神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる 作:とんこつラーメン
臨海学校二日目。
今日は終日ISの各種装備試験運用とデータ採取が行われる予定だ。
私を初めとした専用機所持者はそれぞれの国や企業から大量の装備が送られてきているから、凄く忙しくなりそう。
多分、私のバリスティック・リヴァイヴにも色々と送られてきてるんだろうなぁ~…。
そんな風に考えている間に、ラウラが千冬さんに怒られながらISのコア・ネットワークに関しての説明をしていた。
なんでそんな事をしているのかと言うと、それはラウラが珍しく遅刻してきたから。
現役軍人と言う事もあって、普段から几帳面な性格をしている彼女にしては珍しい事だ。
「よし。その辺でいいだろう。今後はこんな事が無いように」
「は…はい!」
あ、どうやら終わったみたい。
「では、これより各班ごとに振り分けられたISの装備試験を開始するように。そして、専用機持ちは送られてきた専用パーツのテストを行え」
千冬さんの言葉に、その場に揃った皆が同時に返事をする。
私達が今いる場所はISの試験用に用意されたビーチで、周囲の四方が切り立った崖に囲まれていて、ちょっとした隔離空間になっている。
これは多分、試験中に外部からの介入が無いようにする為だと思う。
中には、そんな事を無視してやって来る人もいるけどね…。
敢えて誰とは言わないけど…。
「私ってどうなるのかな?やっぱりデュノア社から送られてきてるの?」
「まぁ…一応ね。佳織にはデュノア社で開発されたリヴァイヴⅡ専用のパッケージが送られてきてるよ」
「……例えば?」
「遠距離戦に特化した『ハーフキャノンパッケージ』に、空中に機雷を散布する『マインレイヤーパッケージ』、脚部と背部ブースターを高機動タイプに換装した……」
「も…もういい……大丈夫……」
そういや、ラファールⅡのモデルになったザクⅡって、想像以上にバリエーションや発展機、後継機があるんだよね…。
まさかとは思うけど、それら全てを再現しよう……なんてことは無いよね?ね?
今回はISの稼働を行うが故に、皆がISスーツを着用をしているんだけど……
(違和感無さすぎ)
やっぱISスーツって水着以外に見えないよ…。
こういった場所だと特に。
「あぁ…そうだ。篠ノ之。お前はちょっとこっちに来てくれ」
「…?はい、わかりました…」
箒が呼ばれた…。
やっぱり……
「急な話でアレだが、お前には今日から専用k「ち~~ちゃ~~~~ん!!!」……」
……はい、案の定のご登場。
私的には驚きよりも呆れの方が強いけど…。
妙な地響きを立てながら、砂煙と共に誰かが全速力で走って来た。
普通ならあり得ない速度ではあるが、その素性を知っている者からすれば『あの人だから』の一言で全てが納得できてしまうから嫌だ。
「……来たか」
この様子……初めから来ることを知っていたな?
多分、私達が知らない所で勝手に連絡をしてきたんだろう。
禁止区域もなんのその。
『そんなの関係ねぇ!』と言わんばかりにやって来た、自他共に認める天才科学者であり、ISの生みの親でもある『篠ノ之束』さん。
この人にルールを求める方が無理ってもんか…。
「…と見せかけて!本命は……」
……猛烈に嫌な予感がするんですけど……。
「かおり~~~~~~~ん!!!!!本当に会いたかったよ~~~~~♡♡♡さぁ!思う存分ハグハグしよ!そして愛を確かめ合って、最終的には一緒に大人の階段を……」
「やめんか」
私に飛びつこうとした束さんを、いつの間に眼前にいた千冬さんが片手でダイレクトキャッチ。そこから流れるようにアンアンクローに。
「ぐにゃ~~~~~~~!?潰れる潰れる!!束さんの脳みそがプレスされるぅ~~~!!!」
「因果応報。佳織に飛びつこうとしたからだ」
「だってだってだって!今までずっと会えなかったんだよ!?私の中ではとっくの昔に『かおりん分』が枯渇しているのだよ!」
「その気持ちは分かるが、かと言って飛びつくのはやめろ。佳織が怪我したらどう責任を取るつもりだ」
「それは勿論、同性婚が可能な国に行って夫婦の契りを…」
「させると思うか?」
「ぎにゃ~~~~~~~!?パワーが増したぁ~~~~~~!?」
……何…この茶番…。
「……どうする?」
「ほっとけば?」
「右に同じ」
「おふ……」
し…辛辣だな……この妹コンビは…。
他の皆は目が点になってるし。
完全に置いてかれてるよ…。
少しして、ようやく束さんの顔を離した。
着地した束さんは私と一夏、箒の方を向いてニッコリと笑った。
「改めて…やぁやぁ!久し振りだね!箒ちゃんにいっちゃん!そして愛しのかおりん!」
「久し振りです、束さん」
「姉さんはもう少し大人しく現れる事は出来ないんですか?」
「そんな事をしたら私が私じゃなくなっちゃうよ。ド派手な登場は私の
「意味不明な事を言うな」
どんだけ派手好きなんだよ。
「むむむっ!?かおりん……」
「な…なんですか……?」
束さんの視線がある一点に注目される。
何処を見て……って!
「やっぱり!去年よりも約3・25センチ程おっぱいが大きくなってるね!?」
「い…いきなり何を言ってるんですかっ!?」
ここには私達以外にも沢山いるんだよ!?
「3センチ……」
「赤い彗星は体の成長も3倍…?」
「……どうして同じ成長期でも、こんなに違うのかしら……」
案の定のように聞かれてるし!
「では早速、私の手で直接かおりんの成長を確かめ……ぶごっ!?」
あ、一夏と箒の鉄拳が束さんに直撃した。
「「殴りますよ?」」
「せめて殴る前に言って!?」
……実の妹である箒はともかく、一夏まで拳を振り上げるなんて…。
なんか最近の一夏って、段々と千冬さんに似てきてない?
「あ…あのぉ~…一応、この合宿は規則で関係者以外の立ち入りは……」
「何を言ってるのかなメガネボインちゃん。規則とは天才が生み出すもの。つまりは私の意思こそが最大の規則なんだよ」
あんたはどこのジャイアンですか。
「そ…そう…ですね……あぅ~…」
あらら…山田先生が涙目に。
これはちょっと可哀想かも。
「あ~…よしよし」
「仲森さぁ~ん……」
思わず頭を撫でてしまった。
でも、この保護欲には抗えない…。
「むむむ~…!かおりんに頭を撫でて貰うなんて…いいなぁ~…。やっぱりかおりんは胸が大きい子が好きなのかな…?箒ちゃんもいっちゃんもちーちゃんも皆ボインだし…。だったら私にもチャンスあり?」
そこ、なに俯いて呟いてるんですか。
ボソボソ声でよくは聞き取れなかったけど。
「かおりん!束さんも頭なでなでして~!」
「え!?」
「いきなり何を言っている。そんな事よりも自己紹介ぐらいしろ。生徒達がポカンとしている。(佳織に頭を撫でて貰うなんて、私ですらして貰った事が無いんだぞ!!させてたまるか!!)」
「え~!?私的には自己紹介なんかよりもかおりんの頭なでなでの方が何百倍も重要なんですけど~?」
「くっ……!」
千冬さんが悔しそうな顔をしているけど……ツッコまないからね。
「し…仕方が無い……仲森……やってやれ」
「はぁ……」
私なんかに頭を撫でられて、一体何が楽しいのやら。
「これでどうですか?」
「えへへ~♡」
心底嬉しそうにしちゃって。
……そんな顔をされたら、何も言えなくなるじゃん…。
「満足したか?」
「大満足です!!!」
「そうか…。(私も後で絶対頭をなでなでしてもらおう!)」
この言い知れない悪寒はなに?
「今の私は気分がいいから、仕方なく自己紹介をしてあげましょ~。かおりんに感謝するんだね」
「とっととしろ」
「はぁ~い。私が君らもよく知っているISを開発した天才科学者『篠ノ之束」だよぉ~ん」
思ったよりも普通に自己紹介したな。
てっきり名前だけ言って終わりかと思ってた。
「「「「「「………………」」」」」」
まぁ…当然の反応だよね。
世界的超有名人が自分達の目の前にいるんだから。
そりゃ、皆の目がさっき以上に点になるのは当たり前だ。
「お前……頭でも打ったか?」
「失礼だな~。私だって人並みの自己紹介ぐらいは出来るんだよ?」
「え…………?」
「お願いだから、その目だけは勘弁してください」
いや……私達も同じ反応だからね?
「し…篠ノ之…束博士…!?」
山田先生に至ってはめっちゃ驚いてる。
これがもしギャグ漫画なら目が飛び出してるシーンだな。
「山田先生。基本的にこいつの事はシカトしてくれて構わない。貴女は他の生徒達のサポートを頼む」
「わ…分かりました……」
トボトボと山田先生がこの場から離れていった。
「ねぇ……あの眼鏡の子さ……明らかに私達以上に
「言うな。それは本人が一番自覚している」
誰のどこの事を言っているのやら。
「それで?お前が言っていた物はどこにあるんだ?」
「それなら既に準備しているよ。では…皆さん揃って空を見よ!!」
空とな?
この場にいる皆が揃って上を見上げるけど、そこには何にも無い。
「………何も無いですよ?……って!?」
疑問に思って視線を降ろして束さんの方を見ると、いつの間にか目の前に鏡面体の逆ピラミッドのような形をした金属の塊があった。
音も無く現れたソレに、思わず後ずさりしてしまった。
「驚いた?」
「フン!」
「あ痛!?」
出ました。伝家の宝刀『織斑先生の出席簿』。
「普通に出せ」
「え~?」
「二回目は無いぞ…?」
「すいませんでした」
平謝りしたし。
相当に痛かったんだろうな…。
「じゃ…じゃあ、お披露目するね…」
急に大人しくなった。
流石の束さんも、これ以上ふざけたら千冬さんの逆鱗に触れるって思ったんだろう。
賢明な判断だ。
「おーぷんせさみ」
いきなり意味不明な事を言ったと思ったら、目の前の金属の塊がパタパタと開いていって、中身が明らかになった。
「はい。これこそが私が一から設計・開発した箒ちゃんの専用IS。機体名は『紅椿』だよ!」
「せ…専用機……?」
箒が汗を掻きながら目を思いっきり見開いている。
そりゃそうだ。
いきなり専用機あげますよって言われても、混乱するのが普通だ。
私だってそうだった。
「な…なんで私に……?」
「う~ん…。それを語るには長くなるんだけど……」
「私から説明しよう」
「織斑先生……?」
ここで千冬さんが出てくる?なんで?
「実はな、前々から篠ノ之には専用機を持たせようと思ってはいたんだ」
「知らなかった……」
「不本意かもしれんが、お前はこの束のたった一人の妹だ。キツイ言い方だが、こいつの頭脳を欲している連中からすれば、明確な自己防衛力の無いお前は束のウィークポイントであると同時に格好の獲物になるわけだ」
「……………」
「それに関しては日本政府やIS委員会も考えていたらしくてな。話し合いの結果、お前に専用機を持たせて、これまで以上に防衛力を高めようと言う結論に至ったのだが……」
「何処の誰が製造したか分からないISに箒ちゃんを乗せるとか有り得ないし。それなら私が作るって自分から言い出したの」
「随分と時間は掛かったようだが、ついこの間、ようやく完成したと束から連絡が来てな。この臨海学校で渡す手筈にした……と言う事だ」
原作みたいに束さんが身内贔屓したわけじゃないんだ…。
ここまで明確な理由があると、ぐぅの音も出ないな。
「本当はかおりんの専用機も私が作りたかったんだけど、先を越されちゃったからね~。仕方なく諦めたよ」
「そ…そうですか……」
よ…よかった…。
この人の事だから、滅茶苦茶ピーキーな機体を作るに違いないからな。
今更ながら、ラファールⅡで本当によかったよ。
「そんな訳だから、早速フィッティングとパーソナライズを始めるよ」
「は…はい」
オドオドとしながら、箒は紅椿に近づく。
すると、紅椿の装甲が割れて、操縦者が搭乗出来るような状態になる。
「あ…そうだ。ほっちゃん……布仏本音ちゃんはいるかな?」
「わ…私…ですか?」
いきなりの本音ちゃんご指名?
本音ちゃんは他の子達に混ざって作業をしようとしていた。
「ほ…本音。篠ノ之博士と知り合いなの?」
「ほんの少しだけ……」
昨日、数分だけの出会いだったけどね。
「布仏を呼んで何をする気だ?」
「別にぃ~。ちょっと手伝って貰おうと思って」
「なに?」
本音ちゃんが束さんの手伝いを…?
「ほらほら!来て来て!」
「は…は~い…」
困惑した表情でこっちに来る本音ちゃん。
大丈夫。意味不明なのは君だけじゃないよ。
「一度、間近で君の作業を見てみたかったんだよ。頼めるかな?」
「は…はい…です…」
流石の本音ちゃんも、束さんの前じゃいつもの調子が出ないか。
これじゃあ、ヤバいかもしれないな。
「本音ちゃん」
「かおりん…?」
「大丈夫。私も傍にいるから」
「………うん!」
元気づけようと思って、近づいて肩を軽く叩いて励ましたら、一気にいつもの調子に戻った。
これでこそ本音ちゃんだ。
「……本当にかおりんは凄いね…。この束さんも、かおりんにだけは一生敵わない気がするよ……」
……?束さんがいつもとは違う、大人びた綺麗な微笑みを浮かべながらこっちを見てる。
いつもこんな風な感じだったら、私も少しはこの人に対して違う感情を抱いていたかもしれない…。
「じゃあ、始めようか」
さてはて、この意外な組み合わせはどんな化学反応を起こすのやら。
紅椿の性能と同じぐらいに興味がある。
原作よりもマイルドな束。
これも佳織の影響でしょうか?