神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
ですので、18歳以上の方は是非とも、そちらから見た方が読みやすいと思います。
「あの瞬間……あの場にいた全てのISと操縦者のシンクロ率が300%を超過した。その結果として、一時的ではあるけど、戦場にいた全部の機体が
岬の柵に腰かけた状態で、束は福音との戦闘時の映像を録画した映像を映したディスプレイと睨めっこしていた。
その画像の隣には、佳織のバリスティック・リヴァイヴを初めとした、戦いに参加した全てのISのデータが表示されている。
「そして、かおりんの成長速度……」
束が少し操作してディスプレイを切り替える。
次に表示されたのは、現在のバリスティック・リヴァイヴの機体の状態だった。
「ダメージレベルE…。ほんと…完膚なきまでにボロッボロになっちゃったね……」
映像に映っているリヴァイヴは、見るも無残な姿を晒している。
最早、破損していない場所を探す方が難しい程に。
「このダメージの大半は、あの時に福音の攻撃の直撃を受けたのが原因。でも…これはそれだけじゃない」
また画面を切り替える。
次はリヴァイヴの稼働率が表示された。
「稼働率89.9%…。乗り始めてまだ半年も経過してないのに、この数値は異常すぎる。しかも、ちゃんと初搭乗時に設定されている筈なのに、もう機体の方がかおりんの反応速度についてこれなくなってる。今回の破損の10%ぐらいは、コアの方がかおりんの動きに無理矢理合わせようとして、悲鳴を上げたから…。こんな事って……」
「普通なら絶対に有り得ないな」
いきなり束の背後に気配が出現する。
森の中からいつものようにスーツを着た千冬が音も無く現れたのだ。
彼女の事を束は腰かけた状態で振り向いて見つめる。
「やっぱ、ちーちゃんもそう思う…?」
「あぁ。担任教師として、佳織の事は間近で見てきたからな」
話しかけた後、千冬は僅かに前進して近くにあった木に背中を預ける。
千冬の目はずっと束の目を見つめていた。
「ISに乗らない時は、私達が知っているいつもの佳織だ。だが、一度ISに搭乗したら……」
「まるで人が変わったように性格が変わって、一騎当千の強さを発揮する?」
「そうだ」
先程まで真剣な顔でディスプレイを見つめていた束だったが、急に大人びた微笑みを見せる。
「……ちーちゃんはさ、かおりんの事をどう思ってる?」
「今更それを聞いてどうする気だ?私の想いは全く変わっていない」
「あ~…言葉が足りなかったね。私は、かおりんの戦闘能力についてどう思っている?って聞いたの」
「あいつの戦闘力……か」
顎に手を当てて、自分の考えを整理する千冬。
少しして言葉が纏まったのか、顔を上げた。
「ハッキリ言って異常の一言だな。少なくとも、私の知っている佳織はあんな少女じゃなかった。どこまでも普通で、何事も可も無く不可も無くを絵に描いたような…」
「そうだね。それに関しては私も同じ意見だよ。でも……」
ふと、束の目線が鋭くなる。
「ちーちゃんも既に
「……何をだ」
「かおりんの持つ『才能』について」
「……………」
沈黙が場を支配して、風が吹く。
二人の髪が靡いて、その表情を隠す。
「かおりんには間違いなく才能がある。そう……『戦争』の才能が」
「…………」
「その才能は普段の生活の中では決して十全に発揮されない物ばかり。冷静な状況判断能力然り、優れた指揮能力然り、異常なまでの空間把握能力然り。そして…あのカリスマ性。中学の時に生徒会の活動とかで少しは片鱗が見え隠れはしていたみたいだけど、普段の生活じゃそれが限界。でも……」
「ISと言う『兵器』に触れた事で、それまで隠れていた天才的な才能が一気に開花した……」
「少なくとも、私はそう結論づけたよ」
話し終えて、束の表情が急に暗くなる。
「皮肉だよね…。私は自分の『夢』を叶える為にISを作ったのに、ISの持つ『兵器』としての側面に触れて初めてかおりんの持つ才能が判明するなんて…」
「……仕方あるまい。あの佳織が『戦争』の才能を持っているなんて、誰が想像なんてするもんか」
「うん……。流石はあの『白狼』の一人娘だよね。チートなのは親譲り……か」
「ふふ……私達二人して、まだ信さんから一本取れてないからな」
「私達が二人がかりでかかっても、触れる事すら出来ないからね。全く……信さんと言い、あの人の元同僚は皆して私以上のチートばかりしかいないんだから……」
佳織の才能の話から、気が付けば思い出話に花が咲く。
この瞬間だけは、二人は教師と科学者ではなく、幼い頃からの親友同士に戻っていた。
「で?佳織の機体の方はどうなんだ?」
「軽く調べてみたけど、想像以上に破損は深刻。私の予想通り、IS学園の設備でも全修復は難しいと思う」
「やはり…そうなるか」
「本当ならフランスに持ち帰って、一からオーバーホールした方がいいんだろうけど、それだと色々と時間が掛かっちゃう。だから、ここは私が機体を持ち帰って修理をするよ」
「…いいのか?そんな事をすればフランスが黙っていないと思うが…」
「そこら辺は私が一言言えば問題無いでしょ。向こうだって、自分達が修復するよりはずっといいって思うだろうし」
「それもそうか……」
なんだかんだって、デュノア社も会社である以上は利益を優先しなくてはいけない。
その立場からすれば、無償で修復が出来る上に、あの篠ノ之束が手を触れたISを持つと言う肩書を手に入れる意味は大きい。
まさに向こうからすれば一石二鳥なのだ。
「さて……そろそろ行こうかな」
束が立ち上がり、尻に着いた汚れをパンパンと叩いて落とす。
「もう行くのか?」
「うん。かおりんに挨拶出来ないのは名残惜しいけど、今はゆっくりと休ませてあげたいし」
ディスプレイを消して歩き出そうとすると、千冬が引き止める。
「待て」
「な~に?ちーちゃんも私との別れを惜しんでくれるのかな~?」
「そんな訳あるか。お前からばかり質問したんだ。少しは私からも質問させろ」
「ちぇ~。…で?何を聞きたいの?」
「私は回りくどい言い方は嫌いだ。だから、単刀直入に言わせてもらう」
「なんでしょ?」
一息してから、千冬は言葉を紡いだ。
「……あの福音を暴走させたのはおm「千冬さん!束さん!」……!?」
言葉を遮るように後ろから叫んだのは、浴衣を着た佳織だった。
その顔は赤く上気していて、息も絶え絶えと言った感じで、旅館から走ってきたのが一発で分かった。
「か…佳織…?」
「かおりん……」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
なんとか間に合った…!
なんか雰囲気的に束さんが帰りそうだったから、慣れない浴衣姿で急いできたんだけど……。
「な…なんでお前がここにいる…?旅館で休んでいたんじゃ……」
「そうですけど、少し前に目が覚めて、千冬さんがこっちに行くのが見えて、それが気になってここまで来たんです」
「お前と言う奴は……」
あ…あれ?なんで千冬さんは頭を抱えてるの?
やっぱ、来たら不味かったかな?
「頼むから、自分が怪我人だと言う自覚を少しは持ってくれ……」
「はぁ……すいません」
そういや、私ってば一回撃墜されたんだよね。
色んな事があって奇跡の復活を遂げはしたけど、それでも怪我をした事実は変わらないんだよな。
さっきは……その……流れで『あんな事』をしちゃったけど…。
「かおりん」
「はい?」
「さっきはお楽しみでしたね♡」
「ふぇっ!?」
こ…このセリフ……まさかこの人!?
「いや~…この束さんも、まさかほっちゃんに先を越されるとは思わなかったよ」
「そ…それは……」
「二人の喘ぎ声。最高に可愛かったよ♡」
「喘ぎ声!?」
私達の会話に千冬さんが大きく反応する。
ちょっとビクッ!ってしちゃった。
「か…佳織!まさかとは思うが、布仏と……?」
「うぅ~……」
そんな事、口で言えるわけないでしょ!
「ぬ…ぬかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!二人とも寝ていたから、一緒にしても大丈夫と思って油断していたのが仇となるとは……!!」
ちょ…千冬さん!?今は夜だから、頭を抱えて大声を出すのは止めた方が……。
「そうだ。実はかおりんに渡す物があるんだった」
「渡す物?」
束さんからとは珍しい。
一体何を渡す気なんだろう?
束さんはスカートのポケットから何かを取り出して、私の所まで歩いて来てソレを手渡してくれた。
「これは?」
「お…おい。これはまさか……」
青く輝く綺麗なクリスタルだな~。
感性の女の子寄りになってるせいか、普通に感動する。
「これはね、かおりんの専用機『ラファール・リヴァイヴ・バリスティック』のコアだよ」
「コア……って!もしかしてISコアですか!?」
「おふこーす」
これがISのコア……初めて見た~…。
つーか、直に手で触っても大丈夫なの?
「本体の方は私が持ち帰って修理するから、コアの方はかおりんが持ってて。必ず必要になるから」
「そりゃ……」
そうでしょうよ。
だって、このコアには今までの戦闘記録とかが一杯詰まってるわけだし。
所謂、ブラックボックスなんだから。
「怪我が治って、夏休みにでもいいから、倉持技研に行ってみてよ」
「倉持技研だと?なんであそこの名が出てくる?」
「フフフ~♪こんな事もあろうかと、実はあそこに事前に話は通してあるんだよね~」
倉持技研って……一夏の『白式』や簪の『打鉄弐式』、他にも学園とかに配備されている日本産の量産機『打鉄』を開発した研究所……だよね?
ISの開発者と言うだけあって、色んな研究所には顔が効くのか…。
この人ってやっぱり凄い人なんだな……。
「リヴァイヴを修理している間、専用機が無いのは不便でしょ?だから、あそこで新しい専用機を受け取るといいよ」
「「新しい専用機!?」」
そ…そんなのが用意されてるの!?
しかも、束さんの口添えで!?
「また無理難題を言ったんじゃないだろうな?」
「そんな事は言ってないよ~。ただ、少しでも作業が早く進められるように、これまでの戦闘データや映像なんかを予め送ってはいるけど」
「お前にしては手際がいいな……」
「かおりんの為だもん」
いや……マジでどこまで先を見据えてるんですか……貴女は……。
この人こそが本当のニュータイプじゃないのか?
もしくはイノベイター。
「よかったら、ちーちゃんも一緒に行ってあげてよ。流石に一人じゃ心細いだろうし」
「そうだな。私も付き添った方が話も早いだろう」
「え~っと……その時はよろしくお願いします」
「任せておけ」
頭を撫でられた。
私が怪我をしているからか、その手つきは優しい。
「倉持技研で新しい専用機……白式の『姉』がかおりんを待ってるよ」
白式の……姉?
「ほぅ?それは興味深いな」
「「「!!?」」」
いきなり後ろから声が!?
しかも、この声って……
急いで後ろを振り向くと、そこには金色の装飾が施された真っ赤な軍服に、真っ白なミニスカートを履いていて、同じように白いブーツを履いた目の部分を覆う仮面をつけた金髪の女の子が悠然と立っていた。
月明かりに照らされて、彼女の金髪が眩しく反射する。
「わ…私が全く気が付けなかっただと……!誰だ貴様は!?」
「き…君は……」
いくら仮面をつけていても、その顔つきと声ですぐに分かった。
「知っているのか…?」
「あ……はい。昨日、千冬さんをマッサージした後に入った温泉で偶然出会って、それで……」
「その通り。昨日は楽しかったな、佳織」
「う……うん…」
昨日の今日で名前呼び…。
別に気にしないけど。
「き…貴様も佳織の裸体を見たと言うのか……!」
「そこに注目するのか?」
あ、呆れてる。
「……なんで」
「ん?」
「なんで君は……
そうだ……私が彼女の事を忘れられないのは、私と同じ声だからだ!
「顔が似てる人間なら少なからず存在する。けど、声まで全く同じなのはおかしいよ」
「その答えは簡単だ」
「どういう意味?」
「
また……!
「それは前にも聞いたけど、もうちょっと分かりやすく言ってくれない?」
「そう言われてもな。私と言う存在を一言で言い表すには、これが最も適切なんだよ」
「別に一言で言う必要はないでしょ……」
詳しく言わないと伝わらない事だってあるよ?
「君は……かおりんのお友達?」
「友達…か。そんな関係になれたらいいとは思うがね」
その言葉は……なんか悲しいよ。
心なしか、表情も暗くなった気がするし。
「それよりも佳織。暑くなってきたとはいえ、夜はまだ冷える。そんな恰好では風邪を引いてしまうぞ」
「あ……ありがとう」
彼女が私に何処からか出した赤い上着を着させてくれた。
「しれっと紳士的行動を……!」
「まるでかおりんみたいだね……」
え?私って普段からそんな風に見られてるの?
こんな時に新発見?
「な…なんか話しが逸れたけど、私としてはもう一つだけ君に聞きたい事があるんだよね」
「一体何かな?篠ノ之束博士」
「こいつ……束の事を……!」
「いや、世界的な有名人だから、知ってても不思議じゃないけど……」
「む……」
生徒に教師がツッコまれてどうするよ。
「……君が福音を暴走させたの?」
「「なっ…!?」」
こ…この子が福音を……!?
ち…違うよね?束さんの早とちりだよね?
「お…おい!私はてっきり束が暴走させたとばかり……」
「いや……確かにやろうと思えば出来るけど、
「今回は?」
「あ……」
自ら墓穴掘りやがった。
あと、あの無人機が束さんの仕業だって私も知ってますよ。
ここでは言わないけど。
「ふむ……」
なんで否定しようとしないの…?
「私と言うよりは……」
彼女の顔が空の方を向く。
「『彼女』だな」
か…彼女?
その時、私達の上にいきなりISを纏った女の子が出現した。
「な…なんだと!?」
「そんな!今まで反応なんて無かったのに!」
月明かりに照らされた丸みを帯びた紫色の装甲。
その形状は今まで見た事のないタイプだった。
「お迎えに上がりました。大佐」
「ご苦労だった」
「大佐……?」
この子の事を言ってるの…?
いや、それよりも!!
「う…嘘でしょ……!?」
「ば…馬鹿な……!」
見覚えのある髪型に紫の長髪……あれは……。
「束さんと……同じ顔……?」
夜は長い。