博麗神社の昼
テーブルに霊夢、魔理沙、妖夢、俺が座っている。神楽の姿は、ここには無い。
昨夜の戦いで神楽は死にかけたらしいのだ。霊夢と魔理沙が神楽を回収して永遠亭に連れて行った時には、既に虫の息だったとか
なぜか生きていたが、大動脈をやられていて、あと一歩遅れていたら死んでいたと言う
俺が西井についてと、ソウルコアについて語ると、本題が始まった
「今回は...私に届いたわ」
霊夢が持っているのは狂からの手紙。渡された手紙に記された場所に指定された日時に行かなけさればならない。
一人で来いと言われているが、みんなで行くことだってできるっちゃできる
その場合は問答無用で皆殺しにすると狂から言われているが
「私はもちろん一人で行く」
前回反論した魔理沙は、俯いたままなにも話さない
霊夢が博麗神社を出るので、俺と妖夢もそれについて行った。魔理沙は、席に座り、ただ一人俯いていた
一瞬、魔理沙が泣いているように見えたが、実際はどうなのかわからなかった
・霊夢視点
草が生い茂る木々の間を歩いて行く。足が見えないほど地面にも草が生えている。
ったく、女性にこんなとこ歩かせるんじゃ無いわよ
「やぁ、久しぶり」
「私に喧嘩売るとか、後悔するわよ」
「これは喧嘩なんて優しいものじゃないよ。これは、一方的な虐殺だよ」
狂はそう言うと、私に短刀を突き刺しにくる
私はそれをお祓い棒で叩いてかわし、手の平に弾幕の弾を乗せて掌底のような攻撃を放つ
「グブッ!」
みぞおちに叩き込んだそれは、簡単に彼女の身体を吹っ飛ばし、大木に背中から激突させた
狂、俯いていたが顔を上げ、私に迫る
私は横からの斬りをかわし、その腕を掴む
「もうやめにしない?こんなことしても何にもならないしさ」
「僕はこのショーが大好きなんだ。楽しいんだ。だから止めたくない、終わらせたくない。終わるとしたら、それは僕が死ぬときだけ」
私は彼女の前腕に上からのひじ打ちをして、その骨を砕く
苦痛に顔を歪める狂に蹴りを放ち、距離を取った
「神霊〔夢想封印 瞬〕」
スペカ発動、間髪入れずに炸裂。辺りを土煙が包み込む
このスペカは通常の夢想封印とは違い、弾が見えない
何故かというと、霊力で速度を上げている。それだけ
しかし霊力を多く使う分疲れるのだ。だからいつもは使わない
土煙が邪魔して視界が悪い
狂の場所もわからない
耳を澄ます、聞こえるのは風の音、木々が揺れる音
そして...足音
「...そこっ!」
弾を発射
爆風と土煙を、突き抜ける人影が一つ。狂だ
「大成功」
月を背中に狂は血走った赤い目と、それに釣り合わない真っ白な歯を見せびらかすように笑った
私は地面に着地した狂を狙って弾を放つ
逃げ切れないと思ったのか、狂は自分の足下に弾を放ち、土煙を作った。私の視界を悪くするつもりだ
再度耳を澄ます。足音は...ない
続けて耳を澄ます、何かが落ちたような音、まるで猫が踏み切った時のような───後ろかっ!
「グハッ」
「今回の読みは外れたようだね」
やられた、右肩から左腰まで深く斬られた
視界を血が埋めていく、意識が遠のく
私は足から崩れ落ち、倒れる
なぜだか、木陰から魔理沙がこっちを見ているような気がした...