東方魂魄恋愛談   作:魂夢

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こんにちは魂夢です。


第15話 流楠の死

「ただし、コアは全て渡してもらうぞ」

 

西井は絶対だぞ、とでも言うかのような口ぶりで言った

 

「ああ、構わない」

 

俺は渡さない理由は特になかったので、OKした

 

 

 

俺は西井が持っていた銃が気になった

だって最新式の銃を装備していたし、あの銃はまだ試作段階だったはず

 

「西井の持ってる銃は、その、どこで手に入れたの?」

「これか?これは博士に渡してもらった物なんだよ」

 

博士って誰だ?しかも最新スーツを作るなんて。外の世界の武器を持ってきたのか?

いや、違う。おそらく西井と博士は『外の世界』から来たのだろう

どうやって来たんだろう、紫は知っているのか?

 

「なぁ、その博士に会う事ってできる?」

「多分できると思うけど、今日は無理だと思う」

「まぁ別にいいんだ、会える日に会わしてくれ」

 

西井はオッケーと言うと飛び立ち、帰って行った

 

・妖夢視点

 

西井さんと別れてから、流楠君に元気がない

落ち込んでいると言うより、考え込んでいる感じだった

 

「流楠君、どうしたんですか?」

「いや、なんでもないよ」

 

流楠君は笑った

だけど、私は気づいた

流楠君の笑いはぎこちなかった、明らかに何かを隠そうとしている

 

「なぁ妖夢、あとで俺の部屋を掃除してくんね」

「良いですけど、どうしてですか?」

「なんか、頭痛がするんだよ、触ると」

「いいですよ」

 

私が答えると流楠君はまた考え始めた

流楠君が考えている間に白玉楼に着いた

 

〜少女掃除中〜

 

掃除を終わらせた

私は幽々子様に相談をするために居間行った

幽々子様はいつもより真剣な顔をしていた

それにお菓子にも手をつけていない

 

「幽々子様、流楠君のことでお話があります」

「私も話があるの」

 

私は座った

幽々子様は私が座ると話し始めた

 

「今日、流楠君に何があったの?」

「流楠君には何も、ただ外界の技術を持った男が敵を倒しました」

 

幽々子様は少し考えた顔をした

重々しい空気があたりに流れ始める

 

「流楠君に何があったか分かれば」

「幽々子様、私流楠君に思い切って聞いてみます」

「いいけど、気を付けてね。今の彼、とてもデリケートだから」

「はい」

 

私は流楠君が修行している、庭に向かった

 

・流楠視点

 

〜白玉楼の庭〜

 

幻符(げんふ)『守護の覚悟』」

 

前の敵の技をパクッた物だ

俺の幻力を飛躍的に上昇させることができる

初の試みだったが、成功したようだ

 

「流楠君、少し話があります」

 

妖夢は見たことのない表情を浮かべている

真剣と恐怖が混ざり合ったような表情だ

 

こんな見たことない表情を浮かべているってことは

俺が何か凄いことでもやらかしたのだだろうか

 

「ど...どうした?」

「私に、何を隠しているのですか?」

 

俺は隠している事がバレた

というより、隠すのが下手だったのかもしれない

 

俺のことをよく知らない先生より、俺のことをよく知ってたからだろうか

 

 

「というより、なんで笑っていないのですか?」

「何を言っていっているの?普通に笑ってるよ?」

「あなたの笑い方は乾いています」

 

俺は悩んでいだのだ

確かに笑い方が乾いていた

 

「ああ、確かに。何が言いたい?」

「理由を教えて欲しいのです。」

 

妖夢は真剣な表情で言う

 

「俺は強くならないといけない」

「どうやれば強くなれるかを考えているだけだよ」

「それだけでは無いはずです」

 

言い当てられる

妖夢は非常に冷静に言った

 

 

「ああ、そうだ。俺は価値のある人間になりたい、その事を考えていた」

「どういう意味ですか?価値の話は関係ないと思うのですが?」

「先の戦いで俺は何の役にも立てなかった、このままだったら俺は役立たずになる」

「そんなことないです」

 

何故そう言える?

俺の経験上、このままだと俺の価値がなくなる

前もそうだった

 

 

あたりはとても静かになった、風の音だけが静かにこだまする

 

「私は、役に立たなくても、流楠君に価値はあると思います」

「いや、違うね」

「俺だって昔はそう思っていた」

 

冷静を装っているが、俺の中で少しずつ、怒りが蓄積されている

 

「どうして流楠君の価値がなくなると思うのですか?」

「俺は昔、ある事があって、その時気付いた」

「価値があるのは俺じゃないことが」

 

あの時もそうだった

みんなに言われてやっと気づいたんだ

俺は『無能』だってことに

 

だからあの時、頼られて嬉しかったんだ

期待を裏切ることはできない

 

「価値があるのは俺じゃない、『幻力』なんだ」

「幻力を使えない俺に何の価値がある?幻力を使えないせいで死人が出たらどうする?」

「そんなこと思っていません!全部自分のせいにしくてもいいんです!」

「だから!そんなんじゃダメなんだよ!」

 

『何か』が崩れていく

音を立てて、『脆い絆』ゆっくりと崩れていく

つみあげてきた物が消えていく

 

「自分のせい以外に誰のせいにする?もう、自分のせいで誰かが死ぬのは嫌だ!」

「だから自分のせいじゃないんです。安心してください」

「使命を全うできなかった俺の責任。それ以外の何者でもない」

 

次から次へと妖夢を責める

この時やめればよかったのに

妖夢は必死に俺が間違っている事を教える

俺が冷静だったら意味もわかったのだろう

 

 

俺はこの体験を一度している

助けるために来たのに、助けられなかった

あんなにも心が痛む事を、妖夢にわかるはずない

 

そんな事を考えていた

よく考えればわかるはずなのに

 

「違います。『仕方がない』事だってあるんです」

「.....は?」

 

今になってわかる

世の中にはどうしようもないことがある事を

この時の俺にはわからなかった

 

 

「なるほど、俺は弱いから、人が死んだって『仕方がない』んだな」

「ち.....違う。そういう意味じゃない」

 

妖夢の放った言葉は俺には届かなかった

怒りが俺を支配する

目が紫に変わり始める

 

 

この前と同じようにはいかない

 

「俺は元の世界に帰るよ。俺は弱いから、人を見殺しにしても『仕方ない』からね」

 

仕方ないを強調して言う

『元の世界』に帰ろう。そう思った時だった。

いじめられていた時の記憶が頭よぎった

 

(ああ、もう俺死んじゃおう)

 

俺は長い階段で、後ろ向きになり、斜めになる

ゆっくりと、着実に身体は後ろに傾く

 

妖夢が俺の手を取ろうとする

俺は妖夢の手を振り払い

スペルカード、『守護の盾』を作り妖夢の手を拒む

そして、妖夢には死ぬところを見せないため、強い光を放った

 

・妖夢視点

 

流楠君の強い光が流楠君の体を覆い尽くす

光が収まった時、流楠君の姿はなかった

 

「流楠君.....が.....いない....」

「う....うぁ.....」

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

私は泣いた

大声で泣き叫んだ

 

「妖夢?どうしたの?」

「流楠君がぁ......りく.....くん.....がぁ....」

 

声にならなかった

なぜ泣いていたかは覚えていない

ただ流楠君に会えなくなったことに悲しくなった

 

自分の胸が強く締め付けられる

私は流楠君が悩みを抱えていることにもっと早く気付けば

流楠君が死ぬこともなかったかもしれなかったのに

 

私は自分を責めた

 

すごく流楠君が恋しくなった

この時私はもうすでに、流楠君のことが『好き』だったのかもしれない




疲れすぎて、後書きが思いつきません

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