神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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住めば都のコスモスに君と僕と空と大地と狙われた学園と食後にコーヒーお願いします。(決着編)








第51話 絆と共に

 ま…間に合った…!

皆の戦闘反応を感知して、急いで駆け付けたはいいけど、まさかいきなり一夏と箒が大ピンチになってるなんて思わなかったよ!

しかも、よく見たら福音の様子がなんか違ってるし。

本来なら機械の翼がある場所にエネルギーで構成された光の翼が生えている。

あれがあるって事は、皆の力で一度は福音を撃破したって事だよね?

いや~…マジで凄いわ。本気で尊敬。

 

にしても……咄嗟にセシリアの真似をして狙撃をしてみたけど、まさか本当に命中するなんてね。

偶然ってあるんだね。いやホント。

 

シャア大佐が別れ際に言った『餞別』がまさかコレだったとは思わなかったけど。

 

私が今握っているのは、嘗てアナベル・ガトー少佐がゲルググに搭乗した際に装備していた高出力試作型ビームライフル。

威力は抜群だけど……反動ですっごく腕が痛い!

ISの補助で反動を軽減しているのにだよ?有り得ないでしょ!

撃った瞬間にリアルに腕からミシミシって聞きたくない音が聞こえたし。

 

「佳織……本当に生きてた……!」

「よかった……よかったよぉ……」

 

あ…あれ?なんで泣いてるの?

 

「全く……心配掛けさせるんじゃないわよ……バカ……」

「うぅ……佳織さん……」

「佳織……僕…僕……」

「流石は私の嫁だな!……ぐす…」

「今……分かった。佳織さんこそが本当のヒーローなんだ……」

 

ちょ……皆まで!?確かに心配させちゃったのは悪いと思うけどさ、泣くことないんじゃない!?

え…え~っと……一応…謝った方がいいよね…?

 

「皆……心配を掛けさせてしまって申し訳ない。いや…違うな」

 

こうじゃない。今言うべき言葉は……

 

「心配してくれて……ありがとう」

 

これだな。うん。

 

「「「「「「「佳織(さん)~!!!」」」」」」」

 

一気に涙腺崩壊!?アイエェェェェェ!?ナンデ!?

 

『……………』

 

って、んなコントをしてる場合じゃなかった。

今は福音をなんとかしなくちゃ!

つーか、なんかさっきから静かじゃね?どうして?

 

『……た…ぷ…敵……』

 

へ?今なんて言った?

 

『にゅーたいぷハ敵!!倒スベキ敵!!!』

「「「「「「「「!!!!!」」」」」」」」

 

きゅ…急に口調が流暢になった!?

これもパワーアップの影響か!?

 

「ニュ…ニュータイプ…?」

「アイツは何を言ってるんだ…?」

 

福音が言うニュータイプって……恐らく私の事だよね…。

別に私はニュータイプでもなんでもないんですけど?

私がニュータイプだったら、ビット適正の高い人は皆ニュータイプになっちゃうよ?

 

(けど……これで少しだけ合点がいった)

 

福音が狙っていたのは私個人じゃない。

ニュータイプと言う『存在』を標的にしていたんだ。

理由は不明だけど、私をニュータイプだと誤認しているのが証拠だろう。

 

『目標……排除スル!!!』

 

来る!!

福音の周囲に無数の光の弾が形成されていく。

非常に嫌な予感がしてなりませんが……もしかして……

 

「佳織!!逃げろ!!!」

「今のアンタは本調子じゃないんでしょ!!早く逃げて!!」

 

そいつは……無理な相談ってもんですゼ。

 

私は高出力試作型ビームライフルを収納し、代わりにビームナギナタとシールドを取り出して装備した。

 

「前にも言ったが……奴の狙いは私だ。ここで逃げると言う選択肢は……」

 

福音が周囲に作り出した光球を全て私に向けて発射した!

 

「有りはしない!!!」

 

それに向かってこっちはシールドを前に出しながら突撃!!

今の私は一味も二味も違うんだよ!!

本物の赤い彗星から激励されて、やる気も気力も300%オーバーしてるんだから!!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「か…佳織っ!!!」

 

福音の光の猛襲に向かって、あろうことか真正面から突撃していった佳織。

そんな姿を見せられれば、当然のように全員が声を荒げる。

 

「福音の奴……佳織が復活した途端にあたし達には見向きもしなくなったわね…!」

「何処までも佳織だけを狙っていると言う事か…!」

 

福音から放たれる攻撃をシールドで防ぎながら速度を落とさすに接近していく。

 

「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

そのまま福音に体当たりをかます!……が、福音もそのまま棒立ちはしていない。

佳織が近づいたと同時に、その場から離脱。

上空に逃げてからの射撃に入ろうとしていた。

 

「逃がさん!!」

 

しかし、佳織はめげずに追撃。

シールドを持った腕を思いっきり振りかぶる。

 

「受けろ!!」

 

シールドを手甲代わりにした一撃が福音の顔面にヒットした!

 

「シ…盾打(シールド・バッシュ)だと!?」

 

強烈な一撃を食らい、福音の動きが一瞬だけ静止する。

その僅かな隙を狙ってビームナギナタで切り裂く!!

 

「でえぇぇぇぇぇい!!!」

 

ナギナタを回転させながらの一撃は福音の装甲に確かな傷を与えた。

 

福音を全速力で更に上空へを退避する。

佳織もそれを追う為に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使う!

 

一夏達の遥か上で、赤い軌跡と白い軌跡がとてつもない速度で何度も交差し、その度に火花と激しい金属音が響く。

 

「あの体とあの機体状況で……どうしてあそこまで動けるんですの……?」

「分からん……だが……」

「絶対に無茶をしている事だけは分かるわね……」

 

セシリアとラウラと鈴が拳を握りしめながら呟く。

もしも素手だったなら、間違いなくその手から血が滲んでいただろう。

 

「佳織はきっと……気力だけで自分の体を動かしているんだろう……」

「文字通り……火事場の馬鹿力…ってやつだね……」

「体中にある気力を全て総動員して、やっと動いてる状態…だと思う…」

 

武の心得がある一夏と箒と簪だからこそ分かる境地。

佳織が己の限界の先にある力を振るって戦っているのが容易に想像出来た。

 

「佳織……体中がズタボロに傷ついて……ISだって罅だらけだった……」

 

鈴の言う通り、佳織自身は余り意識していなかったが、実際は体中に生傷や火傷の跡が有り、本来なら破れたりしない筈のISスーツすらもボロボロになっていた。

頭や口の端から血を流しながらも、彼女はいつもと変わらない表情を見せた。

逸れこそが佳織の強さであり、優しさでもある。

 

「……佳織の使っていた装備……あれは……」

「知っているのか?」

「うん…。佳織のリヴァイヴⅡに装着されていたあれは……近接戦闘特化型パッケージの『ムラサメ』だよ」

「ムラサメ…?」

「一部の装甲を厚くして、手持ちの武器は専用の盾とビームナギナタのみ。他にも装備は可能だけど、デフォルトはその二つだけなんだ」

「まるで白式みたいだ…」

「コンセプトは似てるって思う。けど、それよりも気になるのは……」

「あのライフルか?」

 

ラウラの問い掛けに無言で頷くシャルロット。

 

「あれは前にも話したフランスとイギリスが合同で開発した試作武器の一つ。ちゃんとした名前すらも与えられないまま廃棄された筈なのに…」

「威力は凄かったよね…」

「一撃で福音を怯ませたからな」

「威力だけは……ね」

「意味深な言い方をしますわね」

 

上空で戦っている佳織と福音を見ながら呟く。

 

「あのライフルは、非常に威力が高い代償に使い勝手が最悪なんだ」

「と言うと…?」

「銃身が大きくて取り回しがしにくい。更に反動が凄まじすぎる。前に一回僕も試射をしたことがあったけど、その時は危うく肩を脱臼しそうになった程だよ」

「ISの方で反動を和らげるはずじゃ……」

「和らげてソレなのさ。そして、最悪なのは……一度撃つ度に銃身全体を専用の冷却装置で冷やさなきゃいけない。故に連続発射が出来ないんだ」

「見事なまでの欠陥兵器だな…」

「そうなんだ。なんでそんな代物を佳織が……」

 

一通り説明を終えたと同時に、佳織と福音が雲の中に入る。

 

「見えなくなった!」

「だが、雲の中でも音だけは聞こえる……」

 

白い雲がまるで雷雲のように光る。

その度に両者がぶつかっているのが分かる。

 

「我々も行くべきか……!」

「そうしたいのは山々だけど……」

「あの戦闘に介入するのは……難しいと思う」

「私もそう思う…。今の佳織さんと福音は間違いなく国家代表レベル……下手をしたら世界トップクラスの動きで戦っている。私達が行けば却って邪魔になる可能性がある」

「くそっ……!」

「私達は結局……佳織の役には立てないのかな……」

 

悔しさに顔を歪ませて、その目尻には涙が溜まる。

佳織を助けるためにここまで来たのに、最終的には救助対象である佳織に逆に助けられた。

プライドなどではなく、己の非力さに涙が零れてしまう一夏。

 

(君達は……彼女を助けたいと望むか…?)

「え…?」

 

声が聞こえた。

少し渋くて、でも優しさと温かさを感じさせる男の声が。

 

「今の……」

「皆にも聞こえたの?」

「あ…あぁ……」

「幻聴かとも思いましたけど……」

 

彼女達が困惑する中、声の主は構わずに声をかけ続けた。

 

(答えてくれ。君達は彼女……仲森佳織の力になりたいか?)

「そんなの……決まってるじゃない……!」

 

全員の気持ちを代弁するかのように鈴が叫ぶ。

 

「ここにいる皆、佳織の事が大好きなの!!好きな女の子の力になりたいって思うのは当たり前じゃない!!!」

「ちょ……鈴っ!?」

 

未だに自分の気持ちと向き合っていないシャルロットは狼狽えたが、それ以外の面々は揃って力強く頷いた。

 

(……そうか)

 

声は静かに呟く。

 

(どうやら君達の決意と想いは本物のようだ。これならば大丈夫だろう…)

「何を言っている……?」

(今の私には何も出来ない。その資格も権限も持ち合わせてはいない。だが、君達ならば……)

「さっきからなんなの……?」

(『あの男』のように…奇跡を起こせるだろう。想いと絆……その力を今こそ…!)

 

声が聞こえなくなった直後、その場にいる全員の体が急に光りだす。

 

「な…なにっ!?」

「え…えぇぇぇっ!?」

「この現象は一体……!?」

 

やがて、彼女達の全身が光に包まれて、佳織がいる場所へと飛んで行った。

 

(一人で勝てない相手でも、仲間と一緒ならば戦える。佳織…忘れるな。命を懸けて戦う者には、同じように命を懸けて戦う仲間が必ずいるのだと。君は決して…一人ではない)

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

全身が痛みで悲鳴を上げる中、私は必死に福音と戦っていた。

前回の戦闘で余計な知恵を付けたのか、あの厄介な全方位射撃だけでなく、手刀にエネルギーを纏わせた近接戦もこなすようになりやがった。

お蔭で、こっちのビームナギナタが効かないのなんの。

斬りかかると見事に鍔ぜり合って相殺するんだもん。

これじゃあジリ貧ですよ、親方。

 

「雲から出た!!」

 

これで視界が良くなる!

ここから一気に!!

 

「ちっ!」

 

こっちを向きながら器用に撃ってくるし!

自分の背後には海面があるって分かってるのか!?

 

「貴様の射撃はもう見切った!!」

 

いい加減パターンなんだよ!

これに操縦者の意思があったら間違いなく最強だと思うけど、今は暴走した機械に過ぎない。

どれだけ強くても、やっぱりどこかでパターンがある!

これさえ分かってしまえば!!

 

「回避など容易に出来る!!」

 

つーか、実際は一発の被弾が命取りだから、被弾出来ないってのが正直なところ。

なんたって、こっちは半分しかないエネルギーを遣り繰りしながら戦わないといけないんだから!

 

「貴様のような『破壊だけの狂気』に飲まれたりするものか!!!」

 

あと少し……あと少し……!

 

「ここだっ!!」

 

ナギナタが届く距離まで来た!

 

「ここは……私の距離だ!!!」

 

喰らいやがれコンチクショー!!!

ナギナタの片方の刀身を無くし、もう片方にエネルギーを収束させる。

すると、ビームの刃が大きくなって、まるで刀のようになった。

その刃を全力で振るう!!

 

「くらうがいい!!!!」

 

よし……直撃した!!これで……

 

「なっ……しまった!!」

 

福音のカウンターの手刀の一撃によって、左手に装備していた盾が破壊されてしまった!

しかも、そのままこっちの腕を掴まれた!

勿論、次に来るのは……

 

「そう来るか……!」

 

光の翼が私を包み込む。

文字通り、追い込まれたか!

 

「万事休すか……!」

 

今の私がここが限界なのか…!

いや、この程度で諦めたら『赤い彗星』の名が廃る!!

 

「私を倒すのはいいだろう……だが!!」

 

もう一回ナギナタの刃を突き刺す!!

 

「貴様も一緒に連れて行くぞ!!!」

 

死なば諸共!!

せめて福音だけでも!!

 

私が覚悟を決めた……その時。

 

「な…なんだっ!?」

 

いきなり体が光り出した!

しかも、別の幾つもの光が私の中に入ってくる!!

 

「う…うわっ!?」

 

ま…眩し!?

余りの眩しさに目を瞑る。

その光を警戒したのか、福音も私から離れた。

 

光りが止んだ時、私の目に映ったのは……

 

「これは……!?」

 

大きく変化した私の愛機の姿だった。

 

私の周囲にはセシリアのブルー・ティアーズの装備しているビットに酷似した物と簪の打鉄弐式の山嵐によく似たミサイルポッドが浮いていて、右肩付近にはスターライトMK-Ⅲが、左肩にはラウラのシュヴァルツェアレーゲンの大口径リボルバーカノンが装備されている。

肩にはワイヤーブレードが設置してあって、腰には荷電粒子砲『春雷』と、それにくっつくようにして残りのワイヤーブレードがあった。

右腕にはシャルロット十八番のパイルバンカーがどこぞの鋼鉄の狼さんの愛機のように装着してあって、左腕には同じようにアサルトライフルがある。

背部もなんか凄い事になっていた。

私のリヴァイヴⅡに合体するかのようにリヴァイヴ・カスタムのブースターもくっついていたから。

更に、一夏の白式と同じウィング・スラスターに加え、鈴の甲龍の衝撃砲、箒の紅椿の花弁のような大型バインダーが同時に装備されていた。

脚部はリヴァイヴⅡと紅椿を足して2で割ったような形をしていて、僅かではあるが展開装甲から刃が覗いていた。

そして、私の手には雪片と空裂と双天牙月が融合したかのような武器が握られていて、それがそれぞれに2本に分割してあった。

ついでに言えば、さっきから私の体とISが金色に光り輝いています。

 

「皆の機体と私のリヴァイヴⅡが……合体した……!?」

 

今の状態はまさに、そうとしか言いようがなかった。

こんな事は常識的に有り得ない。

もしもこんな芸当が可能だとするならば、それは……

 

「彼女が……!?」

 

あのクソ神の後任になった、私とシャア大佐を会わせてくれたあの子しかいない。

これが本当の神の奇跡……なのか……!?

 

ふと見てみると、機体のエネルギーが全回復している上に、心なしか私自身の体力も元通りになってる気がする。

いや、もしかしたらそれ以上かも。だって……

 

「体の奥底から……力が沸き出てくる…!!」

 

これなら……やれる!!

そう思って武器を構えると、奇妙な声が聞こえてきた。

 

『ちょ…ちょっと!?これってどういう事なのよ!?』

『えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?なんか私達、佳織の中にいるんですけど!?』

 

り…鈴に一夏!?

なんで二人の声が私の頭の中から聞こえてくるの~~!?

 

パワーアップは純粋に嬉しいけど、誰かこの状況を説明して~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一人じゃなくて、皆で決着をつけたい。

そう思っていたら、なんかこうなってました。

でも、悔いはない!!

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