神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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今回は例のウォーターワールドのお話ですが、果たして鈴の企みは上手くいくのでしょうか?

サブタイにもあるように、意外な伏兵が待ち受けているかも……?







第66話 伏兵は一人じゃない

「なんでよ……」

「あはは……」

「なんでアンタがいるのよ~~~~~!?」

 

 鈴と一緒にウォーターワールドに行くと約束をした日。

 私は鈴と待ち合わせをした場所であるIS学園の正門前に行くと、何故かセシリアがニコニコ笑顔でそこに立っていた。

 見るからに出かける用意をしていて、何かの荷物が入っているバッグを持っている。

 なんで彼女がここにいるのか分からないまま、こうして鈴の事を待っていたんだけど……。

 

「鈴さん」

「な……なによ……」

「貴女……佳織さんと一緒にウォーターワールドに行くつもりだそうですわね?」

「な……なんでセシリアがそれを……!」

「他の方々は出しぬけても、この私だけはそうはいきませんことよ?」

「うぐ……!」

 

 もしかして、前に私と鈴がトイレでした会話を聞いてた?

 全く気が付かなかった……。

 

「で…でも! あそこのチケットは激レアなのよ! そんな簡単に入手は……」

「あら、こんな所にこんな物が」

「うそぉっ!?」

 

 余裕たっぷりにセシリアがバッグの中から取り出したのは、鈴が持っているのと同じチケット。

 しかも、皺一つついていない超新品。

 

「オルコット家の力を持ってすれば、この程度は造作も無い事ですわ」

「ブルジョアめ……!」

 

 さ…流石はイギリスの名家のお嬢様……!

 チケット一つ手に入れる為に家の力を使うとは……!

 

「これで、私も一緒に行っても問題無いですわよね?」

「うぐぐ……!」

 

 チケットで顔半分を隠して、なんだか楯無さんみたい。

 一方の鈴は本気で悔しそうにしてる。

 仕方がない。ここは助け船を出してあげますか。

 

「鈴」

「佳織……」

「仕方がないから、今日は三人で楽しもうよ」

「でも……」

「その代わりと言っちゃなんだけど、またいつか時間を作って二人でどこかに出かけよう?」

「え? いいの?」

「勿論。だから、機嫌を直して……ね?」

 

 ここでウィンク&舌を少しだけ出す。

 これでどうだ!

 

「そ…そうね! ここで変に渋っても大人げないしね! 仕方がないわね~! 今日だけよ?」

「うん」

 

 よし。これでなんとか、今日一日を気まずい空気のまま過ごす事だけは回避出来たぞ!

 ギスギスしたままじゃ、楽しめるものも楽しめないしね。

 

「話は纏まりましたの?」

「一応ね」

「そうですか。では、早く行きましょう♡」

「わっ!?」

 

 いきなりセシリアが私の腕にしがみ付いてきた!?

 

「ちょ……! どさくさに紛れて何してんのよ!」

「あら? 何の事かしら?」

「この~……! じゃあアタシも!」

「えぇっ!?」

 

 ちょ……鈴もっ!?

 両腕にしがみ付かれたら、本気で歩きにくいんですけどっ!?

 

「ほら、さっさと行くわよ佳織!」

「あのですね!? この恰好は物凄く歩きにくいんですけどっ!?」

「「文句言わない!」」

「は……はい……」

 

 怖え~……女子高生怖え~……。

 あ、今は私も立派な女子高生なんだった。

 

 こうして、女三人で姦しくお出かけする事になったのでした。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 モノレールに乗り、そこからバスを乗り換えて一時間弱。

 途中で水分補給などもしながらも、私達は本日の目的地であるウォーターワールドに到着した。

 

「思ってたよりも大きいんだね……」

「文字通り、新装開店してるからね」

「夏休みという事もあって、かなり賑わってますわね」

 

 セシリアの言う通り、受付があるゲート付近だけでもかなり沢山の人間がいる。

 しかも、その殆どがカップルだったり家族連れだったりだ。

 取り敢えず、リア充は死ね。そして、お父さんは家族サービス頑張ってください。

 

「これ……入るまででも時間が掛かりそうね……」

「地味に行列が出来てますものね……」

「念の為と思って、そこの自販機でジュースを買ってきて正解だったね……」

 

 脱水症状になるのが怖くて買ったけど、早くも役目を果たしてくれるとは思わなんだ。

 こりゃ、中に入っても油断せずにこまめに水分補給は行った方がいいな。

 

「まずは並びましょ。チケットを渡さないと始まらないし」

「ですわね。佳織さん、行きましょう」

「うん………っ!?」

 

 え……? なに……この感じ……。

 

「どうしたの? 気分でも悪い?」

「あ……ううん。なんでもないよ」

 

 もう何も感じなくなった……。

 でも、なんだったんだろう……? 凄く妙な感覚だった。

 まるで、自分がもう一人いたような感じ(・・・・・・・・・・・・・・)がした……。

 この感覚は……前にも一回体験したような気が……。

 一体何処だったったっけ……?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「まさか、チケットを渡すだけで10分近く掛かるとは思わなかったわ……」

「あれだけ賑わっていれば無理も無いですけど、それでも長く感じましたわね……」

「たった10分。されど10分か……」

 

 やっとの事で園内にはいることが出来た私達は、更衣室へと直行する事にした。

 とっとと水着に着替えて、プールで涼みたいからだ。

 

「佳織の水着って臨海学校の時と同じやつ?」

「うん。だって、まだ一回しか着てないんだし、勿体ないじゃない?」

「佳織……」

「な…なに?」

「その節約精神はいいけど、女の子としてはどうかと思うわよ?」

「えぇ?」

 

 ど…どーゆー事?

 別に何もおかしくないよね?

 

「あたしも臨海学校の時と同じ水着を持ってきてるから、あまり偉そうには言えないけど、女の子としてもっとオシャレに気を使うべきよ?」

「自分では十分に使ってる気なんだけど……」

「最低限はね。あたしは、もっと色んな服を買うべきだって言ってるの。スタイルもいいんだし、マジで勿体ないわよ?」

「う~ん……」

 

 そう言われてもな~。

 人並みには気を付けてるつもりなんだけど……。

 

「テストパイロットとして、デュノア社から給料は貰ってるんでしょ?」

「まぁね」

 

 前に通帳を見た時は驚きすぎて銀行で大声を上げちゃったけど。

 だって、どう考えても一介の女子高生に払うような金額じゃなかったんだもん。

 

「なら、それで買えばいいのよ。佳織が自分で稼いだお金なんだから、誰も文句なんて言わないから」

「そりゃ……ね」

 

 でも、それとこれとは話が別な気がするんだよね~。

 なんて話している内に、更衣室に到着。

 賑わっている割には中は意外と空いていて、どこでも好きな場所で着替える事が出来そうだ。

 そういや、入り口の所にあった案内板に更衣室は何か所かあるみたいなことを書いてあったっけ。

 それなら、この状況も納得できるかも。

 

「ほら。セシリアなんて見てみなさいよ。ちゃっかりと新しい水着を買ってるじゃない」

「ホントだ」

「折角日本にいるんですもの。様々な水着を着てみたくなったのですわ」

「なんて言って。本当はそのオニューの水着で佳織を誘惑する気だったんでしょ?」

「べ…別に関係ありませんわ!!」

 

 お~お~。顔を真っ赤にしちゃって。

 でも、照れて慌てるセシリアも珍しいな。

 なんか普通に可愛いと思ってしまった。

 

 私達は三人並んでロッカーを使って、話しながら水着に着替える。

 あ、今気が付いたけど、私の隣にも着替えてる人がいるや。

 少し五月蠅かったかな……。

 

「ふぅ……。水着なんて初めて着るから、柄にもなく悪戦苦闘してしまった。これでよかったのか?」

「ほぇ?」

 

 こ……この私そっくりの声って……まさかっ!?

 

「む? さっきから聞こえていた声は……」

 

 ロッカーを閉めてから、向こうもこっちを見た。

 そこにいたのは、紛れもない彼女だった。

 

「フ……フロンタルっ!?」

「矢張り佳織か。これも運命か……」

 

 髪型と髪の色以外は私と瓜二つの少女、フル・フロンタルがピンク色の可愛らしいビキニを着て隣に立っていた。

 なんで彼女がここにいるのさ……。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 水着に着替え終わった後、私達は園内をぶらついていた。

 何故かフロンタルも一緒に。

 

「へぇ~。そんじゃ、アンタはあの旅館で佳織と知り合ったんだ」

「そうなるかな。あの時の事はいい思い出になったよ」

「そ…そう。それは何より……」

 

 そして、ビックリするぐらいにコミュ力が高いんだよ!

 あっという間に鈴と仲良くなってるし!

 

「で…でも……『フル・フロンタル』……ですか……」

「ん? なに顔を真っ赤にしてんのよ、セシリア」

「なんでもありませんわ……」

 

 そっか。セシリアはフロンタルの名前の意味を理解しちゃってるのね。

 年頃の女の子の名前に『全裸』はないよね~。

 いや、成人男性の名前でも有り得ないけどさ。

 

「しっかし、フロンタルって何から何まで佳織にそっくりよね。まるで双子みたい」

「「そうかな?」」

「ほら。言葉も被ったし」

「「あ……」」

 

 なんで妙なところでユニゾンするんだよ私達!

 本当は全く違うのに、マジの双子みたいじゃんか!

 

「佳織と双子か……悪くないな」

「ちょっとっ!?」

「冗談だ」

 

 君の冗談は洒落にならないんだよ~……。

 

「ところで、我々はどこに向かっているのかな?」

「別にどこって訳じゃないわよ。適当にぶらついて、よさそうな場所があれば入るってだけ」

「ふむ……そういうものなのか……」

 

 この反応……もしかして、これ系の場所に来るのは初めて?

 だとしたら、増々彼女の素性が気になってしまう。

 

「夏のプール……それだけで人口密集地帯になるのは明確ですわね」

「だね。涼むのが目的の筈のプールなのに、人が沢山入り過ぎて、逆に汗掻いてる人がいるし」

 

 これじゃ本末転倒でしょ。プールに来た意味無いよ。

 

「これは……来る時期を見誤ったかしらね~」

「八月の終わり頃に来れば、少しは空いてたかもだね」

「確かに。今は夏休みのど真ん中ですものね。ある意味で一番、人が集まってくる時期ですわ」

 

 この時期に肖って売店とかも頑張ってるけど、かなりの行列が出来て客をさばききれてないし。

 あ~あ。店員さんが困ってるよ。

 

「折角、波があるプールとか入りたかったのにな~」

「ここってそんなのがあるの?」

「みたいよ? それがここの目玉みたいなことをCMで言ってたし」

「そうなんだ~」

 

 波のプールか~……。それは私も興味あるかも。

 

「とは言え、このままでは日光で体力を消耗する一方だし、まずはどこか日陰にでも入って休みながらこれからの事を考えるのが得策だと思うのだが?」

「それがよさそうね~」

「私もフロンタルさんに賛成ですわ。病み上がりの佳織さんに無茶はさせられませんから」

 

 お。嬉しい事を言ってくれるね。

 でも、私もそれには賛成かな。

 

「ねぇ。あそこの喫茶店、席が一つ空いてない?」

「本当だわ。あの大きさのテーブルなら、この四人で座っても問題無いかも」

「誰かに取られない内に、早く行きましょう」

「それがよさそうだ」

 

 そんな訳で、まだ碌に水に浸かっていないにも拘らず、早く私達は休憩をする羽目になった。

 にしても、温泉に続きプールまで一緒になるとは……。

 何気に私とフロンタルって裸の付き合いが多くない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。皆さんの予想通り、水着のフロンタルのご登場です。

次回は原作で鈴とセシリアが大暴れをした水上ペア障害物レースの話です。



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