神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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予想外の事があって、ちょっと体力的に余裕が出来たので更新しようと思います。

今日は凄い雨だった……。

家に帰ってきたら、部屋の天井から雨漏りがしてたし……。







第3話 初めての朝

 セルジオ越後~♪(ドラクエの宿屋に止まった時に流れるBGMに乗せて)

ってな訳で、次の日の朝になりました。

 

「うぅ~…ん……」

 

ベッドから起きて、体を思いっきり伸ばす。

そしてカーテンを開けると、眩しい朝日が差し込んでくる。

実に清々しい朝だ。

 

「さて…と。本音ちゃんは……」

「すぴ~…」

 

はい、まだまだ夢の中でした。

 

しかし……彼女はどうして殆ど着ぐるみに近いようなパジャマを着てるんだろう?

別に悪いとは言わないが、寝苦しくないのかな?

 

「本音ちゃん。もう朝だよ。そろそろウェイクアップするがよろし」

「うぅ~……あと五時間~」

「そこは普通、後五分じゃないの?」

 

どんだけ寝る気だよ。

 

仕方が無い。少し強引に行くか。

 

私は彼女の体をゆすって起こすことにした。

 

「ほ~ら!早く起きないと朝ご飯を食べそこなうよ!」

「それは嫌だ!」

 

あ、起きた。

 

「ふぅ……。おはよう、本音ちゃん」

「おはよ~…かおりふぁぁ~…」

 

最後まで言えてないぞ。

 

「まずは顔を洗ってきなよ。服とかはこっちで用意しておくからさ」

「ありがと~。なんか、かおりんってお母さんみたいだね~」

「こんなに手のかかる娘はいりません」

「にゃはは~。じゃ、行ってくるね~」

 

全く…お母さんみたいって……。

実は割と言われ慣れてたりして。

どうやら、私は他から見たら少し世話好きのように見えるらしく、気が付けば同級生からもお母さんと呼ばれて、よくからかわれたっけ。

 

「おっと、こっちも準備しないと」

 

マジで早く行かないと、私まで朝ご飯を食べられなくなる。

今日の授業は確か……

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 食堂に着くと、もう既に結構な数の生徒がいて朝食を食べている。

 

「うわぁ~…本当にいる~」

「でしょ?今度からは、もう少しだけ早起きしようね?」

「は~い」

 

……本当に同年代なのか疑わしくなってくるな…。

 

ここの食堂は販売機で食券を購入し、それをカウンターに出して注文の品を貰うシステムになっている。

私と本音ちゃんも一緒に販売機の所まで行くことにした。

 

「どれにしようかな~」

「朝からガッツリしたものは食べたくないな~…」

 

なんとなくだけど。

私はご飯もパンも両方食べるけど、基本的に朝はご飯は食べない。

食べるとしたら昼か夜だな。

 

「これにしようか」

 

目についたトーストと目玉焼きセットを注文。

ついでにコーヒーも。

 

「かおりんは決めたの~」

「うん。そっちは?」

「私はね~……」

 

少しだけ悩むような仕草を見せると、私と同じボタンを押した。

 

「えへへ~…お揃い~」

 

なにこの可愛い生き物。

 

「じゃ…じゃあ、早く注文しようか?」

「うん」

 

そそくさとカウンターまで行って、食券を出す。

すると、おばちゃんがあっという間に注文の品を出してくれた。

 

「早……」

「予め用意してあるからね。けど、それだけで大丈夫かい?」

「はい。その代わりに昼と夜に食べますから」

「若いっていいね~」

 

そんな貴女も十分に若いと思いますが?

なんて言ったら、また話が長引きそうだったので、大人しく飲み込んだ。

 

トレーを持ってどこか空いている席が無いか探していると、見覚えのある背中を見つけた。

 

「あれは……」

「おりむーとしののん?」

 

……『おりむー』って一夏の事?

そして、『しののん』は箒の事か……?

 

二人は揃って座っていて、もう食べ始めているようだった。

 

丁度いいから、私達も彼女達に便乗することに。

 

「ここいいかな?お二人さん」

「か…佳織?」

「おはよう、佳織」

「おはよ~」

 

二人はどうやら和食セットを食べているようだ。

一夏はともかくとして、箒も相変わらず和食が好きなんだな。

 

「で、ここいい?」

「遠慮せずにいいよ」

「ありがと。じゃ、お邪魔して」

 

私と本音ちゃんは二人の隣に座ることに。

 

「ところで、佳織の隣にいるのは……」

「あぁ…。この子は私のルームメイトの布仏本音ちゃん。まだ完全に覚えてないかもだけど、れっきとしたクラスメイトだよ」

「そ…そうか。早く皆の顔と名前を憶えないとな……」

 

箒は昔から人の名前や顔を覚えるのが少し苦手な傾向があるからな。

ま、少しづつ覚えればいいさ。

 

「布仏本音だよ~。よろしくね~」

「篠ノ之箒だ。こちらこそよろしくな」

「私は織斑一夏。よろしくね」

「知ってるよ~。これから仲良くしようね~、おりむーにしののん~」

「お…おりむー?」

「しののん?」

 

うん、それが普通の反応だと思う。

 

「ところで、二人ともそれで足りるのか?」

「佳織はいつもの事だけどね」

「そうなのか?」

「中学の時はよく佳織の家まで迎えに行くことがあったから。その時に朝食の風景をよく見かけたんだ」

 

普通ならあり得ないかもしれないが、互いに勝手知ったる仲だったし、別に気にしてなかった。

私だってよく織斑家にお邪魔したことがあったし。

 

「佳織は朝食べない分、昼や夜に沢山食べるんだよ」

「それでよく太らないな……」

「私もそう思う。多分、体質じゃないかな?」

「佳織……たった今、世界中の婦女子を敵に回したよ」

「え?なんで?」

 

体質は仕方ないでしょ?

昨今のフードファイターなんて、その殆どが痩せてるじゃん。

それと一緒だって。

 

な~んて話しながらも、ちゃっかりと食事は進めてますよ。

我ながら、結構器用なもんだ。

 

「そう言えば、佳織達は一年寮の寮長って誰だが知ってる?」

「いいや?もしかして…千冬さんだったりする?」

「正解。よく分かったね…」

「一夏がそんな話を振ってくる時点で、なんとなくそんな気はしてた」

「佳織は本当に勘が鋭いな…」

「そう?」

 

普通に推理すれば分かりそうなもんじゃない?

 

「おぉ~…かおりんはちょーのーりょくしゃだったのか~」

「いやいや」

 

超能力って…。

偶々答えが当たった程度でそう言われてもな。

 

こっちが苦笑いをしていると、そこら辺からひそひそ声が聞こえてきた。

 

「ねぇ…あの子が…」

「うん、聞いた聞いた」

「代表候補生と試合をするんでしょ?勝ち目なんてあるのかな?」

「いや、普通に考えて勝率なんてゼロに等しいでしょ」

 

ははは……言われてますなぁ~。

 

「…気にするな佳織」

「そうだよ。あんな高飛車女になんか絶対に負けないって」

「どこからその自信は出てくるんだ…」

 

少なくとも、私には勝てる見込みも根拠もない。

無様に負けるビジョンしか頭に浮かばないよ。

 

1週間後の試合の事を考えると、ふと思い出すのが実技試験の時の事。

 

あの時の私は凄く緊張していて、手も足もガタブルだった。

しかも、その時の試験官が千冬さんだと知って、更に緊張が悪化。

最終的には胃まで痛くなった。

 

試験が始まって、千冬さんが剣を構えて凄い形相で突っ込んでくるもんだから、私は怖くなって思わず後ずさり。

その時に足がもつれて倒れそうになったのだが、それが結果として千冬さんのファーストアタックを回避することになった。

偶然って恐ろしいもんだよ。

その後も、恐怖から腕で顔を覆ったりして、その瞬間に腕の装甲に振動が走ったり、反射的に体を縮めこもうとして、自分の体があった場所を剣が通過したりと、私的には恐怖体験の連続だった。

正直な事を言うと、もう二度とISの試合とかしたくない…。

あの実技試験は私のトラウマになったよ…。

 

(でも、やるって決めちゃったしな~…)

 

自分で自分の言った事を覆すような真似だけはしたくない。

確かに私はドジでマヌケでヘタレだけど、自分に嘘をつくのは嫌だ。

やれるだけやって、後の事はそれから考えよう。

 

「って言うか、早く食べないと朝のホームルームに遅れるかも」

「そうだな…と言っても、もう食べ終わるがな」

 

私達四人の皿はもう空寸前だった。

あと一口二口食べれば終了だ。

 

ささっと食べ終えてから食堂を後にすると、案の定と言うべきか、ジャージ姿の千冬さんが食堂に行く姿を目撃した。

その後、食堂の方から『いつまでちんたら食べている!!食事はいつも迅速に効率よくとるようにしろ!!もしも遅刻したら、グラウンドを10周させるぞ!!』って叫び声が聞こえてきた。

それを聞いて、私達は早く食べてよかったと心底思ったのだった。

 

やっぱ、怒った千冬さんって怖え~…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 早くも今日の授業の内の二時間が終了し、今は三時間目。

授業を受けながら、これから何をすればいいか考えたが、素人染みた事しか浮かばない。

体を少しでも動かして体力を付けたり、放課後に授業以外にも勉強して、知識だけでも身に着けるとか。

付け焼刃だと分かってはいても、この程度しか思いつかない自分が腹立たしいよ…。

 

けど、そんな事を考えている間も授業は進んでいくわけで。

 

「そんな訳で、ISは宇宙空間での作業を前提として制作されていますので、操縦者の全身を特殊なエネルギーバリアで覆っています。また、生体機能の補助をする役割もあり、ISは常にパイロットの身体を安定した状態に保ちます。これには主に心拍数や脈拍、呼吸量や発汗量なども含まれていて……」

 

この辺りはもう予習で勉強してるから、私としてはこの授業の内容は復習に近いんだよな~。

だからこそ、私は他の事を考える余裕があるんだけど。

 

なんか女子達が山田先生に向かって変な質問をして、それに対して山田先生も慌てながら変な例えで答える。

それによって、教室全体が変な空気に晒されることに。

あぁ……これが女子高特有の空気ってヤツか。

今までは共学しか行ったことないから、なんか新鮮だな。

 

教室の後ろの方で授業を見ている千冬さんの咳払いで空気が再び引き締まり、授業が再開する。

 

そんな事が何回か繰り返された後に授業が終了。

これでいいのかと思った私はおかしいのだろうか?

 

「次は空中におけるISの基本制動の方法をしますからね~」

 

まだその辺りか。

私はもうちょっと先までやってるぞ。

 

授業が終わってすぐ、皆は各々にグループに分かれる……と思っていたが……

 

「ねぇねぇ!仲森さんって強いの!?」

「今度の試合、私は応援してるからね!」

「大丈夫!きっとなんとかなるよ!」

 

なんでか皆が私の所に殺到。

そこまで注目するような事?

 

「今朝さ、織斑さんや篠ノ之さんや本音ちゃんと一緒に食べてたけど、あの三人とは仲いいの?」

「まぁ…一応。一夏と箒は幼馴染だし、本音ちゃんはルームメイトだから…」

「へぇ~…そうなんだ~」

 

お願いだからあっち行って!

私のようなコミュ症にはこの状況は非常にキツイ!!

今はなんとか笑顔で誤魔化してるけど、実はヒクヒクしてます。

手は冷や汗でびしょびしょだし。

誰でもいいからボスケテ~!と思って一夏や箒の方を見ると……。

 

「は…入れない…」

「佳織ぃ~…」

 

二人もこの人だかりに困っているようで、本音ちゃんに至っては……

 

「す~…」

 

寝てるし!!

この喧噪でよく寝れるな!?

本気で感心するわ!!

 

おのれ~…私に救世主はいないのか!?

 

「お前達……」

「あ……」

 

お~い…みなさ~ん…後ろ~……。

 

「「「「「へ?」」」」」

 

次の瞬間、私の周りに群がっていた女子達の頭に出席簿が振り下ろされ、教室に凄い音が鳴り響いた。

 

「休み時間はもう終わりだ。とっとと席に着け」

 

ち…ち…ち…千冬さぁ~ん!!

今のこの瞬間、千冬さんが誰よりも眩しく見えた。

 

皆は蟻の子を散らすかのように、自分の席に戻っていった。

よ…よかったぁ~…。

 

「大丈夫か?」

「はいぃ~…」

「そうか」

 

なんかそっけないけど、今の私にはそれだけでも有難いですぅ~。

 

(私の佳織を困らせおって…!これからは少し厳しめにいくか?)

 

なんだろう……どこかでこのクラスのハードモードが決定したような気が……。

 

全員が席に着いたことを確認してから、千冬さんも教壇に立った。

 

授業の挨拶をして、席に座って教科書を開こうとしたら、なんか千冬さんがこっちを見ていた。

 

「授業の前に仲森と織斑。お前達に知らせる事がある」

「「はい?」」

 

知らせる事?

このタイミングなら……一夏の専用機『白式』の事か?

あれ?でも私の事も言ったよな?

 

「今回、お前達には特別にISが用意されることとなった」

「「えぇっ!?」」

 

一夏だけじゃなくて、私も!?

 

「ど…どういう事ですか?」

「入学試験の際に行った実技試験。あれを委員会のお偉いさんが見ていたらしくてな。そこで活躍した織斑に試作機のテストパイロットをしてもらいたいそうだ」

「私がテストパイロット……」

「そうだ。これは依怙贔屓などではなく、純粋にお前の実力と努力が認められた結果だと思え」

「分かりました!」

 

実技試験で活躍って……一体何をしたん?

 

「あの~…一夏は今の理由で納得しますけど、どうしてそこに私の名前も挙がるのでしょうか~?」

「その理由はいくつかある。まず一つ」

 

何個もあるのかよ…。

 

「お前のIS適性が高かったことだ」

「私の適性が?」

 

そういや、入学時に色々と調べていたっけ。

私の適性は~……なんだったっけ?

 

「先生。仲森さんのランクが高いって、どれぐらいなんですか?」

「仲森のIS適性はA+だ」

「「「「おぉ~!!」」」」

 

A+って…世界中の専用機持ちの殆どがそのレベルだったよな?

あれ?じゃあ私って適性だけは高いってこと?

何よ、その宝の持ち腐れは。

 

「それと、委員会の方々がお前の将来性に期待したからだ」

「は…はい?」

 

将来性とな?

 

「結果はどうあれ、お前の動きを見て、委員会がお前に専用機を与えてもいいと判断した」

 

いやいや、別に判断なんかしなくていいから。

私になんか期待するだけ無駄だって。

今からでも遅くないから、考え直そうよ。

 

「と言っても、お前の場合は織斑のようなワンオフの機体ではなく、量産機の改造機のようなものだがな」

 

気にするなと言っているようにも聞こえるが、私的には充分すぎるぐらいに分不相応ですから!

 

「本来ならば国家や企業に所属する人間にしか用意されないのだが、お前達二人はIS委員会から機体のデータ収集の為のテストパイロットとして起用された。だが、あくまでテストパイロット。機体はお前達に譲渡するのではなくて貸し与えるのだと言う事を忘れるなよ?」

「「はい」」

 

ISを個人で持つとか、絶対に不可能でしょ。

ISのコアは世界中に467個しか存在せず、そのコアを製造出来るのは束さんだけ。

肝心の束さんはなんでかISのコアを必要以上に作ろうとはしないし。

その明確な理由はよく分かっていない。

だからこそ、ISの専用機を持つ存在は一種のエリートのような扱いを受けている。

セシリア・オルコットも、自分の事をエリートだと思っている類の人種だろう。

 

「いいなぁ~…専用機……」

「この時期に与えられるなんて、二人ともどんな試験だったのかしら?」

「やっぱり、仲森さんって凄かったんだ…」

 

また私に対する評価が無駄に高くなりそう……。

けど、事実を知った時にその夢は醒めるだろう。

そうなれば、また静かな毎日が帰ってくる。

 

「話はここまでだ。では授業を始める」

 

あれ?ここで箒が束さんの妹だっていう話が来るんじゃないの?

でもあれって、一夏が教科書を読んで束さんの名前が出て、その流れで箒の話になったんだっけ。

今回は教科書を読んでないから、その流れにならなかったのか。

普通なら名字で気が付きそうなもんだけど、皆なりに気を使っているのか?

 

けど、専用機…か。

どう考えても面倒くさい事になるだろうな…。

神の意思はどこまで私を玩具にするきだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




基本的に原作に沿っていくため、進み具合はスローになりますね。

実は佳織の専用機は2種類考えていて、これによって展開がギャクかシリアスかに完全に分かれるんですよね。

本当に迷いましたが、結果的にギャグルートを選びました。
こっちでもシリアス展開は多少はありますけどね。

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