アクエリオンEVOL ~光の系譜~   作:シエロティエラ

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カナダからこんばんわ、ホロウメモリアです。
今回も機会があったので更新します。それでは。





激闘の末

 

 

 

 

 突如合体した三機のベクター。その様子に、司令室は混乱に包まれていた。それも当然である。男女による合体は、何年も前から禁止されており、そもそもグレイゼ・ストーンによって男女合体は封印されているため、現時点では起こり得ない現象なのである。

 しかし……

 

 

「まさか合体? ……しかしこの感覚は」

 

「な、なに!? こんな感覚……初めて!!」

 

「……くぅ!?」

 

 

 しかし封印なんて意味を為さぬかのように合体は行われ、ついにグレイゼ・ストーンは砕かれた。そしてアマタは、真の姿を現した機体名を、大怪我を感じさせない力強い声で叫んだ。

 

 

「アクエリオンEVOL!!」

 

 

 真名を解放された機体は一際眩しく輝くと、未確認機に向かっていった。しかし叫んだ当の本人は、頭の中が疑問に満たされていた。

 

 

(俺はなんでこの名を……いや、これは俺に刻まれたもの。記憶、体、心、いや俺の全てと言える魂に刻まれているというのか)

 

 

 考えるのは程々にし、アマタは思考を現実に戻す。先ほど戦ったときは、制限時間や変身前に消費していたエネルギーもあって、思うように戦うことが出来なかった。だからと言って、アクエリアに騎乗すれば大丈夫というわけではないのだが。

 

 

「ミコノ!!」

 

「カイエン!?」

 

 

 合体したそれぞれのベクターに乗っていたミコノとカイエンという青年が、互いの存在に驚いていた。どうやら彼らは知り合いらしい。

 

 

「なんでお前がそこにいる!! それに貴様は、異次元からのテロリストか!!」

 

「……勝手なことを」

 

「アマタ君はそんな人じゃ『無駄にさえずるな!!』……ッ!!」

 

 

 カイエンという青年は急に現れたアマタを警戒し、更にミコノに一方的に言いがかりをつける。恐らく互いに知り合いなのであろうが、それぞれの事情を知らないアマタは、カイエンの態度に少しだけ腹が立った。

 しかし敵にとってはそんなこと知ったことではない。カイエンやミコノたちの足並みが揃わない状態でも構わず、アマタたちに攻撃してくる。

 

 

「ちっ、向こうは武器を持っている分こちらが不利だ。おいあんた!!」

 

「な、なんだ!?」

 

「この機体に武器は? 他にどんな能力がある?」

 

「知らん!! そもそもこの合体になったのは初めてなんだ」

 

「……規則だっただろうとはいえ、厳しいな」

 

 

 基本的にアクエリオンは、搭乗者のエレメントに依存して能力が決まる。本当ならミコノやカイエンの能力を聞くべきなのだろう。先ほどミコノは、自身にエレメント能力はないと言っていた。だがこうしてベクターに登場し、アクエリオンとして合体しているということは、彼女がエレメント能力を持っているという何よりもの証である。だが未だ不明であるため、今回はアマタとカイエンの能力に限られる。

 

 

「ッ!? 空気の読めないやつだ」

 

 

 斧を構えて突進してくる未確認機に対し、アマタは咄嗟にいつものように、左腕に光剣に装備している感覚で操縦桿を操作した。普通だったら左腕を切られ、ついでに胴体も切り裂かれている。しかし驚くことに、アクエリオンの左手の甲から不可思議な剣が伸び、敵の斧を防いでいた。

 

 

「う、グゥッ!!」

 

 

 しかし振動はダイレクトに伝わってくる。大怪我を負っているアマタには酷なもので、攻防を繰り広げるたびに振動が傷口を抉る。操縦席内はアマタの体から流れ出て、飛び散った血によって汚れていた。

 

 

「アマタ君、大丈夫なの!?」

 

「おい貴様!? その傷は……!!」

 

 

 アマタの様子をみて、ミコノは現状よりも彼の心配をする。なまじ一番近くで彼の負傷を見ていたため、今この場でみたカイエンよりも深刻そうな表情を浮かべる。

 

 

「俺は大丈夫。おいアンタ……アンタの能力は?」

 

「ッ!? なんで貴様に教えなきゃいかんのだ!!」

 

「四の五を言ってる時間はない!! 全滅してもいいのか? アクエリオンは搭乗者の能力如何で仕様が変わる、俺は重力操作だってまずい!!」

 

 

 敵の攻撃を避けられず、ダイレクトにアマタたちはダメージを受けてしまった。

 

 

「キャアアアア!?」

 

「グゥ……貴様、許さんぞ!! ミコノをこんなことに巻き込んで!!」

 

 

 その時、アマタの脳裏に一つの情景が浮かび上がった。喪服を着た女性と男性が夕焼けを背景に墓場で挙式をしており、その後、荒れ果てた大地に()()()()()()が立っているのが見えた。

 

 

(今の二人、ミコノさんと誰だ? いや、奴は何だ? 他人じゃないような、だが俺と正反対の。そしてあの影、まさか……)

 

 

 アマタは今の光景に思考を奪われるが、頭を振って現実に戻した。

 

 

「なに……これ……?」

 

「これは俺のエレメント能力、"絶望予知"だ。未来に起きる不吉な出来事だけ、映像として脳内再生する」

 

「でもあくまで予知だ。人類は、自らの手で未来への道を切り開く」

 

 

 かつて最速の先達が信じた人類がそうしたように。だがアマタの思考は未確認機が馬乗りになり、攻撃してきたことで中断された。攻撃の衝撃がダイレクトにアマタを刺激し、ついにアマタは内臓を傷つけてしまったのか吐血した。それを見ていたミコノやカイエン、司令室の人間も一様に顔を蒼くした。

 

 

「もうやめて!! アマタ君死んじゃう!!」

 

 

 ミコノが必死に呼びかけるが、アマタは操縦桿を離そうとしなかった。寧ろ最早手を放すことが出来ないのではないだろうか。そう思わせるほど彼は操縦桿を力強く握りしめ、その目から闘志をなくしていなかった。

 

 

「どうしてそこまでするの!? あなたが……あなたが必ず戦わないといけない義務があるの?」

 

「そうだ!! 元を言えば、お前は正規のパイロットじゃないのだ。それにそのような大怪我を負っておいて……」

 

 

 先ほどまでアマタに敵意を出していたカイエンも、流石の事態にアマタを戦線から離脱するように促す。しかしアマタは梃子でも動こうとしない。

 

 

「義務じゃない……俺がやりたいからやるだけだ。それに……」

 

「え?」

 

「なに?」

 

「どんな時でも諦めず、どんなに苦しめられても立ち上がり、不可能を可能にする。それが、光を継ぐ者(オレたち)なんだ!!」

 

 

 その瞬間、アクエリオンが金色に発光した。外見も少し変化し、両の腕には赤と青の水晶体が、胸部にはカラータイマーを彷彿とさせる機関が追加されており、鮮やかな蒼い光を放っている。

 急な変化に驚いたのか、未確認機はアクエリオンから急いで飛びのいた。が、撤退を許されたわけではなかった。

 飛びのいた未確認機に対し、再度左腕に装着した剣で切りかかり、期待にダメージを負わせる。怯んだ敵に対して追撃の手を緩めず、合気道の要領で敵を投げ、両腕に纏わせたエネルギーの刃で敵の腹を切り裂く。

 未確認機も予想外の大きなダメージを負ったのか、その動きはおぼつかない。しかしアクエリオンは止めとばかりに今度は左腕に炎を纏わせ、一気に未確認機の腹に向かって振り抜き、空の彼方に吹き飛ばした。

 

 

「……ミコノ」

 

「……なに?」

 

「……お前に聞くのも可笑しい話だが、これはお前のエレメントか?」

 

「違うと思う」

 

「そうか……だが確か奴の能力は重力操作。だとすればこれは……」

 

 

 未確認機を吹き飛ばしたのを最後に、今回のアブダクター浸出の事態は収束した。しかし問題は多く残っている。一番の問題は、突如出現した光の巨人と男女機による融合、そしてそれを為したのが二人の一般人であることだ。

 司令室からカイエンに、二人を学園に連れてくるように指示が入る。特に青年の方は禁断の名前を知っていたため、場合によっては拷問も辞さないだろう。

 

 

「とりあえず……これで……ゴバァッ……」

 

「ッ!? アマタ君!?」

 

「まずい!? 司令、急ぎ緊急治療室の準備を!! 情報云々の前に彼が死ぬ!!」

 

 

 最後に大きく血を吐き出し、気絶するアマタ。その様子を画面で眺めていた司令室各人員は非常に焦りながらも、急いで治療の準備を進めた。

 

 

 

 






・三色の混ざった体をベースに、状況によって適応した姿を取った巨人:ティガ、ダイナ
・胸に円状の水晶体を持ち、剣を用いて戦った巨人:オーブ
・白銀に輝く鎧を纏う二本角の巨人:ゼロ
・未熟者だったが、何度も立ち上がって諦めなかった巨人:メビウス
・最速の先達:マックス
・最近確認された、カラータイマーの代わりに赤いクリスタルを胸に持つ巨人:ネクサス、ノア

以上、現在描写だけ出てきているウルトラマンです。


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