神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
一瞬だけ『かみゆり』と迷いました。
「ふぁ~…」
瞼を擦りながら目を覚ます。
隣のベットにはルームメイトの本音ちゃんが寝ている。
「……………」
少しだけボーっとした後に覚醒。目が覚めた。
「あ……そうか……」
部屋の壁に掛けてあるカレンダーの今日の日付の所には赤いペンで丸が書かれている。
今日はセシリアとの試合の日。
遂に来ました、原作での最初のイベント。
試合をするのは一夏じゃなくて私だけど。
この日の為にやれる事は全てやった……と思う。
一夏と一緒に勉強をして、箒とはランニングや、時には剣道の打ち込みにつき合わされたり。
そして、部屋では借りてきた試合のDVDを見てイメージトレーニング。
それをこの一週間ずっと続けてきた。
まぁ…こんな事で代表候補生に勝てたら誰も苦労はしないけど、それでも、前に名も無き先輩に言った通り、一矢報いる事ぐらいは出来るかもしれない。
そうすれば、彼女も少しは自分の高飛車な態度を改めるかもしれない。
今はそれに賭けるしかない。
原作通りに相手が油断をしていてくれれば尚良し。
より一層、こっちがジャイアントキリング出来る可能性が生まれるってもんだ。
差し当たって、今するべき事、それは……
「本音ちゃん。朝だよ~」
この、隣で爆睡中のお姫様を起こすことだ。
「うぅ~ん……」
こうして彼女と一緒に暮らすようになって少し経つが、彼女は自力で起きると言う事を一切しない。
もしかして、これまでもずっとそうだったのだろうか?
確か、本音ちゃんには二つ上の姉がいた筈。
私的には結構厳しいイメージが強いが、この世界では違うのかな?
「で、起きないと」
これもいつもの事。
この短期間で既に慣れてしまった。
慣れとは恐ろしいものだ。
「仕方が無い……」
また『あの手』で行きますか。
「本音ちゃん。早く起きないと、君の分の朝ごはんも食べちゃうぞ」
「それだけは嫌だ!!」
はい、起きました。
「あれ~…?かおりん~?」
「目が覚めた?」
「う~ん……」
「まだだったら、顔でも洗ってきなよ。サッパリするから」
「わかった~」
未だに眠たそうしながら、本音ちゃんはゆったりとした足取りで洗面所へと向かう。
「その間に準備をしておくから」
「は~い」
……学生を子どもに持つ母親って、毎朝こんな事をしているんだろうか……?
だとしたら、マジで尊敬するな…。
ちゃんと親孝行でもしてから死ぬんだった…。
前世では私って碌な子供じゃなかったし。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
今日の授業が全て終了し、今は放課後。
私は第三アリーナのAピットにて待機していた。
既に着替えは済ませていて、恰好は入学の際に学園から貰った学園指定のISスーツ。
と言えば聞こえはいいが、実際にはちょっとだけ洒落たスク水である。
実技試験の時と合わせてこれで着るのは二回目だが、やっぱり慣れそうにはない。
だって、この恰好で人前に出るとか、普通に羞恥プレイじゃん!
よく皆は平気でいられるな!?
割り切ることが大事ですってか!?
「おぉ~…」
「気のせいかな…。また佳織…一段と大きくなっている気が……」
「やはり、何度見てもいいな…」
「せくすぃ~だねぇ~」
そして、さっきからこっちを舐めまわすように見ている四人。
流石に勘弁してください。
めっちゃ恥ずかしいです。
「あの……姉さん」
「なんだ…一夏」
あ、まだ放課後なのにプライベート用の会話をしてる。
いつもなら怒るのに、今日は怒らないんだ。
「実技試験の時さ……揺れてた?」
「あぁ……ばっちり揺れてたぞ」
「そう……」
揺れてた!?何が!?
自分であまり言いたくはないが、私の胸は目の前にいる女性陣に負けず劣らずのサイズになっている。
恥ずかしいから細かいサイズまでは言いたくないけど、分かりやすく言うなら…そう……
箒以下、シャルロット以上…ってところかな。
え?カップ?言いませんよバカ野郎。
それこそ、ご想像にお任せしますってやつだ。
「そう言えば、佳織のISはまだ到着していないんですか?」
「ああ。少しだけ搬入が遅れているようだ。今は山田先生が確認に行っている」
この辺は原作と似てるのね。
「因みに、織斑のISは近日中に届く予定だ。その時は今回のようにぶっつけ本番ではなくて、ちゃんと事前に準備をしてからの試運転となる」
「分かりました」
ははは……なんで私だけ……。
今の私は『ド素人』から『素人に毛が生えた程度』にランクアップした…と思う。
物凄く微々たる差だけど。
「ねぇ~…かおりん」
「な…なにかな?本音ちゃん」
「おっぱい揉んでもいい?」
「ストレートだな!?ダメに決まってるじゃん!」
「えぇ~?」
なんでそこで不満そうな顔になる!?
君の方が胸は大きいでしょうが!
「ならば、担任である私ならばいいな」
「担任でも駄目ですよ!?」
なんで担任ならいいと思ったんだ!?
「じゃあ、幼馴染の私なら?」
「幼馴染でも駄目!」
「ちぇ……じゃあ、私もダメか~」
「アンタもかい!」
箒だけじゃなくて一夏も狙ってたのかよ!?
そんなに胸を揉みたければ、自分のを揉めよ!
ここにいる皆がご立派なものを装備してるんだからさ!
「な…仲森さん!仲森さん!仲森さん!」
「あ」
山田先生が奥の方から駆け足でやって来た。
今にも転びそうな足取りだけど。
この辺は結構凸凹が多いから気を付けないとダメですよ?
「山田先生、落ち着いてください。こんな時は波紋の呼吸法ですよ。ほら」
「そ…そうですね。コォ~…」
いや、本気でしないでよ。
一夏も、なんでここで波紋な訳?
ISの試合で波紋疾走でもやらせる気?
「あまり山田先生をからかうな」
「すいません。つい……」
つい、で波紋をやらせるな。
「も…もういいですか~?」
「いつまでしてるんですか……」
普通にやめようよ…。
「って!こんな事をしてる場合じゃなかったんだった!来たんですよ!仲森さんの専用ISが!」
「やっとか」
き…来たんだ……!
こうなったら、マジで逃げ場が無いぞ…!
奥の方にあるピット搬入口が重い音を上げながらゆっくりと開いてゆく。
その向こうに現れたのは……
「これは……?」
そこに鎮座していたのは、見た事のあるフォルムのISだった。
全身が緑色に装飾してあるその機体は……。
「ラファール…?」
そう、この学園にも何体か配備してある第二世代型の量産型IS『ラファール・リヴァイヴ』だった。
でも、よく見たら、このISは私が知っているラファールとは少し違った。
確かに機体の構造などはラファールそっくりだが、なんて言うか……全体的に丸い。
角ばった場所が殆ど無くて、装甲が丸みを帯びている。
しかも、肩の辺りに本来のラファールには存在しないパーツがあった。
右肩には逆L字型のシールド、左肩にはどこかで見た事があるような丸いスパイクアーマー。
うん、思いっきりザクⅡをイメージしてますね。
あぁ……これ絶対あの『神』の仕業だわ……断言できる。
「これが仲森さんの専用IS『ラファール・リヴァイヴⅡ』です!」
「ん?」
ツー?
「えっと……カスタムⅡ…じゃなくて…ですか?」
「はい。この機体名には『カスタム』はつきませんよ」
「え?」
ど…どゆこと?
これってどう見てもラファールの改造機じゃない!
「そこは私が説明してやろう」
「織斑先生……」
千冬さんが前に出て説明してくれるようだ。
「このISは、デュノア社が自社で開発した量産機であるラファールを再設計したISだ」
「再設計……?」
え?え?マジで分からない…。
「ラファールと言う機体を世に出したデュノア社は長い間、第三世代機を開発出来ないで低迷していた。だが、そこであるアイデアを閃いたそうだ。『新しい機体を開発出来ないのならば、元から製造しているラファールを再設計して、正当な後継機を作ればいい』とな」
「それが…この……」
「そう。ラファール・リヴァイヴⅡになるわけだ」
え~っと……つまり、元のラファールがザクⅠだとしたら、この目の前にあるラファールⅡはザクⅡに該当する機体って事?
これでいいのか分かんないけど。
「お前がさっき言ったカスタムは、文字通りラファールをカスタムした機体であって、それ自体はどこまで行ってもラファールでしかない。だが、このラファールⅡは違う。基本性能を向上させ、拡張領域も拡大、更には整備性も上がっている代物だ」
「つまり、これは現場の事を第一に考えたISなんですよ。実際、開発の際にはパイロットの意見を多く取り入れたと聞いています」
あ…あれ~?
デュノア社ってそんなにも殊勝な事が出来る会社でしたっけ~?
私が知る限りじゃ、かなりえげつない会社だったような気が……
「そして、この目の前にあるISは先行量産試作機として製造された数機のうちの一体になる。確か……」
「はい。このラファールⅡは試作1号機に該当する機体だそうです」
し…試作1号機…ですか。
先行量産って事は、将来的には勿論、量産を前提にしているわけであって、とゆーことは……。
(あれ?これって、普通に専用機を受領するよりも大変じゃね?)
だって、私のデータ次第で、これからの方向性が決まるわけでしょ?
それって想像以上のプレッシャーなんですけど!?
しかもこれ、よく見たら……
(シールドにジオン公国の紋章が書いてあるし……)
悪ふざけが過ぎるだろうに…!
「これ以上オルコットを待たせてもあれだ。早速準備に取り掛かろう」
「はい」
こうなったら腹をくくれ!私!
逆に考えるんだ。負けちゃってもいいさと。
私はそっと眼前にあるラファールⅡに触れる。
すると……
「……!?」
私の中で『何か』がガッチリと填まった気がした。
例えるなら、不具合だった歯車が上手く噛み合ったような、今まで空いていたパズルのピースがはまったような……そんな感覚。
前に普通のラファールに触れた時はこんな事は無かったのに……。
これが…『専用機』って事なのか…?
各部装甲のハッチが開き、まるで私の搭乗を待っているような印象を受けた。
「乗り方は分かるな?まずは背中を預けるようにして、座るような感覚でいい」
「こ…こうですか?」
「もう少し…こうだな」
千冬さんが直接搭乗を手伝ってくれた。
普段は厳しい印象だけど、根っこの部分はとても優しい人なんだよな~。
(ふふふ……さりげなく佳織の体に触れたぞ!しかも、今何気に尻に触ることに成功した!この手は少なくとも今日の間は洗いたくないな…)
今一瞬、とてつもない悪寒が背中を走ったけど、気のせいだよね…?
完全に私の体が入ってから、各部装甲が閉じて、同時に空気が抜ける音がピット内に響く。
すると、不思議な感覚が私を支配する。
何とも言えないような『一体感』。
本当に…このラファールⅡは私の為だけに存在してるんだと実感させられる。
目の前に色んなセンサー類が表示される。
と同時に、視界が非常にクリアーになる。
あぁ…これがハイパーセンサーってヤツか。
実技試験の時は色んな意味で必死だったから分からなかったけど、今なら理解できる気がする。
確かにこれは、『宇宙で活動する事』を前提としている物だと。
束さんの『夢』に、私は乗っているんだ…。
「ハイパーセンサーはちゃんと機能しているか?」
「はい。大丈夫です」
「そうか。いかに最終的な量産を目的としているとは言え、それはお前用にセッティングされたISだ。故にコアの方も予め初期化してある。私が言いたいことは…わかるな?」
「ええ。つまり、ちゃんと
「その通りだ。お前は物分りがよくて助かる」
「それほどでも」
普通だと思うけどね。
「本当ならば、この場でやるべきなんだが、生憎とアリーナの使用時間も限られている。だから……」
「試合中にしろ……ですか」
「そうなるな。なに、お前なら出来るさ」
どんだけ私の事を高く評価してるんですか…。
「では、ピット・ゲートの方に移動してください」
「了解です」
ほんの少しだけ体を前方に傾けるだけで、ISは前の方に移動した。
目の前には、最適化までのタイムが刻まれている。
実を言うと、私の手はさっきからずっと震えっぱなしだ。
自分の腕を抑えるようにしていたから、バレずにすんでいたけど。
いよいよなんだよな…!
こんな時は、偉大な先人の言葉を思い出せ!
『本当の『勇気』とは何か!?それは『怖さ』を知る事!『恐怖』を我が物とする事じゃ!!』
『人間賛歌は勇気の賛歌!人間の素晴らしさとは勇気の素晴らしさ!!』
……これ、二つとも言ってる人同じじゃん…。
「佳織……」
ふと声がした方を見ると、箒が何かを言おうとこっちを向いていた。
「えっと……その……」
あれ?箒ってこんなにも初々しい顔をする子だったっけ?
ちょっと可愛いんだけど。
「が…頑張れよ!この一週間の努力は、絶対にお前を裏切ったりしない!」
「うん。ありがとう」
『頑張れ』は自分の向けるものじゃなくて、他者へのエールに使うもの…か。
箒のエール…確かに受け取ったよ!
「私も応援してるよ!大丈夫!佳織なら絶対に勝てるって!」
「ははは……」
相も変わらず、なんの根拠も無い事を言っちゃって…。
でも、だからこそ一夏って感じだ。
例え気休めでも、『勝てる』って言ってくれて嬉しいよ。
「かおりん。ファイト!」
「うん。自分に出来る事を精一杯してくるよ」
どこまで出来るかは分からないけど。
でも、言われたからにはやらないと、女が廃るでしょ!
「発進準備が完了しました!タイミングは仲森さんにお任せします!」
「はい!」
よ…よ~し!
こうなったら、少しでもそれっぽい事を言ってから発進しよう!
「仲森佳織!ラファール・リヴァイヴⅡ……発進します!!」
私の中では、ここから物語は『赤ルート』に進みます。
多分、分かる人はすぐに分かるんじゃないかと。
で、もう一つ考えていたのが『青ルート』で、こっちはギャグが殆ど無くて、シリアス一辺倒になっています。
多分、最終的には死に設定も多く出て来ていたでしょう。