人類最強の英雄 ~神の血筋じゃ無くても怪物ぐらい倒せるよね~ 作:刻神 翡翠
俺たちが食事を終え間桐邸に帰って来るとセイヴァーは俺だけを呼び出し話を始めた
「さて、食事も済んだわけだし、先ほどライダーから教えてもらったことを話そう」
「いつの間にそんな会話してたんだよ⁉︎俺は聞いてなかったぞ⁉︎」
一体いつの間に
「ん?ライダー達と頼んだものが来るまでたわい無い話をして居ただろ?その時にメモ帳とペンをだしてバレない様に話した、何やら付けられている気がしてな、アサシンの可能性を配慮したんだが・・・昨日雁夜が寝ている間にアーチャーに殺されたらしい」
「お前は何処のスパイ映画だ⁉︎ってアサシンはもう脱落しているのか?」
なら、マスターへの暗殺は・・・
「いや、脱落して居ない」
「は?待ってくれアサシンはアーチャーに殺されたんだよな⁉︎」
なら脱落したんじゃ
「アサシンのマスターは言峰 綺礼、アーチャーのマスターは遠坂 時臣だ、因みに2人は師弟関係で言峰 綺礼が裏切って攻撃を仕掛けたが返り討ちにあった・・・」
「時臣のサーヴァントが・・・ん?師弟関係?」
おかしくないか?聖杯戦争に入った後に裏切ったなら時臣の呼んだサーヴァントの強さも知って居たはず・・・何かおかしい
「ほう、中々に頭が回るじゃないか雁夜、アレは多分偽装だな、脱落を偽装して情報収集に力を入れさせ、不確定要素を排除するための捨て駒と俺は考えている」
「ああ、それなら辻褄が合う、だけどどうやって脱落を回避したんだ?それに教会を騙すなんて出来るのか?聖杯戦争の監督役なんだろ?」
俺がそう問いかけるとセイヴァーはまるで悪戯の成功した子供の様にクスクスと笑いこう言った
「今回の監督役は言峰 璃正、言峰 綺礼の実の父だ、観たところ時臣の祖父と誓いを立てたらしくてな、聖堂教会も聖杯が贋作と理解し自分たちに関係のない望みを持つ遠坂陣営が聖杯を取ることを是としている、またアサシンとして呼ばれるハサン達の中には百貌と呼ばれる100近い人格を要したハサンが居てなそのハサンならば分裂する宝具を持って居てもおかしくは無いと言う結論に俺とライダーは至った」
「セイヴァーの千里眼の強力さには恐れ入るよ、それに俺もそこまでの情報があればその結論に至っただろうからな」
セイヴァーはするとふと倉庫が立ち並ぶ一角に目を向けた、そして指を動かすと水が現れスクリーンの様になってセイヴァーが目を向けた一角の映像が映し出された
「コレは、ランサーか?雰囲気からしてケルトの戦士だな、獲物は二本の槍、顔には女性に対する魅了の力があると観た」
「二本の槍を使うケルトの槍使い・・・女性に対する魅了・・・まさかフィアナ騎士団のディルムッド・オディナか‼︎」
俺がそう言うとセイヴァーはニヤリと笑って
「ああ、俺も同じ様に思った、全く技術は歩く歩幅、構え方からして一流だが身体能力は速さに偏っているな、コレがあの女の後輩か・・・弱いな」
「あの女?一体誰だ?」
「私の師匠の1人です」
背後から声が聞こえ、顔を向けるとそこにはシェフィールドが居た
「名をスカサハ、影の国の女王にてディルムッド・オディナの先達、クーフーリンの師匠です、立場上私はクーフーリンの姉弟子になりますね、ふふ」
「なるほどあのスカサハの・・・ってスカサハぁ⁉︎」
「雁夜、夜だからほどほどにな」
いや、スカサハなんてビックネームをだされたら誰だって・・・
「あれ?いや、そうでも無いのか?」
「なんだ雁夜、驚きすぎて感性が逝かれたか?」
「まあ雁夜は少々私たちの価値観に触れすぎて若干壊れてしまったのでしょう、それよりセイバーらしき人が接触しましたね、あら?この気配は・・・」
画面に金髪のセイバーらしき人が映し出されたのを見てフィルが少し戸惑ったような声をあげた
「ほう、あの剣は俺が星に頼まれて造った剣だな、今でも覚えている,あの剣が俺の最高傑作だった」
「星に頼まれた?ってあの剣の事を知っているのか?」
「はい、あの剣は世界で一番有名な聖剣ですから、マスターと同レベルの知名度を誇るブリテンの赤き竜、それが彼女らしいですね」
ブリテンの赤き竜⁉︎ってまさか彼女は・・・
「アーサー王だって言うのか⁉︎」
「ああ、それは間違いない、あの剣を使える英霊は今のところ俺とアーサー王だけだからな、まあセイバークラスでも無ければ所持出来ないが」
「マスターは宝具を完全開放すれば戦争中一度のみ、かの聖剣を超える剣を作れるでしょうに」
なっ⁉︎エクスカリバークラスの剣が作れるのか⁉︎
「まあな、それより事の成り行きを見守ろう、最悪私が出ればいいさ、ステータスを隠す宝具を持っているからな」
時は遡ってセイヴァーと別れた後のライダー陣営
「のう、坊主」
「なんだよ、ライダー難しそうな表情してさ」
僕はライダーが何故か難しそうな表情をしているので、理由を聞いた
「あのアキレウスを小僧呼ばわりできるサーヴァントがどのくらいいるかわかるか?」
「うーん、それこそ残りの大英雄かアキレウスを子供の頃から知っている英霊、もしくはアキレウスより昔の英霊だな」
そう答えて僕はハッとなった
「ってことはアキレウスと同等の英霊の可能性が高いのか⁉︎」
「ああ、だがどの英霊なのかの確証がない、そこをどうにかせねば奴に対しては警戒を解けんな、それに・・・」
ライダーは何かを考えると先ほどより晴れやかな表情になりこちらを向いた
「まあ深く考えても仕方ないわい、む?この闘気はサーヴァントか‼︎よし行くぞ坊主‼︎」
「ら、ライダー⁉︎ちょ⁉︎」
ライダーは僕を掴みいきなり戦車を召喚すると気配を感じた倉庫街に向かった
・・・
『この聖杯は悪に偏っているかもしれん、通常の聖杯を水とすればこの聖杯は致死性の毒の混ざった物だな』
ライダーの脳裏に最悪の展開を予想させながら
セイバーとランサーの決闘にライダー、征服王イスカンダルが参戦し、その声にアーチャーが姿を現した、が
「全く見ているのは分かっているぞ、出てきたらどうだ!」
「ライダー、何を言っている」
「確かに、見ているサーヴァントが居ます、アイリスフィール気を付けてください」
私はセイバーに言われて周囲への警戒を強める
「そんなに大声で叫ばなくても聴こえてる、イスカンダルよもう少しマシな呼び出し方は無かったのか?」
「ハハハ!気にするなよセイヴァー、別に人が来るなどという事はないのだからな」
現れたのは銀の髪に金の眼、闇の様に黒いコートを纏ったサーヴァントだった、そしてライダーは何と言った⁉︎セイヴァー?まさか通常の7騎とは違うの⁉︎
「さて、ライダーに先にクラスを言われてしまったが改めて自己紹介をしよう、俺はセイヴァー‼︎今回はエクストラクラスの救済者のサーヴァントとして呼ばれた」
「「「「っ⁉︎」」」」
「ほう、中々に骨のある雑種が居るではないか」
彼が自身のクラスを名乗ると、圧倒的な威圧が私たちを襲ったのだ、その威圧にセイバー、ランサー、ライダーのマスター、私は息を呑んでしまったのだ
「雑種とは酷いなアーチャー、俺はあまり気にしないが・・・俺のマスターにその様な口を聞いてみろ、魂の一片まで滅ぼしてやろう」
「フハハハハ!くだらんな、貴様のマスターなど雑種で十分っ⁉︎」
その瞬間アーチャーの立っていた街灯が弾け飛んだ、アーチャー自身は街灯から降りた様だが、あのサーヴァントのステータスは・・・
「なっ⁉︎」
「アイリスフィール?」
そう、見えたステータスはこうだった
筋力C
耐久E
敏捷B+
魔力C
幸運D
宝具A+
「ステータスが低い?いえ違う、これは」
「ステータスが変わってる⁉︎昼間見た時と全く違う⁉︎」
「それは⁉︎ステータスを隠蔽できる宝具でしょうか?私さえあの一撃を見切る事は出来ませんでしたから相当なステータスだとは思うのですが」
そう、ライダーのマスターは昼間に見たと言っていたならその可能性が高い、すると端正な顔を怒りに歪ませたアーチャーが
「貴様、王たる俺に貴様らと同じ地を踏ませるとは・・・肉片1つ残さん‼︎」
アーチャーがそう言うとアーチャーの周りに黄金の歪みが生まれ、そこから無数の宝具が顔を出した
「なっ⁉︎」「嘘でしょ⁉︎」
「ほう(アレは私の創る宝具とは違うな、歪みが本体と見た)凄まじい光景なのだろうが、それがどうした?」
セイヴァーがそう言うと、セイヴァーの周りにいくつもの炎の渦が生まれ、幾つもの宝具が顔をだした
「アレも、全部宝具だ⁉︎」
「何だとぉ⁉︎いかん、離れるぞ!」
「アイリスフィール!捕まってください、少し離れます」
ライダーが戦車でその場を離れ、セイバーが私を抱えてその場を離れ、ランサーが私たちとは別方向に離脱すると、アーチャーとセイヴァーの宝具が激突し・・・
倉庫街が丸々吹き飛んだ
マスターやサーヴァントに怪我はなかったものの、倉庫街そのものを吹き飛ばした爆発の対応に言峰 璃正は胃を痛め、遠坂 時臣はアーチャーを呼んだのは間違えだったのではと思い始めて居た
2夜目終了
脱落者 言峰 綺礼&アサシン陣営(擬装の可能性大)