神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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実は今回の話、前にも活動報告でお話しした『不正なリクエストを検知しました』事件で何度も投稿に失敗している話なんです。しかも二回。

だから、今回はマジのマジでリベンジな訳なのですよ。
三度目の正直と参りましょうかね。

前回にフロンタルが原作ヒロインと絡んだので、今回はアンジェロの方を原作ヒロイン達と絡ませようと思っています。

まずは導入部分からどうぞ。





第69話 頑張れアンジェロちゃん

 暑い……暑すぎる……!

 本当になんなのだ……この異常とも言える暑さは……!

 そういえば、仕事に赴く際、出かけ際に大佐から有難いお言葉を頂いたっけ……。

 

『アンジェロ。日本の夏、特に都心部などは非常に気温が高い。だから、熱中症などで倒れてしまわないように、ちゃんと水分補給や塩分補給などをしてちゃんと対策をしておくように。お前に倒れられたら、私も皆も心配するからな』

 

 うぅ……今思い出しても感動してしまう……。

 なんてお優しいお方なのだ……大佐は……。

 まるで女神の如き慈悲深いお言葉……このアンジェロ、しかと胸に焼き付けました。

 ですが……。

 

「ここまでとは予想してませんでした……」

 

 私は、今後の活動の為に日本に赴き、様々な企業の代表などと会っているのだが、問題はその道中だった。

 遠い所は普通に交通機関を使用すれば問題無し、近い所は歩いていける。

 大変なのは、中途半端な場所にある企業だ。

 バスに乗るには近すぎるし、歩いていくには少し遠すぎる。

 そんな微妙な場所が一番困るのだ。

 

「念の為と思って薄着をしてきたのが大当たりだったとは……」

 

 いつも、私があの忌々しい篠ノ之束を装って人に会う時は、余所行き用のスーツを身に纏うのだが、流石に今日のような炎天下の日にそれをするのは自殺行為だ。

 だから、生地が薄目のYシャツとタイトスカートを着ているのだが、それでも肌に粘り付くような暑さは全く変わらない。

 次の場所に行くためにこうして歩いているだけで、全身から汗が止めどなく流れてくる。

 気のせいか、道行く男共から変な視線を向けられているような気がするのは何故だろうか……。

 

(汗でブラが透けて見えてる……)

(汗を流すスーツ美人……)

(普通に興奮するでござる)

 

 なにやらイヤらしい気配がしたのは気のせいか?

 暑さのあまり、頭が変になってしまったのだろうか……。

 このままでは本気で熱中症になってしまう!

 その前に、さっきそこの自販機で買った経口補水液で水分補給をしなくては!

 

「…………温い」

 

 ずっとバッグに入れっぱなしにしていたせいか、すっかり温くなってる……。

 一応、水分補給はちゃんと出来たけど、普通に不味かった……。

 

 げんなりとしながら少しだけ前かがみになりながら歩いていると、大きなビルに設置されている巨大モニターにニュースが映し出された。

 

『11時のニュースをお伝えします。昨晩、××市○○町に住んでいる□□□□さんが熱中症で倒れ、緊急搬送されました』

 

 そういえば、涼しい筈の夜でも熱中症になる者は多いらしいな。

 我々も油断しないように体調管理には十分に気を付けなくては。

 

『二時間後、□□さんは搬送先の病院にて死亡が確認されたそうです』

 

 ああなってしまうからな。

 実際、私も暑さで死にかけているのだが。

 

「救急車……」

 

 私の横にある道路を、一台の救急車が走っていった。

 どこかで誰かが倒れたのか、もしくは誰かを病院に運んでいる途中なのか。

 どっちにしても、この時期に救急車が走る理由なんてかなり限られるだろう。

 

「また熱中症患者でも出たのか……?」

 

 あぁ~……心なしか意識が朦朧としてきたような……。

 いや、しっかりしろアンジェロ・ザウパー!

 私は親衛隊隊長にしてフロンタル大佐の側近であり右腕!

 このような歩道のど真ん中で倒れるなど論外だ!!

 

(このような暑さ……嘗て私や大佐が味わった地獄に比べれば……!)

 

 ミーンミンミンミンミンミン……。

 

(すみません大佐……割と今はあの頃と同じぐらいにキツいです……)

 

 そういえば、さっきニュースで11時だと言っていたな。

 次の予定は13時30分ぐらいだった筈だから……。

 

「少し早めに昼食を食べて、どこかでゆっくりと涼んで体力を回復するものありか……」

 

 おい、画面の前のお前達!

 決して私は暑さに負けて自分に甘いわけではないからな!

 暑い時はどこかで涼む。当然のことだろうが!

 私は何もおかしい事はしていない!

 

「どこか……どこかにいい店などは無いか……」

 

 今更だが、よくよく周囲を見渡したら、ここは駅前のショッピングモールの近くじゃないか。

 いつの間にこんな場所まで来ていたのか。

 まぁいい。どちらにしろ、ここならばいい店が見つかりそうだ。

 周囲を見渡しながら、私は愚かしくも自室で涼しく過ごす事ばかりを考えていた。

 

(部屋に戻ったら、まずは汗で濡れまくった服を全部脱いでから洗濯機に突っ込んで、それから熱いシャワーを浴びて汗を流して、裸のままでベッドにダイブ! 最後は冷房全開にしてからのキンキンに冷えたコーラを一口……)

 

 飲みたいなぁ……コーラ……。

 

「ん?」

 

 ボ~ッと視線を泳がせていたら、視界の端にオープンテラスのカフェらしき店が見えた。

 時間帯のせいなのか、そこそこ客は入っているようで、ここから見るだけでも賑わっているように感じる。

 ただ、この暑さの中でオープンテラスを利用する猛者はいないようで、見事に誰もいない。

 ま、当たり前だな。誰だって、こんなこんな気温ならば迷わず涼しい店内に入る。私だって入る。

 

「あそこにするか……」

 

 まだまだ席は空いてそうだし、涼を取ると同時にここで昼食を食べてもいい。

 もういっその事、ここで一時間ぐらい粘ってやろうか。

 

「…………行こ」

 

 アホな事を考えている間に、増々気温が上がった気がする……。

 もう限界だ……コーラ飲みたい……冷たいコーラ……。

 欲望に身を任せたまま、私はそのカフェへと足を向けていた。

 この時、店名をよく確認しなかった事が、後に新たな黒歴史を生み出す切っ掛けになろうとは、この時の私は全く考えもしなかった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 入った店の中は涼しかった。そりゃもう涼しかった。

 もしも、この場にいるのが私だけだったら、割と本気で泣いていたかもしれないと思うほどに涼しかった。

 

(猛暑の日の冷房が、ここまで人間に癒しを与えるとは……)

 

 帰ったら基地内の冷房を増やす事を大佐に提案してみよう……。

 

 私が密かに冷房の素晴らしさを実感していると、店員がやって来て私を適当に開いている席へと案内してくれた。

 案内されたのは窓際の席で、外ではさっきまでの私のように汗を流しながら歩いているサラリーマンの姿が見えた。

 

(ククク……。精々、薄汚い汗を流して馬車馬のように働くがいい……。私はここでたっぷりと涼ませて貰おう……)

 

 なんとも言えない優越感に浸りながら、私は店員に迷わずコーラを注文した。

 やっぱり、まずはこれじゃないとな。

 

「以上でよろしかったでしょうか?」

「あぁ。後でまた何か頼もうとおも……」

 

 その時、テーブルの上にあるメニュー表に気になる物が見えた。

 この時期、誰の眼にも魅力的に見えるそれは、こう書かれていた。

 

【バニラアイス】

 

 ゴクリ……。

 アイスとコーラの組み合わせか……悪くないな……。

 いや、それどころか普通に最高じゃないのかっ!?

 シュワシュワのコーラと、甘くて冷たくとろけるバニラアイス……。

 クッ……想像するだけで涎が……。

 

「こ……これも頼む……」

「バニラアイスですね。畏まりました」

 

 頼んでしまった……もう後戻りは出来ないぞ……。

 いや、何を後悔する必要がある?

 私は客だ。飲みたいと思った物を、食べたいと思った物を頼んで何が悪い?

 それよりも、コーラとアイスが来るまでに昼食に何を食べるか考えておくか。

 やはり、脂っこいものよりはあっさりとした物がいいな。

 となると、ここは……。

 

「ハァ~……」

 

 さっきからずっと見えない振りをしてきたが、ああも露骨な溜息を出されると、流石に視線が向いてしまう。

 私の隣の席には、何やら悩み事でもあるのか、二十代後半と思わしき女が大きな溜息を吐きながら黄昏ていた。

 私と同じようなスーツを着ているということは、こいつも仕事の途中で涼を求めてここに来たクチか?

 

「………………」

 

 な……なんだ。

 いきなり私の事を舐め回すように見やがって……。

 

「顔……スタイル……声……問題無し」

 

 何がだよ。

 

「もう……なりふり構ってるわけには……ブツブツ……」

 

 本気で訳が分からん。

 こいつは何がしたいんだ?

 

「お待たせしました。ご注文のコーラとバニラアイスになります」

「ありがとう」

 

 こんな私でも、ちゃんと感謝の言葉ぐらいは言えるのだぞ?

 店員が去っていってから、私はストローが刺さったコーラを持ち上げて一口飲む。

 

「んん~♡」

 

 コレだよコレ!

 私が飲みたかったのかこれなんだよ!

 あぁ……コーラが五臓六腑に染み渡るようだ……。

 この炭酸のシュワシュワが最高なんだよな~!

 

「あむ。ん~♡」

 

 コーラの後には勿論アイス。

 一口食べただけで、今までの疲れが全て吹き飛んでいくような感覚がする……。

 矢張り、疲れた時には甘味が一番だな!

 

「なんて眩しくて可愛らしい笑顔……。もう彼女しかいない!」

 

 うおっ!? いきなりなんだっ!?

 この私がコーラとアイスを交互に食べるという贅沢を堪能している時に近づいてくる奴はっ!?

 

「そこの紫髪のスタイル抜群の美女さん!」

「………まさかとは思うが、それはよもや私の事を言っているのではあるまいな?」

「あなた以外に誰がいるっていうの!」

 

 少なくとも、今の店内に私以外に紫色の髪の人間はいないな。

 

「いきなりであれなんだけど……」

「なんなんだ……」

「バイトしないっ!?」

「はぁ?」

 

 私の両手をいきなり掴んでから、その女はとんでもない爆弾発言をした。

 あまりにいきなり過ぎて、不覚にも呆けてしまったのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 




導入なので短めに。

次回は佳織&シャル・ラウラルートでお送りする予定です。

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