東方魂魄恋愛談   作:魂夢

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こんにちは、魂夢です。あと何話で、このお話は結末を迎えるのだろう...


第26話 暴走

・妖夢視点

 

私ははっとした

はっきりしなかった意識が、急に現実に引き戻されたのだ

 

目の前の景色に変わりはなかったものの、辺りに漂う物凄い殺気

殺気のせいで私も少しばかりクラクラする

民家から漂う赤黒い霧が不気味に風に揺られていた

 

私は刀を杖のようにして、立ち上がった

お腹に深々と刺さった木の棒を投げ捨てゆっくりと歩いた

追いつけないのはわかっていた、だけど、少しの希望にしがみつき、歩いた

 

すると突然、民家から現れた黒い残像が、狩怪を押し倒した

民家の上に被さるように狩怪は倒れこみ、その上に黒い残像がスゥッと降りた

 

私は少し頑張り近づいた

現場を見た私は思わず、嘔吐を抑えようと口を手で押さえた

 

狩怪にまたがり、一方的に打撃攻撃を加える、赤黒いオーラをまとった男

 

狩怪が反撃しようと伸ばした手を、男は掴み、そして、握りつぶした

グチャッという音と共に、狩怪の黒い血液が周りに散乱する

 

私はあまりに悲惨な光景に思わず眉間にしわを寄せた

 

赤黒いオーラをまとった男はそのまま手を引っ張り、引き千切った

そしてその手を.....喰った

犬のように無心で喰い荒らす姿は見ているこっちをゾッとさせる

一通り喰った後、残った骨をポイっと捨てた

そして腹を引きちぎり、心臓らしきものを取り出した

 

心臓を天に掲げ、口を開き、握りつぶした心臓から滴り落ちる血を、口で受け止めた

 

「血だ....」

 

男は一言そう小さく呟いた

その声は狂気にも、悲しんでいる様にも見えた

私は目をくわっと開き、酸欠の金魚の様に口をパクパクしながらその光景を眺めていた

 

すると突然こちらに振り向き、飛び掛かってきた

カキンッと言う甲高い音を立てて、私は刀で弾いく

そして顔を上げるとそこには、流楠君がいた

 

頭が真っ白になった、流楠君が狩怪を喰った?流楠君が私を殺しにかかってきた?

なぜなぜなぜ、何があった、私が吹き飛ばされ、意識が飛んだ数秒の間で一体何が?

頭にこだまする、疑問

そんな疑問すらも、吹き飛ばされ、地面を転がった痛みによってかき消された

 

「流楠君っ!一体何があったんですかっ!」

「我は目覚めたのだ」

「えっ?」

 

流楠君は仁王立ちをしながら、突き刺す様な視線をこちらに送っている

変わり果てた流楠君、肌の色は褐色になり、黒い目に赤い瞳を持っていた

髪の毛も真っ赤に変色し、赤黒いオーラによって髪がゆらゆら揺れていたのだった

 

その姿はまさに狩怪そのもの

 

「我が名は流楠!真の力に目覚めし者っ!」

 

赤黒いオーラが更に濃くなり始め、どこからともなくゴゴゴという轟音が響く

周りの小石はとうとう重力を無視して浮かび上がった

 

「グゥァア、殺意がオレを高めるっ!」

 

拳を握りしめ、流楠君が叫んだ

 

「切り裂いてみろ!妖夢の刀が本物ならばっ!」

 

握りしめた拳を顔の前で構える戦闘ポーズをとり、私に再度飛び掛かってくる

私は刀で弾く、しかし、反撃もできないし、逃げることも出来ず、弾くだけで精一杯

 

私は必死に対応策を探した

動きが速い、一対一だとどうにも出来ない

どうすれば、弾き飛ばすことも出来そうじゃない、力が強く、動きが物凄く速い

 

「この程度だとはな、失望したぞ!」

「正気に戻ってくださいよっ!」

 

流楠君は口元をぐにゃりと歪め、笑う

 

「待て流楠っ!こっちが相手だ」

 

私でも流楠君でもない声が聞こえてきた

流楠君は私を弾き飛ばし、私はクルッと受け身を取り、着地した

流楠君と戦い始めてから、ここまでの所要時間、およそ5秒

 

ロボットと言われる外の世界の技術で出来た鎧をつけた西井さんが、フワフワと浮いていた

 

「フンッ!機械を使わないと戦えない愚かな人形め!そんな仕掛けでオレに勝てると思うのか?」

「わからない、今のお前の力は未知数だからな」

 

フンッ!ともう一度笑った後、飛び上がり、西井さんと取っ組み合いを始めた

私も行こうとすると、肩に手が置かれ一言

 

「私に任せて」

 

・西井視点

 

「貴様の存在はここで消える、この拳の最初の贄としてな!」

「ごちゃごちゃうるさいっ!」

 

こいつを止めようとは思っていない

ただ時間稼ぎさえできれば良い、そう思っている

 

「フンッ!」

「グゥァァァ」

 

上から飛んできた腹パンによって、地面に叩きつけられた

ドォーンっと言う轟音が響く

流楠が上から降り立ち首を絞め始める

 

「もっと血を!もっと強気相手を!この力が殺戮を求めているのだっ!」

 

俺は流楠の手首を掴みそのまま微弱な静電気を流した

そしてもう片方の手でグレネードの栓を抜き、流楠に向かって投げた

 

「お前が招いた結末だ!おとなしく受け容れるがいい!」

 

流楠がそう言うも、俺の耳には届かない

やがてグレネードは閃光を放ち、もう爆発するといったところで

流楠は手を離そうとした、しかし静電気のせいで、手は離れず

そのままグレネードは爆発し、俺は意識を闇えと手放した




本当はね、流楠君は暴走した時、筋肉マッチョになる予定だったんですよ...
最終的に採用されなかったわけですが、挿絵まで書いたのに...

つぅ〜わけで採用しなかったけど挿絵投下

【挿絵表示】

もう一度言う...採用されてないからね?
採用された方も今度書くよ....多分ボソ

あっ後、今更ながらツイッターを始めました!更新したらツイートしますっ!

URL https://mobile.twitter.com/conm_hameln

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