神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
と言っても、最初はオリジナルになりますけど。
出来るだけ、原作のイベントもこなしていきたいですね。
「なにこれ……」
それは、私が自分の部屋でパソコンを使いネット検索をしている時だった。
私は、目の前の画面に表示された記事に目を奪われていた。
【女性権利団体本部ビル、いきなりの解体】
日本の某所にあるという女性権利団体の総本山ともいえるビルが、いきなり物理的な意味で解体されたらしい。
しかも、中にいたであろう代表を初めとする人間達は、何故か行方が分からない。
記事には、あの連中の事だから、まだどこかに雲隠れをして悪巧みをしているに違いないと書かれていた。
前々から世間体が最悪なのは知っていたけど、ここまで堂々と悪口を書いているにも関わらず、運営とかからなんにも言われないって事は相当に世間からアンチの対象として見られているんだろう。
実際、私もあまり好きな連中じゃないしね。
でも、問題はそこじゃない。
「なんなの……この感覚は……」
何故だか分からないけど、この事件がどうしても他人事のように思えない。
まるで、知らない間に自分が関わりあいになっているような、そんな感覚。
「いや……まさかそんな事は……」
ふと、私の脳裏にフロンタルの顔が思い浮かんだけど、まさか彼女が関与しているわけないよね。
そこまで世の中はご都合主義には溢れてないでしょ。
もうあのバカ神は存在しないんだし、幾ら残滓が残っているとは言え、そこまでの影響力は無いだろう。
色んな事が一度にありすぎたから、ちょっと考えすぎているんだな、きっと。
ダメダメ。物事はもっとポジティプに考えないと。
折角の夏休みなんだから、学生らしく、この夏をエンジョイする事に全力を注ごう。
夏休みの宿題と言う悲しい難敵もあるけど、これは計画的にしていけば問題無し。
「後は、この体の怪我さえ全快すれば、文句無しなんだけどな~」
かなり包帯が取れてきたとはいえ、未だに私の体の一部には包帯が巻かれている。
一応、学園の保健室からカルテが出されて、夏休み中は学園指定の病院に通院する事になっている。
「佳織~、お昼出来たわよ~」
「は~い!」
一階からお母さんが呼んでいる。
お腹も空いてきてたし、丁度良かったや。
今日のお昼はなんだろな~♪
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
お母さんと向かい合うように座って、一緒にお昼ご飯の素麺をズルズル~っとな。
「ん~♡ 暑い夏に冷たい素麺はたまりませんニャ~♡」
「お父さんも一緒に食べられたらよかったのにね~」
「全くだよ」
お父さんはお仕事で不在。
私達は夏休みだから家にいるけど、社会人はそうはいかないよね。
今日は一応、平日なんだし。
「にしても、佳織が包帯を巻いて帰ってきた時は私もお父さんも驚いたわよ~」
「うん。心配させてゴメン」
「もう気にしてないわ。千冬ちゃんからも電話があったけど、大切な友達を守ろうとして負った怪我なんでしょ?」
「まぁ……ね」
「だったら、私も彼も何も言わない。お父さんも、心配しながらも同時に誇らしく思ってたみたいよ? 『流石は白狼の娘だ』って自慢してたし」
「あはは……」
無我夢中だっただけなんだけどね……。
お父さんにそんな風に言われると、ちょっと照れるな~。
「そうそう。今日、ドズルさんの娘さんが遊びに来る予定になってるのよ」
「え、マジ?」
「マジよ。言ってなかったかしら?」
「聞いてないよ~!?」
「ダチョウ倶楽部ね」
ドズル・ザビの娘って事は、あの子なんだよね!?
あのお姫様なんだよね!?
幼い頃は私とも遊んでいたらしいけど、その頃の事なんて微塵も覚えてない。
それは多分、向こうも同じだろうけど。
正真正銘、私のファースト幼馴染。
そんな風に言うには憚られる程に超ビッグな人物だけど。
最初の一言はなんて言えばいいんだろ……。
今から緊張してきたんだけど。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
お昼を食べ終えてから、リビングでテレビを見ながらスマホを弄っていると、家のチャイムがいきなり鳴った。
「佳織~。悪いけど出てくれない~? お母さん、今ちょっと手が離せないのよ~」
「分かった~」
この時間帯に来るって事は、宅配便か一夏達が遊びに来たか。
もしくは、例のお客様か……。
「どなたですか~」
いつものように玄関のドアを開けると、そこには華があった。
「その……こんにちは。そして、お久し振りです」
「あ……はい」
前世でよく見た、超知ってる清楚系の女の子。
うん。私もよ~く知ってるミネバ・ザビその人ですな。
(遂に来たよ……)
この子が私の一番最初の幼馴染。
なんか、光栄過ぎて居た堪れないんですけど。
「また会えましたね、佳織さん」
「そう……だね。えっと……ミネバさん……」
やべ~。一瞬『ミネバ様』って言いそうになったわ~。
「なんて、昔の事なんて殆ど覚えてないんですけど。佳織さんもでしょう?」
「う……うん」
「だと思った。でもいいんです。これからまたお友達になればいいんですから」
何この子……超絶いい子なんですけど~!
この眩しさ……本音ちゃん以来だよ……。
「ミネバ様~! 私の事も紹介してくださいよ~!」
「あ、ごめんなさい」
「え?」
この声、もう一人いるの?
ミネバさんに注目しすぎて全然分からなかった。
「キャ~! 本物の赤い彗星だ~! 感激です~!」
…………誰だっ!? このプリキュアに出てきそうなピンク色の髪をツインテールに纏めた美少女はっ!?
いや、この子もどっかで見た事があるような気はするんだけど……いまいち思い出せない。
「私、貴女の大ファンなんです! 会えて光栄です!」
「ど……どうも」
私にファンなんていたんだ……。
それなりに有名人になっていた事は知ってたけど、ファンまで生まれていたのは初耳だぞ。
「ハマーン。自己紹介を」
「そうでした! 喜びのあまり、すっかり忘れてました!」
ん~? 今、なにやら聞き捨てならない名前が聞こえましたよ~?
「初めまして! 私は『ハマーン・カーン』と言います! よろしくお願いします!」
「ハマーンの御父上が、私の父の部下なんです」
やっぱりか……!
この子があの宇宙世紀で最強の女性パイロットと恐れられているハマーン・カーンなのか……!
そういや、確かに子供の頃は少女漫画に登場しそうな女の子だったっけ。
(この無邪気な美少女が、将来は『俗物っ!』な女傑になっちゃうのか~……)
一体、何がどうなればあそこまで大変化しちゃうの?
いや、どっちのハマーンも好きだけどさ。
「にしても、まさかミネバ様が佳織様と幼馴染だったなんて思いませんでしたよ~!」
「私も、少し前にお父様から教えられたばかりですから」
そうだったのか。覚えてなかったのはお互い様だったのね。
ほんの少しだけ気が楽になったよ。
「と……取り敢えず、二人共上がって。ここは暑いだろうから」
「「お邪魔します」」
私……とんでもない人物達と知り合いになってない?
一応、転生者で転生特典を持って専用機を所持している事を除けば、どこにでもいるごく普通の一般市民のつもりなんですけど?
………いや、自分で言ってなんだけど、もう全然『一般』じゃないわ……。
ヤバイな……どうも一般的な感覚が麻痺してるっぽい。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
家に入れたはいいものの、どうすればいいか迷っていると、お母さんの提案で二人を私の部屋まで案内する事に。
こんな当たり前の事すら思いつかない程に混乱してたのね。
「ここが佳織様のお部屋ですか~!」
「綺麗に整頓してあるんですね」
「まぁね」
嘘です。本当は昨日、やる事が無くて部屋の掃除を偶々しただけです。
立ちっぱなしってのあれだから、適当に座って貰う事に。
「そう言えば、なんでハマーンさんは私の事を『様』って呼ぶの? 同い年だよね?」
「何を仰います! 赤い彗星の異名を持つ佳織様は、私の憧れであり全てなんです! それと、私はまだ14歳で、佳織様よりは一歳下になります。それから、私の事は呼び捨てで構いませんよ」
あ、まだ中学生なのね。
つまりは蘭ちゃんと同じなわけと。
こう言っちゃなんだけど、蘭ちゃんの方がもう少し落ち着いてるよね~。
「じゃ……じゃあ、ハマーンはどこで私の事を知ったの?」
「最初に佳織様の事を知ったのは、ネット上で公開されている試合映像を目撃した時です」
「え、そんなのあるの?」
「はい。IS委員会の公式サイトに、国家代表や代表候補生の試合の様子が掲載されてたりするんですよ」
うそ~ん……。それもまた初めて知った~。
「ん? ちょっと待って。そのサイトに私の事が載ってたって事は、今の私って代表候補生や国家代表と同列に扱われてるって事?」
「当然じゃないですか! IS学園での公式試合にて、数多くの代表候補生達相手に常勝無敗の大活躍をしたと、もっぱらの噂ですから!」
「私も、その話を聞いた時はとても誇らしく思いました」
あれ~!? なんで既に校外にまで知れ渡ってるの~!?
もうさ、今日だけで初耳な事が多すぎるんですけど!?
「そうだ! 折角だし、コレしませんか!?」
「いつの間にそんな物を持って……」
ハマーンがどこからか取り出したのは、とあるゲームソフト。
その名も『インフィニット・ストラトス・エクストリームバーサス・マキシブーストON』
……うん。もうさ、このタイトルを聞けば一発で分かるよね。
そう、ISを題材にした3D対戦オンライン対応アクションゲームでございます。
一応、私も持ってる。
今年の冬頃に『2』も発売予定らしい。
「実はこれ、最近になってアップデートされたんですよ~」
「そうなの? 知らなかった」
本気で忙しかったから、ゲームをする暇が純粋に無かった。
簪辺りは知ってたんだろうけど。
「って言うか、ゲームなんてするんだ」
「最初はISの訓練のつもりで始めたんですけどね。いつの間にか普通にハマってました♡」
「彼女、佳織さんの勇姿に影響を受けて、ISの操縦者としての訓練を受けているんです。御父上から反対もされたそうですが、最終的には押し切ったらしいです」
もう既に将来の女傑の片鱗が見え隠れしてる……!
なんて話している間に、ゲームの準備をしてスイッチオン。
「最新のアップデートだと、とある隠しキャラが登場するんですよ~。きっと、佳織様も驚きますよ~」
「へ……へぇ~……」
なんだろう……猛烈に嫌な予感がする。
「まずは~、サバイバルモードを選択っと」
「それから?」
「ここからは普通に勝ち抜いていけばいいんですけど、その時にランダムで隠しキャラが乱入してくるんです。それに見事打ち勝てれば、そのキャラが使用可能になるんですけど、これがまた凄まじい強さなんですよ~。ま、見てれば分かります」
ハマーンが選択したのはイタリアの国家代表の人が愛機としている『テンペスタ』と呼ばれる機体。
順調にNPCを撃破していくが、四回戦に突入した時にそれは起こった。
「来ました来ました! これですよコレ!」
「あらまぁ……」
「こ……これって……!」
バリスティック・リヴァイヴに乗ってる私じゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
「ま……まさかコレが隠しキャラ……?」
「そうです! ゲームでも佳織様の圧倒的な強さは健在で、今まで一度も勝ててないんですよ~!」
「ちょ……ちょっと待って!? 私、こんな話一度も聞いてないんですけどっ!? その前に肖像権とかあるんじゃないのっ!?」
「それは、お母さんとお父さんがなんとかしたから大丈夫よ」
「へ?」
部屋のドアの前に、ドヤ顔をしたお母さんがお盆に人数分のジュースを乗せて立っていた。
なんか少しジュースの数が多いような気もするけど。
「私に相談とかはっ!?」
「したいと思ってたけど、その頃の佳織は忙しくて連絡取れなかったじゃない。だから、こうして事後報告になったのよ」
「んなアホな……」
あ……ははは……。もうなにがなにやら……。
「それと、ついさっき一夏ちゃん達が遊びに来たから、連れてきてあげたわよ」
「一夏達が?」
達ってことは、鈴とかかな?
「やっほ~。遊びに来たよ~」
「お……お邪魔するぞ……」
「箒だったのか……」
これまた意外。
一夏と一緒に来たのは箒でしたか。
そっか。鈴は中国に一時帰国していなかったんだっけ。
一週間後には戻って来るって言ってたけど。
「あれ。なんか知らない子がいる。誰?」
「えと、この子達は……」
「初めまして。ミネバ・ザビと申します。佳織さんとは……そうですね。『幼馴染』みたいな関係でしょうか」
「「お……幼馴染……」」
う~ん。正解と言えば正解なんだけど、なんか幼馴染の部分を強調してない?
「そして、私の名はハマーン・カーン! 佳織様の一番の大ファンであり、将来的に弟子になる予定の女です!」
「なんかまた適当なこと言ってるっ!?」
私は誰も弟子になんて取らないからね!?
そんな事が許されるような立場でもないし!
「なんだか面白くなってきたわね。お母さん、楽しくなってきたわ」
そこはそこで娘のピンチで楽しまないで!
「にしても、見事に男っ気が無いわね~。別に同性婚を否定する気は無いけど」
ハイそこ! 爆弾発言禁止!
私だって、自分の交友関係に男っ気が無いのは重々承知してるんだよ!
でも仕方ないじゃん! この世界のIS学園にはマジで男が一人もいないんだから!
あぁ~……完全に私の部屋がカオス状態になってる~……。
自分の家でさえも私は落ち着けないの……?
そんな訳で、前々から言っていたミネバ様&いきなりのはにゃ~ん様のご登場です。
最初は成人状態での登場も考えたんですけど、佳織がシャア枠なら、それに憧れるような形で登場させた方が面白そうに感じました。
その結果が、あの今時の女子のようにはっちゃけた『はにゃ~ん様』です。
もう完全に佳織の虜っていうか信望者になってます。
ある意味でアンジェロといい勝負です。
次回もまたもやカオスになるかもです。
あと、ゲーム内の佳織の実力もついでに明らかに?