俺の霊圧は消えん!   作:粉犬

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Life.2

リアス先輩との同衾なんていう素敵イベントを経験して、さらには登校も一緒してしまった俺は天にも上る気分だった。

朝の元浜と松田の表情を見てとてつもない優越感にかられていた。

 

そんな日の放課後。

 

「や、どうも」

 

俺の目の前には学園で女子に大人気の王子様と呼び声高い木場祐斗がいた。

周りの女子はこいつを見てキャーキャーと黄色い悲鳴を上げている。

ああ、人を視線で呪えるなら目の前にいるこいつを百度は呪ってやるのに……

しかし、俺と木場。おおよそ正反対ともいえる俺たちの間には一つだけ共通点があった。

 

「なんだよ。チャドが呼んでんのか?」

 

「茶渡くんは今日も休んでるよ。今日で1週間近く休んでるけど何か聞いてるかい?」

 

「今日もなのか? いや、特に……」

 

そう、この木場は去年と今年、二年続けてチャドと同じクラスなのだ。

だから関係性としては友達の友達。

モテまくっているこいつには少々の敵愾心はあるもののまあチャドの友達だしなぁ。といった微妙な関係なのだ。

 

「そっか。心配だね。でも今日はまた別の話なんだ」

 

「なんだよ。お前が俺にチャド以外で用事って……」

 

「リアス・グレモリー先輩の使いっていえばわかってもらえるかな」

 

「え、お前が?」

 

てっきりチャド関連かと思って身構えていなかったので予想外の返しに驚きを隠せなかった。

しかし、まあそうとなれば話は早い。

 

「OK、で、俺はどうすればいいんだ?」

 

「とりあえず、僕についてきてもらえるかな」

 

そう言ったとたん一部からキャーと悲鳴が聞こえる。

先ほどの黄色い悲鳴とはまた別種の悲劇を見たかのような悲痛な叫びだ。

 

「木場くんとよりにもよって兵藤が一緒に歩くなんて!」

 

「ダメよ、そんな性欲猿に近寄ったら汚れちゃう!」

 

「木場くんには茶渡くんっていう相手がいるのに! それを木場くん×兵藤なんてカプ地雷にもほどがあるわ!」

 

「でもリバすればちょっといけるかも!」

 

「兵藤と茶渡くんならやっぱ茶渡くんの体格差攻めかしら」

 

「茶渡くん優しいし受けかも……」

 

ダメだ、脳が受け付けないレベルの言葉が聞こえ始めた。

 

「解った、了解したからさっさと行こう早く行こう」

 

聞こえてくる腐臭のする言葉を振り払い、歩き始める木場の後ろをついていこうとすると、後ろから松田が止めてくる。

 

「お、おい。イッセー!」

 

「心配するな友よ。別に決闘とかじゃないし、モテないから男に逃げるとかではもっとないから」

 

だから、そう心配そうな視線を向けてくれるな。

 

「この『それでも僕はヤっていたい』の鑑賞会はどうするんだ!」

 

そう高々とお宝DVDを掲げる友人を見てさすがの俺もズッコケた。

 

 

 

 

 

「リアス部長はここにいるよ」

 

そう言って案内されたのは今は使われていない旧校舎の一室。

そこには『オカルト研究部』と書かれたプレートが飾ってあった。

今、リアス部長って言ってたよな? ってことはこのオカルト研究部の部長がリアス先輩なのか?

 

「部長、連れてきました」

 

そう木場が言うと、中から入室の許可が聞こえてきた。

そして促されるままに部屋に入ると、そこにはThe・オカルトって感じの光景が広がっていた。

壁から天井にまで見たこともない文字。床には大きな魔法陣。

な、なんか思ったより本格的だな。

そう思いながらきょろきょろと見まわしていると、部室の備品にしてはやけに豪華なソファにちょこんと座る小さな人影。

あ、あの子は、一年生のマスコットキャラと呼び声高い塔城小猫ちゃん!

こちらに気が付いたようで視線があう。

 

「あ、こちら」

 

「兵藤先輩」

 

木場が俺の名前を言う前に、小猫ちゃんから名前を呼ばれた。

 

「うぇ!? な、なんで俺の名前を」

 

ま、まさか陰ながら俺の事を想ってたとかそういう素敵展開が!!!

 

「最近、茶渡先輩を見ないですけど…… あの、何か知っていますか」

 

「え、チャド? あー、いや俺も知らないけど…… え、チャドと知り合い?」

 

「いえ、知り合いというか…… えっと」

 

あ、これはチャドの事を陰ながら想ってた展開ですか。そうですか。

……チャドは一回殴ろう。そうしよう。当たる未来が見えないけど是が非でも殴ろう。

 

「あら、楽しそうね。仲良くできているのならいいことだわ」

 

心に決意を浮かべていると、横から声が聞こえてきた。

リアス先輩だ。若干濡れて艶やかに輝く髪や少々上気した肌はまるでシャワーでも浴びた後の様な……

 

「昨夜はシャワーを浴びれなかったから浴びていたのよ。あなたが来るまでに間に合わないかと思ったけど時間を潰せていたのなら良かったわ」

 

その言葉を聞いて後ろを見るとシャワールームがあった。

何故部室にそんなものが!? と思うのと同時に、なぜ気が付かなかった俺!と心の中で自分を殴りたい心持だった。

いや気が付いたところで何もないんだけど、それでも何というかシャワーを浴びてる女性を待つとかそれだけで想像が捗るというか。ぐへへへ。

 

「……いやらしい顔」

 

ボソリと、しかしはっきりと、それでいて冷静に言い切られてしまった。

相手が小猫ちゃんというのも心に来た。

 

「あらあら、元気がいい子が来たわね」

 

ちょっと凹んでいるとそんな癒しお姉さんボイスが聞こえてくる。

こ、この人は、駒王学園の二大お姉様の一人であらせられる姫島朱乃先輩!

二大お姉様のツーショットを間近で見られるとかなんて貴重なんだ!

 

「初めまして、姫島朱乃と申します。どうぞお見知りおきを」

 

「は、はい、兵藤一誠です! よろしくお願いします」

 

「さて、これで全員揃ったわね」

 

姫島先輩とあいさつを交わしたのを見届け、リアス先輩は会話を切り出す。

 

「兵藤一誠君。いいえ、イッセー。私たちオカルト研究部はあなたの事を歓迎するわ」

 

そして少し笑みを浮かべ、こう続けた。

 

「悪魔として、ね」

 

 




木場と子猫ちゃんとの関係性を書くためだけに書いた。
ほぼほぼ原作と同じだけど色々と変えました。頑張ったんです。
なので色々と見逃していただけると嬉しいなって(

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