東方魂魄恋愛談   作:魂夢

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こんにちは、魂夢です。バレンタインまで間に合うか?(怯え)


第37話 錆び

ちゅんちゅん、とスズメであろう生き物の声が聞こえる

スズメの声を久しぶり聞いたと思う

なんてったって俺が暮らしてたのって外の世界から見れば死者が暮らす滅茶苦茶怖い所だもん

スズメみたいな鳥なんて全然───いや、一匹もいないからなぁ〜

 

「うぅんんんんんん〜〜」

 

俺は両手をくぅ〜っと上げて唸る伸びをした

そして黒フードの方をチラッと見る

畳、つまり床に横になって心地好さそうに寝ている

 

「おい、起きろよ〜」

「んんん、な、なぁ〜にぃ〜」

 

俺が黒フードの背中の方を足でバシバシと蹴る

そうすると欠伸しながら『なに』って言ってくる

なにが『なぁに』だバカ!さっさと起きろ!居候のくせに...

 

「今日は修行に勤しむ、一人でグースカ寝てるんじゃねぇよ」

「わ、わかったよ。すぐ行く」

 

そう言うと黒フードはヒョイっと起き上がり、フードの位置を調節する

黒フードがフードを調節している間に俺は幻光刀を手に取る

 

あれ、なんかほんのちょっだけ重いぞ?

多分普通の人だったら絶対気づかないぐらい少しだけれど...

 

俺は幻光刀を抜く

 

「‼︎」

「ん?どうし...‼︎」

 

幻光刀が根っこから先まで全て錆びついている

 

まさか、幻光は俺に幻光刀を使う権利を剥奪したのか!?

そんな、そんなことがあり得るのか!?

 

「ねぇ、昨日夢かなにかを見た?」

 

黒フードは穏やかに、まるで声帯を動かしていないかのように囁く

 

「ああ見た。幻光...えっと〜自称幻光刀の魂が現れて俺に『堕ちたな』って言ってきた。で昔自称魂は俺と一体化して俺の霊力増量に一役買ってたんだけど.....ヴッ!」

 

突如として腹部に強い痛みが走る

黒フードを見るとこいつは俺の鳩尾辺りを膝蹴りような攻撃をしていたのだ

 

攻撃によって“く“の字のような体制になってしまった、確実に体制が悪い

俺はとっさに幻光刀───は使えないので幻光刀の鞘を黒フードの鳩尾に突き刺すようにぶつける

 

「ぐっ!」

 

黒フードは後ろに飛び退き、俺と黒フードの間合いは3〜2メートルほどになった

 

俺は黒フードの目を見る

こいつの目は黒光り...いや違う。実際に黒色の光が放たれているのだ

俺はこの目を見たことがない、だが知っているような気がした

 

黒フードが自分のフードに手をかける

そしてそのままフードを...脱いだ

 

何だこいつ、額からこめかみにかけて大きな傷があるじゃないか...

フードのせいでわからなかったし、こいつの顔をよく見たこともなかったから気付かなかった

 

「フフ、まぁいいや。まだ制御できているみたいだし、僕も鬼じゃない。そもそも“この次元“の幻想郷が滅んでしまおうと、次の“英雄“を探すだけだ」

 

黒フードを被っていない黒フードは黒フードを被る。すると同時に光っていた目もなりを潜めた

 

今回もミラクルワードが二つぐらい出てきてるんだが

まぁいいや、めんどくさいし

 

黒フードはおもむろに玄関に向かって歩き出す

何をしているんだ?

 

「幻光刀の代わりの刀のありかを教えてあげるからついてきて」

 

わかった、俺はそう言い玄関を出た


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