東方魂魄恋愛談   作:魂夢

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こんにちは、魂夢です。今回はTwitterでお伝えした通り神楽が主役です!


第33話 リーパーと神楽

やっと、終わった...

長きにわたる時間を掛け、今ここに、激闘が終戦した

 

今回は私の勝ち?いや引き分け?

どちらにせよ、結果オーライという形でいいだろう

 

時雨がようやく諦めたのだ

私の制止を振り切って、家を飛び出したものの

もう流楠は居なくなっててくれた。やったね!

 

時雨はしょんぼりしているものの、こっちとしては『ようやく大人しくなった』である

 

「ふぅ〜」

 

私は腰を下ろし、一息つく

まったく世話の焼けるやつだなっと、私は彼女を見ながらそう思った

しかしながら、あんな時雨でも悲劇のヒロインだ

 

あの時私が時雨を助けださなかったら、一体どうなっていただろう

そんなこと、考えたくもない

 

私はその考えを頭から追い出した

“アイツ“は今、どうなっているのだろう

まだ続けているのだろうか

そんな疑問に答えはやってくるのだろうか

 

いくら狩怪を殺しても、何の情報も得られなかった

博士の言う通り、諦めた方がいいのだろうか

 

“アイツ“、リーパーこと柳は一体どこにいるのだろう

柳が何処にいたのか、その記憶は無かった

おかしな話だ、けどそこに興味が湧く

 

おもしろい、柳がその気なら、こっちもその気でいかせてもらおう

柳にはそれをやって貰わなければいけない

それは何故か....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時雨を殺そうとしたから

 

柳は時雨を殺そうとした

そして同じように私も、殺そうとした

 

理由は柳の『求めているものと違った』らしい

私は奴が憎い、たったそれだけのことで、私を、時雨を...

もう一度会ったら、八つ裂きにしてやる

 

私はそれまでも耐えていたのだ

狭い部屋、低い天井、無機質な壁

その中に一つ、ポツリと置いてある私のベット

そんな中で生活すること自体が既に鬼畜なのに、毎日のように人体実験をやらされる

 

唇を噛み締めながらずっと我慢していた。それなのに

私たちを殺すことになっていたのだ

 

『こいつと時雨って奴が殺処分か..めんどくせいなぁ』

 

私に食事を運んできた二人の男のうちの一人がポツリ、そう呟いた

静かな部屋に響いたその言葉は、私の中にじっくりと染み込んでいった

 

こいつ?つまり私?時雨?あの小さな女の子?殺す?つまり私たち死ぬ?

 

その時の行動は考えるより先に動いたものだった

呟いた男の顔面を殴り倒し、もう一人は私の足を振り上げるような蹴りを一発

それでも気絶しなかったので、上げた足を落とした踵落としをした

 

一般的にガタイの良いと言われるであろう男を一気に二人も倒せた

しかし、そんなことを考える暇などはなく、時雨が監禁されているであろう部屋を探す

 

鉄製のドアに貼られた紙に印刷された番号を目で確認しつつ、男をなぎ倒し、前に進む

私の実験番号はI.D.22201番。時雨はI.D.22286番だったと思う

 

ドアを30個ぐらい見た後、ようやく見つけた

 

《被験体 実験番号I.D.22286》

 

私は紙を見るなり、最初の男が持っていたよくわからない形の鍵を差し込んだ

 

『時雨!』

『...?』

 

ドアを開けた先にいた時雨は、ベットの上で三角座りをしながら光のない目で私をじっと見ていた

時雨は私を見るなり、首をキュるんと傾げるような動作をする

 

『行くよっ!』

『...ぇ?』

 

時雨はものすごく小さな声でそう言っていたのを覚えている

あの時の時雨はすごく小さくて、百cmぐらいしか無かったのを覚えている

 

私は時雨の手をギュッと握る、そして時雨も私の手をギュッと握り返す

時雨の手を引いて駆ける

 

目に入った男はなぎ倒し、出口らしき場所を探す

 

『おい貴様...そこで何をしている...』

 

その人の本能から恐怖に陥れんとする声、それはまさにこの施設の主、坂技 柳だ

私は後ろを確認する為、後ろを見る

黒いマントに身を包み、赤い軍服のような服を身につけ、腕を組みながらゆっくりと近づいてくる柳がいた

柳は何故か瞳がなく、常時白眼のようになっていた

 

『あ痛っ!』

 

柔らかい塊が私に当たった。その塊は肉のようだった

私は慌てて前を見る、やはり目の前には柳の手先の大柄な男

 

『あ..ああ...』

 

終わった、もう逃げられない

これから拷問にかけられた後に、一番苦しい方法で殺されるんだ

 

『何の益にもならん女と思ったが、意外に得るところもあったな。しかしもう用は済んだ、消えるがいい...』

 

柳は手をジャンケンのパーのように開き、その手のひらを私と時雨に向ける

鮮やかな紫色の炎のような気が、柳の手のひらに集まって行く

サッカーボール程の大きさの球体が出来上がった

 

『死ね』

 

球体が打ち出され、私に当たりそうになった瞬間

かまいたちのような風が球体をかき消し、柳と私たちの間に一人の男が突如として現れた

黒いフードを被った男、それが誰なのか今になってもわからなければ、何故助けたかもわからない

 

『これが闇の波動...なるほど、使えそうな力だ。その力をよこせ!』

 

白眼が全て紫色に変色し、身体中が炎の中に入ったように気を纏った

柳は確実に本気だ

 

『生きたいかい?』

 

私は少し戸惑いつつ、こっくりと頷く

黒いフードを被った男は、どこか温かみのある笑みを浮かべた

 

『我から逃げるつもりか?フンッ!愚かだ』

 

首を鳴らす仕草をしながら、柳は言った

逃げるんじゃない、消えるんだ、とフードを被った男は挑発のようなことを言う

 

フードを被った男はゆっくりと目を瞑り、赤黒い気を体に纏う

クワッと目を見開き、気を一気に解き放った

私たちと黒フードを囲うようになった円型の気が、私たちを囲っていた男と柳を吹き飛ばした

 

しかし柳は飛ばされている空中で体勢を立て直し、先ほどより少し離れたところに着地する

 

『行くよ』

 

黒フードは私の手を握り、黒フードは目を瞑った

赤黒い気が私たちを囲って、ボールの中に入っているようになる

 

そしてそのまま赤黒い気は黒い光を強める。光が強くなり、私は目を瞑った

ゆっくりと光が弱くなり、私は目を開ける

 

そこは私が夢見た太陽がきらめく幻想郷の地上だった

 

その後、私は記憶の奥の奥にある記憶から小さな家を探し出し、色々あった後、結局そこに住むことになった

だって誰も住んでなかった空き家だったんだもん

 

「今まで、色々あったなぁ〜」

「何が?」

 

いや、別に?と私はたぶらかす、時雨には思い出して欲しくないからだ

私は時計を見る、現在12:30だ

 

「あ!やっべ!」

 

今日は12:45妖夢とお茶する日だった

 

「おい時雨!私ちょっと行ってくるから、時雨は明日の寺子屋の準備しておけよ〜」

「えー」

「えーじゃない!」

 

私は上着を羽織り、帽子をかぶって家を飛び出た

その時の自分の顔があの時と違い、希望に満ちた笑顔だったのは、言うまでも無い

 




神楽とリーパーの実験台なんですよねぇ〜

どうでもいいんですけど、私は魂音泉が好きなんですよぉ〜
魂音泉とは...ググってください
ちなみに私はQ(あってる?)と言う曲が好きです
知ってる方は何が好きか是非教えてください!

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