神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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よし決めた。いつか必ず何らかの形でハマーン様を出そう。







第39話 大人の魅力と和の心

 木陰でかき氷を食べていたら、いきなりの千冬さん登場。

私もそうだが、他の皆も驚きを隠せないようだった。

 

「どうしたの?佳織」

「ふ…ふぇ?」

 

突然シャルロットに話しかけられたから、変な声が出ちゃった。

 

「かき氷を食べているのか?」

「は…はい」

「ふむ……」

 

な…なんだろう……。

別に千冬さんと話こと自体は珍しくもなんともないのに、どうしてこんなにもドキドキするのかな…。

お互いに水着を着ているから?

 

「私にも一口くれないか?」

「え……え?」

「「「「えええぇぇぇぇええぇぇ!?」」」」

 

び…びっくりした…!

なんで皆して急に大声だ出すの?

 

「なんだ、駄目なのか?」

「そ…そんな事は無いですよ?」

「じゃあ、少し失礼するぞ」

 

ちょ……隣に座るんですか!?

 

「どうした?」

「あ……いや……」

 

座ると同時にしれっとこの人、私に肩を寄せているんだよな…。

うぅ……なんかいい匂いがするし……。

 

えっと……ここからどうすればいいのかな?

このスプーンをあげればいいの?

 

「食べさせてくれ」

「………はい?」

 

なんて言いました?この人…。

 

「だから、食べさせてほしいと言っている」

「それってつまり……俗に言う『はいあ~ん』ってヤツですか?」

「その通りだ」

 

この人はなんちゅー事を言い出すかな突然!!

ほら、他の皆も目が点になってるし!

いや、ラウラだけはなんでか目をキラキラさせてこっちを見てるけど…。

 

「わ…私もしてほしいぞ!佳織!!」

「ふふ……私の後でして貰え」

「はい!!」

 

綺麗な敬礼乙。

つーか、もうすることは確定なのね…。

 

この陽気で脳がどうにかしちゃったのか?

明らかにいつもの千冬さんとは違う気がする。

 

(私の大人の魅力で一気に小娘共から引き離してくれる!見ていろよ…お前達!)

 

……これが千冬さんの本性じゃないと信じたい今日この頃です。

 

多分、するまで離れてくれそうにないし……ここは覚悟を決めるしかないのか…!

 

「わ…分かりました」

 

スプーンでかき氷を一口梳くって千冬さんの方に向ける。

 

「あ…あ~ん…」

「あ~ん」

 

あ…食べた。

 

「………やはり、お前に食べさせてもらうと、美味いな…」

「ソーデスカー」

 

もうどうにでもなれ~!ははは~!

 

「あ…あの…佳織?僕もいいかな…?」

「な…何を?」

「その…さっき織斑先生にした……」

「あ~……」

 

シャルロットよ、お前もか。

 

「かおりん~。私も~」

「はは……はいはい」

 

この流れから察して、本音ちゃんも言うと思ってたよ。

 

「あぅ………」

「………簪もいる?」

「え……でも……」

「もうここまで来たら遠慮なんてしなくてもいいよ」

「そ…それじゃあ……お願いします……」

 

結局、私のかき氷は一口ずつ皆の胃袋に収まる事になった。

これぐらいなら気にはしないけど、私も少し皆のやつを食べたくなってきた。

 

「じゃあ、私も皆のかき氷を一口食べてもいいかな?」

「「「「も…勿論!!」」」」

 

おふ……凄い反応。

試しに言ってみただけなのに……。

 

「なっ……!」

 

で、逆に千冬さんは戦慄してるし。

 

(し…しまったぁ~!!佳織に食べさせてもらう事ばかりを考えて、私が佳織に食べさせることをすっかり忘れていた!!こんな事なら私もここの来る途中でかき氷を買ってくればよかった…!)

 

やっぱり、千冬さんもガッツリとかき氷を食べたかったのかな?

今からでも遅くないから、買ってくればいいのに。

 

「あれ?皆さん揃ってどうしたんですか?」

「真耶か」

 

山田先生もご到着ですか……って、なんじゃこりゃ!?

 

「…?どうしました?仲森さん」

 

山田先生はレモンイエローのビキニタイプの水着を着ていたが、その破壊力が半端じゃなかった。

唯でさえ普段から服越しに壮絶な破壊力を誇っていたのに、それが水着姿になっただけでこうなるのか!

もう一歩一歩歩く度に揺れまくってるし!

完全にこれは反則でしょ!!

 

「こ…これは……」

「まさに規格外……」

「嘘……でしょ…?」

「わぁ~……」

 

私も結構大きい人達を知ってはいるが、これは間違いなく過去最強の大きさだ。

山田先生って本当に日本人?実は外国の血が混じってますとかって言われても驚かないレベルだよ?

 

「あ!かき氷ですか?懐かしいなぁ~」

「これなら海の家に売ってありますよ」

「そうなんですか?買ってこようかなぁ~」

 

前屈みになると谷間が強調されて、破壊力が二倍どころか二乗になってます。

 

「真耶……貴様、喧嘩を売ってるのか…?」

「えぇぇぇっ!?別に売ってなんかいませんよ!?」

 

千冬さんが凄い形相で山田先生を睨んでるんですけど…。

さっきまでビーチバレーをしていた皆も、思わず固まってしまっているし。

 

「あ…あれがIS学園の先生の実力……!」

「織斑先生も凄いけど、山田先生はその上を行くって言うの…!?」

「じ…次元が違う…!」

 

一部の女子なんて、砂浜に手をついて落ち込んでるし。

 

「……豊胸手術っていくらするのかな……?」

 

こらそこ!それに走ったら色んな意味でおしまいだぞ!!

 

「皆さんはどうしたんですか?」

「気にしない方がいいですよ」

「そ…そうですか?」

 

理由を聞いたら、また恥ずかしがると思うし。

ここは黙って口を閉じるのが優しさだ。

 

あ、早くかき氷を食べないと溶けちゃう。

急いで口の中に入れたせいで、頭がキーンとなった。

 

「くぅぅ~…。きくぅ~……」

「でも、その痛みもある意味で夏の風物詩」

「だよね~。私も分かるよ~」

 

これぞ日本の夏!って感じだよね。

 

その後、かき氷を食べていたの他の皆も同じ様にキーンを味わっていた。

 

「い…痛い…!?」

「こ…これは一体……!」

「にゃはは~!痛いね~!」

 

……本音ちゃんはなんでも楽しめるんだな~…。

それこそがこの子の最大の強みかもしれない。

 

「ん?」

 

かき氷を食べ終わると同時にお昼になったことを知らせるサイレンが鳴った。

もうそんな時間なのか。なんかあっという間に午前が過ぎていったな。

 

「お昼になったみたいだね。食べに行く?」

「うん。やっぱりこれだけじゃお腹は膨れないしね」

「日本のリョカンの料理か……興味があるな」

「お刺身は食べれるかな~?」

「それは夕食の時じゃない?」

 

でも、お昼にお刺身ってなんかブルジョワみたいでいいよね。

もしもあったら食べるかも。

 

「私達も行くか」

「そうですね。仲森さん、私達もご一緒してもいいですか?」

「いいですよ。断る理由なんてないですし」

(やった!ナイスアシストだ!真耶!)

 

なんで千冬さんは向こうを向いて小さくガッツポーズしてるの?

 

そんな訳で、皆揃って旅館の食堂で昼食を食べる事に。

その途中で一夏と箒、そしてセシリアと合流した。

一夏はあの後、箒を探していて、その後はずっと行動を共にしていたらしい。

セシリアは鈴を別館に連れて行ってから、また浜辺に戻ってきたみたい。

私達の所に向かおうとしたところでお昼になったらしい。

 

食堂では鈴とも会ったけど、どうやらもう大丈夫みたい。

セシリアの事をすっごい目で睨み付けてたけど。

 

お昼に食べたのは奮発してお刺身定食にしたが、これがまた凄く美味しかった。

まさか、口の中で蕩けるお刺身を本当に食べられるなんて…。

あれと同じようなものをまた夜に食べられると思うと……じゅるり。

おっと、涎が……。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 気が付けばもう夜。今の時間は大体19時30分ぐらい。

私達生徒は大広間を3つも繋げた大宴会場と言う場所で豪華な夕食に舌鼓を打っていた。

 

「美味し~♡お昼に食べたお刺身も絶品だったけど、これもまた最高~♡」

「確かに。こんなにも高級な食事なんて、もう二度と食べれないかも…。よく味わって食べないとね」

 

さっきから一夏は一口一口をよく味わいながら食べている感じ。

気持ちは分かるけど、そこまでしなくてもいいんじゃ?

 

因みに、今の私達は全員が浴衣を着ている。

意味不明だけど、昔からあるこの旅館の決まり事みたいで『食事中は浴衣着用』が絶対らしい。

別に気にはしないけど、どんな理由でこうなったのかは知りたい。

 

ずら~っと並んでいる私達一年生はお座敷に座っているので、当然のように皆正座で座っている。

皆の前にはそれぞれに一善ずつ食事が置かれている。

肝心のメニューはと言うと、基本的にお刺身と小鍋、そして山菜の和え物が2種類ある。トドメに赤出汁のお味噌汁にお新香。

こんな風に言うと普通に聞こえるかもしれないけど、実はこのお刺身が『カワハギ』だから驚きだ。しかもキモ付き。

幾らIS学園が特殊とは言え、私達自体は一介の高校生と大差無い。

それにここまでして大丈夫なの?ちょっと贅沢すぎやしませんか?

 

「お昼に佳織が美味しそうに食べていた理由が分かった気がするよ。これは確かに美味しいね」

「でしょ?和食が世界中で人気があるのも納得だよね。食に国境は無いって本当だって思うよ」

 

明日も同じ様なものを食べれると思うと、自然とテンション上がるな~♡

 

私の右隣にはシャルロットが、左にはセシリアがいて、正面には一夏が座っている。

だからこそ分かるのだけれども、さっきからセシリアが辛そうにしていた。

 

「だ…大丈夫?」

「ご…ご心配は無用ですわ……」

 

そう言いながらも、額に脂汗が出てますよ。

まぁ……本人の意思は無下に出来ないから、今はまだ何も言わないでおくけど。

 

「ねぇ一夏。これって本わさだよね?」

「うん、間違いないよ。こんな細かい所にまで高級食材を出すなんて…」

「本わさって?」

 

あぁ~…シャルロットはフランス生まれだから知らないのは当然か。

 

「本わさって言うのは、所謂『本物の山葵』を摩り下ろしたモノの事を言うんだよ」

「ほ…本物?それじゃあ、学園の食堂によく出てくるお刺身定食についてくるワサビって……」

「あれは練りわさ。色々と着色をしたり、他のものを合成したりして見た目や色、味なんかを似せているの。原材料は確か……」

「ワサビダイコンやセイヨウワサビだね。純粋な日本製の山葵を100%摩り下ろしているのとは何もかもが違うよ」

 

そうなんだよね~。

別に摩り下ろさなくても、天ぷらにしたりそのまま食べても美味しいし。

練りわさのせいで山葵=辛いってイメージがあるけど、本場の山葵は全く辛くない。

あれは摩り下ろした時に辛味成分が出てるだけ……だったっけ?

 

「じゃあ、これこそが本場のワサビなんだね?」

「そうなるかな?でも、最近の練りわさも馬鹿に出来ないんだよね」

「まぁね。店舗によっては本わさと練りわさを混ぜたりもしてるし」

「へぇ~…そうなんだ。二人とも詳しいね」

「料理は趣味だしね」

「佳織は?」

「お母さんにこの手の知識は徹底的に叩き込まれた」

「そ…そうなんだ……」

 

ホント……うちのお母さんは私に何をさせたいんだろう?

料理の腕が上がったのは純粋に嬉しいけど。

 

「…………はむ」

 

…今、山葵をそのまま食べなかった?

 

「っ……~~~~~~~~~~!?」

 

やっぱり!?もう~…。

思いっきり鼻を押さえて涙目になってるし。

 

「ちょ……大丈夫?」

「ら…らんとか……」

 

呂律が回ってない事態で大丈夫じゃないでしょ。

そんな状態で無理に笑顔を作っても説得力皆無だよ。

 

「ほら、このお茶を飲んで。少しは落ち着くと思うから」

「あ…あひはほ…」

 

慌てずゆっくりと私が手渡したお茶を飲むシャルロット。

なんかこうしてると、まるで本音ちゃんを世話してるみたいだよ。

 

「ふぅ~……」

「落ち着いた?」

「うん…。なんかごめんね?」

「気にしない気にしない。知らなかっただけなんだし。次から気を付ければいいだけだよ」

「取り敢えず、山葵は基本的に醤油に混ぜたりして食べる香辛料だから、それさえ覚えていれば大丈夫だと思うよ」

「分かったよ。ありがとう、一夏」

 

シャルロットはこれで良し…と。で、お次は……。

 

「う……うぅぅ……」

 

もう明らかに限界きてるでしょ、セシリア。

 

「無理は禁物だよ?駄目っぽいなら、ラウラみたいにテーブル席に移動した方がよくない?」

 

IS学園は非常に多くの国から生徒が来ている。

その為、正座慣れしていなかったり、宗教上の理由で無理だったりする子の為に隣の部屋にテーブル席が態々用意してある。

ラウラもその例に漏れず、テーブル席に向かった。

本人はこっちで食べたがっていたけど、正座で座ろうとすると足が痺れてしまい、結局は断念して向こうに行った。

 

「い…いえ…問題無い…ですわ…。この場所を確保するために費やした労力に比べれば、この程度の試練……!」

 

試練って。一体私が知らない所で何があったのさ。

 

ふと他の席に視線を移すと、箒と本音ちゃんと簪が見えた。

見知ったメンバー同士だからか、三人とも楽しそうに食べている。

 

「佳織。毎回の事だけど、気にしたら負けだよ」

「う…うん……?」

 

一夏がそう言うなら、そうなの……かな?

 

「ぐ…うぅぅ……」

 

箸を持つ手がめっちゃ震えてますよ、セシリアさん。

もう……見てられないよ。

 

「セシリア」

「ここからは動きませんわよ」

「分かってる。だから……こうするの」

 

セシリアの皿に盛られたお刺身を箸で取って、醤油を付けてから彼女の口に近づける。

 

「こ…これは……!?」

「ほら、早く口を開けて。あ~ん」

「あ…あ~ん…」

 

口を開けた瞬間に放り込む。

 

「お…美味しいですわ……♡」

「それはよかった」

 

こんな美味しいお刺身を食べ損ねるなんて勿体ないからね。

 

「それ、お昼に織斑先生にもしてたよね」

「えっ!?そうでしたの!?」

「千冬姉さんにしたんだ…。どっちからしたの?」

「向こうから言ってきたよ」

「姉さんから……。(負けられないな……)」

 

い…一夏が急に真剣な顔になった?なんで?

 

「「「「「……………」」」」」

 

な…なんで皆してこっちを見てるの?

 

「今の……見た?」

「うん……見た」

「また仲森さんが百合の花を咲かせてる…」

 

ゆ…百合の花?意味は分かるけど、別に咲いてなんかいないでしょ。

私は単純にセシリアが困っていたから手を貸しただけだよ?

 

「そう言えば、お昼にも織斑先生と同じような事をしてたような気が……」

「えぇっ!?織斑先生も狙ってるの!?」

「教師すらも魅了する赤い彗星……!」

 

それだけはやめて。

私は何もしてないよ。

 

「………………」

 

り…鈴!?ハイライトの無い目でこっちを見るのは止めて!

 

「お前達。一体何を騒いでいる」

「「「「「あ」」」」」

 

その場にいる全員が時が止まったかのように停止する。

何故なら、千冬さんが襖を開けてやって来たから。

 

「…………何をやっている?」

「あ~…っと……セシリアが困っていたみたいなので、ちょっと……」

 

千冬さんもこっちをジ~っと見ないで~!?

無駄に緊張するから~!

 

「…………そうか」

 

小さく呟いた後、千冬さんは私に近づいてきて、腰を低くして耳元で囁いた。

 

「風呂の後で私の部屋に来てくれないか?」

「ひゃ…ひゃい!?」

 

へ…部屋に来いとな!?

 

「待ってるぞ」

 

ド…ドキドキが止まらない……。

この人は何を思って私を部屋に誘ったんだろう…?

 

「お前達。それ程までに体力が有り余っているのなら、食事の後に砂浜をランニングでもするか?50キロもあれば大丈夫だろう?」

「「「「「す…すいませんでした!!」」」」」

 

鶴の一声とはよく言ったものだ。

千冬さんの一声であっという間に静かになった。

 

「お前達も、あまり騒ぐなよ」

「「「わ…分かりました」」」

 

私の周りにいる三人も大人しくなった。

流石の専用機持ちも世界最強に喧嘩は売りたくないようだ。

 

表情は変わっていないけど、なんだか嬉しそうに大宴会場を後にした千冬さん。

それって、あの一言を私に言ったから…?

 

「ねぇ、さっき織斑先生に何か話しかけられてたけど、何を言われたの?」

「ちょっとね……」

 

部屋に来いって言われたって話したら、また騒がしくなりそうだから、ここは敢えて黙っていようか。

バレたら後が怖いけど。

 

お…お刺身美味しいなー(棒読み)

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はお風呂回予定。

座して待て!!

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