ先生に頼まれて職員室に入ったんだけど、殆どの先生が織斑先生に白い目を向けてたんだよ」

 

これでも確定には至らない。

白い目を向けていたのだとしても、蔑視によるものかはたまた教職員の怒りを買っているのかは判らない。

そういうタイミングに運悪く入っていっただけというのも強ち否定は出来ない気がするが…。

織斑先生だっけか…ほとんどの教職員に睨まれていたとは穏やかじゃないな…何かやらかしていたのだろうか?

 

「ミリーナさんは何があったのかは…?」

 

「さっきも言った通り、詳しい理由は知らないの、ゴメ~ンね♡」

 

テヘペロされた。

そんな事をする人は今までに見た事が無い、よく喋るし、情報収集に余念がないし、妙な形ではあるが、頼りになりそうな気がする。

もしかしたら情報通になるのかも…だとしたら結構頼りになりそうな気も…

 

「あ、そうだ私新聞部に所属するつもりなの。今後は二人の専属パパラッチしていく予定だからそこは宜しくね♡」

 

前言撤回!

コイツだけは敵にしたくはない!

ってかパパラッチしてんじゃねぇっ!

 

「それと、もう一つのニュース!

中国から国家代表候補生も来てるんだってさ、今日は本国の都合でドタバタしていて姿が見れなかったけど、明日か明後日には来るんじゃないかな?」

 

中国。

正式名称は『中華人民共和国』。

カタログはFIATでバイトしている時に見せてもらった事が在る。

カスタマイズされエネルギー消耗性を極力抑えることにより長期戦が可能。

なおかつ、他国のISに勝る出力が自慢とされている中国製第二世代量産機、『(ロン)』。

それがブランドの名前だったな。

だけど、俺が意識を持ったのはそちらではなく、『中国』そのものだ。

行った事も無い、写真も見た経験はそこまで無い、なのになぜか内心惹かれていた。

理由は…判らない。

 

「その人の名前は何て言うんですか?」

 

「ん?名前?えっと…」

 

そのタイミングでチャイムが鳴り響く。

SHRだ、再びテヘペロしてミリーナは席に座ったのだった。

 

「どうしたんだメルク?」

 

「い、いえ、…何でもないです…」

 

…?

ハテ、何があったのだろうかな?

気にはなったのだがSHRをするために先生が入ってきたのでさっさと思考回路を切り替えることにした。

そこでティエル先生が話し始めたのは、クラス代表のことだった。

 

「再来週にはクラス対抗戦があります。

それに参加ができるのは、各クラスにて決定したクラス代表のみ。

クラス代表というのは、簡単に言ってしまえば、クラスの生徒達のまとめ役よ。

後はクラスのみんなに先生からの伝令をしてもらったりとかの仕事もあるの。

苦労するかもしれないから、その補佐も一緒に決めるわ。

立候補、推薦、どちらでも構わないわよ」

 

「はいは~い!ウェイル君を推薦しま~す!」

 

来ると思った、なんで俺なんだよ!?

 

「却下だ!俺は搭乗者としては実力が全然無いんだ!

付け加えて言うと、俺はエンジニア、メカニック志望!

完全に裏方専門なんだ、クラス代表なんて出来ないからな!

推薦が可能だというのなら、相応の高い実力を持っているメルクを推薦する!」

 

「わ、私ですか⁉」

 

なんで驚いてんの⁉

クラス対抗戦とか、メルクにとっては華々しいデビュー戦になるじゃないか。

他のクラス代表がどんな人かは知らないけど、イタリアのテスター以外でどこまで稼働させられるか実に楽しみじゃないか。

ともなれば俺もさらなる研究のし甲斐があるというものだ。

 

「ハース君は専用機持ってないの?」

 

コレは先生からの質問だ。

しかし何だ?専用機持ってる人は強制的にクラス代表にさせられるのだろうか?

専用機所持者が居ないクラスとかどうなるんだろう?

 

「いや、一応預かってますけど俺の場合は試験機体であって、一応程度の汎用性しかないんですよ」

 

いや、コレ本当の話なんだけどな。

ともなれば俺も質問をしてみたい。

 

「ほかのクラスにも専用機所持者って居るんですか?」

 

「ええ、居るわよ。

1組には入学前の稼働試験成績で言うと…ハースさんに次ぐ次席だったイギリス出身の代表候補生だったわね」

 

イギリスというと、求められているスペックは『射撃特化』だ。

第一世代機『スプラッシュ』

第二世代機『メイルシュトローム』

噂の第三世代機は…確か…思い出した、噂の『ブルー・ティアーズ』だったな。

 

「今日は居ないけど、2組の中国代表候補生もそうよ」

 

ミリーナが言ってた生徒か。

そちらも気になるな。

 

「更に4組に居る日本代表候補生もね」

 

日本製の機体に求められているのは『防御特化』だ

他の国の機体と比べて防御性能が秀でているんだったな。

 

第一世代機『黑鉄(くろがね)

第二世代機『打鉄(うちがね)

第三世代機は…残念ながら話には聞いていない。

だけど、打鉄の汎用性と、搭載可能なパッケージが多く、シェア率を大きく稼いでいる。

 

「それと、これは余談だけれど、1組の男子生徒にも専用機が用意されるかもしれないわね」

 

「「「「「え~~~~~~‼‼‼‼」」」」」

 

この台詞でクラスのみんなが驚いて…いや、それともブーイング?

まあ言いたい内容は理解出来る。

 

専用機所持は国の華であり、搭乗者の夢だ。

それをポッと出の男子が無償で持たされるというのも納得できないのだろう。

だが俺の場合はあくまで試験機体、イタリアからパッケージを送られてくることもあるだろうから、その試験稼働によるデータ集積も仕事に入っているわけだ。

俺のデータが集積、解析までできれば、男性でもISを稼働させられるかもしれないという願望もあったりするわけだ。

 

「1組の男子って織斑君ですよね⁉

どこかの企業に所属してたりするんですか⁉」

 

「いいえ、彼は軍にも企業にも組織にも所属していない、ただの一般人よ。

ISを稼働可能というだけのね。

まったく、周囲からどう見られているのか、ちゃんと理解しているのかしらあの人…?」

 

なるほど、だとしたら日本から見たらデータ集積のための搭乗者という扱いに…。

いや、ちょっと待てそれもおかしいぞ、そのデータ集積も本人の合意無しには出来ない筈。

そもそもデータ集積だけなら学園の訓練機を使えば充分じゃないのか?

使用優先度の問題もあるかもしれないが…だけじゃないな。

機体を預かるには、軍、企業、組織、国家に所属していないと出来ない。

そもそもISは国家の所有物でもあるのだから。

それら全てに1組の男子生徒は所属していないというのなら…

 

「って、事は…何らかのコネでも拾ったのか?もしくはコネでも持っていたとか…?」

 

男性搭乗者のニュースが広まったのは、2月だ。

それから機体開発って急ピッチにも程があるだろう。

 

「で、3組のクラス代表の話は何処に行ったのかしら?」

 

おっと、そうだった。

 

「ウェイル君を推薦!」

 

「だから却下だっての!」

 

「じゃあメルクちゃんを推薦!」

 

じゃあ(・・・)ってなんだよ⁉投げやりだなぁオイ⁉

俺は辞退を望んでいたのだが、済崩し的にクラス代表補佐に任命されてしまったのだった、憂鬱だ…。

だから…俺は裏方専門なんだっての!

 

「憂鬱だ…」

 

食堂での夕食風景は俺が漂わせている暗雲のせいで今にも雨模様になりそうだった。

けどまあ、メルクの補佐だとか機体調整にも携われるのは数少ない救済措置だろうかな。

 

「ほかのクラス代表は誰になるんだろうな…?」

 

「5組は、ブラジル出身の一般生徒の方。

4組は、日本代表候補生の方ですが、機体が未完成、との話が入ってきています」

 

機体が未完成?

おかしな話だな、普通は機体を預ける相手のために、学園入学に間に合わせるのが請け負った開発研究所の仕事だろうに?

なのになぜ今になっても未完成なんだろうか…。

 

「あ、そういう事か…。

多分、日本で見つかった最初の男性搭乗者の機体開発計画が優先されて、日本代表候補生の機体開発計画が後回しにされたとか、だろうな」

 

「その答え、殆ど正解だけど、ちょ~っと違うわよ♡」

 

耳元で囁かれる声で

 

「席ならそちらが空いてますよ」

 

俺とメルクが使用しているボックス席の隣、一人用の席を指差す。

 

「私からも話が在るのよ」

 

「…………」

 

なら、仕方無いか。

トレイの中はまだまだ残っているけど話を聞くくらいなら。

メルクがややふてくされているが宥める役は俺になるだろう。

とっとと面倒事は済ませてしまおう。

 

うん、ナポリタンって美味しいんだな。

パスタ料理は母さんのお得意のメニューの一つだったけど、これはこれで味わい深い。

タバスコを少しだけ振りかけてみる。う~む、ピリリとした味で癖になりそうだ。

だけどメルクは辛いのが苦手なので、粉チーズを振りかけている。

 

「で、2組のクラス代表はどうなんだ?」

 

フォークに麺を巻き付けながら話の続きをメルクに促してみる。

早速スルーされている事に気付いたらしいが、奇人変人はそのまま放置在るのみだ。


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