東方魂魄恋愛談   作:魂夢

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こんにちは、魂夢です。本当に申し訳ありませんでした!!ちょっと先週色々ありましてね、遅れてしまいました
その分多く書きましたし、色々凝ってみたものの。文字数が多い分、誤字脱字が多い可能性がありますが、その時は教えて下さい(震え声)
では本編どうぞ!


第4章 再来
第25話 襲来


「あったわよ」

 

霊夢は片方の眉をピクリと上げ言った

良くくびれた腰に手を当て、もう片方の手には腕輪が握られていた

話によると星空の部屋の隅っこに普通に置いてあったらしい

 

と言う事はもう隠すつもりはないみたいだ

俺を確実に犯人に出来るとでも思っていたのだろう

だが結果は言わずもがな、俺の圧勝で終わったわけなんだがな

 

部屋には星空の臭いがかすかに臭っており

すっからかんになった部屋は、俺を清々しい気分にさせた

星空を完全に断ち切ったような気がする

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

「う、うん」

 

手を大きく上下にブンブンとやりながら猛烈に感謝する妖夢

おいおい...霊夢が引いてるぞ?

 

自分のたった一人の家族の、あまり良い言い方では無いけど遺品を大切にするのを見て

何故かわからないけど俺の胸を締め付けた

 

家族...か

そういえば外に残してきた人たちはどうしているのだろうか

うちと家族は厄介な奴がいなくなって清々しい気分であろう

星空も何故来たか分からないし、謎は深まるばかりだ

 

「もう昼飯食った?」

 

俺は気持ちをリセットした

昔から気持ちをリセットするには違うことを考えるのが一番だ

 

いいえっと首を振りながら妖夢が言う

 

俺には奴らのことなんてもう関係ない

今の俺には妖夢がいる、仲間がいる、俺を大切に思ってくれる人がいる

それだけで、暗い過去を断ち切るなんて御安い御用だった

 

俺は食欲をそそる匂いに、鼻をひくつかせる

この匂いは...味噌?味噌系の匂いが俺の周りを取り巻いてゆく

え?食べてないんだよね?

 

「もう作りはしたんですけどね」

 

ああ、なるほどそれなら辻褄があう

 

俺はスタタタっと居間まで行き、確認する

確認した理由は特にないのだが、ただすごくお腹が減っていたって言うのはあった

 

俺の分

妖夢の分

霊夢の分

魔理沙の分

 

全員分きちんと並べられてあった

個人的に寝ていた俺の分まであることがすごく嬉しい

外の世界にいた時に昼まで寝てたとあっちゃあ、あんたの分はないってそっけなく返されるのがオチなのだ

 

「流楠君も一緒に食べませんか?」

 

いつの間にか後ろに現れた、妖夢が聞いてくる

口元に浮かべた小さな微笑を見ると、なんだかこっちが恥ずかしくなってくる

でもその微笑にはどこか安堵感を与える

とても、奇妙だ

 

「ああ」

 

同じような微笑を浮かべながら、俺は言い返した

 

いつもとなんら変わらない日常

でも忘れてはいけない、俺が幻想郷に来たのは障害を排除するためである

ここに暮らしに来たことではないと言うことを覚えておこう

そうでもなければ、いざとなった時に、また....

 

「ん?」

 

違和感を覚えた

別に料理が変ってことでもない

後頭部に電撃が走ったような感覚があったのだ

こんな事は初めてだった

 

何処と無く嫌な予感がする

 

「ちょっと行ってくる」

「え?ちょ、ちょっと流楠君っ!」

 

俺は妖夢の制止を無視して白玉楼を飛び出した

 

〜人間の里〜

 

入り口から怯えた人々が大量に逃げている

あっちの方向は人間の里より危険なのにそっちに逃げていくってことはつまり

人間の里が相当危険ってことだ、どこぞの巫女は気づかないのか?

 

俺は走りながらも慎重に奥に進んだ

本当に人っ子一人いない人里はすごく不気味だ

団子屋もなんだかボロボロになっているように俺の目には映った

 

 

 

俺は走った

風を切るように、風を纏ったように

 

奥に行くと小さな人影が見え始めた

そして小さな人影はどんどん大きくなってゆく

全身を見た時、俺は驚愕した

 

彼は人間では無かった、いや、“奴“は人間では無い

身長約3メートル、全身真っ黒で所々白模様がついていた

やけに長く、細く弱々しい手足に合わないがっしりした胴体

そして顔は胴体に埋まる形で渋い顔があった

 

ゆっくり、どしどしと歩いていく

その姿は、まさに“異形“と言う名がふさわしかった

 

「おーい!」

 

俺はその声に反応し、走りながら振り向く

そこにいたのは、スーツを着て、飛びながら来た西井だった

 

ちょっと安心した

正直言って不安であった、今までの奴らより大きいのは流石に怖い

ちょっとだけではあるが

 

「神楽達は!?」

 

俺は走りながら聞いた

 

いつもなら神楽たちは真っ先に気づき、俺たちといる時は無理矢理にでも連れて行く

こんな時に居ないはずがなかった

死んでなければいいのだが

 

「先に行ったが、この調子だとあの狩怪(しゅかい)にやられたか?」

 

狩怪というのは闇力を使える者のことを言う

最近名付けられたばかりだが

個人的にかっこいいと思うのは俺だけか?

 

俺は走りながら周囲をキョロキョロと見回す

倒壊した民家の瓦礫に埋もれている神楽と時雨を見つけた

 

俺の脳裏にトラウマが浮かんだ

くっ...今は狩怪の排除が最優先だ

俺が掴めなかった手は、妖夢が掴んでくれると言ってくれた

神楽達の治療は後回しにしよう、妖夢を信用するんだ

 

すると、ドドドっと銃声が静まり返った里に鳴り響いた

西井が銃を使い、狩怪に撃ち放ったのだ

狩怪の背中に弾丸が当たる

しかし狩怪は気にも止めずに歩き続ける

 

あっちの方向に何があると言うのだ

俺が知っているそっちある物は【博麗神社】しかない

【博麗神社】に何があると言うのだろうか?

 

俺は足を早め、同時に西井も速度を上げた

 

俺たちは狩怪の前に立った

西井は一斉射撃をし、俺は幻力を纏った幻光刀で斬りつける

三年間きちんと修行したおかげで威力も上がった幻光刀は狩怪の手を切り落とした

 

同時に後ろから爆風が上がり、色とりどりの光の玉と、七色の光線が現れる

そして空間が切れたような感覚

間違いない、妖夢たちが来たんだ

 

後ろの爆風に押されたのか、俺ら側に倒れてくる

俺は飛び上がり、後ろに避けた

 

「流楠君!大丈夫ですか!?」

「おうっ!」

 

俺は妖夢にサムズアップしながら元気よく言った

 

「う、うぇ!」

 

千切られた狩怪の手が、ナメクジのようにうねっていた

...気持ち悪い

 

「あっ!.....うっ!」

「くっ!」

「きゃっ!」

「妖夢っ!うぅ!」

「おい!流楠!」

 

突如として狩怪が起き上がるとともに

手で俺たち全員を弾き飛ばした

西井は飛び上がり、無事だったが

 

俺は凄まじい勢いで民家に叩きつけらた

しかし、民家の壁では勢いを殺せず、壁を貫通して暖炉に叩きつけられた

俺は立ち上がろうとすると、俺の体がふわっと浮遊した

 

驚いて前を見る、なんと、狩怪が俺の胴体を鷲掴みにしたのだ

俺は浮いた状態で足元に落ちた幻光刀に手を伸ばした

しかし、ギリギリのところで届かない

 

幻力で浮かそうとした、その瞬間

 

「グァッ!」

 

狩怪の手に力が入り、俺を握りつぶそうとして来たのだ

 

「くそっ!離せっ!離せったらっ!ゔっ!」

 

ボキボキと嫌な音を立てて、骨が折れていった

渋い顔が鋭くニヤリと口元を歪ませた

折れる骨の量も多く、幻力の再生能力では1週間はかかるような傷だ

 

突然俺を地面に叩きつけ、ルートに戻り、歩き始めた

俺を地面に叩きつけた理由はわからないが、とりあえず助かった

 

しかし激痛で歩けず、目がよく見えない

死んだな....

本能的に理解した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、目の景色に色がなくなり、全て白黒になった

時間も止まっているようで、一体何が起こったのかわからない

 

「お前は、“圧倒的な力“が欲しいか?」

 

何処からかわからないが、声が聞こえてきた

 

「...力」

 

俺は素直に答えた

 

「そう、力だ。奴を圧倒できる、一方的に殺せる力」

「欲しい....」

 

俺は力が欲しかった

みんなを守れる力が、誰も傷つけさせないための力が

人を傷つけるためのものでは無い力が

 

「よろしい、我の力を貸してやろう」

 

そう言うと、世界に色と時間が戻った

よく見えない目で、俺は自分の手を見た

 

俺の手は変色し、黒っぽく、いや、茶色っぽくなり

身体中から赤黒い気が出ていた

 

「これが....“力“....」

 

消え入るような声で俺は言った

思わず感心してしまうほど、溢れる力

同時に、俺は意識が遠のいて行くのを感じ

 

俺はゆっくりと、瞼を閉じた




はいっ!どうでしたでしょうか?私も伊達に休んでたわけではありません、他のR-15小説を(もちろん普通のやつも)見たんですが...
びっくりでしたね〜「そこまでやっていいのかっ!」感じでしたんで、私の小説も、“そこまで“やってしまいましょう
最後まで見てくださった方、本当にありがとうございました!

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