神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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な…な…な……なんか知らない内にエラい事になっとる~!?

お気に入り登録数がいつの間にか400突破って!

冗談抜きで驚きましたよ~…






第4話 鍛えよ 勝つために

 なんか最近、今までの人生以上に流されてる気がする…。

 

私の意思とは関係無くクラス代表の候補になって、私の意思を無視して専用機が用意されて……。

いやね?私だって流される方が楽なのは知ってるよ?

勿論、それがあまり良くないってことも。

前世では、流されるがままの人生を送ったせいで碌な目に遭わなかった。

だから、今度こそは自分の意思で色んな事を決められるようになろう!って思ってたんだけどなぁ~…。

やっぱり、理想と現実って全然違うわ…。

 

な~んて事を考えていたら授業は終わり、今はお昼休み。

私は精神的疲労から机にグテ~ンと体を預けていた。

 

「少しだけ安心しましたわ。まさか、無改修の訓練機で試合に臨もうとは思ってはいなかったでしょうけど」

 

またお前か。セシリア・オルコット。

この時期の彼女って、こんなにもウザいキャラだったんだ…。

お前さんは優雅にやって来たつもりかもしれないが、周囲のお前に対する目線は絶対零度だぞ。

 

「まぁ…勝負はするまでも無く分かりきってはいますけど、流石にあのままではフェアとは言い難いですものね」

「そ~ですか」

 

いいから、とっととどっかに行ってよ。

こちとら早くお昼が食べたいんだよ。

 

「なんですの!その態度は!このエリート中のエリートとも言うべき私と会話をしているのですよ!背筋ぐらいは伸ばしたらいかがですの!?」

 

伸ばす元気も無いんだよ。

主にお前のせいで。

 

「いい加減にしなよ」

「一夏……」

 

さっきから隣で様子見をしていたけど、我慢出来ずに話しかけてきたか。

出来れば、もうちょっと早くしてほしかったけど。

 

「佳織が迷惑してるじゃん。早くお昼でも食べに行ったら?」

「この私といる事が迷惑ですって…?どうやら、専用機の所持が認められたからって、調子に乗っているようですわね!」

「専用機は関係ないでしょ!それに、調子に乗ってるのはそっちの方じゃん!」

 

あぁ~…火に油を注ぐような真似を…。

 

「なんですって!?」

「なによ!?」

 

どうにかして止めなきゃ~!と思っていても、私が下手に話しかけたら悪化しそうだし、どうすれば……。

 

「何をしている。早く行くぞ」

「箒…」

 

ほ…箒か…。

でも、彼女はある意味では一夏以上に沸点が低いし、これはヤバいかも……。

 

「一夏も。そんな奴は放っておけばいいんだ」

「でも……」

「ここで言い合っても意味無いだろう。それに、当事者である佳織が冷静なのに、お前が熱くなってどうする」

「う……」

 

別に冷静じゃないけどね。

ただ、どうすればいいか困っていただけで。

って言うか、箒ってこんなにも落ち着いたキャラだったっけ?

私の記憶が正しければ、もう少し乱暴なイメージが…。

 

「そう言えば貴女……」

「なんだ?」

「あの『篠ノ之博士』と同じファミリーネームですけど、もしかして親族だったりしますの?」

 

どうしてソレを今ここで聞いちゃうかな~!?

私と一夏、あの千冬さんも安易に触れないようにしている事なのに~!

 

「…………さぁな」

 

小さくボソッと呟いて、箒は教室から出て行った。

やっぱり、何かしらの思うところはあるのかな……。

 

「フ…フン!とにかく!このクラスの代表に最も相応しいのは、このセシリア・オルコットだと言う事をお忘れなきように!」

 

セシリアも行ってしまった…。

 

「……私達も行こうか?」

「だね。本音ちゃんも一緒に来る?」

「いいの~?」

「勿論」

「じゃあ行く~!」

 

そんな訳で、私達は先に行った箒の後を追うようにして、揃って食堂に向かうことにした。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 途中で箒と合流した私達は、そそくさと食券(日替わり定食)を購入して注文の品を受け取った。

そして、空いている席を発見するや否や、速やかに移動して席を確保。

この時ばかりは実に見事なコンビネーションだったと言える。

 

「箒……さっきはごめんね。なんか巻き込んじゃって……」

「別に佳織が謝る必要はない。アイツが全部悪いんだ」

「でも……」

「箒の言う通り、佳織は何も悪くないよ。向こうが勝手に喧嘩売って来たんじゃん」

 

一夏はセシリアの事をめっちゃ敵視してるな~。

まさに『犬猿の仲』って感じ。

逆に箒は軽く受け流してる。

まさか、箒の方が大人の対応をするとは思わなかった。

 

「かおりんも大変だね~」

「そんな口調で言われたら、全然大変な気がしないね」

「なんだか、こっちまで脱力しそうだ」

「え~?」

 

でも、さっきまでのピリピリした空気は無くなった。

本音ちゃんは凄いなぁ~…。

まさしく、愛すべき一組のマスコットだね。

 

そんな事を話しつつ、今日の日替わり定食についてきた納豆をコネコネ~とな。

 

「納豆はいいよね~。栄養たっぷりで美味しくて、まさにリリンの生み出した文化の極みだね」

「納豆が文化の極みだったら、江戸時代辺りから日本の文化は極まっていることになるな」

 

実際そうじゃない?

過去から学ぶ事って私達が思っている以上に多いし。

 

こねまくった納豆をほかほかのご飯に投入~♡

 

「ねぇ、君が例の噂の子でしょ?」

「「「はい?」」」

 

至福の瞬間を迎えようとした時、隣からいきなり話しかけられた。

今回で二回目だな。

 

よく見ると、それは見た事の無い年上と思わしき女子生徒だった。

と言うか、実際に年上だな。

だって、リボンの色が赤…つまり、三年生の色をしていたから。

 

「噂ってなんですか?」

「あれ?知らないの?今年の新入生の代表候補生以外で唯一、IS適性がA+の子がイギリスの代表候補生と試合をするって、学園中の噂よ?」

「うぇ~…マジですか?」

「マジもマジ。新聞部の子が躍起になってたから」

 

い…いつの間にそんな事に…!?

恐るべし…IS学園の情報伝達速度…!

 

学校とは一種の閉鎖社会だ。

故に、少しでも目立つ情報が流れれば、あっという間に端まで伝わる。

そんな話を昔聞いた事があったような気がしたけど、まさかそれを我が身で実感する羽目になろうとは……。

 

「でも、大丈夫なの?こう言っちゃなんだけど、君って素人…だよね?」

「はい。紛れも無く、どこに出しても恥ずかしくないド素人です」

「そ…そこまで自信満々に言わなくてもいいけど……」

 

素人なのは本当だし。

 

「君の今までのIS稼働時間ってどれぐらいなの?」

「他の皆と大差ないですよ」

「だったら、かなり不利よ。ISはね、基本的に稼働時間が物を言うの。相手は代表候補生。間違いなく300時間は超過してるわよ?」

「でしょうね」

 

んなこたぁ~分かってるんだよ。

 

「だったらさ、私がISの事を教えてあげようか?」

 

そう言うと思っていましたよ。

けどね……

 

「悪いですけど、今回はご遠慮します」

「…え?なんで?」

「先輩の申し出は本当に有難いです。けど、最初から誰かに頼ろうとしていたら、きっとこれから先も誰かに頼ることが癖になってしまいます。別にそれが悪い事とは言いません。私は何も言おうとせずに流された結果、今の状況にいます。ここに来て、また状況に流されていたら、この流れから出られなくなってしまうような気がするんです。だから、この『最初の一歩』ぐらいは、自分の意思で踏み出したいんです」

 

なんて偉そうな事を言ってはいるけど、本格的にヤバくなったら恥も外聞も捨てて、遠慮無く頼るんだろうな。

でも、それまでは自分の足で歩かなきゃ。

 

「…君の言ってることは本当に素晴らしいわ。でも、代表候補生はそんなに甘い存在じゃないわよ?」

「分かってます。今の私じゃ勝ち目なんて全く無いってことぐらいは」

「だったら…「でも」……?」

「あの偉そうなツラに一泡吹かせるぐらいの事は出来るかもしれないじゃないですか」

 

一週間もあれば、一矢報いるぐらいは可能かもしれない。

同じ負けるでも、何も出来ずにボロ負けするよりはずっといい。

 

「ここは思ってる以上に情報の伝達が早いようだし、もしも先輩に教わったのが知られたら、相手はまた増長します。下手したら、先輩にも迷惑が掛かるかもしれない。甘い考えかもしれませんけど、そんなのは嫌なんです」

「佳織……」

「かおりん……」

 

あ~…私ってば何を言ってるのかしら。

こんなシリアスなセリフを言えるようなキャラだったかな?

 

「ふぅ……分かった。そこまで言うなら、私からは何も言わない。その代わり……」

 

あら、頭を撫でられた。

 

「頑張りなさいよ。私個人は君の事を応援してるからね」

「はい。ありがとうございます」

「それじゃあね」

 

あ……名前を聞けないままに行ってしまった。

 

「佳織は先輩からも期待されてるんだな……」

「本当に佳織は凄いなぁ~…」

「そんな事は無いって」

 

あれは単に噂の後輩の顔を拝みに来ただけでしょ。

思った以上に話しちゃったけど。

 

「けど、実際問題…これからどうしようか…」

 

私の考えなんて、所詮は素人の浅知恵。

それが効果があるとは思えないし…。

 

「なに、大丈夫だ。佳織」

「箒?」

 

何が『大丈夫』なのよ?

 

「実戦経験豊富で専用機を所持している代表候補生が相手だからと言って、素人同然でISにも碌に乗ったことが無い佳織が負けるとは限らないじゃないか」

「箒……その短い文章の中に、負けるであろう要素が山ほどあるんだけど……」

「なに!?」

 

気が付いていなかったのかよ。

 

「でも、本当にどうする気?」

「う~ん……」

 

なんであんな事を言ってしまったんだろう…。

見栄を張った結果、自分の首を絞める事になるとは……。

もうこの時点で負けフラグ建ってね?

 

「先生にでも聞いたらいいんじゃないかな~?」

「先生に?」

「うん。別に、誰かに方法を尋ねるぐらいは問題無いでしょ?それを実行するかはかおりん次第なんだし」

 

ほ…本音ちゃんの口から正論が飛び出した!?

でも、実にごもっともな意見だ…。

 

「そうしよう……かな?特訓をお願いするわけじゃないんだし……」

「それ以前に、訓練機は予約が一杯で貸出不可らしいけどね」

「それは私も聞いた。なんでも、基本的に訓練機の貸し出しは上級生が優先されているらしいな。二学期以降ならまだしも、入学したてのこの時期に私達一年が訓練機を借りるのは非常に難しいだろう」

 

それなら私もどっかで聞いたな。

だからこそ、原作でも一夏は箒と一緒に体を動かすと言う名目で剣道をしていたんだし。

 

「訓練機に関しては私も最初から諦めていたよ。だから、ここは本音ちゃんの提案を飲んで、放課後にでも先生に聞きに行くことにするよ」

「それがいいな」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 お昼に話した通り、私は職員室まで来て千冬さんの机の傍にいる。

一夏と箒と本音ちゃんは廊下で待っている。

 

「成る程な……」

「何か私が今の段階で出来る事ってありますか?なんでもいいんです。教えてください」

「そうだな。まずは基礎トレーニングと知識の習得。それが一番だろう」

「ですよね……」

 

流石の私も、それは真っ先に思いついた。

でも、なんとなくそれだけじゃ駄目な気がしたんだ。

 

「知識もそうだが、ISは本人の身体能力が大きく関わってくる。お前はお世辞にも動ける方じゃないだろう?だから、例え付け焼刃と分かっていても、何もしないよりははるかにマシだと私は思うぞ」

 

千冬さんの口から言われると、物凄い説得力があるな。

 

「それでも不安なら……そうだな。実際の試合の映像を見てイメージトレーニングでもしてみたらどうだ?」

「映像でイメトレ…ですか?」

「ああ。お前が思っている以上にイメージトレーニングは大事だ。国家代表に選ばれた選手の殆どがイメトレを絶対に欠かさない」

「織斑先生も…ですか?」

「当然だ。私も現役時代は試合の前には毎回のように頭の中で相手選手と戦ったものだ」

 

イメトレ……か。

それなら私にも出来そう…。

 

「映像資料ならば『資料室』に保管されている筈だ。あそこには過去にこの学園で行われた様々な試合の模様が記録されているDVDがある。中にはモンドグロッソを初めとした世界規模での公式戦の映像もあった筈だ」

 

にゃんと……!

それは本当にレアな代物じゃないですか!

 

「放課後ならいつでも出入りは可能だ。今からでも行ってみるといい」

「分かりました。教えてくれて、ありがとうございます!」

「気にするな。生徒の相談に乗るのは教師の役目だからな」

 

何気にちゃんと『先生』をしてるんだな~…。

 

「それにな…」

「ふぁ!?」

 

い…いきなり抱きしめられた!?

しかも、顔がすぐ横にあるんですけど!?

 

「私はお前に期待しているんだ…。だから、頑張れよ……佳織」

 

耳元で囁かれちゃったよ……。

息がかかって凄くくすぐったかった…。

 

余りにも恥ずかしくなって、慌てて職員室を出た私の耳に、去り際に千冬さんが言った一言は聞こえていなかった。

 

「お前ならきっと勝てるさ…。私の愛する佳織…」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 職員室から出てきた私が息を切らせているのを見て、待っていてくれた三人は驚いていた。

 

「ど…どうした!?一体何があった!?」

「な…なんでもないよ」

 

あんな事、もしも言ったら…また騒動に発展しそうな気がする。

ここは黙るが吉と判断する。

 

「顔真っ赤だよ?大丈夫?」

「だいじょぶ、だいじょぶ」

「でも、照れてるかおりんは可愛いね~♡」

 

いや、私的には君の方が可愛いからね?本音ちゃん。

 

「で?何か聞けたのか?」

「うん……」

 

私はさっき千冬さんに教えて貰った事を報告した。

 

「やはり、基礎トレーニングは必須か…」

「それと勉強も…だね」

「この二つは基本だよね~」

 

そこら辺は皆の共通認識だったようだ。

 

「しかし、イメージトレーニングと言う言葉が出てくるとは思わなかったな」

「でも、姉さんなら普通にしてそう」

「実際に試合の前によくしていたって言ってたよ」

「「やっぱり」」

 

だよね。

 

「なら、早速行くとするか」

「善は急げ…だね」

 

いつ資料室が閉まるか分からないから、急いだ方がいいかも。

かと言って、廊下を走るわけにはいかないので、早歩きで行くことに。

でも、本音ちゃんの歩行スピードに合わせていたら、結局は普通に歩く羽目になるんだろうな~。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 資料室に到着し中に入ると、そこは金属製の棚に沢山のDVDや紙製の資料が保管されている、文字通りの『資料室』だった。

部屋の奥にはパソコンがあり、そこでDVDの再生や情報の検索が出来るようになっているようだ。

基本的に生徒の寮の各部屋にもパソコンは設置されているが、ここのパソコンはIS学園のサーバーに直結しているみたいで、より多くの情報を知る事が出来るのだ。

 

「まさか…これ程とは……」

「どれがいいのかな…?」

 

私達の他にも生徒はちらほらと見かけてはいるが、そのいずれもが静かにしている。

この空気の中で声を出せる程、私は大物じゃない。

私の心臓は蚤の心臓、ガラスのハートなんですよ。

 

棚に貼られた項目のシールを見ながら探していくと、『公式試合』と書かれた場所にたどり着いた。

 

「ここか……?」

「探してみよう」

 

すると…出るわ出るわ、色んな試合が記録されたDVDが。

幸いな事に、殆どの資料が貸出されていなくて、私は必要と思ったDVDを借りる事にした。

 

カウンターにいる係の人に話かけて、私は借りる予定のDVDを出した。

 

「これを貸してください」

「はい、分かりました……って、貴女は……」

「ん?」

 

このパターンは……

 

「そう…成る程ね」

 

なんか一人で納得したんですけど。

 

手元にあるパソコンを操作して、私にDVDの束を渡してくれた。

 

「応援してるわ。頑張ってね」

「ははは……どうもです」

 

こんな所にまで話は広まってるのか……。

 

無事に資料を借りる事が出来た私達は、資料室を出てからこれからの事を話した。

 

今日の所は、このDVDを部屋で見ることにした。

明日から本格的に頑張る事に。

 

放課後に学園内にあるトレーニングルームなどで体を動かして、夜には部屋で勉強。

休憩の合間にDVDを見てイメトレ。

トレーニングは箒が、勉強は一夏が一緒にすると言い出した。

最初ぐらいは自分で頑張ると言ったのに、つき合わせたら悪いと言ったら、二人は……

 

「「私達が勝手にやっている事だから問題無い!!」」

 

って言ってきた。

それは屁理屈でしょ…。

滅茶苦茶嬉しいけどさ。

 

え?本音ちゃんの役目?

あの子は疲れた私を癒す存在。

その場にいるだけでヒーリング効果があるからいいの!

 

こうして、私の試合に向けてのトレーニングが始まった。

どこまでやれるか分からないけど、0%の勝率を少しでも引き上げる事が出来ればいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか行動が矛盾してるように見えますが、それこそが人間らしさだと思います。

転生者であることを除けば、佳織はどこまでも一般人なんです。
今はまだ『転生特典』も無いですし。

今はまだ……ね。

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