サーティ・プラスワン・アイスクリーム   作:ルシエド

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出席番号10番、料理の鉄人・恋川このみの場合

 クーリッシュ村はお礼にと、いくつかの食材を持たせて朔陽達を帰してくれた。

 後日また食材を持って来てくれるとも言っていたが、友人が森を全焼させた負い目のある朔陽からすれば申し訳無い気持ちが膨らむばかりである。

 王都に帰還してすぐに、朔陽はパンプキン卿への報告に向かう。

 

「報告ご苦労。それと、お疲れ様だ。君達は私の期待以上の報告を持って帰って来てくれた」

 

 最強の騎士様はにこやかな顔で微笑んでいて、それが逆に不安を煽っていた。

 渡された依頼達成報酬の桁が、朔陽の予想より桁二つは多かったことも不安を煽る。

 これからどんな無茶振りされるんだ、と朔陽の背筋に悪寒が走った。

 まあ、それは置いておいて。

 帰りにヴルコラクに襲われなかったとはいえ、そこそこに時間のかかる帰り道を越えて、今はこのみ特製の晩飯タイムであった。

 

「はい晩飯お待ちっ!」

 

 焼いた干し魚に、味噌汁に、小松菜っぽいお惣菜に、茶碗の白米。

 一見して日本人の口に馴染みのある和食に見えるが、その実全くの別物だ。

 醤油はこのみが発酵させ作った、この世界の魚を使った魚醤。

 味噌は似ても似つかない調合調味料、味噌汁のワカメは海草ですらない路地野菜。

 干し魚に至っては、裏返して見てみると、川魚のくせに目が十六個くらいある。

 白米は日本とほぼ同じものであるせいで、逆に白米の方が浮いていた。

 

 唯一の救いは、恋川このみの抜群の料理技術のおかげで、『ちょっと味の違う和食』程度の感覚で食べられるものになっているということか。

 

「うーん不思議なんだけど美味しい味」

 

 和子は目の前の変形型和食を幸せそうな顔でパクついていく。

 

「ちょっとー寧々さんが食べるにゃあ塩味濃いよー」

 

「あらそう? じゃあ口開けて、醤油直接喉にぶち込んであげる」

 

「嘘です嘘嘘! ウチ嘘つきですんません!」

 

 寧々はいつものノリでこのみにしばかれかけている。

 

「実際本物の材料使えない時点でがんもどきみたいなものなのよ。

 何せ味とか食感とか近付けてるだけだからね、わっはっはっはっは」

 

「またまたご謙遜を。とても美味しいよ、このみさん」

 

 朔陽はシンプルに感想を言って、このみの表情をほころばせていた。

 このみが髪に付けているこがね色のヘアピンも、彼女の明るい笑顔の前では輝きも霞んで見えるというもの。

 平凡な男子の平凡な恋心は、こういうとびっきりに明るい笑顔に呼び覚まされることが多いのが困りものだ。

 

「はぁー」

 

「? 寧々さんどうかした? 僕が何かした?」

 

「いやそういうのじゃなくてさー。

 地球に帰ったら受験もあるんだよなー、やんなっちゃうなー、って思って」

 

「……ああ、そういう?」

 

 この世界で魔王を倒して終わりではなく、この世界から元の世界に帰って終わりでもなく。

 彼らにはその後受験勉強や就職活動が待っている。

 何せ彼らは高三だ。

 遊ぶことや色恋のことばかり考えてもいられない。

 しかも受験や就職がゴールですらなく、むしろ人生は定職に就いてからの方が長い。

 

 彼らのゴールは、ずっとずっと先にあるのだ。

 

「そういえば寧々さん、君この前の模試で第一志望D判定だったよね」

 

「ギクゥ」

 

「どうする? 深淵ゼミ続ける? それとも塾行く?」

 

「……ぜ、前回のテストは諸事情あって手を抜いてただけだしウチ」

 

「そうなの? それならまあいいけど。

 困ってるなら僕とかクラスの何人かが行ってる塾とか紹介しようと思ったのに」

 

「その塾について詳しく」

 

 テストの点数は嘘で騙されてはくれません、という悲しい現実。

 強がりの嘘も既に悲しい響きしかない。

 寧々を戦闘で助けてくれたブリュレはもう居ない。元の職場に帰ってしまった。元の世界に帰った後の寧々には、学力で助けてくれる友人も必要そうだ。

 

 「俺フランス語必死に勉強するわ。駅前で迷子になってるフランス美少女とフラグ立てる可能性あるかもしれないし」とバカ丸出しでフランス語を習得したクラスメイトも居る。

 「教科書流し読みすれば満点取れる」と言っている天才も居る。

 「興味あることしか勉強したくない」という者も居る。

 「ヤンマガにスモーキングって漫画あったんだけどさ。相撲キングだから稀勢の里の話かと思ったら違った。やっぱ日本教育の英語とか役に立たねーわ、学ぶ意味ねーわ」と言う者も居る。

 十人十色のクラスメイトだが、できれば全員受験と就職に成功して欲しいと、朔陽は内心で願っていた。

 

「そういえば佐藤君さ、この期間に手空いてる?」

 

 和子におかわりのご飯を渡しているこのみが、カレンダー(異世界生まれ)の一部の期間を指差して問いかける。

 

「この時期に全一(ユキミ大陸全料理人一位決定戦)があるわけでさ。

 参加者は一人助手を登録して置けるんだけど、名前貸してくれないかな?」

 

 ユキミ大陸全料理人一位決定戦。

 大陸全土から最高の料理人が集まり、最も優れた料理人を決めるというダッツハーゲン王国主催の大イベントだ。

 地球における料理大会とは違い、国のバックアップを受けた各国最高の料理人が争う、平和な国家間代理戦争の意味合いも強い。

 そのため毎年のようにどこかの王家お抱えの料理人が優勝していた。

 

 だが栄光を夢見て市井から参加する者も多く、極めた格闘技で肉を殴り柔らかくする男や、究極の料理魔法を探求する女魔法使いが参加したこともある。

 それに、魔王軍の影響もある。

 魔王軍が国を滅ぼしてくれたり料理人を殺してくれたりすることが多いので、去年の優勝者が今年は死んでましたということが度々起こるのである。

 それなら優勝の座を一部の人間が独占することもない。

 世紀末感が凄まじいが、それでも優勝を貪欲に狙う料理人達のバイタリティは、尋常でないくらいに高かった。

 

 そしてそこに参加し優勝を狙おうとするほどに、料理部のこのみのバイタリティも高かった。

 

「あ、もちろんあたしは基本一人でやるよ。応援だけしてくれればいいから!」

 

「それ僕いる? そりゃ、名前貸しにしても料理できない人よりはマシかもしれないけど」

 

 朔陽は観客席で応援しているだけでいいという。

 このみが欲しがっているのはいざという時に助けてくれる助手なのか、それとも観客席から応援してくれる友人なのか。

 あるいは両方かもしれない。

 

「いざという時のため、いざという時のためだから」

 

「ま、いいよ。特に緊急の用事があるわけでもないしね」

 

「やたっ」

 

 ガッツポーズで喜ぶこのみ。

 それを無言で眺めていた和子だが、やがて何かを思いついた様子で、このみが先程まで料理をしていた台所に移動する。

 そして鍋を覗いたり、おたまを振り回したり、何やら不思議なことをしていた。

 和子が首を傾げる。

 そんな彼女を見ていた朔陽・このみ・寧々も首をかしげる。

 

「何やってんの?」

 

「私も恋川さんみたいな料理覚えたいなって思って」

 

「うん、いいことだ」

「勉強熱心だねー、わっはっは」

 

 和子はこのみのレシピを発見。その通りにまずはスープを作ろうと試みる。

 

「まずはお湯を沸騰させて、ダシになる虹色の海草をくわえる……ふむふむ」

 

 そして沸騰したお湯を見つめながら、和子は海草を口にくわえた。

 五分経過。

 あれ、何も起こらない、と疑問に思った和子が首を傾げる。

 

 このみのツッコミ平手が和子の後頭部を、派手にぶっ叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大会までの期間を全て、朔陽達は事前準備に費やした。

 斬新なレシピの新規開発よりも、この世界の食材や調理器具をより広く深く理解し、地球の料理及び調理技術をどこまで再現できるか調べることを優先する。

 この大会で勝つためには、いくつか肝となるルールがあった。

 

 その一つが、食材と調理器具はいくらでも持ち込んでいいというルール。

 金持ちは高級食材を持ち込み勝とうとするだろう。

 慣れた料理人は自分の使い慣れた道具を持ち込むことだろう。

 まず朔陽は、董仲穎の助力を得てこのみのため、このみが地球で使っていた調理器具に似た物を揃えられるだけ揃えてみた。

 

「こんなにも多様な調理器具をよくもまあ……ありがとう、董くん」

 

「中国七千年の調理道具調達技術を舐めてもらったら困るアル」

 

 このみの親友である島崎詩織は食材調達に動いてくれた。

 使いやすいスパイスや香草から、鶏肉のような肉といった有望な物、果ては食べられる宝石に食べられる雲に飲料用マグマとやりたい放題。

 使えるか使えないかより、このみが好きなように自由に料理を作れるようにする、そういう状況作りに全力を注いだようであった。

 

「頑張って」

 

「そりゃもう頑張るよっー!」

 

 このみが詩織に抱きついて、感謝の言葉を述べていく。

 野球部の一球やら剣道部の剣崎やら、このタイミングで王都に居た者達も重い物を運ぶなどしてこのみに助力してくれていた。応援してくれていた。

 そして、大会日程初日。

 大会予選一日目が開始される。

 

「お、始まったな」

 

 朔陽は一人、誰も連れずに観客席から大会を眺めていた。

 早い者から次々と、審査員の前へと運ばれていく料理達。

 この大会は数百人規模での参加者が存在しているため、第1ブロックから第16ブロックまでに参加者を仕分け、予選で16人まで参加者を絞るシステムになっている。

 審査員は10人。

 大会運営が用意した5人と、直前に観客からランダムで選んだ5人による採点形式だ。

 第1ブロックは既に審査が始まっているが、朔陽が見る限り、このみが参加している第12ブロックの審査はまだ始まっていないようだ。

 

「まろやかなエグみがありながら、それでいてくどくない苦味……!

 舌の上でシャッキリポンと、斬撃にも似た強烈な苦痛の刺激が踊る!

 軽く鼻で息をするだけで、明瞭な生臭さがすーっと鼻に入って来る!」

 

「美味しい、ということでしょうか? 審査員さん」

 

「不味いっつってんだよ馬鹿野郎」

 

 ……予選はこうして、審査員がダメな料理人をふるい落とす場でもある。

 

 ダメな料理人の敗退を見ながら、朔陽は観客席の合間の道をゆったり歩き、第12ブロックの審査が見えるところまで移動しようとする朔陽。

 その肩をちょんちょん、と指先でつつく者が居た。

 朔陽は知り合いだろうかと振り返る。

 そして知らない顔を見る。

 誰だ? と思っていられたのも一瞬で、一瞬後には顔にかけられた魔法が解け、知らない顔が知っている顔……ヴァニラ・フレーバーの顔へと戻っていた。

 

「ひめさ」

 

「しーっ! お静かに! お忍びです!」

 

「……あ、ああ、そうなんですか」

 

「この魔法発動条件がややこしい上にバレやすいんです、どうかお静かにお願いします」

 

 しーっ、と唇に指を当てるヴァニラの服装は、普段とはまるで違っていた。

 編み上げまとめた銀の髪は、大きな帽子の中に隠している。

 薄手のネックウォーマーのようなものにグラサンと、とことん体の特徴を隠す形だ。

 いつもの姫と美しさを引き立て合うドレスもなく、"オシャレに気を使う年頃の子"といった印象を受ける普通の服を身に着けていた。

 とはいえ、顔の造りなどが根本的に美人なのだ。

 魔法で顔の形を変えなければ、ほどなくバレていたことは間違いない。

 

 朔陽はそっと視線を周囲に走らせた。

 姫に害を成しそうな者は見当たらない。

 その代わりに、朔陽にだけ分かるように小さく手を振るなどの動作を見せた者が数人。

 どうやら姫の護衛のようだ。

 朔陽に位置を知らせたのは、朔陽の能力をある程度は評価し、有事には護衛の位置を考慮した上で動いて貰おうという腹か。

 

「ヴァニラ姫も今日は普通の一般人のような私服なんですね。お似合いですよ」

 

 朔陽は自分の中に生まれた感想から、一番当たり障りのない感想を口に出した。

 姫は嬉しそうにして、一瞬止まって、顎に手を当てて考え込んで、ちょっと悪い顔で何かを思いついた様子を見せて、微笑んで彼に問い直す。

 

「もっとこう……何か感想はありませんか?」

 

「もっと、と言われましても僕困るんですが」

 

「もっとこう、心を剥き出しにした感じの感想はありませんか?」

 

 からかわれている。

 そう分かっていても、朔陽につっぱねるという選択肢はない。

 先程の心に浮かんだ感想の中から、口に出しにくいと思った感想の一つを口にした。

 

「とても可愛いと思いました。僕が人生で出会った中で一番美少女だと思います」

 

 姫が、先程の嬉しそうな顔よりもっと嬉しそうな顔をする。

 朔陽の表情を見る彼女は実に楽しそうだ。

 姫は友人とじゃれている感覚なのか、照れと困り顔を必死に隠して人当たりのいい表情を作っている朔陽の様子が、見ているだけでも楽しいらしい。

 

「うふふ、ありがとうございます」

 

 姫への気遣いと、無理やりひねり出した本音のせいで、朔陽の内に微妙な疲労感が残った。

 

 そんな風に姫と友人の距離感でじゃれていると、いつの間にかこのみが参加している第12ブロックの料理審査が始まってしまっていた。

 審査員の前に料理を運んでいるのは三人。

 内二人には朔陽も見覚えがなかったが、内一人はこのみであった。

 どうやら三人同時に料理が完成したらしいが、話し合いの結果このみが三番目(さいご)に料理を運ぶ順番になってしまった様子。

 

「一番目のあの方は……ステーキのようですね、サクヒ様」

 

 一番目の料理人が、十人の審査員の前にステーキを並べていく。

 

「異世界版のシャリアピンステーキ……」

 

「サクヒ様、シャリアピンステーキとは?」

 

「オシャレな名前をしておきながら、日本生まれで日本特有のステーキである料理です。

 純日本人のくせにセレスティア・ルーデンベルクと名乗ってるような料理ですね。

 その強みはタマネギの分解酵素で柔らかくなった肉。

 そして、肉とよく合うタマネギの風味、専用のソース、柔らかい肉の相乗効果です」

 

 ステーキは熱された鉄板食器の上でジューと音を立てていて、ニンニクを中心としたソースの香りが食欲を誘い、ナイフでつつけば簡単に切れそうな感触が手に残る。

 

「あの料理人はこの世界のタマネギを使っています。

 元より、タマネギにはイチゴとほぼ同量の甘み成分があるんです。

 加熱することで、辛さと甘みのバランスは変化します。

 あの料理人は肉を漬け込むタマネギ、炒めてソースに使うタマネギ……

 そして、生で刻んで肉に添えるタマネギの三種を併用しているのです」

 

「凄腕ということなのでしょうか?」

 

「この世界基準だとぶっちぎりですね。

 タマネギ、ニンニク、肉の香りを最大限に調和させた仕上げも見事です」

 

「そんな……コノミ様は、大丈夫なのでしょうか」

 

 朔陽の予想通り、審査員は皆美味い美味いとパクついている。

 食べ終わってからの採点タイムでの獲得点数は92点。

 審査員は十点持ちが十人、合計百点だ。

 まさかの90点超えに、観客がざわめく。

 

 二人目の料理人の料理を見て、朔陽は「ふむ」と呟いた。

 

「あっちは烤乳猪(カオルゥジュウ)の類でしょうか。

 丸焼きにしているのは豚ではない異世界生物なので、正確には違うでしょうが」

 

「カオルゥ……?」

 

「こっちの世界の香港料理、子豚の丸焼きのことです。

 毛を取り除くなどして皮を処理し、内臓を綺麗に取り除き、香辛料等を塗って丸焼きにする。

 肉も美味しいのですが、糖水をかけてから焼いた皮が絶品であると言われています」

 

「そうなのですか……あ、本当に丸焼きみたいですね、あの料理」

 

 先のステーキがこの世界における牛のステーキなら、こちらは豚の丸焼きにあたる。

 

「丸焼き、と言うと手抜きに感じてしまいますが……」

 

「あの料理人さんは、子豚を串に刺して串を回し、全体を焼いていました。

 それも、途中で味付けと香り付けの油を適宜使い分けて塗りながらです。

 それで焼きムラなく焼くのはとても難しいんですよ、ヴァニラ姫。

 僕らの世界でもこちらの世界でも、そこの難しさは変わらないと思います」

 

「では、こちらも凄腕であると言うのですか?」

 

「はい」

 

「ああ、コノミ様、どうか頑張ってください……!」

 

 朔陽の予想通り、二人目の料理も高評価であった。

 だが、得点は91点。僅差での敗北が確定していた。

 ここまでの接戦となれば料理の出来に上下があったというより、個々人の舌に合うか合わないかの話だろう。

 実際、子豚の丸焼きに似た二人目の料理は、とても美味しそうではあった。

 

「今の料理は、先のステーキより作るのが難しいのですよね?

 なのに、作るのが難しい料理の方が負けてしまうとは……私もびっくりです」

 

「作るのが難しかったら点数が高くなる……ってわけでもないということですよ」

 

「なるほど、ためになります。あ、サクヒ様、コノミ様の番が来ましたよ!」

 

 この世界の料理を知らないサクヒにこの世界の料理人の料理を解説させるのはいかがなものか。

 それは日本の文化を外国在住の外国人に語らせるようなものではないだろうか。

 あながち間違ってもいないし、日本人の料理知識から見たこの世界の料理の感想が聞けるならそれはそれで楽しい、ということなのだろうか。

 姫は楽しそうなので、まあこれはこれでいいのかもしれない。

 

 だが、ここからは違う。

 ここからは未知の領域だ。

 この世界にない技術で料理を作る恋川このみと、その料理をこの会場で唯一理解できる朔陽のみが理解できる、地球料理の世界。

 それを知る者もこの会場には少なくないらしい。

 このみが自分の料理を審査員の前においた瞬間、ゴクリと唾を飲み込む音が、この会場のいたる所から幾重にも重なって響いてきた。

 

「これは……スープか?」

 

 審査員がスプーンでスープの中に探りを入れる。

 やや赤みがかったクリーム色のスープの中には、剥き身のエビがいくつも沈んでいた。

 

「この香りは、川に生息するアメザリロブスターのものですね」

「今が旬だ。食材のチョイスは悪くない」

「クーリッシュ村が名産地の一つでしたな」

「そういえばクーリッシュ村は最近アメザリロブスターをどこかへ大量に贈ったと聞きますね」

 

 皆が揃って、スプーンでスープとエビの身を掬い、口に入れる。

 その瞬間。

 口の中で、スープと身の中に凝縮されたエビの旨味が、爆発した。

 

「―――美味い。信じられんほど美味いッ!」

 

 まず感想を言おう、と思っていたはずの審査員達が、続けて二口目を食べる。

 感想を言う前に三口目、四口目、五口目。

 止まらない。

 彼らの食事の手が止まらない。

 審査員達の異様な動きに観客は驚き、「そんなにも美味いのか」とこのみのスープを見て思わず唾を飲み込んだ。

 

「サクヒ様、あのスープは何ですか?」

 

「ペースト状にしたエビの殻を使ったスープですよ、ヴァニラ姫」

 

「……え?」

 

「何度も加熱過程を経て、ミキシングして、丁寧にすり潰して、濾して……

 エビの甲殻を使って作る、エビの旨味がたっぷりと溶けたクリームスープ。

 味の補助に、魚のだし汁や野菜のソースなんかも使ってるとは思います。ただ、やはり本質は」

 

 友達に用意してもらった調理器具と、ゴリゴリと殻をすり潰す調理技術で、恋川このみが作り上げたエビの旨味を全て使い切るスープ。

 

「エビの殻を飲むスープです」

 

 クーリッシュ村の皆に『お礼』として貰ったエビを、肉も殻も捨てず余すことなく使い切った、食材と生産地への感謝に溢れた一品だった。

 

「何だこのスープは! 濃厚で滑らかで、とにかく美味いぞ!」

「スープが丸ごとエビであるかのようだ……!」

「くっ、身を全部食べてしまった!

 この身はただこのスープで煮ただけではない!

 完成直前にスープに入れただけで、入れる直前まで味と香りを付けた油で炒めていたな!」

 

 審査員達は止まらない。

 おかわりを申し出る。

 このみも快くおかわりをよそってやった。

 

「エビスープの染みた野菜が実に美味い!」

「香味野菜の欠片まで美味いぞ! いいアクセントだ!」

「それだけじゃない、エビスープに剥き身のエビとエビ尽くしのこの料理。

 エビだらけの単調な味にならないよう、野菜はエビの味を引き立てるために入ってるんだ」

 

 もはや点数発表を待つまでもなく、審査終了を待つまでもなく、会場の誰もが彼女の勝利を確信している。

 審査員の反応が明らかに違えば、分からない方がおかしいというものだ。

 

「地球のエビの殻じゃあそこまでの旨味は出ません。この世界の食材に感謝ですね」

 

「甲殻類の殻をそんな風に食べるなんて……」

 

「前にヴァニラ姫が食べた豚骨ラーメンと同じですよ。

 単純にこの世界にはまだ無かった発想である、というだけなんです。

 骨や甲殻を砕いて、そこから最大限に旨味を抽出するという技法はね」

 

 このみの料理は百点満点。

 残る料理人達も懇親の一作を並べていくが、それでも満点には届かない。

 

「この世界に無い料理。

 ここの文化に無い味。

 初めての美味しさに初めての体験。

 ……『斬新さ』ってのはいつの時代も、食において過剰に評価される項目です」

 

 最高に美味いが、どこかで食べたことのある料理。

 最高に美味くて、人生初体験の斬新で鮮烈な料理。

 人は味の評価が同じなら、後者を選ぶ。

 それは自然な反応だ。

 

『第12ブロック勝者! コノミ・コイカワ!』

 

「このみさんが負けるわけないじゃないですか」

 

 このみは難なく、本戦出場を果たしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イェーイ、とハイタッチしようとする朔陽。

 反応できない姫。

 ハイタッチを教える朔陽。

 い、いぇーい、と即やってみる姫。

 パチン、と二人のハイタッチは成功した。

 

 そんなことをしていたら、突然朔陽とヴァニラの脳裏に声が届く。

 

『聞こえますか? 聞こえたならば、こちらを見なさい』

 

 二人が驚き、声の方を見た。

 脳に直接届けられる声は第16ブロックに居る女料理人の一人から発せられていた。

 

『あなたが地球人のリーダーで、そちらがヴァニラ姫ね。会えて光栄だわ』

 

「あなたは一体……?」

 

 離れた大会会場から観客席までテレパシーを送りつつ、その女性は邪悪に笑った。

 

『私は魔王様に仕える十六魔将が一人、ドライ・ディザスターと申しますわ』

 

「何やってんだ魔将ッ!!」

 

 朔陽が叫ぶ。

 周囲の者達が突然遠くを見て叫んだ朔陽にびっくりし、朔陽とヴァニラに注目するが、もはや注目を集めたくないとかそういう話をしていられる事態ではない。

 なんだこれは。

 どういう状況だ。

 ドライは邪悪に笑って、自分の自慢の料理を審査員の前に並べた。

 

「サクヒ様、あれをご覧になってください。あれは……?」

 

「あれは……僕も知ってます。フォアドラですね。

 捕まえたドラゴンの動きを封じ、口から無理やり食べ物を押し込む。

 その後食べさせ続けたドラゴンの腹を開き、そこから取り出した脂肪肝……」

 

 フォアドラは世界三大珍味にも数えられる高級食材だ。

 だが、あくまで珍味。

 美味ではない。

 使い方を間違えれば、ただの脂っこい竜の肝でしかないのである。

 それを巧みに調理し使いこなすドライは、単純に料理人として見ても一流だった。

 

 当然のように百点満点。

 第16ブロックの勝者はドライに確定し、ドライはそのタイミングで右手を掲げる。

 そして、指を鳴らした。

 

「『敗者には死を』」

 

 何かが切れた、音がした。

 ドサリ、ドサリと、第16ブロックの試合に参加していた料理人が倒れていく。

 警備員が慌てて駆け寄るも、既に全てが絶命していた。

 

「な、なっ……!?」

 

「はい、注目。私は十六魔将の一人、ドライ・ディザスターと申します」

 

 彼女の名乗りが、会場にざわめきを呼ぶ。

 朔陽とヴァニラの通報で魔将突入をいち早く知った警備兵が駆けつけ、一斉にドライに矢を射掛けるが、矢は全て彼女に当たらず『何か』に弾かれてしまう。

 

「ご存知の方も多いと思われますが、私の能力は『生死をかけた料理勝負の強制』。

 私との料理勝負に負けた者は即その場で死にます。

 かつ、料理勝負の間に私はいかなる手段によっても害されません。

 私が料理勝負の場に移動を始めてから、勝負が終わり死ぬまでか、帰宅するまで」

 

 それが『料理勝負の間』の期間定義です、と言って、ドライはまた邪悪に笑う。

 会場のざわめきが大きくなる。

 警備兵達はドライに剣で斬りかかったが、傷付けるどころか全ての剣が弾かれ、折れた。

 ドライが料理勝負で負けるか、勝って帰って魔王の城に到着するまで、いかなる者も彼女を傷付けることはできない。

 

「どんな方法を使っても、料理勝負で負けた者は死を回避できません。

 また、料理勝負の参加者は逃げることもできません。

 この場合に定義される参加者は、大会参加者の全てです。

 そして私が大会優勝者となった瞬間、大会の参加者は全員が敗者扱いとなり死亡します」

 

 もはや会場のざわめきは、パニックと言っていいレベルのものへと変貌していた。

 

「この能力が発動している時の私は、料理勝負で負ければ死にます。それ以外では死にません」

 

 料理勝負で誰でも殺せる。

 料理勝負でなければ殺されない。

 理外のルールを押し付けてくる魔将。

 『必殺料理人』の二つ名で知られるその女の名は、ドライ・ディザスター。

 

「この大会の間、よろしくね。私を楽しませてちょうだいな」

 

 会場の空気が、爆発した。

 パニックが広がる。

 騒ぎが人を飲み込んでいく。

 朔陽はパニックの中、会場のドライに向けて叫んだ。

 

「お前、なんでこんな大会に参加してる? 目的はなんだ!」

 

『目的? 私を殺せる料理人を奇襲で殺して、なし崩しに全滅させることに決まってるじゃない』

 

「―――!」

 

『この力は制約があまりにも多い代わりに、能力の強制力と絶対性だけは抜群よ』

 

 最悪の能力だ。

 この能力の本質は『料理ができない人間は問答無用で強制的に殺せる』という部分にある。

 メシマズは確殺。

 戦いのために生涯を使ってきた者にも必勝。

 いや、今日の料理大会を見る限り、人生のほとんどを料理に費やしてきたものでさえ、勝てるかどうかは怪しいレベルだろう。

 

『大会が終わったら王様と最強の騎士様に料理勝負を挑みに行きましょう。

 あの二人はヴァニラ姫と違ってそんなに多芸じゃないんでしょう?

 戦いや国政に生涯を懸けた男が、本職の料理人である私に勝てるわけありませんものね!』

 

「こ、こいつっ……!?」

 

『腕っ節が強いだけの最強キャラなんてサクッと殺せるってわけよ!』

 

 これはちょっと不味い。

 

「『フレアレイド』!」

 

 朔陽の横でヴァニラ姫が火の上級魔術を熱線として放つも、直撃したはずのドライは眉一つ動かさない。

 ドライの周辺の金属製の床はドロドロに解けて蒸発しているというのに、傷一つ無い。

 まさに無敵。

 料理勝負期間中のドライを、料理勝負以外で殺せないというのは真実であるようだ。

 

「跳びます、体の力を抜いてください!」

 

「え」

 

 ヴァニラは朔陽の服を引っ掴み、服の内から魔道具を取り出し瞬時に転移魔法を発動。

 王城内部の一室へと、あっという間に転移した。

 

「付いて来てください!」

 

 ヴァニラが走り、朔陽がその後を追う。

 やがてヴァニラは厳重に魔法で封印された一室へと辿り着き、魔法で解錠を始める。

 片手で知恵の輪を十数個同時に解くような解錠ペースだ。

 あっという間に解錠は終わり、棚にヤバそうなものが所狭しと並べられているその部屋で、朔陽は中央に置かれた剣をヴァニラに手渡される。

 

「ここは……」

 

「本来なら明日にお渡しする予定であったのですが、緊急事態です。前倒ししましょう」

 

 それは、かつて見た聖剣。

 

「我々の話し合いの結果、あなたの身を守るために用意した対抗策が、これです」

 

 一球が初日にウンコまみれにした、く聖剣だった。

 

「これは、アレでしょうか」

 

「あの聖剣で間違いありませんよ、サクヒ様」

 

「でもあれって、一球くんが抜いたんじゃ」

 

「……この聖剣には、固有の意志がありまして。

 イッキュウ様は、ええと、あれ以後聖剣に主と認められていないのが、その……」

 

「……あー」

 

 仕方ない。聖剣の方から拒絶するのも仕方ない。

 

「お兄様が調整したので、地球人の方なら誰でも一応は扱えると思います」

 

「そうなんですか? よい、しょ」

 

 朔陽は名も無き聖剣を右手で持ち上げ、握ってみる。

 なんとなく、なんとなくだが。

 聖剣が"今はお前で妥協しよう"と、妥協する感じで自分を主と認めてくれた、そんな気がした。

 

「お兄様は、『地球人』が聖剣に選ばれたことに意味を感じているようです。

 聖剣を調整できるのは、今のところ魔剣に選ばれたお兄様のみ。

 お兄様もこの聖剣の持ち主として、以前からサクヒ様を推薦してらっしゃったんですよ」

 

「え、僕を? あの、素人の僕に渡していいほど、この聖剣って軽いものなんですか?」

 

「いえ、軽いものではありません。

 世界創生の始まりから存在する二振りの剣の片割れ。

 世界法則に先んじて生まれたがために、世界法則に縛られぬ超越存在。

 お兄様の魔剣と対になる、この世で最も尊い存在とも称される聖剣ですから」

 

「そ、そんなに」

 

「とはいえ、護身のために渡すのです。

 あまり大事にもしないでくださいませ。

 それはあくまで道具。貴方の命を守るために渡すのですから」

 

 予想以上にとんでもない剣だったようだ。

 それを身を守る道具、とすっぱり割り切るのは逆に凄い。

 

(本当にひっどいことしたんだなぁ僕ら……)

 

 朔陽はまたしても後悔の念を覚える。

 この美しい聖剣をウンコまみれにした奴が居るらしい。

 とんだクソ野郎である。

 

「世界創生よりも前から存在するため、世界が壊れてもこの聖剣は壊れません。

 聖剣自体に意志があるため、ある程度であれば自動でサクヒ様を守ってくれます。

 身に付けているだけで、特殊なものを除いた毒くらいならば無効化してくれるでしょう」

 

「おぉ……」

 

 無力な朔陽が自衛するには、過剰なくらいに最強な剣の方がいいのかもしれない。

 現状、使いこなせる気配は全く無いが。

 

「どうかお気をつけて! 立ち回りに気を付けてください!

 サクヒ様も名前だけとはいえ参加している以上、負ければ死ぬのですから!」

 

「……あっ」

 

 ヴァニラはそう言って、部屋を飛び出していった。

 王であるモナ・フレーバーに報告に行き、迅速に対応しようとしているのだろう。

 彼女が最後に残した言葉は、朔陽が気付いていなかった事実を気付かせていた。

 今このタイミングで護身の聖剣を前倒しに渡すという行動の理由を、簡潔に説明していた。

 

「ああそっか、あいつが優勝すると僕も死ぬのか……ヤバいな。会場に戻ろう」

 

 朔陽もこのみの助手として登録しているために、ドライが優勝した場合、おそらくオートで死ぬのである。

 最悪だ。

 朔陽は聖剣を新造の鞘に納め、会場に向かって走る。

 

(とりあえずこのみさんと話し合おう)

 

 その途中、ふと思う。ふと気になる。

 そして足を止め、聖剣を鞘から抜き、くんくんと嗅ぎだした。

 

「……大丈夫だよね? 臭くないよね?」

 

 なんとなく、"臭かったらどうしよう"と思ってしまったのだ。

 本気で臭いと思って嗅いだわけではない。

 ついつい嗅いでしまった、それだけ。

 なのに。

 

「くせっ」

 

 何故か、臭かった。

 

「これは……いったい……?」

 

 だが、綺麗に魔法で水洗いされた聖剣が悪臭を放つというのは実は考え難い。

 むしろいい匂いがしてもおかしくはない、それが今の聖剣の状態であるはずだった。

 "ウンコはいい匂いの元になる"という考え方は暴論にも見えるが、そこには明確な理屈が存在する。

 

 いくつか例を挙げてみよう。

 香水は多量に付け過ぎると、不快感を催す悪臭となってしまう。

 なら、こう考えたことはないだろうか?

 "悪臭を薄めればいい匂いになるんじゃないか"、と。

 一般にはあまり知られていないが、身近にその一例がある。

 ウンコだ。

 ウンコに含まれるウンコ臭の元のインドール・スカトールは、薄めることで芳しい花の香りに変化するのである。

 

 ちなみに天然ジャスミン油は2.5%ほどのインドールを含むと言われている。

 更に言えばこのジャスミン油は、ジャスミンティーにも使用されている。

 相手がジャスミンティーを飲んでいる時に「うっわこいつウンコ飲んでやがる!」と言っても事実なので失礼にはならない……かもしれない。

 いや失礼だ。

 無根拠な罵倒になるのでしないようにしよう。

 

 トロピカルフルーツとも香気成分が同じであるため、フルーツをいい香りだと褒めている人に、「俺のケツの香りをそんなに褒めんなよ、照れる」と言っても失礼にはならないかもしれない。

 いや、問答無用で失礼だ。

 射殺されても文句は言えない。

 

 便所の消臭に使われるジャスミンの芳香剤は、同タイプの香りをぶつけることで匂いの方向性を制御しようという狙いがある、というわけだ。

 ウンコの臭いにウンコの香りをぶつけて、トイレの匂いを制御する。

 字面だけ見れば魔法のような不可思議対処。

 なのに成立するという奇跡。

 例えるならばウンコの魔法だ。

 そういう意味では、地球にもウンコの魔法があったと言うことはできるのかもしれない。

 

 話を戻そう。

 この聖剣は丁寧に魔法で洗われ、魔法で消臭された。臭うわけがないのだ。

 なのに匂う。何故だろう?

 そうして朔陽は、自分の足の下に踏み潰されたウンコがあるのを発見した。

 

「……僕も立派なウンコ野郎だな。一球くんを笑えないや」

 

 朔陽はまた走り出す。

 走っている内に靴底のウンコが自然に落ちてくれると、そう信じて。

 走って、走って、その果てに彼は大会会場へと舞い戻った。

 朔陽はまだパニック状態の会場を、人の波をかき分けるように進み、このみを探す。

 

(このみさんはどこだろう)

 

 ウンコの匂い成分は薄めることで香水となる。

 ならウンコを踏んだ者が街をさっそうと歩いていて、希薄化したインドールが周りの人に届き、「あの人、いい匂い。ウンコ踏んだのね」とうっとりするものだろうか?

 いや、しない。

 現実には嫌になるほど臭いままだ。

 ウンコを踏んだ奴は単純に臭い。

 何故そうなるかと言えば、ウンコにはいい匂いの元以外にも、悪臭の元になる化合物や脂肪酸が含まれているからだ。

 ウンコを単純に希釈しても、いい匂いになることはない。

 

 もしかしたら、人間のウンコが全て香水と同じ香りをしているような、そんなファンタジーな世界もあるかもしれないというのに。

 ウンコに混ざったどうしようもない悪臭の元が、その可能性を台無しにしてしまっている。

 今、この大会も同じだ。

 素晴らしいものの中にたった一つだけ混ざる、大会を台無しにしている、悪なるものがある。

 

 人の波をかき分ける過程で、朔陽はそのウンコの悪臭成分に等しい存在と、目が合った。

 

「ドライ・ディザスター……」

 

 刃を握りつつも兵士とは違い、人には刃を振るわない職業、料理人。

 この大会は誰もが切磋琢磨し高め合いながら、たった一つしかない頂点を目指し自分を磨く、誰も死なない優しい戦場。

 料理人は最高の料理を作るため、それを他人に食べさせるため、全力を尽くす。

 汗は流れても血は流れないこの場所は、『殺し』で汚していい場所ではない。

 

 そこに混ざる、唯一の汚点たる魔将。

 殺人で聖域を汚す悪。

 その名はドライ・ディザスター。

 彼女はまさしく、ウンコに混ざる改善のしようもない悪臭成分と、同類のものだった。

 

 

 


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